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低身長の基準と受診の目安読む時間 約7分

日本の成長曲線の基準(2000年のデータ)を今も使う理由

公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日

日本の子どもの身長の伸びは2000年ごろまでにほぼ止まり、一方で肥満の増加は1980年代から始まっていました。そのため、日本小児内分泌学会と日本成長学会は、身長の基準としてふさわしく、全年齢のデータがそろう2000年の値を、今後も標準として使うのが妥当だとしています。古いから不正確というわけではなく、比べる物差しを変えないための選び方です。

成長曲線の「基準」は、どのデータで作られている?

日本小児内分泌学会が公開している成長曲線は、0〜6歳は厚生労働省の平成12年(2000年)乳幼児身体発育調査、6〜17歳は文部科学省の平成12年度学校保健統計調査の値をもとにしています。学会の論文によると、乳幼児の測定値は1万8,550件、学童の測定値は69万5,600件でした。

この2000年のデータは、平均とSD(標準偏差)の線を引いた成長曲線にも、パーセンタイルの線を引いた成長曲線にも使われています。学会は、平成28年4月から学校で身長・体重の評価に使われている成長曲線も、2000年度のデータから作られたものだと説明しています。

つまり、医療機関で見る成長曲線と、学校の健康診断で使う成長曲線は、同じ年のデータを物差しにしています。SDやパーセンタイルの意味は「SDとパーセンタイルの違いは?」のコラムで説明しています。

出典 [1] [2] [3]

なぜ、最新のデータに替えないの?

国は、学校保健統計調査で毎年、乳幼児身体発育調査で10年ごとに、子どもの身長と体重を測っています。それでも基準を毎回替えないのは、基準は「今の子どもの平均」ではなく、成長がふさわしいかを判断する物差しだからです。

日本小児内分泌学会と日本成長学会の合同標準値委員会は、基準にする年を選ぶ条件として、次の4つを挙げました。そのうえで、4つすべてを満たす年はないと判断し、1を必須とし、4より2と3を重く見て、2000年度のデータを標準とすることにしています。

委員会は、同じ標準値を使い続けることが望ましいため、当面は2000年度のデータにもとづく値を標準として使うとしています。

出典 [4]

身長が世代ごとに伸びる変化は、いつ止まった?

委員会の資料では、大人の身長に近い値として17.5歳の平均身長を年ごとに比べています。1980年から1990年代前半までは少しずつ高くなり、その後はほとんど変わっていません。委員会は、大人の身長が伸びる時代変化は1990年代前半に終わったと考えてよいとしています。

思春期の伸びの時期を表す値として、男子13.5歳・女子11.5歳の平均身長も比べており、こちらは2000年にほぼ変化が止まったとしています。2000年を選んだのは、この2つの変化が終わった時点のデータだからです。

その後も、大きな変化は見られません。文部科学省の令和7年度学校保健統計では、17歳の平均身長は男子170.6cm、女子157.9cmでした。調べ方が少し違うため単純には比べられませんが、2000年の基準とほぼ同じ水準です。

年17.5歳の平均(男子)17.5歳の平均(女子)男子13.5歳の平均女子11.5歳の平均
1980年169.7cm157.0cm156.9cm144.9cm
1990年170.4cm157.9cm158.8cm146.3cm
2000年170.8cm158.1cm160.0cm147.1cm
2010年(速報値)170.7cm158.0cm159.7cm146.8cm

出典 [4] [5]

体重は、なぜ新しいデータにしないほうがよい?

委員会の資料によると、日本の子どもの肥満の増加は、遅くとも1980年代前半から始まっています。学童期以降のBMIを年代ごとに比べると、上のほうの値(97、90、75パーセンタイル)は年代が進むにつれて上がりましたが、真ん中から下の値(50、25、10、3パーセンタイル)にははっきりした変化がありませんでした。

もし肥満が増えたあとのデータを基準にすると、「標準」の体重が重いほうへずれ、太りぎみの子が標準に見えてしまいます。委員会は、2000年度のデータでも、それ以前から肥満が増えていたため、肥満を少なめに評価することになると注意しています。

また、体重は身長と違って左右対称の山の形に分布しないため、2000年のデータをLMS法という統計の方法で整え直した体重の曲線が作られています。身長の曲線は、新旧の作り方でほぼ同じですが、体重の曲線ははっきり違うと学会は説明しています。

出典 [4] [2] [3]

母子手帳の曲線とは、データの年が違うの?

