成長ホルモン治療読む時間 約7分
成長ホルモン治療が保険で受けられるのはどんな場合?
公開日:2026年10月3日 更新日:2026年10月3日
成長ホルモン治療が健康保険で受けられるのは、成長ホルモン分泌不全性低身長症やSGA性低身長症、ターナー症候群など、国が承認した病気と診断され、それぞれの基準を満たす場合です。原因となる病気が見つからない低身長は、国内では保険の対象になっていません。
成長ホルモン治療に保険が使えるのは、どんなときですか?
お薬には、国が承認した「効能・効果」があります。成長ホルモン製剤の場合、どの病気の低身長に使えるかが決められていて、その病気と診断されたときに保険診療で治療できます。
身長が低いというだけでは、保険の対象にはなりません。原因となる病気があるかを検査で調べ、診断がつき、さらに病気ごとに決められた身長や伸び方などの基準を満たすことが必要です。
同じ「背が低い」という悩みでも、原因によって使える制度や治療は違います。保険診療の対象になるかどうかを確かめることは、費用の面だけでなく、隠れている病気を見つけるためにも大切です。
成長ホルモン製剤の説明書にも、どの病気の低身長に使うお薬かが書かれています。そこに書かれた病気は、どれも「骨端線閉鎖を伴わない」ことが条件になっています。
保険の対象になる病気には、どんなものがありますか?
日本小児内分泌学会は、成長ホルモン治療が認められている小児の病気として、次のものを挙げています。いずれも、骨端線が閉じていないことが前提です。
このうち、ターナー症候群は女の子の約2,000人に1人、プラダー・ウィリ症候群は約1万人に1人、ヌーナン症候群は日本では約1万人に1人とされています。これらは、染色体や遺伝子の検査、体の特徴などをもとに、専門の医師が診断します。
病気ごとに、使えるお薬の量や、治療を始める条件、続ける条件が違います。お薬の説明書でも、病気ごとに1週間あたりの量が分けて書かれています。
- 成長ホルモン分泌不全性低身長症
- SGA性低身長症
- ターナー症候群
- プラダー・ウィリ症候群
- ヌーナン症候群
- 慢性腎不全に伴う低身長
- 軟骨異栄養症
- SHOX異常症
成長ホルモン分泌不全性低身長症は、どう診断しますか?
小児慢性特定疾病情報センターの診断の手引きでは、身長が標準より大きく低い(-2.0SD以下)か、1年あたりの伸びが2年以上続けて標準より低い(-1.5SD以下)ことを、主な症状の一つとしています。
そのうえで、薬を使って成長ホルモンの出方を調べる分泌刺激試験を2種類以上行い、どちらでも出方が低いことを確かめます。日本内分泌学会も、少なくとも2種類の薬で検査し、そのすべてで分泌する力が弱いことを確認する必要があると説明しています。
分泌刺激試験は、数時間かけて何度か採血する検査で、入院や日帰りで行う医療機関が多い検査です。
診断がついた場合は、成長ホルモンの製剤を自宅で皮下に注射する治療を、保険診療で行います。治療中は定期的に身長を測り、診察や血液・尿の検査を受けます。
成長ホルモン分泌不全性低身長症は、身長が大きく低くなくても、1年あたりの伸びが続けて小さい場合に疑われることがあります。身長の値だけでなく、伸び方の記録が大切なのはこのためです。
SGA性低身長症は、どんな基準で保険の対象になりますか?
日本小児内分泌学会の手引きでは、在胎週数に比べて小さく生まれ(出生時の体重と身長がともに10パーセンタイル未満で、体重か身長のどちらかが-2SD未満)、2歳までに追いつかなかった場合をSGA性低身長症としています。
成長ホルモン治療を始める条件は、3歳以上、身長が-2.5SD未満、治療前1年間の伸びが標準(0SD)に届いていないこと、の3つです。手引きには、わが国でもSGA性低身長症への成長ホルモン治療が保険適用になったことが書かれています。
SGA性低身長症の治療では、始める前に血液検査などを行い、治療中も3〜6か月ごとの検査で体の状態を確かめます。
SGA性低身長症では、成長ホルモンの出方が少ないことを確かめる分泌刺激試験の結果ではなく、生まれたときの大きさと、その後の身長・伸び方が主な判断材料になります。母子手帳に書かれた在胎週数と出生時の体重・身長が大切な手がかりです。
医療費の助成も使えますか?
一部の病気では、保険診療に加えて、小児慢性特定疾病の医療費助成を使えることがあります。小児慢性特定疾病情報センターによると、令和6年4月から、助成での成長ホルモン治療の扱いは保険診療の適用基準と同じになりました。
助成の対象となる病気や、申請の手続き、自己負担の上限は、病気や世帯の状況によって違います。主治医や、お住まいの自治体の窓口で確認してください。
制度の内容は見直されることがあります。最新の情報は、小児慢性特定疾病情報センターや自治体の案内で確認しましょう。
出典 [7]
保険の対象にならないのは、どんな場合ですか?自由診療とは何が違いますか?
