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成長ホルモン治療読む時間 約7分

成長ホルモン治療は「保険が使えない」と言われたら:理由の確かめ方と次の選択肢

公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日

「保険が使えない」と言われたときは、まず、どの基準を満たさなかったのかを確かめましょう。病名の診断がつかなかったのか、身長や伸びの基準に届かなかったのか、骨端線の状態によるのかで、次に考えることが変わります。経過を見て改めて調べる、ほかの原因を調べる、別の医師の意見を聞く、治療をしないなどの選択肢があります。自由診療(適応外使用)という道もありますが、学会は勧めておらず、利点と負担をよく比べる必要があります。

保険で治療できるかどうかは、何で決まる?

成長ホルモン製剤の添付文書には、どの病気の低身長に使う薬かが書かれています。成長ホルモン分泌不全性低身長症、ターナー症候群、SGA性低身長症など、いずれも骨端線が閉じていない特定の病気です。この病気と診断され、病気ごとの基準を満たしたときに、保険診療で治療できます。

つまり「保険が使えない」は、家族の希望や医師の好みで決まるものではなく、診断と基準にもとづく判断です。日本小児内分泌学会は、背が低い子どものうち、健康保険で成長ホルモン治療が使えるのは一部だと説明しています。対象になる病気の一覧は「成長ホルモン治療が保険で受けられるのはどんな場合?」のコラムにまとめています。

出典 [1] [2]

「保険が使えない」主な理由は?

説明を受けたときは、次のどれにあたるのかを確かめると、その後の見通しが立てやすくなります。ひとつだけでなく、いくつかが重なっていることもあります。

理由どういうことか確かめたいこと
分泌刺激試験の値が基準より高かった成長ホルモン分泌不全性低身長症とは診断されなかった何種類の試験を受け、それぞれの最も高い値はいくつだったか
1種類の試験だけ値が低かった診断が「疑い」にとどまることがある判定がどの区分になったか、もう一度調べる予定はあるか
身長や伸びの基準に届いていない病気ごとに決められた身長・伸びの条件を、今は満たしていない今の値と基準の差、次にいつ見直すか
原因となる病気が見つからない承認された病気にあてはまらない(特発性低身長)ほかに調べておく検査は残っていないか
骨端線が閉じている、閉じかけている身長を伸ばす効果が見込めない骨年齢と、これから伸びる見込み

出典 [3] [4] [2]

分泌刺激試験で「正常」と言われたときは?

小児慢性特定疾病情報センターの診断の手引きでは、成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断には、身長や伸びの条件に加えて、原則として2種類以上の分泌刺激試験で値が低いことが必要です。多くの試験では最も高い値(頂値)が6ng/mL以下、GHRP-2を使う試験では16ng/mL以下を、分泌が低いと判断する目安にしています。

同じ手引きは、健康な子でも試験によっては低い値が出ることがあるため、通常は2種類以上の試験が必要だと説明しています。また、甲状腺の働きが落ちている、肥満がある、ステロイドなどの薬を使っている、強いストレスが続いているといった状態では、値が低めに出ることがあるとしています。反対に言えば、こうした影響を考えたうえで基準を上回ったのであれば、成長ホルモンの出方は基準の範囲にあったという意味になります。

1種類だけ低かった場合は、ほかの所見とあわせて「疑い」と判定されることもあります。伸びが落ち続けるなど経過に変化があったときに、改めて検査を考えるかどうかは、主治医の判断になります。結果の用紙をもらい、何の試験で、どの値だったかを控えておきましょう。試験の流れは「成長ホルモン分泌刺激試験(負荷試験)とは?」のコラムで説明しています。

出典 [3]

身長や伸びが、まだ基準に届かないときは?

成長ホルモン分泌不全性低身長症の手引きでは、身長が−2.0SD以下であること、または身長が範囲内でも1年の伸びが2年以上続けて−1.5SD以下であることが、主な症状の条件です。日本小児内分泌学会のSGA性低身長症の手引きでは、3歳以上、身長が−2.5SD未満、治療前1年の伸びが標準(0SD)に届いていないことが、治療を始める条件です。

今は条件に届かなくても、その後の伸び方によって判断が変わることがあります。たとえば小さく生まれた子で、今の身長が−2SDと−2.5SDの間にある場合は、記録を続けて伸びを見ていくことになります。次にいつ測り、何がどうなったら改めて相談するのかを、主治医と決めておきましょう。経過の見方は「「様子を見ましょう」と言われたら、次に何を確認する?」のコラムでも説明しています。

出典 [3] [4]

ほかの原因を調べる道はある?

