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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約8分
スポーツ選手を目指す子の成長ホルモン治療はドーピングになる?
公開日:2026年10月3日 更新日:2026年10月3日
成長ホルモンは、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の禁止表で、競技会の時も競技会外も常に禁止されている物質です。病気の治療に必要な場合は、治療使用特例(TUE)という手続きで使用が認められることがありますが、条件を満たすことを検査結果などで示す必要があります。競技を続ける予定があるときは、治療を始める前に医師と確認しましょう。
成長ホルモンは、ドーピングの禁止物質ですか?
はい。2026年1月1日に発効した2026年の禁止表国際基準では、成長ホルモンは「S2 ペプチドホルモン、成長因子、関連物質および模倣物質」に含まれています。成長ホルモンそのものに加えて、成長ホルモンの類似物質や断片も対象で、週1回型の製剤に使われるソマプシタンなどの名前も例として挙げられています。
日本アンチ・ドーピング機構(JADA)は、S2の物質を「常に禁止される物質」に分類しています。常に禁止とは、競技会の時だけでなく、競技会の外でも禁止されているという意味です。禁止表は少なくとも1年に1回更新されるため、最新の版を確認することが大切です。
禁止表には、成長ホルモンの分泌を促す物質も含まれています。たとえば、成長ホルモンの分泌刺激試験に使われる薬のひとつであるGHRP-2(プラルモレリン)も、禁止表に名前があります。競技をしているお子さんが検査を受けるときは、そのことを医師に伝えてください。
禁止表の日本語版は、JADAが運営するウェブサイトで公開されています。
治療で必要な場合は、どうすればよいですか?
スポーツで禁止されている物質は、治療が目的であっても禁止されます。ただし、一定の条件を満たす場合には、治療使用特例(TUE)という手続きで、例外として使用が認められます。JADAは、TUEが認められないまま禁止物質の使用を続けた場合、アンチ・ドーピング規則違反になると説明しています。
JADAの医療関係者向けの案内では、TUEを受けるには、次の4つの条件をすべて満たすことを申請書類で示す必要があるとされています。
申請には、医師が英語で記入した医学的な情報と、その根拠となる診断の所見や検査結果、画像などが必要です。
TUEは、競技力を高めるための使用を認める手続きではありません。病気の治療のために、ほかに代わりの方法がない場合に、例外として使用を認めるためのしくみです。
TUEが必要かどうかは、使う薬や、アスリートのカテゴリーなどによって変わります。条件がはっきりしない場合は、JADAに問い合わせることもできます。
- 適切な臨床的証拠に基づく診断であること
- 禁止物質以外の物質に代えられる治療方法がないこと
- 健康を取り戻す以上に競技力を向上させないこと
- ドーピングの副作用に対する治療ではないこと
成長ホルモン分泌不全症の治療では、何が求められますか?
JADAの冊子「アンチ・ドーピングと医療 -2026年版-」は、成長ホルモン分泌不全症について、成長ホルモンの補充療法に代わる治療はないと説明しています。そのうえで、TUEの申請が必要であり、これまでの経過、診断の基準となる成長曲線や成長因子の濃度の測定結果などが必要だとしています。
同じ冊子では、成長ホルモン分泌不全症の申請に必要な医療情報の例として、次のものが挙げられています。また、診断名だけを書いた診断書は、客観的な診断を示す医療情報としては認められないとしています。
保険診療で治療している場合でも、禁止物質であることに変わりはありません。治療の記録や検査結果は、TUEの申請や更新のときにも必要になるので、保管しておきましょう。
TUEの申請書は、すべて英語で記入する必要があります。主治医に早めに相談し、準備の時間をとっておくとよいでしょう。
- 診断基準による診断、または小児慢性特定疾病の医療受給者証などの交付書
- 治療薬が妥当な量であることの根拠
- 成長曲線
- 成長ホルモン分泌不全症のTUE申請用のチェックリスト
出典 [3]
原因となる病気が見つからない低身長への治療は、どう考えますか?
TUEの条件には、「適切な臨床的証拠に基づく診断であること」と「健康を取り戻す以上に競技力を向上させないこと」が含まれています。原因となる病気が見つからない低身長に対する成長ホルモンの使用(適応外使用)が、TUEの条件を満たすと判断されるかどうかは、JADAの資料では明記されていませんでした。
日本小児内分泌学会は、承認された病気以外の低身長への使用や、成長ホルモンが不足していない大人が運動能力の向上などを期待して使うことを、不適切な使用の例として挙げています。
競技を続ける予定があるお子さんで、病気が見つからない低身長への治療を考える場合は、治療を始める前に、医師と、所属する競技団体やJADAに確認することをおすすめします。
治療を始めてから競技の規則に気づくと、治療を続けるか競技を続けるかで悩むことになりかねません。将来の競技の希望も含めて、医師に早めに伝えておきましょう。
どの競技レベルの子が、手続きの対象になりますか?
