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医薬品副作用被害救済制度とは?自由診療や適応外使用の成長ホルモン治療でも使える?
公開日:2026年10月3日 更新日:2026年10月3日
医薬品副作用被害救済制度は、薬を適正に使ったのに起きた重い副作用(入院が必要なほどの病気、日常生活が大きく制限される障害、死亡)に対して、医療費や年金などを給付する公的な制度です。窓口は医薬品医療機器総合機構(PMDA)です。自由診療かどうかではなく、薬が適正に使われたかどうかが判断の分かれ目で、承認された病気以外に使う適応外使用は、原則として対象になりません。
医薬品副作用被害救済制度とは?
薬は正しく使っていても、副作用を完全に防ぐことはできません。この制度は、医薬品を適正に使ったにもかかわらず副作用で健康被害が起きた人を、すみやかに救済するために1980年に作られた公的な制度です。
対象になる健康被害は、1980年(昭和55年)5月1日以降に薬を適正に使って起きた副作用による、入院が必要な程度の病気、日常生活が著しく制限される程度の障害、死亡です。病院や診療所で処方された薬だけでなく、薬局などで買った薬も対象になります。
添付文書に書かれている、すでに知られた副作用が起きた場合も対象になります。「よく知られた副作用だから請求できない」ということはありません。
どんな給付があり、いつまでに請求する?
給付は7種類あり、種類ごとに請求できる人と期限が決まっています。医療費と医療手当は、副作用の病気が入院治療を必要とする程度の場合が対象です。
子どもに関係が深い給付として、副作用で一定程度の障害が残った18歳未満の子を育てる人への障害児養育年金があります。2026年4月1日現在の額は、1級が年額982,800円、2級が年額786,000円です。障害年金と障害児養育年金の請求期限は定められていません。
| 給付の種類 | 内容 | 請求の期限 |
|---|---|---|
| 医療費 | 副作用の治療にかかった費用のうち、健康保険などの給付を除いた自己負担分 | 費用を支払ったときから5年以内 |
| 医療手当 | 治療にともなう医療費以外の負担に対する定額の給付 | その医療が行われた月の翌月初日から5年以内 |
| 障害年金 | 一定程度の障害がある18歳以上の人への年金 | 定めなし |
| 障害児養育年金 | 一定程度の障害がある18歳未満の人を養育する人への年金 | 定めなし |
| 遺族年金・遺族一時金・葬祭料 | 副作用で亡くなった場合の遺族などへの給付 | 原則として死亡のときから5年以内 |
「適正な使用」とは、どういう使い方?
PMDAは、適正な使用とは、原則として薬の容器や添付文書に書かれている効能・効果、用法・用量、使用上の注意に従って使うことが基本だと説明しています。そのうえで、個別の事例は、そのときの医学・薬学の水準に照らして総合的に判断されます。
請求があると、健康被害が薬の副作用によるものか、薬が適正に使われていたかなどを、厚生労働省の薬事審議会の部会が審議し、その判定をもとにPMDAが支給するかどうかを決めます。結果は文書で知らされます。
厚生労働省の資料によると、2012〜2016年度に支給されなかった1,270件のうち、およそ4分の1は、薬の使用目的または使用方法が適正とは認められないことが理由でした。
適応外使用や自由診療の成長ホルモン治療でも、使える?
自由診療であること自体で、対象から外れるわけではありません。分かれ目は、薬が承認された病気に、決められた使い方で使われていたかです。
厚生労働省の医療広告ガイドラインは、承認された薬であっても、原則として決められた効能・効果、用法・用量、使用上の注意に従って使っていない場合は救済の対象にならないことを、自由診療の広告で示すよう求めています。一方で厚生労働省の資料には、適応外使用でも、ガイドラインに記載されているなど医療現場で広く知られているものは対象となる場合もある、とあります。
原因の見つからない低身長に成長ホルモン製剤を使うことは、添付文書の効能・効果に含まれない適応外使用です。日本小児内分泌学会と日本内分泌学会も、承認された病気以外への使用を適正な使い方として示していません。医療広告ガイドラインと厚生労働省の安全性情報の説明にもとづくと、この使い方で起きた副作用は、原則として救済制度の対象外です。
ほかに対象にならないのは、どんな場合?
PMDAは、適正に使われなかった場合のほかにも、救済の対象にならない場合を挙げています。主なものは次のとおりです。
PMDAは、美容医療に使われる薬の中にも対象にならないものがあると案内しています。対象になるか分からないときは、PMDAの救済制度相談窓口に問い合わせることができます。
- 法律にもとづく予防接種による健康被害(別の救済制度がある。任意の予防接種は対象)
- 製造販売業者などに損害賠償の責任が明らかな場合
- 救命のためやむを得ず通常の量を超えて使い、被害が予想されていた場合など
- 抗がん剤など、対象から除外されている薬による場合
- 入院治療が必要な程度ではない場合や、障害が一定の程度に当たらない場合
- 請求の期限を過ぎた場合
- 使用目的・方法が適正と認められない場合
請求は、どうやって行う?
