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サッカー・野球・バスケ・バレーと身長:競技で背の伸びは変わる?
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
競技の種類によって身長の伸びが変わる、という根拠は学会や公的機関の資料には見当たりません。バスケやバレーに背の高い子が多く見えるのは、背の高さや成長の早さで選手が選ばれやすいことが関わると考えられています。どの競技でも、けがを防ぎ、食事と休養を十分にとることが、成長期の体を守るうえで大切です。
競技と身長について、よく聞く話は本当?
子どもがスポーツを始めると、「バスケやバレーでジャンプをすると背が伸びる」「サッカーで走ってばかりいると背が伸びない」「野球で重いバットを振ると背が止まる」といった話を耳にすることがあります。
学会や公的機関の資料には、特定の競技が身長を伸ばす、または止めることを示したものは見当たりません。日本小児内分泌学会は、身長の伸びには遺伝や体質、各種のホルモン、病気や薬のほかに、栄養や睡眠、運動、心理状態などの環境の要因が関わると説明しています。一つの競技だけで背の高さが決まるわけではありません。
競技を選ぶときは、身長への影響より、子どもの興味や楽しさを大切にしましょう。身長が伸びるスポーツがあるかどうかの一般的な話は「身長が伸びるスポーツはある?」の記事で説明しています。この記事では、競技と身長の関係を考えるときのポイントを取り上げます。
出典 [1]
練習が多いと背が伸びにくくなる?体操選手の研究から
練習量と身長の関係がもっとも議論されてきたのは体操競技です。体操選手には小柄な人が多いため、幼いころからの厳しい練習が背の伸びをおさえているのではないかと言われてきました。
国際体操連盟の委員会が2013年にまとめたレビュー(Sports Medicine誌、体操選手の成長と成熟に関するそれまでの研究を検討)は、体操の練習によって大人の身長が低くなることはないと結論しています。思春期の伸びの速さや、成長スパートの時期にも、練習による影響は見られないとしました。
同じレビューは、体操を続ける子は、もともと小柄で成長がゆっくりな子が多く、選ばれて残った集団だと説明しています。体操選手の伸び方は、運動をしていない小柄な子や成長がゆっくりな子と似ていたとされています。ただし、データの多くは女子のもので、男子のデータは少ないことも述べられています。
体操はこの記事の4つの競技とは違いますが、「練習のせいで背が低い」のか「背が低めの子がその競技に残った」のかを分けて考える大切さを示しています。
出典 [2]
バスケやバレーに背の高い子が多いのは、なぜ?
バスケットボールやバレーボールは、背が高いことが有利になりやすい競技です。そのため、背の高い子が選手として選ばれたり、競技を続けたりしやすくなります。競技をしたから背が伸びた、とは言い切れません。
英国スポーツ医学誌に2015年に掲載された、若い選手の成熟についてのレビューは、多くの競技で、選手の選考が成長の時期と関係した傾向をもつと述べています。とくに思春期の成長スパートのころは、成長が早い子が体格の面で有利になり、選ばれやすくなることがあります。
サッカーや野球でも、小学校高学年から中学生のころは、成長の早い子が体の大きさや力の強さで目立つことがあります。今の体格の差は成長の時期の差であることも多く、成長がゆっくりな子があとから追いつくこともあります。
出典 [3]
同じ学年でも、体格の差が大きいのはなぜ?
日本スポーツ協会の「発育期のスポーツ活動ガイド」は、同じ学年の子どもでも発育発達の個人差は大きいとしています。生まれた月による差(相対年齢効果)も見られるとして、大会では学年ではなく実際の年齢で区切るなど、カテゴリーの設定を工夫することを提案しています。
同じガイドは、1年間の身長の伸びが最大になる年齢(PHV年齢)を、女子で9〜11歳、男子で11〜13歳としています。そのおよそ1年後に、骨のミネラルの量が増える速さも最大になるとしています。また、成熟が早い子は、その後の伸びしろが小さくなる傾向にあると述べています。
今、チームの中で小柄でも、それだけで将来の身長が決まるわけではありません。反対に、早く大きくなった子が、そのまま周りより大きくなり続けるとも限りません。成長の早い・遅いは「早熟と晩熟の違いは?」、学年の中の月齢差は「早生まれの子は背が低い?」の記事でくわしく説明しています。
出典 [4]
競技ごとに、成長期に気をつけたいけがは?