検査をしても原因となる病気が見つからない低身長(特発性低身長)は、国内で承認された効能・効果に含まれていません。この場合に成長ホルモン製剤を使うことは適応外使用となり、保険は使えず自由診療になります。
自由診療では、健康保険や医療費助成は使えず、費用は全額自己負担になります。原因となる病気が見つからない低身長への使用は、国内で承認された効能・効果に含まれない適応外使用です。重い副作用が起きた場合でも、国の医薬品副作用被害救済制度は原則として利用できません。
また、骨端線が閉じて身長の伸びが止まっている場合は、どの病気であっても身長を伸ばす目的の治療はできません。
保険の対象になるかどうかは、検査の結果を見て医師が判断します。自由診療を考える前に、まず保険診療の対象となる病気がないかを確かめることが大切です。
どちらの場合も、注射を続ける負担や副作用の確認が必要なことは同じです。治療を考えるときは、費用だけでなく、検査の内容、通院の回数、続ける期間も含めて比べることが大切です。
保険診療を受けるには、どこに相談すればよいですか?
まずは、かかりつけの小児科で、成長曲線を見てもらうことから始めましょう。必要に応じて、小児の内分泌を専門とする医師がいる医療機関に紹介されます。分泌刺激試験や骨年齢のエックス線検査は、こうした医療機関で行われます。
受診のときは、母子手帳や学校の健康診断の記録など、これまでの身長の記録を持っていくと、伸び方の確認に役立ちます。
検査や診断には、何回か通院が必要になることがあります。結果によっては、保険診療の治療は始めずに経過を見ることになる場合もありますが、原因の有無を確かめておくことには意味があります。
大学病院など小児の内分泌を専門とする医療機関では、成長曲線の確認、骨年齢、血液検査、分泌刺激試験、頭部MRI、染色体の検査などを組み合わせて原因を調べます。
成長ホルモン治療の保険適用についてよくある質問
Q. 身長が-2SDより低ければ、保険で治療できますか?
A. 身長の基準だけでは決まりません。原因となる病気の診断と、病気ごとの基準を満たすことが必要です。まずは小児科で、成長曲線と必要な検査について相談してください。
Q. 一度「保険の対象外」と言われたら、もう対象にはなりませんか?
A. その後の伸び方や検査で判断が変わることもあります。経過を見ていくなかで気になる変化があれば、主治医に相談してください。
Q. 自由診療と保険診療で、使うお薬は違いますか?
A. 同じ成分の製剤が使われることがあります。違うのは、承認された病気に使うかどうかと、費用の負担の仕組みです。
まとめ
成長ホルモン治療が保険で受けられるのは、承認された病気と診断され、基準を満たす場合です。まずは小児科で、原因となる病気がないかを確かめましょう。保険診療の対象になりうる場合は、ノビケアの医師による無料相談でも、対面の医療機関をご紹介しています。
ノビケアの成長ホルモン治療について(自由診療)
ノビケアの成長ホルモン治療は自由診療で、健康保険や医療費助成は使えません。原因となる病気が見つからない低身長への使用は、国内で承認された効能・効果に含まれていない適応外使用です。
費用(税込)は、医師による無料相談が0円、医師が必要と判断した場合の郵送検査(指先の血液と尿)が20,000円(送料込み)です。お薬は1本あたり、治療を始める月が40,000円、2か月目以降が60,000円、6か月分一括プランでは50,000円です(注射器・注射針と冷蔵便の送料を含みます)。1か月に使う本数は体重によって変わり、2〜5本が目安です。
注射はご自宅で毎日1回行い、治療は年単位になることが多く、続けるかどうかを定期的に判断します。主な副作用は、注射したところの痛み・赤み・腫れ、関節の痛み、むくみ、頭痛などで、まれに頭の中の圧が高くなる、股関節の骨がずれる、側弯が進む、血糖値が上がる、甲状腺の働きが変わる、といったことがあります。詳しくは「成長ホルモン治療について」のページをご覧ください。ご質問はお問い合わせページから受け付けています。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- PMDA「患者向医薬品ガイド ソマトロピンBS皮下注「サンド」シュアパル」
- 日本小児内分泌学会「低身長」
- 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン(GH)分泌不全性低身長症(脳の器質的原因によるものを除く。) 診断の手引き」
- 日本内分泌学会「成長ホルモン分泌不全性低身長症」
- 日本小児内分泌学会「SGA性低身長症におけるGH治療の手引き」
- 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン治療について」
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
- 横浜市立大学附属 市民総合医療センター「低身長」
- 東京慈恵会医科大学 小児科学講座「低身長」
- ノビケア「お問い合わせ」