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背が低いことと子どもの自信:家族と学校でできること

公開日:2026年10月5日 更新日:2026年10月5日

背が低いことと子どもの自信の関係は、思われているほど単純ではありません。海外の調査では、背の低い子どもの自尊感情(自分を大切に思う気持ち)が、平均的な身長の子どもと大きく変わらなかったという結果もあります。自信を支えるのは、身長そのものより、自分のよさに気づけることや、人の役に立てたという実感です。家庭と学校で、身長以外の面を認める関わりを重ねていきましょう。

背が低いと、子どもは自信をなくしやすい?

英国で、小学校に入ったときに身長が同じ年齢の下から3%未満だった子ども106人と、平均的な身長の子ども119人を、11〜13歳になった時点で比べた研究があります(BMJ誌、1997年)。自尊感情や、自分をどう見ているかを表す得点には、2つのグループで意味のある差は見られませんでした。

一方で、自分の身長への満足度は、背の低い子どものほうがはっきり低かったと報告されています。研究者は、多くの項目では身長よりも家庭の社会的な背景のほうが強く関係していたとし、「背の低い子どもは不利だ」という考えを支える結果は限られていたとまとめています。

つまり、「自分の身長が好きではない」ことと、「自分全体に自信がない」ことは、同じではありません。身長への不満を口にする子どもでも、得意なことや友だち関係では自信を持っていることがあります。友だち関係と身長の研究は「背が低いことを気にする子どもへの声かけは?」のコラムで紹介しています。

出典 [1] [2]

日本の子どもの自信は、何に支えられている?

こども家庭庁が令和5年11〜12月に、日本を含む5か国の13〜29歳を対象に行ったインターネット調査があります。日本の回答者(約1,090人)のうち、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた人の割合は、下の表のとおりでした。

この調査の報告書に収められた有識者の分析では、どの国でも、「自分には長所がある」「自分の考えをはっきり伝えられる」「うまくいくか分からないことにも意欲的に取り組む」と感じている人ほど、自分に満足している傾向がありました。日本の若者では、他の国に比べて学校生活の要因が強く関係していたとされ、学校を居心地のよい場所にし、仲間や先生と課題に取り組んだり、人の役に立ったりする経験を重ねることが大切だと考察されています。

対象は中学生以上で、身長との関係を調べたものではありませんが、自信が身長のような一つの特徴だけで決まるものではないことが分かります。

質問(日本の回答者)「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」の合計
私は、自分自身に満足している57.4%
自分には長所があると感じている65.6%
自分の親(保護者)から愛されている(大切にされている)と思う80.8%

出典 [3]

「褒める」と「認める」は、どう違う?

国立教育政策研究所の生徒指導の資料は、人の役に立った、人に喜んでもらえた、人から認められたという気持ちを「自己有用感」と呼んでいます。そして、日本の子どもの自信には他の人からの評価が大きく影響するとし、「褒めて育てる」よりも「認められて育つ」という考え方のほうが、子どもの自信が続きやすいとしています。

同じ資料によると、大人が自分の基準で「よくできたね」と褒めるだけでは、子どもには届かないことがあります。子どもが自分なりにこだわったこと、工夫したことに目を向けて言葉を返すことが「認める」ことだと説明されています。また、「クラスで一番足が速い」という自信より、「代表に選ばれたので、みんなの期待に応えたい」という形の自信が大切で、その意味では「一番かどうか」はあまり重要ではなくなるとも書かれています。

背の高さは、本人の努力では変えにくい特徴です。身長の順番や「大きくなったね」だけを話題にするより、本人が工夫したこと、続けてきたこと、だれかの役に立ったことを具体的に言葉にするほうが、自信の土台になりやすいと考えられます。

出典 [4]

家庭では、どんなことができる?

家庭でできることは、特別なことではありません。次のような関わりを、日々の生活の中で少しずつ重ねていきましょう。

出典 [4]

学校の先生には、何を相談できる?

日本の子どもの自信には学校生活が強く関わっているとする分析もあり、学校の協力は大きな助けになります。身体測定や整列、体育のペア決めなど、本人が負担を感じている場面があれば、担任の先生に具体的に伝えて相談してみましょう。文部科学省は、学校の健康診断では子どものプライバシーや気持ちに配慮することが重要だと通知しています。

係の仕事や委員会、異なる学年との交流など、本人が役割を持てる場面について先生に相談するのもよい方法です。国立教育政策研究所の資料は、異なる年齢の子どもとの交流活動が自己有用感を育むとした研究を紹介しています。保健室の養護教諭も、子どもの悩みに気づきやすい立場にあります。相談のしかたは「学校の保健室・養護教諭に身長の相談をするには」のコラムで説明しています。

出典 [3] [5] [4] [6]

専門家に相談したほうがよいのは、どんなとき?

