ノビケア トップ > コラム > 低身長の基準と受診の目安
低身長の基準と受診の目安読む時間 約7分
小学校高学年(9〜11歳)で背が低い:思春期の前後で考えること
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
小学校高学年で背が低いときは、思春期がもう始まっているか、まだかによって考え方が変わります。思春期の直前には伸びが一時的にゆるやかになることがあり、思春期が遅めの子は、まわりが大きく伸びるなかで差が目立ちやすくなります。体の変化と1年ごとの伸びをあわせて記録し、伸びが小さい状態が続く、思春期の始まりが早すぎる・遅すぎるといったときは、小児科で相談しましょう。
9〜11歳は、思春期のどのあたりにあたる?
あいち小児保健医療総合センターは、思春期の最初の変化として、女の子では胸のふくらみが平均9歳半ごろ、男の子では精巣が大きくなる変化が平均11歳半ごろから見られると説明しています。高学年は、女の子の多くが思春期に入り、男の子の多くはまだ入っていない時期です。
伸びがいちばん速くなる年齢について、2001年に生まれた全国の子ども約1万3千人を追いかけた調査(Pediatric Research誌、2023年)では、平均は女の子で10歳台後半、男の子で12歳台後半でした。1992年に報告された日本の研究でも、女の子で平均11.05歳、男の子で平均13.05歳です。女の子は高学年のうちに伸びのピークを迎える子が多く、男の子は中学生になってから迎える子が多いことになります。
学年ごとの平均身長や、5・6年生で女の子の平均が男の子を上回ることは「小学4〜6年生の平均身長は?」のコラムで説明しています。
思春期の直前に、伸びがゆるやかになるのはなぜ?
国立保健医療科学院に掲載されている「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」は、思春期の前の1年の伸びは約5〜6cmですが、思春期に向けて少しずつ伸びが小さくなる現象があり、prepubertal dip(思春期前の伸びの低下)と呼ばれると説明しています。その後、思春期に入ると伸びが速くなり、始まってから1〜2年でピークを迎えます。
思春期の始まりがまわりより遅い子では、この伸びのゆるやかな時期が、まわりの子が大きく伸びる時期と重なります。そのため、高学年で急に差が開いたように見えることがあります。イタリアの小児科学の学術誌の総説(2022年)も、体質的に成長と思春期が遅い子では、思春期の前後に伸びの速さが落ちることがあり、骨年齢も遅れているのがふつうだとしています。
ただし、伸びがゆるやかなのが体質によるものか、成長ホルモンの不足などによるものかは、記録だけでは見分けられません。同じ総説は、体質による遅れの子でも、両親の身長から見込まれる身長に届かないことが多いとしています。骨年齢や思春期の進み方をもとに、医師に判断してもらいましょう。
女の子で、確かめておきたいことは?
高学年の女の子で胸のふくらみが始まるのは、ふつうの範囲です。一方、小児慢性特定疾病情報センターの診断の手引きでは、7歳6か月未満の胸のふくらみや、10歳6か月未満の初経が、思春期早発症を考える症状として挙げられています。低学年のうちに変化が始まっていた場合は、早めに相談しましょう。
反対に、あいち小児保健医療総合センターは、女の子で13歳になっても思春期の変化がまったくない場合を、思春期遅発と考えるのが一般的だとしています。また、小児慢性特定疾病情報センターは、ターナー症候群では低身長がほぼ必ず見られ、低身長のある女の子は全員が染色体検査の対象になるとしています。高学年で背が低く、胸のふくらみもまだ見られない場合は、13歳を待たずに一度相談しておくと安心です。くわしくは「女の子の低身長」のコラムで説明しています。
男の子で、確かめておきたいことは?
男の子の思春期は、精巣が大きくなる変化から始まります。日本小児内分泌学会は、その目安として精巣の大きさが4mL以上になることを挙げています。本人も家族も気づきにくい変化なので、思春期に入ったかどうかは診察で確かめます。
高学年の男の子は、まだ思春期前の子が多く、先に思春期に入った女の子と比べると小さく見えやすい時期です。そのことだけで心配しすぎる必要はありません。ただし、本人のこれまでの伸びと比べて小さい状態が続く、線を横切って下がってきた、という場合は、思春期を待たずに相談しましょう。9歳未満で精巣などの発育が見られた場合も、早めの相談が必要です。
男の子の伸び方の全体は「男の子の身長の伸び方」、声変わりとの関係は「男の子の低身長:声変わりの前に相談したいサイン」のコラムで説明しています。
高学年のうちに相談しておくと、何がよい?
