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自由診療の成長ホルモン治療とは?「適応外使用」の意味と、受ける前に知っておくこと
公開日:2026年10月3日 更新日:2026年10月3日
「適応外使用」とは、国が承認した病気や使い方とは違う目的・方法で薬を使うことです。成長ホルモン製剤が承認されているのは、成長ホルモン分泌不全性低身長症などの特定の病気だけです。原因となる病気が見つからない低身長に使う場合は適応外使用となり、保険や医療費助成は使えず、全額自己負担の自由診療になります。受ける前に、まず保険診療の対象になる病気がないかを確かめ、効果の限界やリスク、費用の説明を十分に受けることが大切です。
「適応外使用」とは、どういう意味?
薬は、国の承認を受けるときに、どの病気に使うか(効能・効果)と、どのくらいの量をどう使うか(用法・用量)が決められます。その範囲は添付文書に書かれています。
厚生労働省の医療広告ガイドラインでは、承認を受けていない薬に加えて、承認された効能・効果や用法・用量と異なる使い方をする薬も「未承認医薬品等」としてまとめて扱っています。承認された薬であっても、決められた病気以外に使うことは、承認の範囲の外になります。
成長ホルモン製剤の添付文書に書かれている子どもの病気は、成長ホルモン分泌不全性低身長症、ターナー症候群、SGA性低身長症など、どれも「骨端線閉鎖を伴わない」特定の病気です。検査をしても原因となる病気が見つからない低身長(特発性低身長)は、ここに含まれていません。
適応外使用だと、なぜ自由診療になる?
健康保険で使える薬は、承認された病気に、承認された使い方で使うことが前提です。日本小児内分泌学会も、成長ホルモンは添付文書に沿った使い方であれば健康保険が適用され、公費の助成を受けられる機会も増すと説明しています。
承認の範囲の外で使う場合は保険が使えないため、薬の費用も診察や検査の費用も、医療機関が決める料金を全額自己負担する自由診療になります。小児慢性特定疾病の医療費助成も、指定医療機関で行われた保険診療が対象のため、使えません。
保険診療と保険外の診療をあわせて受けることは、国が一定のルールで認めたもの(保険外併用療養費制度)に限られています。対象は先進医療や治験、承認申請中の適応外使用など、国が定めたものです。原因の見つからない低身長への成長ホルモン製剤の使用は、この仕組みの対象として示されたものではありません。保険診療と自由診療を同じ時期に受けられるかどうかは、受診する医療機関に確認してください。
学会は、承認されていない使い方をどう考えている?
日本小児内分泌学会と日本内分泌学会は、「成長ホルモンの適正使用に関する見解」(2024年8月14日改訂)を公表しています。見解によると、検査をして保険の成長ホルモン治療の対象になるのは、背が低い子どものうち一部です。それ以外の子どもへの使用は保険の適応にならず、よい治療効果も期待できないとしています。
また、承認された病気以外の低身長に使うと効果が得られないことが多く、有害なことが起こる可能性もあると述べています。量が少なすぎると大人になったときの身長が改善しないこと、多すぎると筋肉痛、むくみ、血圧の上昇、血糖の異常などの副作用が出るおそれがあることにも触れています。
さらに、骨端線が閉じている場合は身長を伸ばす効果がなく、閉じかけている時期(骨年齢で男子15歳・女子14歳以上が目安)や、1年間の伸びが2cm以下になった場合も、ほとんど効果がみられないとしています。原因の見つからない低身長への使用は適応外使用です。自由診療を考えるときは、こうした学会の見解があることを知ったうえで、小児内分泌の専門医に相談して判断しましょう。
出典 [3]
副作用が起きたとき、公的な救済は受けられる?
国内で承認された薬を適正に使ったのに重い副作用が出た場合には、医薬品副作用被害救済制度があります。ただし、医療広告ガイドラインは、承認された薬でも、原則として決められた効能・効果、用法・用量、使用上の注意に従って使っていない場合は救済の対象にならないことを、自由診療の広告で示すよう求めています。
厚生労働省の安全性情報には、適応外使用でも、ガイドラインに記載されているなど医療現場で広く知られているものは救済の対象となる場合もある、と書かれています。一方で医療広告ガイドラインは、決められた使い方に従っていない場合は原則として救済の対象にならないことを示すよう求めています。原因の見つからない低身長への成長ホルモンの使用は、学会の見解でも適正な使い方として示されていないため、原則として救済制度の対象外です。
制度のくわしい内容は「医薬品副作用被害救済制度とは?」の記事で説明しています。
受ける前に、医療機関から説明されるべきことは?