JADAは、アスリートのカテゴリーによって、TUEの申請先や期日が違うと説明しています。医療関係者向けの案内では、国際レベルや国内レベルのアスリートは、通常のTUE申請(治療の前の申請)の対象とされています。
一方、それ以外のレベルのアスリートは、ドーピング検査を受けて禁止物質が検出された場合などに、さかのぼって申請する「遡及的TUE申請」ができるとされています。ただし、遡及的に申請する場合も、認められるための条件は通常と変わりません。
お子さんがどのカテゴリーにあたるか、どの大会でドーピング検査が行われるかは、競技や大会によって違います。JADAのウェブサイトでは、カテゴリーを確認するための案内も公開されています。所属する競技団体にも確認してください。
成長ホルモンは競技会外でも禁止されている物質です。大会の直前だけでなく、治療を続けているあいだずっと関係することとして考える必要があります。
治療を始める前に、何をしておくとよいですか?
JADAは、アスリートに対して、治療を受ける前に自分がアスリートであることを医師に伝え、TUEが必要になったときの医療情報の提供を依頼するよう案内しています。成長ホルモン治療を考える段階で、競技をしていることを医師に伝えておきましょう。
診断のときの検査結果、成長曲線、使っている薬の名前と量は、申請に必要になる情報です。紙やデータで保管しておくと、申請のときに慌てずにすみます。
JADAの冊子では、TUEの有効期間は診断の確かさや治療の見込み期間によって決まり、長期間の治療が必要と判断される場合でも最大4年間とされています。治療が長く続く場合は、更新の手続きも必要になります。
JADAは、使う薬が禁止物質にあたるかどうかを、Global DROという検索システムで調べる方法も案内しています。医療関係者に向けては、検索の結果をPDFにして、書面でアスリートに渡すよう呼びかけています。
出典 [3]
学会の見解と、ノビケアで治療を選ぶ場合は?
日本小児内分泌学会は、低身長の子どものうち成長ホルモンが適切に使えるのは約5%で、残りの95%ほどは健康保険の適応にならず、よい治療効果が期待できないと説明しています。
ノビケアでは、原因となる病気が見つからない低身長への成長ホルモン治療を、国内で承認された使い方の範囲外(適応外使用)の自由診療として行っています。治療を始める前に、医師がこの学会の見解も含めて、期待できる効果とその限界、副作用、費用をご説明し、保護者の方に納得して選んでいただきます。治療を受けずに経過を見ることも、大切な選択肢です。
成長ホルモン治療とドーピングについてよくある質問
Q. 週1回型の成長ホルモン製剤も、禁止物質ですか?
A. はい。2026年の禁止表では、成長ホルモンの類似物質として、週1回型の製剤に使われる成分も例に挙げられています。毎日型か週1回型かにかかわらず、TUEの手続きが必要です。
Q. 成長ホルモンの分泌を増やすとうたうサプリメントは、使っても大丈夫ですか?
A. 禁止表には、成長ホルモンの分泌を促す物質も含まれています。日本小児内分泌学会は、成長ホルモンの分泌を促すとうたうサプリメントで身長が伸びる効果は認められていないと説明しています。競技をしている場合は、使う前に成分を確認してください。
Q. TUEが認められなかったら、どうなりますか?
A. TUEが却下された場合は、不服を申し立てることができます。JADAの冊子では、国内のアスリートは日本スポーツ仲裁機構に、通知を受け取ってから21日以内に申し立てるとされています。
まとめ
成長ホルモンはスポーツで常に禁止されている物質で、治療で使う場合はTUEの手続きと、診断を示す検査結果などが必要です。競技を続ける予定があるときは、治療の前に医師と競技団体に確認しましょう。ノビケアの医師による無料相談でも、競技をしていることを含めてご相談いただけます。
出典 [10]
ノビケアの成長ホルモン治療について(自由診療)
ノビケアの成長ホルモン治療は自由診療で、健康保険や医療費助成は使えません。原因となる病気が見つからない低身長への使用は、国内で承認された効能・効果に含まれていない適応外使用です。重い副作用が起きた場合でも、国の医薬品副作用被害救済制度は原則として利用できません。
費用(税込)は、医師による無料相談が0円、医師が必要と判断した場合の郵送検査(指先の血液と尿)が20,000円(送料込み)です。お薬は1本あたり、治療を始める月が40,000円、2か月目以降が60,000円、6か月分一括プランでは50,000円です(注射器・注射針と冷蔵便の送料を含みます)。1か月に使う本数は体重によって変わり、2〜5本が目安です。
注射はご自宅で毎日1回行い、治療は年単位になることが多く、続けるかどうかを定期的に判断します。主な副作用は、注射したところの痛み・赤み・腫れ、関節の痛み、むくみ、頭痛などで、まれに頭の中の圧が高くなる、股関節の骨がずれる、側弯が進む、血糖値が上がる、甲状腺の働きが変わる、といったことがあります。詳しくは「成長ホルモン治療について」のページをご覧ください。ご質問はお問い合わせページから受け付けています。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 世界アンチ・ドーピング機構(WADA)「2026禁止表国際基準」日本語版(日本アンチ・ドーピング機構)(PDF)
- 日本アンチ・ドーピング機構(JADA)「禁止物質と禁止方法とは?」
- 日本アンチ・ドーピング機構(JADA)「アンチ・ドーピングと医療 -2026年版-」(PDF)
- 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン(GH)分泌不全性低身長症(脳の器質的原因によるものを除く。) 診断の手引き」
- PMDA「患者向医薬品ガイド ソグルーヤ皮下注」
- 日本アンチ・ドーピング機構(JADA)「【医療関係者向け】TUE手続き確認サイト」
- 日本アンチ・ドーピング機構(JADA)「TUE申請手続きの流れ」
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
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