請求は、健康被害を受けた本人(亡くなった場合は遺族)が、請求書に必要な書類を添えて、PMDAに直接行います。副作用の経過と薬との関係を確かめるため、医師の診断書や、薬を処方・使用したことを示す証明書が必要です。治療を受けた病院が2か所以上あれば、それぞれの医師に診断書を書いてもらいます。
請求書や診断書の用紙は、PMDAに申し出れば無料で送ってもらえるほか、PMDAのホームページからダウンロードすることもできます。副作用かどうか判断がつかない場合でも、請求することはできます。
PMDAの救済制度相談窓口は、フリーダイヤル0120-149-931(月〜金曜日、祝日・年末年始を除く午前9時〜午後5時)です。
請求に備えて、残しておくとよいものは?
請求には、副作用の経過と薬との関係を確かめるための資料が必要です。医療費の給付は、健康保険などの給付を除いた自己負担分が対象で、費用を支払ったときから5年以内に請求します。副作用が疑われたときに慌てないよう、次のような記録を残しておくと役立ちます。
- 使った薬の名前と量、使い始めた日(お薬手帳や処方の記録)
- 治療を受けた医療機関の名前と期間
- 症状が出た日と、その後の経過のメモ
- 副作用の治療で支払った医療費の領収書
治療を始める前に、確かめておきたいことは?
成長ホルモン治療に限らず、使う薬が承認された病気に、決められた使い方で使われるのかを確かめておくと、万一のときに救済制度が使えるかの見通しが立ちます。
適応外使用の治療を考えるときは、救済制度が使えないことを前提に、次のような点を医療機関に確認しておきましょう。治療中に強い頭痛や何度も吐くなどの症状があるときは、次の診察を待たずに119番や救急医療機関に連絡してください。
- 使う薬の名前と、承認された使い方との違い
- 副作用が疑われたときの連絡先と、受診先の案内
- 副作用の治療にかかる費用は誰が負担するのか
- 治療中に受ける検査の内容と頻度
出典 [1]
ノビケアの治療は、救済制度の対象になる?
ノビケアの成長ホルモン治療は、国内で承認されたソマトロピン製剤を使う自由診療で、原因となる病気が見つからない低身長への使用は適応外使用です。重い副作用が起きた場合でも、国の医薬品副作用被害救済制度は原則として利用できません。副作用や治療中の確認については「成長ホルモン治療について」のページで説明しており、ご質問はお問い合わせページから受け付けています。
医薬品副作用被害救済制度についてよくある質問
Q. 副作用かどうか分からなくても、請求できますか?
A. できます。PMDAは、副作用かどうか判断がつかない場合も請求は可能としています。まずは主治医や相談窓口に相談しましょう。
Q. 子どもの副作用の場合、誰が請求しますか?
A. 医療費と医療手当は治療を受けた本人、障害児養育年金は障害のある18歳未満の子を育てる人が請求します。子どもの手続きの進め方は、PMDAの相談窓口で確認してください。
Q. 何年も前の副作用でも請求できますか?
A. 給付の種類によって期限が違います。医療費は支払ったときから5年以内ですが、障害年金と障害児養育年金には期限が定められていません。
まとめ
医薬品副作用被害救済制度は、薬を適正に使ったのに起きた重い副作用に医療費や年金などを給付する制度で、窓口はPMDAです。自由診療かどうかではなく適正な使い方かどうかで判断され、原因の見つからない低身長への成長ホルモンの使用のような適応外使用は、原則として対象になりません。
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参考にした資料
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「医薬品副作用被害救済制度」
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「Q3 救済の対象となる健康被害とはどのようなものですか。」
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「給付の種類と給付額」(2026年4月1日現在)
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「請求できる方」
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「請求期限」
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「Q2 「適正な使用」とは、具体的にどのような使用をいうのですか。」
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「Q9 副作用救済給付の支給決定等は、どのようにして決まるのですか。」
- 厚生労働省「医薬品・医療機器等安全性情報 No.347」(PDF、2017年10月)
- 厚生労働省「医療広告等ガイドライン」(PDF、令和8年3月30日最終改正)
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「Q7 救済の対象とならない場合とは、どのような場合ですか。」
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「対象除外医薬品等」
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「Q8 副作用救済給付の請求はどのようにするのですか。」
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「医薬品副作用被害救済制度相談窓口」
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
- ノビケア「お問い合わせ」