ノビケア トップ > コラム > 低身長の基準と受診の目安
低身長の基準と受診の目安読む時間 約7分
身長の記録をアプリや表計算でつけるときの注意:成長曲線に正しく描くために
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
アプリや表計算ソフトを使うと、身長の記録を続けやすく、グラフにするのも簡単です。ただし、成長曲線として正しく見るには、日本の子どもの基準で描いているか、測った日の年齢で点を置いているか、測った日の間隔どおりにグラフになっているかを確かめる必要があります。アプリが表示するSDやパーセンタイルは目安として受け止め、気になるときは元の記録と一緒に医師に見てもらいましょう。
アプリや表計算で記録するよさと、落とし穴は?
スマートフォンのアプリや表計算ソフトは、測るたびにすぐ入力でき、紙の用紙をなくす心配も少なくなります。グラフも自動で作れるので、伸び方の流れを見やすくなります。
一方で、画面のグラフが、医療機関で使う成長曲線と同じ見方で描かれているとは限りません。基準のちがい、年齢の数え方、グラフの横軸の取り方によって、同じ記録でも見え方が変わります。
このコラムでは、デジタルで記録するときに気をつけたい点をまとめます。紙の成長曲線への書き方は「成長曲線の書き方は?」、記録の集め方は「母子手帳・学校の身長記録を集めるには」のコラムで説明しています。
どの基準の成長曲線か、確かめるには?
日本小児内分泌学会は、日本の子どもの体格を評価する基準として、2000年の厚生労働省の乳幼児身体発育調査(0〜6歳)と文部科学省の学校保健統計(6〜17歳)のデータをもとにした値を示しています。このデータから、平均と±1SD、±2SDの線を引いた成長曲線を作った論文も、同学会の英文誌に掲載されています。
一方、世界保健機関(WHO)は、0〜5歳の子どもの成長基準と、5〜19歳の参照値を公開しています。海外の基準や、母子健康手帳のパーセンタイル曲線など、物差しが違えば、同じ身長でも線の上での位置が変わって見えます。
アプリを使うときは、説明のページなどで、どの国・どの年のデータにもとづく曲線か、SDとパーセンタイルのどちらで表しているかを確かめましょう。書かれていない場合は、位置の数字にこだわりすぎず、伸び方の流れを見るための道具として使うのが安心です。SDとパーセンタイルの違いは「SDとパーセンタイルの違いは?」のコラムで説明しています。
年齢は、どう入力すればよい?
成長曲線の横軸は、身長を測った日の年齢です。「年長」「小学3年」のような学年や、記録を入力した日の年齢で点を置くと、位置がずれてしまいます。生年月日と測った日をそれぞれ入力し、そこから年齢を計算するのが基本です。
表計算ソフトでは、2つの日付から満月数を数える関数などを使って、「満月数÷12」で小数の年齢にできます。たとえば7歳11か月は約7.9歳です。手で計算するときに、月数を10で割ってしまうまちがいに気をつけましょう。
学校の健康診断の記録は、測った日が書かれていないこともあります。その場合は、健康診断を行った月を学校に確かめるか、「4〜6月ごろ」とメモしておきます。学校の健康診断は、法令で毎学年6月30日までに行うことになっています。
出典 [4]
入力のまちがいを防ぐには?
よくあるのは、単位や小数点のまちがいです。cmとmmを取り違える、「112.5」を「1125」と入力する、日付を和暦と西暦で混ぜる、といったことが起こります。入力したら、前の記録と比べて急に何cmも変わっていないか、ひと目で確かめる習慣をつけましょう。
表計算で記録するときは、日付、身長、体重に加えて、「どこで測ったか(学校・園・医療機関・家庭)」と「時間帯」の列を作っておくと、あとで値がばらついたときに理由を考えやすくなります。家で測る値は、毎回同じ時間帯・同じ方法で測るのが基本です。測り方は「朝と夜で身長が違うのはなぜ?」のコラムで説明しています。
母子健康手帳や学校の記録から書き写した値は、元の用紙も捨てずに残しておきます。あとで医師が元の値と日付を確かめられるようにするためです。
グラフにするときに、気をつけることは?
表計算ソフトで「折れ線グラフ」を使うと、測った日の間隔に関係なく、記録が等しい間隔で横に並ぶことがあります。半年あいた記録と1か月後の記録が同じ幅で描かれると、伸び方の傾きが正しく見えません。横軸に小数の年齢を使う「散布図」で描くと、間隔どおりに点を置けます。
自分で作ったグラフには、基準の線がありません。日本小児内分泌学会は、成長曲線の用紙(PDF)と、成長を評価するための計算用のExcelファイルを公開しています。計算用のファイルは主に診療や研究のためのもので、個人や施設内での利用は自由とされています。基準の線と重ねて見たいときは、用紙に手で書き写すのも一つの方法です。
出典 [5]
1年の伸びは、どう計算する?
