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自費で成長ホルモン治療を始める前に知っておくこと:効果の個人差・やめどき・総額の考え方
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
自費(自由診療)で成長ホルモン治療を始める前に、知っておきたいことが4つあります。原因の見つからない低身長への使用は適応外使用で、学会は勧めていないこと。効果には大きな個人差があり、海外の研究でも大人の身長への上乗せは平均で一部にとどまること。やめる目安を始める前に決めておくこと。総額は月ごとの金額だけでなく、体重の増加や続ける年数、検査で変わることです。治療をしないことも、十分に考えたうえでの選択肢です。
自費の成長ホルモン治療は、どんな位置づけ?
国内で成長ホルモン製剤が承認されているのは、成長ホルモン分泌不全性低身長症やSGA性低身長症などの特定の病気です。検査をしても原因となる病気が見つからない低身長(特発性低身長)に使う場合は適応外使用となり、健康保険や医療費助成は使えません。
日本小児内分泌学会と日本内分泌学会の見解(2024年8月14日改訂)は、承認された病気以外の低身長に使うと効果が得られないことが多く、有害なことが起こる可能性もあるとしています。米国小児内分泌学会の2016年のガイドラインも、特発性低身長は治療の対象とするかどうかで議論が続いているとし、一人ひとりの利点とリスクを考えて判断するよう求めています。
保険の検査をまだ受けていない場合は、先に保険診療の対象になる病気がないかを確かめることが出発点です。保険と自費の違いは「成長ホルモン治療の保険診療と自費(自由診療)の違い」のコラムで説明しています。
効果について、研究で分かっていることは?
特発性低身長の子どもを対象にした研究をまとめた論文(BMJ誌、2011年)では、無作為化比較試験3件、115人の結果を合わせると、治療を受けた子の大人の身長は、受けなかった子より平均で0.65SD高くなっていました。著者らは、効果は承認されている病気より平均して小さく、一人ひとりの反応の差がとても大きいとしています。
コクランの系統的レビュー(2007年、無作為化比較試験10件)は、1年間の短い期間の伸びの上乗せは、ほとんどない場合から約0.7SDまで幅があったとしています。また、治療を受けた子も、同じ年ごろの平均的な身長の子と比べると低めのままだったこと、生活の質や心理面の改善ははっきり示されなかったことも報告しています。
これらは海外の、思春期前で成長ホルモンの出方が保たれている子などを対象にした研究で、国内で自費の治療を受ける子にそのまま当てはまるとは限りません。どの研究の数字をもとに説明しているのかを、担当の医師に聞いてみましょう。
「効果がない」と感じるのは、どんなとき?
自費の治療をやめた理由として「思ったほど伸びなかった」が挙がることがあります。そう感じたときは、まず何と比べたかを整理しましょう。治療前の1年の伸びと、治療を始めてからの1年の伸びを、同じ条件で測った記録で比べるのが基本です。ほかの子の数字や、インターネットで見た数字と比べると、実際より小さく感じることがあります。
打ち忘れも伸びに関わります。ニュージーランドで治療中の子ども177人を調べた研究(PLoS One誌、2011年)では、打ち忘れが多い子は伸びが小さい傾向がありました。思春期が始まると、治療をしていなくても伸びが速くなる時期があり、伸びの変化をすべて治療の効果として読むことはできません。伸びが小さいときの確かめ方は「成長ホルモン治療で思ったほど伸びないとき」のコラムで説明しています。
出典 [6]
後悔しないために、始める前に決めておきたいことは?
治療を始めてから迷わないように、次のことを家族と医師で確かめておきましょう。とくに「何のために治療するのか」を言葉にしておくと、続けるかどうかを見直すときの物差しになります。
子どもの身長と心の面の関係をまとめた総説(Pediatric Clinics of North America誌、2015年)は、背を伸ばすことで生活の質がよくなるという根拠には疑問が出されているとしています。からかいへの心配など、身長以外の方法で支えられることがないかも、あわせて考えてみましょう。
| 決めておくこと | 具体的な例 |
|---|---|
| 治療の目的 | 本人の悩みを軽くしたい、伸びの速さを上げたい、など |
| 効果を見る方法と時期 | 同じ条件で測った1年の伸びを、治療前と比べる |
| やめる目安 | 1年の伸びがどのくらいなら続けないか、骨年齢がどこまで進んだら終えるか |
| 注射の担当 | 誰が打つか、外泊や行事の日はどうするか |
| 費用の上限 | 家計として何年、どこまで続けられるか |
| 本人の気持ち | 注射が嫌になったときに、どう話し合うか |
出典 [7]
やめどきは、何で考える?
自由診療には、保険診療のような公的な継続や中止の基準がありません。そのため、どの記録をもとに、いつ、何がどうなったら終えるのかを、始める前に担当の医師と決めておくことが大切です。
参考になるのは、保険診療で示されている考え方です。日本小児内分泌学会は、成長ホルモン分泌不全性低身長症で、1年の伸びが1cm未満になったときや骨端線が閉じたときは中止、2cm未満では中止を積極的に考えることを推奨しています。骨年齢で男子16.0歳、女子14.6歳を超えた場合は、骨端線が閉じたのに相当するとしています。
伸びのほかにも、注射の負担が大きくなった、本人がやめたいと言った、家計が続かないといった理由で見直すことがあります。どの理由でも、自分の判断で急にやめず、医師と相談して終え方を決めましょう。本人がやめたがるときの話し合い方は「思春期の子が「注射をやめたい」と言ったら」のコラムで説明しています。
出典 [2]
総額は、どう考える?
