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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約6分
ALP(アルカリホスファターゼ)で身長の伸びは分かる?血液検査の見方と限界
公開日:2026年10月3日 更新日:2026年10月3日
子どもは骨が伸びている時期のため、血液検査のALPが大人より高くなるのがふつうです。ただ、ALPの値から「あと何cm伸びるか」や最終身長を計算する方法は、学会や公的機関の資料には示されていません。ALPは、くる病や低ホスファターゼ症などの骨の病気、肝臓の病気を見つける手がかりとして、医師が年齢に合った基準と比べて読む検査です。
ALP(アルカリホスファターゼ)とは?
ALPは、体の中のさまざまな場所で働く酵素で、血液検査でよく測られる項目の一つです。大学病院の検査部の資料では、ALPは肝臓や胆道の障害、骨の病気で増え、成長期の小児でも高い値を示すと説明されています。
血液中のALPには、肝臓からくるもの、骨からくるもの、小腸からくるものなど、いくつかの種類があります。浜松医科大学医学部附属病院の検査部の案内では、ALPの種類を分ける検査(アイソザイム)で、小児は骨からくるALP3が多いとされています。
出典 [1]
子どもでALPが高いのは、なぜ?
骨が長く伸びるときには、骨を作る細胞が盛んに働きます。そのため骨の成長が続く子どもでは、骨からくるALPが多くなり、大人より高い値になります。
海外の小児のALPについての総説では、ALPは生後6か月までがとくに高く、その後いったん下がり、9歳を過ぎてから再び上がって思春期にピークになると紹介されています。ピークの時期は、女子は10〜12歳、男子は13〜15歳ごろという研究も紹介されています。
つまり、ALPが高いのは「骨が伸びている時期」であることと関係しますが、値の高さが伸びる量に比例するわけではありません。研究によって示される子どもの基準範囲にも違いがあると、同じ総説は指摘しています。
出典 [2]
子どものALPの基準範囲は、どのくらい?
子どものALPは年齢や性別で大きく変わるため、大人の基準範囲では判断できません。下の表は、北里大学病院が2023年から使っている小児の基準範囲(IFCC法)の一部です。この表には、女性の10〜11歳の区分は示されていません。施設や測定の方法によって基準範囲は違うので、検査を受けた医療機関の基準で確認してください。
| 区分 | 男性(U/L) | 女性(U/L) |
|---|---|---|
| 1か月〜2歳 | 138〜567 | 138〜567 |
| 3〜11歳(女性は3〜9歳) | 147〜431 | 147〜438 |
| 12〜18歳 | 95〜525 | 54〜483 |
| 成人 | 38〜113 | 38〜113 |
出典 [3]
昔の検査結果と数字が大きく違うのは、なぜ?
日本では、ALPの測り方が2020年4月から順に変わりました。日本臨床化学会は、それまでの日本独自の測り方(JSCC法)から、国際的な測り方(IFCC法)に変更し、新しい方法では測定値がおよそ3分の1になると説明しています。成人の基準範囲は38〜113U/Lです。
変更の理由の一つは、以前の方法では血液型がB型やO型の人の一部で、病気と関係なく小腸からくるALPの影響で高く出ることがあったためです。古い検査結果と新しい結果を比べるときは、どちらの測り方かを確かめる必要があります。
インターネットで見かける「ALPが○○以上なら、まだ伸びる」といった数字は、どちらの測り方の値かが書かれていないこともあります。数字だけを当てはめないよう注意しましょう。
ALPのほかに、成長の評価で使われる血液検査は?
低身長の診察では、ALPだけでなく、目的に応じていくつかの血液検査が組み合わされます。日本小児内分泌学会は、成長ホルモンは肝臓に働いてIGF-1という成長因子を作らせると説明しており、IGF-1は成長ホルモンの働きを見る手がかりの一つです。
また、学会は、甲状腺ホルモンが不足したときにも身長の伸びが低下することがあると説明しています。臓器の病気が低身長の陰に隠れていることもあるため、一般的な血液検査で全身の状態を確かめることもあります。
どの検査が必要かは、成長の経過や診察から医師が判断します。検査の全体像は「低身長ではどんな検査をする?」の記事、IGF-1については「IGF-1(ソマトメジンC)とは?」の記事で説明しています。
ALPで、あと何cm伸びるかは分かる?