医療広告ガイドラインは、自由診療についてウェブサイトなどで情報を出す場合、通常必要な治療の内容、標準的な費用、治療の期間と回数、主なリスクや副作用を分かりやすく示すよう求めています。適応外使用の場合は、次のような事項も十分に記載する必要があるとしています。
これは広告のルールですが、診察で説明を受けるときの確認項目としても役立ちます。これらの点が説明されているか、一つずつ確かめましょう。分からない点は、同意や支払いの前に質問してかまいません。
- 承認された効能・効果や用法・用量とは違う使い方であること
- 薬の入手経路(医師の個人輸入の薬を使う場合はその旨)
- 同じ成分の国内で承認された薬があるかどうか
- 海外での承認状況や安全性の情報
- 医薬品副作用被害救済制度の対象にならないこと
- 治療の内容、標準的な費用、期間と回数、主なリスクや副作用
出典 [1]
自由診療を考える前に、確かめておきたいことは?
最初に確かめたいのは、保険診療の対象になる病気が隠れていないかです。成長ホルモン分泌不全性低身長症やSGA性低身長症などは、診断がつけば保険で治療できます。成長曲線や検査で原因を調べてもらうことが出発点です。
次に、骨端線が閉じていないか、これからどのくらい伸びる時期かを確かめます。学会は、保険診療でも1年間の伸びが1cm未満になった場合は中止、2cm未満では中止を積極的に検討することを推奨しています。自由診療でも、効果をどう確かめ、どうなったらやめるのかを、始める前に決めておきましょう。
個人輸入された成長ホルモン製剤や、注射以外の方法で使うとうたう製品については、学会が注意を促しています。舌の下に入れる方法などの効果は、科学的に証明されていないとしています。
子ども本人とは、どう話し合う?
成長ホルモンの注射は、年単位で続くことの多い治療です。毎日の注射を受けるのは子ども本人なので、年齢に応じて、治療の目的、痛み、続ける期間、やめる時期について一緒に話し合いましょう。
「背が低いと困る」という大人の気持ちだけで決めず、本人が何を気にしているのかを聞くことも大切です。治療をしない選択や、しばらく記録をとりながら様子を見る選択も含めて考えましょう。
ノビケアでは、適応外使用をどう説明している?
ノビケアの成長ホルモン治療は、国内で承認されたソマトロピン製剤を使う自由診療で、原因となる病気が見つからない低身長への使用は適応外使用のため、健康保険や医療費助成は使えません。費用や副作用の説明は「成長ホルモン治療について」のページに載せています。医師による無料相談(ビデオ通話、0円)で保険診療の対象になりうる病気が疑われる場合は、対面の医療機関をご紹介しています。
適応外使用についてよくある質問
Q. 適応外使用は、法律で禁止されていますか?
A. 医師の判断で行われることがあり、国の医療広告のルールにも、適応外使用を自由診療で行う場合に示すべき事項が定められています。ただし、承認された使い方と同じだけの裏付けがあるわけではないため、説明を十分に受けて判断することが大切です。
Q. 自由診療を始めたあとで、保険の病気が見つかることはありますか?
A. 経過や追加の検査で、保険診療の対象になる病気が疑われることもあります。その場合は、小児内分泌を専門とする医師がいる医療機関などで、保険診療として改めて検査や診断を受けることになります。進め方は、通っている医療機関と紹介先の医療機関に確認しましょう。
Q. 自由診療の料金は、どこでも同じですか?
A. 自由診療の料金は医療機関ごとに決められています。比べるときの注意点は「成長ホルモン治療の費用は何で決まる?」の記事で説明しています。
出典 [1]
まとめ
原因となる病気が見つからない低身長への成長ホルモン製剤の使用は適応外使用で、保険や医療費助成、原則として副作用の救済制度も使えません。まず保険診療の対象になる病気がないかを確かめ、学会の見解や効果の限界、リスク、費用とやめる基準の説明を受けてから判断しましょう。
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