違います。こども家庭庁が示す母子健康手帳の様式(令和8年4月1日施行)には、令和5年(2023年)乳幼児身体発育調査から作った乳幼児身体発育曲線と、幼児の身長体重曲線が載っています。国立保健医療科学院の実践ガイド(令和3年)は、当時いちばん新しかった平成22年(2010年)調査の曲線を使い、2000年のデータを標準とする議論もあることにふれています。

母子手帳の曲線は、いま育っている乳幼児の分布を、健診や家庭での記録に使う目的があります。こども家庭庁は、令和5年調査の体重・身長・頭囲の平均値は、前回の平成22年調査と比べて大きな変化はないとしています。そのため、ふだんの見方で大きく食い違うことは多くありませんが、線の位置が少し違うことはあります。

お持ちの母子手帳が何年の調査の曲線かは、グラフの題名に書かれています。医療機関で低身長かどうかを判断するときに、どちらの曲線を使うかは医師が決めます。

出典 [6] [7] [8]

WHO(世界保健機関)の成長曲線は使わないの?

WHOの成長基準(0〜5歳)は、母乳で育ち、成長をさまたげない環境で育った複数の国の子どものデータから作られています。WHOは、民族や社会経済状況、栄養のとり方によらず、どこの子どもにも使えるとしています。

一方、日本の学会は、日本の子どもの体格を評価するときは、2000年度の国の測定データから計算した値を標準として使うのが妥当だとしています。目的や対象年齢が違うため、同じ子どもでも、WHOの基準と日本の基準ではSDやパーセンタイルの数字が変わることがあります。

アプリや海外のサイトで計算した数字が、病院で言われた数字と合わないときは、どの基準を使っているかを確かめてみましょう。くわしくは「身長の記録をアプリや表計算でつけるときの注意」のコラムで説明しています。

出典 [9] [10] [4]

古いデータの基準で判断して、困ることはない?

委員会の資料では、2000年以降も17.5歳の平均身長はほとんど変わっていません。そのため、身長の位置が2000年の基準で大きくずれることは考えにくいといえます。基準が変わらないことで、何年も前の記録と今の記録を同じ物差しで比べられるという利点もあります。

大切なのは、基準の線のどこにいるかだけでなく、線に沿って伸びているかです。日本小児内分泌学会は、成長曲線の基準範囲とされる−2.0SDから+2.0SDの間に約95%の子どもが入るとしています。伸び方が落ちてきたときは、基準の年にかかわらず、早めに小児科で相談しましょう。

身長の伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で、お手元の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。

出典 [4] [11] [12]

成長曲線の基準(2000年のデータ)についてよくある質問

Q. 今の子どもは昔より大きいので、2000年の基準だと背が高めに出ませんか?

A. 17歳の平均身長は2000年ごろから大きく変わっておらず、身長の位置が大きくずれることは考えにくいと考えられます。体重は、肥満が増えてきた影響で、2000年の基準では肥満を少なめに評価するという注意があります。

Q. 学校の成長曲線と病院の成長曲線で、線の位置が違って見えます。

A. 学校で使う成長曲線も2000年度のデータから作られていますが、パーセンタイルの線とSDの線では、引いている位置が違います。どちらの線かを確かめてから比べましょう。

Q. 基準が将来変わることはありますか?

A. 学会は、当面は2000年度のデータにもとづく値を標準として使うとしています。変更の予定を示した資料は見当たりません。

出典 [4] [3]

まとめ

日本の成長曲線は、身長の時代変化がほぼ終わり、データが全年齢でそろう2000年の値を標準にしています。肥満が増えたあとのデータを基準にしないことで、体重を軽く見誤るのを防ぐ意味もあります。母子手帳やWHOの曲線とは目的が違うため、どの基準の数字かを確かめ、線に沿った伸び方を見ていきましょう。

出典 [4]

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この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. 日本小児内分泌学会「日本人小児の体格の評価」
  2. Clinical Pediatric Endocrinology「Growth standard charts for Japanese children with mean and standard deviation (SD) values based on the year 2000 national survey」(Isojima T ほか、2016年、J-STAGE)
  3. 日本小児内分泌学会「新しい成長曲線について」
  4. 日本小児内分泌学会・日本成長学会合同標準値委員会「日本人小児の体格の評価に関する基本的な考え方」(日本成長学会ウェブサイト掲載)
  5. 文部科学省「令和7年度学校保健統計(学校保健統計調査の結果)について公表します」(PDF、令和8年2月13日)
  6. こども家庭庁「母子健康手帳 府令様式」(令和8年4月1日施行、PDF。令和5年調査の乳幼児身体発育曲線と幼児の身長体重曲線を掲載)
  7. 国立保健医療科学院掲載「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」(令和3年3月、厚生労働行政推進調査事業、PDF)
  8. こども家庭庁「令和5年乳幼児身体発育調査 調査結果の概要」(PDF)
  9. Acta Paediatrica Supplement「WHO Child Growth Standards based on length/height, weight and age」(WHO Multicentre Growth Reference Study Group、2006年、PubMed)
  10. 世界保健機関(WHO)「Child growth standards」
  11. 日本小児内分泌学会「低身長」
  12. ノビケア「お問い合わせ」