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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約6分
低リン血症性くる病(XLHなど)と身長
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
低リン血症性くる病は、腎臓からリンが尿に出すぎて血液中のリンが低くなり、骨が軟らかくなる病気です。歩き始めのころからO脚や歩き方の揺れが目立ち、背の伸びが落ちることがあります。代表的なものはX連鎖性低リン血症(XLH)で、FGF23というホルモンが多すぎることが原因です。ビタミンDのサプリメントや日光浴では治らないため、専門の医師による診断と、リンの薬・活性型ビタミンD、または抗FGF23抗体による治療が行われます。
低リン血症性くる病とは、どんな病気?
骨は、コラーゲンなどのたんぱく質に、カルシウムとリンの結晶がたまって硬くなります。日本小児内分泌学会は、子どもでカルシウムやリンが足りずに骨が軟らかくなった状態を「くる病」と呼ぶと説明しています。
低リン血症性くる病は、そのうち体のリンが足りなくなって起こるものです。同じ学会によると、原因の多くは骨で作られるFGF23というホルモンが多すぎることです。FGF23が多いと、腎臓から尿へのリンの排泄が増え、さらにビタミンDが働く形に変わるのも妨げられるため、腸からのリンやカルシウムの吸収も落ちます。
XLHの国際的な診療の推奨(2019年)は、遺伝性のリンの排泄過剰の原因として多いのがXLHで、出生10万人あたり3.9人に起こると紹介しています。小児慢性特定疾病情報センターは、XLHは数万人に1人程度とされ、日本小児内分泌学会の調査では全国で126人の患者さんが把握されていると説明しています。
ビタミンD欠乏性くる病とは、どう違う?
くる病には、ビタミンDの不足で起こるものもあります。こちらは食事や日光浴の不足が原因で、ビタミンDを補えばよくなることが多い病気です。くわしくは「ビタミンDと日光浴は身長に関係ある?」のコラムで説明しています。
一方、日本小児内分泌学会は、低リン血症性くる病は、サプリメントや食品に含まれるふつうのビタミンDでは良くならず、適切な治療のためには確実な診断が重要だとしています。症状が似ていても治療が違うため、O脚などが気になるときは自己判断でサプリメントを使わず、受診してください。
| 項目 | ビタミンD欠乏性くる病 | 低リン血症性くる病(XLHなど) |
|---|---|---|
| 主な原因 | ビタミンDやカルシウムの不足 | 尿へのリンの出すぎ(FGF23の過剰など) |
| 血液検査の特徴 | ALPが高い、ビタミンD(25OHD)が低い | リンが低い、ALPが高い |
| ふつうのビタミンDで治るか | 補充でよくなることが多い | よくならない |
| 遺伝 | 多くは関係しない | 遺伝性のものを含む(XLHはX連鎖性) |
出典 [1]
どんな症状や体つきで気づく?
小児慢性特定疾病情報センターは、症状として、O脚などの骨の変形、関節の腫れ、低身長を挙げています。XLHの国際的な診療の推奨(2019年)は、多くは1〜2歳ごろに症状が出て、歩き始めの遅れや、体が左右に揺れる歩き方、脚の変形が進むことで気づかれると説明しています。
同じ推奨は、脚の伸びが悪い一方で胴体の伸びは保たれるため、脚の短い体つきの低身長になりやすいとしています。3歳以降に歯の根元の膿(歯の膿瘍)が多いことや、頭の形の変化にも触れています。頭のレントゲンで調べると、約6割の子で頭の骨のつなぎ目(縫合)が早く閉じていたとされ、頭痛や首の痛みが続くときは主治医に伝えることが大切です。推奨は、歯が生えたら少なくとも年2回の歯科の検診を勧めています。歯ぐきの腫れをくり返すときは、歯科でも病気のことを伝えましょう。
体のつり合いの見方は「座高と脚の長さのつり合い」のコラムでも説明しています。
どうやって診断する?
日本小児内分泌学会は、O脚や歩くときの揺れがあれば、手首や膝のレントゲンでくる病に特徴的な変化を調べ、血液と尿の検査を行うと説明しています。血液ではリンが低くALPが高いこと、尿ではリンの排泄が多いことが手がかりになり、FGF23の測定や、遺伝性が疑われる場合の遺伝子検査も役立つとしています。ALPの見方は「ALPで身長の伸びは分かる?」のコラムでも説明しています。
XLHはX染色体にあるPHEXという遺伝子の変化で起こります。前の推奨によると、報告された患者さんの約3分の1は、家族に同じ病気の人がいません。推奨は、患者さんの親や子どもなど一親等の家族についても調べることを勧めています(父親が患者さんの場合、その息子には遺伝しないとされています)。家族の検査は、遺伝カウンセリングを受けながら考えましょう。
どんな治療をする?