成長ホルモン製剤の量は、添付文書で「1週間に体重1kgあたり何mg」と決められています。体が大きくなるほど使う量が増えるため、治療を始めた月の金額が、そのまま続くとは限りません。治療は年単位になることが多く、総額は「その時々の月ごとの費用×続ける月数」に、診察や検査の費用を足して考えます。
自由診療では、高額療養費制度や小児慢性特定疾病の医療費助成は使えません。重い副作用が起きた場合も、医薬品副作用被害救済制度は原則として使えません。見積もりを受け取るときは、次の点を確かめておきましょう。医療費控除の考え方は「成長ホルモン治療は医療費控除の対象になる?」のコラムで説明しています。
- 今の体重での1か月分と、1年後に体重が増えたときの1か月分
- 見込まれる治療期間と、その間の総額の目安
- 診察、検査、注射針、配送などが料金に含まれるか
- 定期的な検査の内容と頻度
- 途中でやめたときや量が変わったときの精算の条件
子ども本人とは、何を話し合う?
毎日の注射を受けるのは子ども本人です。日本小児科学会の「医療における子ども憲章」は、子どもには自分の健康について分かりやすく説明を受け、気持ちや意見を伝える権利があるとしています。年齢に合わせて、何のための治療か、毎日どんなことをするのか、いつ見直すのかを伝え、本人の考えを聞きましょう。
フランスで毎日型の治療を受けていた子ども275人を調べた研究(Endocrine Connections誌、2023年)では、治療が生活のじゃまになる場面として、外泊や旅行がとくに挙げられていました。修学旅行や合宿など、これからの予定も思い浮かべながら話し合っておくと安心です。
ノビケアでは、どのように説明している?
ノビケアの成長ホルモン治療は、原因となる病気が見つからない低身長への適応外使用の自由診療です。料金は「成長ホルモン治療について」のページに載せています。治療を考える場合は、医師が学会の見解も含めて、期待できる効果とその限界、副作用、費用をご説明し、治療中も効果を定期的に確かめて、続けるかどうかを判断します。医師による無料相談(ビデオ通話)の1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。相談の時点で、治療を受けると決める必要はありません。
自費の成長ホルモン治療についてよくある質問
Q. 保険の検査を受けずに、自費の治療から始めてもよいですか?
A. 保険診療の対象になる病気が隠れていると、本来受けられる治療や助成を逃すことになります。まず小児科で原因を調べてもらうことが勧められます。
Q. 治療をやめたら、それまでに伸びた分は縮みますか?
A. やめたことで、それまでに伸びた身長が縮むとは考えにくいです。まだ伸びる時期にやめた場合は、その子のもともとのペースで伸びていくと考えられます。
Q. 早く始めるほど効果が大きいのですか?
A. 始める年齢と効果の関係は、病気や研究によって違い、自費の治療の対象となる子で確かな目安は示されていません。骨年齢を見ながら、医師に見通しを聞いてみましょう。
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まとめ
自費の成長ホルモン治療は、原因の見つからない低身長への適応外使用で、学会は勧めておらず、研究でも効果は平均で一部、個人差が大きいとされています。始める前に、目的、効果を見る方法、やめる目安、体重の増加や年数を含めた総額、本人の気持ちを確かめておきましょう。治療をしないことも、大切な選択肢です。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- PMDA「ノルディトロピン フレックスプロ注 添付文書」(2025年9月改訂 第3版)
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- 米国小児内分泌学会「Guidelines for Growth Hormone and Insulin-Like Growth Factor-I Treatment in Children and Adolescents」(Hormone Research in Paediatrics誌、2016年、成長ホルモン分泌不全症・特発性低身長などの治療指針、PubMed)
- BMJ「Impact of growth hormone therapy on adult height of children with idiopathic short stature: systematic review」(Deodati A、Cianfarani S、2011年、無作為化比較試験3件・115人など、PubMed)
- Cochrane Database of Systematic Reviews「Recombinant growth hormone for idiopathic short stature in children and adolescents」(Bryant J ほか、2007年、無作為化比較試験10件、PubMed)
- PLoS One「Non-compliance with growth hormone treatment in children is common and impairs linear growth」(ニュージーランドで成長ホルモン治療を受けていた子ども177人の全国調査、2011年、PubMed)
- Pediatric Clinics of North America「Short Stature: Is It a Psychosocial Problem and Does Changing Height Matter?」(2015年、PubMed)
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「Q7 救済の対象とならない場合とは、どのような場合ですか。」
- 小児慢性特定疾病情報センター「手続きの流れ」
- 日本小児科学会「医療における子ども憲章」(2022年3月、PDF)
- Endocrine Connections「Treatment burden, adherence, and quality of life in children with daily GH treatment in France」(Coutant R ほか、2023年、毎日型の治療を受けていたフランスの子ども275人、PMC)
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
- ノビケア「お問い合わせ」