日本スポーツ協会のガイドは、発育期の骨は大人より軟骨の部分が多く、外からの力に弱いため、やりすぎの運動や無理な動きでけがや障害を起こしやすいとしています。使いすぎによる障害は、軽い痛みのうちに休めば治ることが多い一方、無理をすると後遺症が残ったり、スポーツに支障が出たりするとしています。
競技によって、負担がかかりやすい場所は違います。次のような痛みが続くときは、練習を休み、よくならなければ整形外科に相談しましょう。痛みとけがと身長の関係は、「骨端線を骨折すると身長は止まる?」「オスグッドは身長が伸びるサイン?」の記事で説明しています。
- 野球:投げすぎによる肘の痛み(野球肘)。日本整形外科学会は、痛みをがまんして投げ続けると悪化し、手術が必要になることもあるとしています
- サッカー:ボールを蹴る動作のくり返しによる、膝のお皿の下の痛み(オスグッド病)
- バスケットボール・バレーボール:ジャンプのくり返しによる膝の下の痛みや、腰をそらしたりひねったりする動きのくり返しで起こる腰の痛み(腰椎分離症)
- どの競技でも:はっきりしたけががないのに、同じ場所の痛みが続くとき
練習が多い子の食事と休養で、気をつけることは?
日本スポーツ協会のガイドは、健全な発育には適度な運動、十分な栄養と睡眠が必要だとしています。発育期は体を保つだけでなく、体が大きくなるための栄養も必要で、朝・昼・晩の3回、バランスのとれた食事をしっかりとるよう勧めています。
同じガイドは、10代は体がつくられる大切な時期であり、男女を問わず無理な減量は禁物だとしています。日本スポーツ振興センターも、運動で使うエネルギーに対して食事が足りない状態が続くと、性別を問わず健康に悪い影響が出ると説明しています。
練習の量について、同じガイドは、幼児期の運動遊びのあとは、体力や技術を考えながら週3回以内、1回1〜2時間、少しきついと感じる程度を目安としています。中学生の部活動の休養日の考え方は「運動しすぎると身長が伸びない?」の記事で説明しています。
背が低いことで、子どもが悩んでいるときは?
背の高さが有利になる競技やポジションでは、子どもが自分の身長を気にすることがあります。日本スポーツ協会のガイドは、勝ち負けにこだわるより上達や努力を大切にする雰囲気をつくることや、できる目標を決めて、できたらほめることを勧めています。
同じガイドは、早い時期から一つの種目の練習量が多くなりすぎて、競技から離れてしまう子が増えないよう対策が必要だとしています。身長でポジションが決まりがちな時期でも、いろいろな動きや役割を経験することは、その後の成長に合わせて競技を続ける助けになります。
一方で、身長の伸び方そのものが気になる場合は、競技の話とは分けて考えましょう。1年の伸びが前の年より明らかに小さい、同じ年齢の子と比べて大きく離れているといった場合は、学校の記録などを持って小児科に相談してください。ノビケアでも、医師による無料相談で、記録を見ながらご相談いただけます。
競技と身長についてよくある質問
Q. 背を伸ばしたいなら、バスケやバレーを選んだほうがよいですか?
A. 競技の種類で身長の伸びが変わるという根拠は見当たりません。子どもが楽しく続けられることを優先して選びましょう。
Q. 野球やサッカーのために筋トレをすると、背が止まりますか?
A. 年齢に合った方法で指導を受けて行う筋力トレーニングで、身長が止まるという根拠は見当たりません。重さや回数を急に増やさず、痛みが出たら休むことが大切です。くわしくは「筋トレをすると身長が伸びない?」の記事で説明しています。
Q. 成長ホルモン治療を受けながら、競技の大会に出られますか?
A. 成長ホルモンはドーピングの禁止物質に含まれるため、出場する大会によっては治療目的使用の手続き(TUE)が関わります。くわしくは「スポーツ選手を目指す子の成長ホルモン治療はドーピングになる?」の記事をご覧ください。
まとめ
競技の種類で身長の伸びが変わるという根拠は見当たらず、競技と身長の関係には、選手の選ばれ方や成長の時期の違いが関わっています。どの競技でも、痛みのサインを見逃さず、食事と休養を十分にとることが大切です。身長の伸び方が気になるときは、競技とは分けて、記録で確かめましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 日本小児内分泌学会「低身長」
- Sports Medicine「Role of intensive training in the growth and maturation of artistic gymnasts」(国際体操連盟の委員会によるレビュー、2013年、PubMed)
- British Journal of Sports Medicine「Biological maturation of youth athletes: assessment and implications」(若い選手の成熟に関するレビュー、2015年、PubMed)
- 日本スポーツ協会「発育期のスポーツ活動ガイド」(PDF、2021年3月)
- 日本整形外科学会「野球肘」
- 日本スポーツ整形外科学会「スポーツ損傷シリーズ 1. オスグッド病」(PDF)
- 日本整形外科学会「腰椎分離症・分離すべり症」
- 日本スポーツ振興センター(JSC/HPSC)Female Sport ナビ「「スポーツにおける相対的エネルギー不足 (REDs)」と「女性アスリートの三主徴(Triad)」とは?」
- ノビケア「お問い合わせ」
- 世界アンチ・ドーピング機構(WADA)「2026禁止表国際基準」日本語版(日本アンチ・ドーピング機構)(PDF)
- 日本アンチ・ドーピング機構(JADA)「TUE申請手続きの流れ」