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低身長の基準と受診の目安読む時間 約6分
成長速度曲線とは?1年の伸びをグラフで見る方法
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
成長速度曲線は、身長の高さではなく「1年あたり何cm伸びたか」(成長率)を、年齢ごとに点で描いたグラフです。ふつうの成長曲線では見分けにくい、伸びの速さの変化や思春期の急な伸び(スパート)が分かりやすくなります。1年の伸びは、半年以上あけた2回の測定から計算し、2回の測定のまん中の年齢に描くのが基本です。
成長速度曲線は、ふつうの成長曲線と何が違う?
母子健康手帳や学校で使う成長曲線は、ある年齢でどのくらいの身長かを表すグラフです。これに対して成長速度曲線は、1年間に何cm伸びたかを表します。乳幼児身体発育評価マニュアルでは、1年あたりの身長の伸びを「成長率(成長速度)」と呼んでいます。
身長のグラフでは、線に沿っているかどうかは分かっても、伸びの速さが少しずつ落ちてきたのか、急に速くなったのかは見分けにくいことがあります。速さそのものを点で描くと、変化した時期がはっきりします。
同じマニュアルは、思春期の成長を評価するには、各年齢の平均を並べた横断的な成長曲線よりも、同じ子どもを追いかけた資料から作った縦断的な身長・成長率曲線のほうが優れていると説明しています。思春期の始まる時期は一人ひとり違うため、平均を並べただけの曲線では、急な伸びがならされて見えにくくなるからです。
出典 [1]
成長速度曲線は、年齢によってどんな形になる?
マニュアルは、子どもの伸び方を、3〜4歳ごろまでの乳幼児期、思春期が始まるまでの前思春期、思春期の三つの時期に分けて説明しています(ICPモデル)。平均的な伸びの速さは表のとおりです。
国立保健医療科学院に掲載された「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」は、思春期に向けて1年の伸びが少しずつ小さくなる現象があり、prepubertal dip(思春期前の伸びの低下)と呼ばれると説明しています。そのあと思春期に入ると伸びが速くなり、始まってから1〜2年で速さのピークを迎えます。
成長速度曲線は、生まれてすぐがいちばん高く、だんだん下がり、思春期の前に少しくぼんでから山をつくり、最後は0に近づく形になります。これらの数字は平均で、一人ひとりが同じ形になるわけではないとマニュアルは添えています。
| 時期 | 1年の伸びの目安(平均) | とくに関わるもの |
|---|---|---|
| 乳児期(0〜1歳) | 約25cm | 栄養 |
| 幼児期(3〜4歳) | 約7cm | 栄養 |
| 前思春期(4歳ごろ〜思春期の始まり) | 約7cmから約5cmへ少しずつ低下 | 成長ホルモン |
| 思春期のピーク | 男子 平均約10cm、女子 平均約8cm | 性ホルモン(と成長ホルモン) |
| ピークのあと | 急に小さくなり、やがて止まる | 性ホルモンが骨の成熟を進める |
日本の子どもの成長速度曲線は、どう作られた?
日本の縦断的な標準曲線の基になった研究の一つに、1992年に日本小児内分泌学会の英文誌に発表された報告があります。18〜22歳の男子439人・女子483人の6〜17歳の身長の記録などを集めて分析し、思春期の伸びがピークになる年齢は、男子で平均13.05歳、女子で平均11.05歳でした。平均的な年齢でピークを迎えた子のピークの伸びは、男子で平均1年9.9cm、女子で平均1年8.3cmでした。
マニュアルによると、縦断的な曲線は、ピークの年齢が平均(男子13歳、女子11歳)に一致する子の曲線を選んで作られています。そのため、ピークの時期が早い子や遅い子は、曲線の山とずれて見えます。ずれていることだけで異常とは言えません。
より新しい全国の縦断調査(約1万3千人、2023年報告)では、ピークの年齢の平均は男子で12歳台後半、女子で10歳台後半でした。調べた時代や方法で値には幅があるため、目安として受け止めましょう。
家庭の記録から、成長速度曲線を描くには?