日本小児内分泌学会は、血液中のFGF23が高い場合には、FGF23の働きを抑える抗FGF23抗体(一般名ブロスマブ)を使い、FGF23が高くない場合やこの薬が使えない場合には、リンの飲み薬と活性型ビタミンDを使うと説明しています。
1〜12歳の61人を対象にした国際的な臨床試験(日本の施設も参加)では、ブロスマブを2週間ごとに皮下に注射しました。この試験では、それまでのリンの薬と活性型ビタミンDを続けた子に比べ、ブロスマブに切り替えた子のほうが、40週の時点でレントゲンのくる病の所見が大きく改善していました。どちらの治療を選ぶかは、年齢や検査の値、通院の負担などをふまえて主治医が判断します。
リンの飲み薬は、1日に何回かに分けて飲みます。小児慢性特定疾病情報センターの説明では、1日4回に分ける例が示されています。園や学校にいる時間の飲み方も、主治医と相談しておきましょう。従来の治療では、薬の量が多いと腎臓にカルシウムがたまる(腎石灰化)ことがあり、前の推奨では30〜70%に報告されているとしています。小児慢性特定疾病情報センターも、予後を大きく左右するのは腎機能だとしています。定期的な血液・尿の検査や腎臓の超音波検査が大切です。
身長は、どのくらい伸びる?
前の推奨は、従来の治療を受けていても、大人になったときの身長が低い人が多いと6割ほどいると説明しています。そのうえで、はっきりした症状のある子では、診断がついたらできるだけ早く治療を始めるよう勧めています。
成長ホルモンを組み合わせる治療については、2研究・20人を調べたコクランの分析で、身長の値がよくなる可能性は示されたものの、確かな根拠が足りず、勧めるには至らないと結論づけられています。前の推奨も、XLHで成長ホルモンを決まった治療として使うことは勧めていません。国内の成長ホルモン製剤の添付文書で承認されている病気にも、この病気は含まれていません。
低リン血症性くる病についてよくある質問
Q. 牛乳やリンの多い食べ物をたくさんとれば治りますか?
A. いいえ。腎臓からリンが出すぎることが原因のため、食事だけでは補えません。治療は医師の処方する薬で行います。
Q. 小さい子のO脚は、みんなこの病気ですか?
A. 歩き始めのころのO脚は、成長とともに自然に目立たなくなることも多いです。変形が強い、だんだん進む、背の伸びも落ちている、といった場合は小児科で相談してください。
Q. 大人になったら治療は終わりですか?
A. 小児慢性特定疾病情報センターは、骨の石灰化は完全には治らず、骨の変形や骨折の危険が高いとしています。前の推奨も、診断されていない大人では、低身長や骨の痛み、骨軟化症などがみられると説明しています。大人になってからの治療や診療の続け方は、主治医と相談してください。
出典 [2]
まとめ
低リン血症性くる病は、尿にリンが出すぎて骨が軟らかくなり、O脚や低身長がみられる病気で、ふつうのビタミンDでは治りません。早く診断して専門の医師のもとで治療を続け、腎臓や歯の状態も確かめていくことが大切です。伸び方が気になる場合は、医師による無料相談(ビデオ通話)で記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。検査が必要な場合や、保険診療の対象になりうる場合は、対面の医療機関をご紹介します。
出典 [6]
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 日本小児内分泌学会「くる病」
- 小児慢性特定疾病情報センター「原発性低リン血症性くる病 概要」
- Nature Reviews Nephrology「Clinical practice recommendations for the diagnosis and management of X-linked hypophosphataemia」(Haffner D ほか、2019年、国際的な診療の推奨、PMC)
- Lancet「Burosumab versus conventional therapy in children with X-linked hypophosphataemia: a randomised, active-controlled, open-label, phase 3 trial」(Imel EA ほか、2019年、1〜12歳の61人、PubMed)
- Cochrane Database of Systematic Reviews「Recombinant growth hormone therapy for X-linked hypophosphatemia in children」(Smith S・Remmington T、2021年、2研究・20人、PubMed)
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