1年の伸びは、2回の測定の差を、測った間隔の月数で割って12をかけて求めます。American Family Physicianの総説(2015年)は、伸びを正しく求めるには、少なくとも3〜6か月、できれば6〜12か月あけた2回の測定が必要だとしています。
アプリによっては、測るたびに伸びの値を表示するものもありますが、1か月ほどの差は測り方の違いに隠れやすく、1年あたりに直すと大きくぶれます。伸びは、半年から1年の間隔で比べましょう。年齢ごとの伸びの目安は「1年に何cm伸びるのが普通?」のコラムで紹介しています。
出典 [6]
アプリが出すSDやパーセンタイルは、どう受け止める?
アプリが表示する「−1.8SD」「5パーセンタイル」などの数字は、そのアプリが使っている基準と計算方法による値です。医療機関で計算した値と少し違うことがあります。
日本小児内分泌学会は、−2.0SDより低い子は100人のうち2〜3人くらいだと説明していますが、低身長かどうか、検査が必要かどうかは、1つの数字だけでなく、伸び方や診察をあわせて医師が判断します。アプリの数字で「大丈夫」「病気かもしれない」と決めず、気になるときは相談してください。
出典 [7]
個人情報やデータの保管で、気をつけることは?
身長の記録には、名前、生年月日、体重など、子どもの個人の情報が含まれます。アプリを選ぶときは、データがどこに保存されるのか、ほかの会社に提供されることがあるのかを、プライバシーポリシーで確かめておきましょう。
スマートフォンの買い替えや、アプリのサービスが終わるときにデータが消えてしまうこともあります。ときどき、表のファイルや印刷した紙に書き出して、手元に残しておくと安心です。厚生労働省の検討会の報告書(2023年)は、乳幼児健診の情報の一部がマイナポータルで見られるようになっていると紹介しています。
グラフの画面を写した画像を、SNSや掲示板に載せて意見を求めることは避けてください。相談は医療機関で行いましょう。
出典 [8]
相談するときは、どう持っていけばよい?
受診や相談のときは、アプリのグラフだけでなく、日付と身長・体重の一覧と、母子健康手帳や学校の記録など元の資料も用意しましょう。どこで、どの時間帯に測った値かが分かると、医師が記録を見直しやすくなります。
身長の伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で、お手元の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。
出典 [9]
アプリや表計算での記録についてよくある質問
Q. 家で毎週測って入力しています。多すぎますか?
A. 測ること自体はかまいませんが、週ごとの差は測り方の違いに隠れてしまいます。伸びの評価は、半年から1年の間隔で行いましょう。
Q. アプリでは平均くらいなのに、病院では低めと言われました。
A. 使っている基準や、年齢の数え方が違う可能性があります。医療機関では日本の子どもの基準で評価するのが一般的なので、病院の説明を目安にし、違いが気になるときはアプリの画面を見せて質問してみてください。
Q. 表計算のグラフに、学会の成長曲線の線を重ねてもよいですか?
A. 日本小児内分泌学会の計算用ファイルは、個人や施設内での利用は自由とされています。出版や商用の利用を考える場合は、学会の事務局に問い合わせるよう案内されています。
まとめ
アプリや表計算で身長を記録するときは、日本の子どもの基準で描いているか、測った日の年齢で入力しているか、日付の間隔どおりにグラフになっているかを確かめましょう。表示されるSDなどの数字は目安として受け止め、気になるときは元の記録と一緒に医師に見てもらうことが大切です。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 日本小児内分泌学会「日本人小児の体格の評価」
- Clinical Pediatric Endocrinology「Growth standard charts for Japanese children with mean and standard deviation (SD) values based on the year 2000 national survey」(Isojima T ほか、2016年、J-STAGE)
- 世界保健機関(WHO)「Child growth standards」
- e-Gov法令検索「学校保健安全法施行規則」(第5条)
- 日本小児内分泌学会「成長評価用チャート・体格指数計算ファイル ダウンロードサイト」
- American Family Physician「Evaluation of Short and Tall Stature in Children」(米国家庭医学会誌の総説、2015年)
- 日本小児内分泌学会「低身長」
- 厚生労働省掲載「「母子保健情報のデジタル化について」の概要」(母子健康手帳、母子保健情報等に関する検討会報告書、令和5年3月14日、PDF)
- ノビケア「お問い合わせ」