「どうせ自分なんか」という言葉が続く、好きだったことをやめてしまう、学校に行きたがらない、腹痛や頭痛をくり返す、といった変化が、前にはなかったのに見られるようになったり、長く続いたりするときは、ひとりで抱えずに相談しましょう。厚生労働省は、こうしたこころのSOSのサインが続く場合は早めに専門家に相談するよう勧めています。まずは、かかりつけの小児科に相談するとよいでしょう。

「消えてしまいたい」と口にする、自分を傷つけるといった様子があるときは、すぐに専門家に相談してください。命に関わる危険が差し迫っているときは、迷わず119番に連絡してください。

出典 [7] [8]

身長の伸び方そのものも、確かめておくと安心?

日本小児内分泌学会によると、子どもの身長が低い原因の多くは、両親も背が低いなどの遺伝や体質によるものです。ただ、ホルモンの病気などが見つかることもあるため、母子健康手帳や学校の記録から成長曲線をつけ、伸び方が気になるときは小児科で相談しておくと、保護者も子どもも落ち着いて過ごしやすくなります。

受診するときは、「背が低いから病院に行く」ではなく、「元気に育っているか確かめてもらおう」と、本人を責めない言い方で伝えましょう。ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)でも、お手元の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。予約は公式LINEから受け付けています。

出典 [9] [10]

背が低いことと子どもの自信についてよくある質問

Q. 子どもが「背が低いから何をしてもだめ」と言います。

A. まずは「そう感じているんだね」と気持ちを受け止めましょう。そのうえで、身長と関係のない場面でうまくいったことを、具体的に思い出せるように声をかけてみてください。同じような言葉が長く続くときは、かかりつけの小児科や学校の先生にも相談しましょう。

Q. 背を伸ばす治療を受ければ、自信はつきますか?

A. 治療で身長が変わることが、心の面や生活の質にどう影響するかは、専門家の間でも検討が続いている問題です。原因となる病気が見つからない低身長への成長ホルモン治療は、国内で承認された使い方に含まれない適応外使用になります。治療を考える場合も、本人の気持ちを聞きながら、利点と負担について医師から十分に説明を受けてください。

Q. スポーツで体格の差を感じて落ち込んでいます。

A. 同じ学年でも、生まれ月や思春期の始まる時期によって体格の差が出やすいことが分かっています。比べる相手は友だちではなく、去年の本人だと伝えるとよいでしょう。くわしくは「生まれ月と身長の伸び」のコラムで説明しています。

出典 [11] [12]

まとめ

背が低いことが、そのまま子どもの自信のなさにつながるとは限りません。身長への不満と自分全体への自信は分けて受け止め、本人の工夫や役割を「認める」関わりを家庭と学校で重ねていきましょう。こころのSOSのサインが続くときや、伸び方が気になるときは、早めに相談してください。

出典 [1] [4]

お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。

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この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. BMJ「Are short normal children at a disadvantage? The Wessex growth study」(Downie AB ほか、1997年、PMC)
  2. Pediatrics「Height and social adjustment: are extremes a cause for concern and action?」(2004年、PubMed)
  3. こども家庭庁「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査(令和5年度)」(PDF、13〜29歳を対象とした5か国調査)
  4. 国立教育政策研究所 生徒指導・進路指導研究センター「生徒指導リーフ Leaf.18「自尊感情」?それとも、「自己有用感」?」(PDF、平成27年3月)
  5. 文部科学省「児童生徒等のプライバシーや心情に配慮した健康診断実施のための環境整備について(通知)」(PDF、令和6年1月22日)
  6. 文部科学省「現代的健康課題を抱える子供たちへの支援 ~養護教諭の役割を中心として~」(平成29年、PDF)
  7. 厚生労働省 こころもメンテしよう「こころのSOSサインに気づく」
  8. 日本小児心身医学会「小児の心身症-総論」
  9. 日本小児内分泌学会「低身長」
  10. ノビケア「お問い合わせ」
  11. Pediatric Clinics of North America「Short Stature: Is It a Psychosocial Problem and Does Changing Height Matter?」(2015年、PubMed)
  12. ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)