成長ホルモンの出方に問題がなくても、保険で成長ホルモン治療が認められている病気はほかにもあります。ターナー症候群、ヌーナン症候群、SHOX異常症、慢性腎不全に伴う低身長、軟骨異栄養症などです。

小児慢性特定疾病情報センターは、ターナー症候群について、低身長の女の子は全員が染色体検査の対象になるとしています。体のつり合い、手足の形、家族の身長、生まれたときの大きさなどから、染色体や遺伝子の検査を考えることもあります。これまでにどの検査を受けたかを確かめ、まだ調べていないことがあるかを聞いてみましょう。検査の考え方は「低身長で染色体や遺伝子の検査をするのはどんなとき?」のコラムで説明しています。

出典 [2] [5]

次に選べることは、どんなこと?

保険の対象外と言われたあとの道は、ひとつではありません。おもな選択肢を並べると、次のようになります。どれを選んでも、測った日と身長の記録を続けることは共通です。

別の医師の意見を聞く場合は、今の主治医に紹介状と検査結果の写しを用意してもらうと、同じ検査をくり返さずにすむことがあります。進め方は「低身長の診断や治療でセカンドオピニオンを受けるには?」のコラムで説明しています。

出典 [6]

自由診療を考えるときに知っておきたいことは?

原因となる病気が見つからない低身長に成長ホルモン製剤を使うことは、国内で承認された効能・効果に含まれない適応外使用で、健康保険や医療費助成は使えません。日本小児内分泌学会と日本内分泌学会の見解は、承認された病気以外の低身長に使うと効果が得られないことが多く、有害なことが起こる可能性もあるとしています。

また、医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、薬の使い方が適正と認められない場合は医薬品副作用被害救済制度の対象にならないとしており、適応外使用は原則として救済の対象外です。保険が使えないと言われたことを理由に、すぐ自由診療に切り替える必要はありません。検討する場合は、始める前に確かめたいことを「自費で成長ホルモン治療を始める前に知っておくこと」のコラムにまとめています。

出典 [2] [7]

主治医に聞いておきたいことは?

説明の場では、気持ちが動いて聞きそびれることもあります。次のような質問をメモにして持っていくと、あとで家族で話し合うときの材料になります。

オンラインで相談することはできる?

ノビケアの成長ホルモン治療は自由診療で、原因となる病気が見つからない低身長への使用は適応外使用のため、健康保険や医療費助成は使えません。医師による無料相談(ビデオ通話)では、これまでの検査結果や説明の内容をうかがいながら、ご相談いただけます。保険診療の対象になりうる病気が疑われる場合は、対面の医療機関をご紹介します。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。

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保険が使えないと言われたときによくある質問

Q. 一度「保険の対象外」と言われたら、もう対象になることはありませんか?

A. その後の伸び方や追加の検査で、判断が変わることがあります。記録を続け、伸びが落ちてきたなどの変化があれば改めて相談しましょう。

Q. 分泌刺激試験の結果に納得できません。別の病院でもう一度受けられますか?

A. まず結果の写しを持って、別の医師に意見を聞く方法があります。もう一度試験を受けるかどうかは、受診先の医師が経過を見て判断します。

Q. 保険の基準に少しだけ届かないのは、不公平に感じます。

A. 基準は、効果が見込める子を見分けるために決められています。少しの差でも気持ちが揺れるのは自然なことです。その気持ちも含めて、主治医に伝えてかまいません。

出典 [3]

まとめ

「保険が使えない」と言われたら、どの基準を満たさなかったのかを確かめ、検査結果の写しをもらっておきましょう。経過を見て見直す、ほかの原因を調べる、別の医師の意見を聞く、治療をしないといった選択肢があります。自由診療は適応外使用で学会も勧めていないため、検討する場合は効果の限界と負担を十分に確かめてから判断しましょう。

出典 [2]

お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。

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この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. PMDA「ノルディトロピン フレックスプロ注 添付文書」(2025年9月改訂 第3版)
  2. 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
  3. 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン(GH)分泌不全性低身長症(脳の器質的原因によるものを除く。) 診断の手引き」
  4. 日本小児内分泌学会「SGA性低身長症におけるGH治療の手引き」
  5. 小児慢性特定疾病情報センター「ターナー(Turner)症候群 概要」
  6. 国立がん研究センター がん情報サービス「セカンドオピニオン」
  7. 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「Q7 救済の対象とならない場合とは、どのような場合ですか。」
  8. ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
  9. ノビケア「お問い合わせ」