ALPの値から、残りの身長や大人になったときの身長を計算する方法は、学会や公的機関の資料には示されていません。ALPは骨の成長の時期におおむね高くなりますが、表のように同じ年齢区分でも基準範囲の幅が大きく、測り方によっても値が変わります。そのため、ALPだけで伸びの見通しを判断するのは難しいと考えられます。
あとどのくらい伸びるかを考える手がかりとして、医師は成長曲線での伸び方、思春期の進み方、必要に応じて骨年齢などを組み合わせて判断します。骨年齢については「骨年齢とは」の記事で、予測の幅については「最終身長の予測はどのくらい当たる?」の記事で説明しています。
ALPの値に影響することはある?
日本臨床化学会は、以前の測り方(JSCC法)では、血液型がB型やO型で一定の体質の人に、病気と関係なく小腸からくるALPが血液中に出てくることがあり、この傾向は脂肪の多い食事のあとに大きく表れると言われていると説明しています。新しい測り方ではこの影響が小さくなりました。
一方で、新しい測り方では、妊娠中に増える胎盤からくるALPが高めに測られます。このように、ALPは体の状態や測り方によって値が変わるため、1回の結果だけで判断しないことが大切です。
出典 [4]
ALPが高すぎる・低すぎるときに考える病気は?
ALPが年齢の基準より高い場合、骨や肝臓の病気が隠れていないかを確かめます。日本小児内分泌学会は、ビタミンD欠乏性くる病ではALPの上昇とビタミンDの低値が特徴で、低リン血症性くる病でもALPが上がると説明しています。
反対に、ALPが年齢の基準より低いことが、低ホスファターゼ症という骨の病気の大切な手がかりになります。診療ガイドラインは、ALPは甲状腺機能低下症、栄養不良、亜鉛やマグネシウムの不足、ステロイドの使用などでも下がるため、複数回測って他の原因を除くことを勧めています。
また、乳幼児では、ほかに異常がないのにALPだけが一時的にとても高くなることがあり、一過性高ALP血症と呼ばれます。くる病などとの区別が必要なため、結果の判断は医師に任せましょう。
検査結果を受け取ったら、どうすればよい?
検査結果の用紙に大人の基準範囲だけが書かれていると、子どもの値に「高い」の印がつくことがあります。反対に、小児のALPについての総説は、大人の基準範囲しか示さない検査室では、低ホスファターゼ症の正しい診断が妨げられることがあると指摘しています。印の有無だけで判断せず、医師に年齢に合った基準で説明してもらいましょう。
身長の伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で、お手元の記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEから受け付けています。
ALPと身長についてよくある質問
Q. ALPが高いと言われました。背が伸びるサインですか?
A. 子どもでは成長に伴って高いのがふつうですが、伸びる量を示すものではありません。年齢の基準を大きく外れる場合は、病気がないかを医師が確かめます。
Q. ALPが下がってきたら、もう背は止まりますか?
A. ALPだけで伸びが止まったかは判断できません。1年ごとの身長の伸びや体の変化とあわせて考えます。
Q. 身長を知るためだけに、ALPを測ってもらえますか?
A. 検査をするかどうかは、成長の経過や診察から医師が判断します。まずは成長曲線と記録を持って相談しましょう。
まとめ
子どものALPは骨の成長に伴って大人より高いのがふつうですが、その値で残りの身長は計算できません。2020年に測り方が変わったことも踏まえ、結果は年齢に合った基準で医師に読んでもらい、伸び方は成長曲線で確かめましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 浜松医科大学医学部附属病院 検査部「検査部利用手引書 検査項目および基準値」(PDF、2021年4月1日現在)
- Cannalire G ほか「Alkaline phosphatase in clinical practice in childhood: Focus on rickets」(Frontiers in Endocrinology 2023、PubMed Central掲載)
- 北里大学病院「臨床検査基準値一覧 別紙 小児基準値」(2023年3月30日使用開始、PDF)
- 日本臨床化学会「ALP・LD測定法変更について −医療従事者向け−」(PDF、2019年11月21日)
- 日本臨床化学会「ALP・LD測定法変更について −検査室実務者向け補足説明−」(PDF)
- 低ホスファターゼ症診療ガイドライン改訂委員会ほか(日本小児内分泌学会・日本内分泌学会など)「低ホスファターゼ症診療ガイドライン2025 改訂版」(日本内分泌学会雑誌 Vol.102 Suppl. Guideline1、PDF)
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- 日本小児内分泌学会「低身長」
- 日本小児内分泌学会「くる病」
- ノビケア「お問い合わせ」