身長が伸びるのは、骨の端にある骨端線が開いているあいだです。日本小児内分泌学会は、骨年齢で男子15歳、女子14歳以上になった場合や、1年の伸びが2cm以下になった場合には、成長ホルモン治療にほとんど効果がないとしています。
原因を調べるには、記録をそろえ、必要に応じて血液検査や骨年齢などを確かめ、しばらく伸びを見ていくこともあります。判断までに何回かの通院が必要になることもあるため、まだ時間に余裕のある高学年のうちに、一度伸び方を見てもらう意味があります。
治療については、同じ学会は、成長ホルモン治療で保険が使えるのは成長ホルモン分泌不全性低身長症など決められた病気だとしています。原因が見つからない低身長への使用は適応外使用で、効果が得られないことが多く、有害なことが起こる可能性もあるとして勧めていません。相談は、まず原因を確かめるためのものと考えましょう。
出典 [9]
体の変化の記録と、子どもへの話し方は?
文部科学省の小学校学習指導要領では、4年生の体育の保健で「体の発育・発達」を学ぶことになっています。体は年齢とともに変わり、発育・発達には個人差があること、思春期には体つきが変わり、初経や精通などが起こることを学びます。自分と他の人では発育・発達に違いがあることに気づき、それを肯定的に受け止めることが大切だ、ということにも触れるよう示されています。
授業で学ぶこの時期は、家庭でも体の変化を話題にしやすい時期です。「背が伸びる時期には早い遅いがあるよ」と、授業の内容とつなげて話してみるのもよいでしょう。体の変化の記録は、本人の気持ちに配慮しながら、保護者が気づいた時期をメモしておく程度で十分です。診察で体の様子を見ることがある場合は、事前に本人に伝えておきましょう。話し方の例は「思春期の体の変化を子どもにどう話す?」のコラムで紹介しています。
出典 [10]
どんなときに、小児科で相談したほうがよい?
次のような場合は、母子健康手帳や学校の記録、体の変化に気づいた時期のメモを持って、小児科で相談しましょう。
強い頭痛や何度も吐く、けいれん、見え方がおかしいといった症状があるときは、身長の相談とは別に、すぐに医療機関を受診し、急ぐときは119番に連絡してください。
記録を見て気になる点があれば、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で、お手元の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。
- 成長曲線で、身長が−2SDの線の近くか、それより下にある
- 線を横切って下がってきた、または1年の伸びが小さい年が続いている
- 女の子で、背が低く、胸のふくらみがまだ見られない
- 男の子で、本人のこれまでの伸びと比べて伸びが小さくなってきた
- 女の子で7歳6か月より前、男の子で9歳より前に思春期の変化が始まっていた
- 両親の身長から考えるより、明らかに低い
出典 [11]
小学校高学年の身長の悩みについてよくある質問
Q. 6年生の男の子で、クラスの女の子よりかなり小さいです。
A. この時期は女の子の多くが先に思春期に入るため、男の子は小さく見えやすくなります。大切なのは女の子との比べ方ではなく、本人のこれまでの伸び方です。伸びが小さい状態が続く場合は、記録を持って相談しましょう。
Q. 5年生の娘が、急に伸びなくなった気がします。
A. 思春期の伸びのピークを過ぎたのかもしれませんし、ほかの理由のこともあります。胸のふくらみや初経の時期とあわせて、記録を持って相談しましょう。
Q. まだ思春期が来ていないなら、これから伸びるので様子を見てよいですか?
A. 思春期が遅めの体質の子も多くいますが、それだけで病気がないとは言えません。骨年齢や伸び方を医師に見てもらうと、見通しを立てやすくなります。
まとめ
小学校高学年は、思春期が始まった子とまだの子が同じ教室にいて、身長の差が開きやすい時期です。思春期の直前には伸びがゆるやかになることもあります。体の変化と1年ごとの伸びをあわせて記録し、伸びが小さい状態が続く、思春期の始まりが早すぎる・遅すぎるといったときは、骨端線が閉じる前に小児科で相談しましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- あいち小児保健医療総合センター「思春期早発症・遅発症「思春期が早い?遅い?治療が必要なの?」」
- Pediatric Research「Association between infant breastfeeding practices and timing of peak height velocity: A nationwide longitudinal survey in Japan」(Higuchi Y ほか、2023年、全国の縦断調査の1万3,074人、PMC)
- Clinical Pediatric Endocrinology「Longitudinal Standards for Height and Height Velocity for Japanese Children from Birth to Maturity」(Suwa S ほか、1992年、6〜17歳の男子439人・女子483人の記録、J-STAGE)
- 国立保健医療科学院掲載「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」(令和3年3月、厚生労働行政推進調査事業、PDF)
- Italian Journal of Pediatrics「Current clinical management of constitutional delay of growth and puberty」(Gaudino R ほか、2022年、体質性思春期遅発症の総説、PMC)
- 小児慢性特定疾病情報センター「ゴナドトロピン依存性思春期早発症 診断の手引き」
- 小児慢性特定疾病情報センター「ターナー(Turner)症候群 概要」
- 日本小児内分泌学会「思春期早発症」
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(PDF。体育・保健の第3学年及び第4学年「体の発育・発達」を含む)
- ノビケア「お問い合わせ」