マニュアルは、成長率は基本的に1年間の伸びを、その期間のまん中の年齢に描くと説明しています。ちょうど1年前の記録がない場合は、6か月以上あいた記録を使って12か月分に換算します。換算は「伸び(cm)÷ あいだの月数 × 12」で計算します。
たとえば、表のような記録があったとします(説明のための例です)。2回目の計算では、7か月で2.4cmなので、2.4 ÷ 7 × 12 で約4.1cm/年になり、8歳3か月ごろの位置に描きます。
実践ガイドは、6歳未満の子は身長を正確に測るのが難しく、測るたびに多少の誤差が出るため、伸びの速さは期間をあけて何度か測ってから評価するよう勧めています。数か月ごとの差だけで1年分を計算すると、わずかな誤差が大きく響きます。
| 測った年齢 | 身長 | あいだの期間と伸び | 1年あたりの伸び(描く位置) |
|---|---|---|---|
| 7歳0か月 | 120.0cm | — | — |
| 8歳0か月 | 125.6cm | 12か月で5.6cm | 5.6cm/年(7歳6か月) |
| 8歳7か月 | 128.0cm | 7か月で2.4cm | 約4.1cm/年(8歳3か月ごろ) |
医師は、成長速度曲線のどこを見る?
マニュアルは、前思春期には身長の程度(SDスコア)はあまり変わらないのが平均的な成長で、この時期にSDスコアが下がってきた場合は成長ホルモン分泌不全症などの内分泌の病気が疑われ、急に伸びが速くなった場合は思春期早発症を疑う必要があるとしています。成長速度曲線は、こうした変化をとらえる助けになります。
小児慢性特定疾病情報センターの成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断の手引きでは、1年の伸びが2年以上にわたって標準値の−1.5SD以下であることが、診断の目安の一つです。センターは年齢・性別ごとの「成長速度基準表(標準身長の−1.5SD値)」を公開しています。基準の数字の見方は「1年で4cmしか伸びないのは少ない?」のコラムで説明しています。
また、マニュアルは、思春期の身長SDスコアは思春期が始まる時期によって高くも低くも出やすいため、思春期には成長率を見ていくほうが重要だとしています。
1年の伸びを計算するときに、気をつけることは?
伸びの計算は、同じ条件で測った記録どうしで行うのが基本です。学校の記録と家庭の記録、朝と夜の記録を混ぜると、測り方の違いが伸びの差として出てしまいます。測った日付も必ず残しましょう。
国立成育医療研究センターは、0歳児の身長が伸びやすい季節は夏だったとする調査を発表しています。季節による伸び方の差がある可能性もあるため、半年ごとの差を2倍して1年分とみなすより、1年に近い間隔で比べるほうが安心です。
- 靴下を脱ぎ、かかと・おしり・背中を壁につけて測る
- できるだけ同じ時間帯・同じ場所・同じ道具で測る
- 6か月以上、できれば1年に近い間隔をあけて計算する
- 2歳未満は寝かせて、2歳以降は立って測るため、2歳前後で値がずれることがある
どんなときに、記録を持って相談したほうがよい?
成長速度曲線で、年齢に比べて伸びの点が低い位置に続けて並ぶ、前の年より急に下がった、思春期の年齢より早く急に上がった、といった変化があれば、小児科で記録を見てもらいましょう。身長の曲線と、計算した1年ごとの伸びを並べて持っていくと、話が伝わりやすくなります。
計算や描き方に自信がなくても、測った日付と身長の記録があれば、医師が計算し直すことができます。身長の伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で、お手元の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。
成長速度曲線についてよくある質問
Q. 成長速度曲線の用紙は、どこで手に入りますか?
A. 日本小児内分泌学会のダウンロードサイトでは、身長・体重の成長曲線や、記録を入れると曲線を描く表計算ファイルが公開されています。1年ごとの伸びは、この記事の方法で計算し、表やグラフにまとめておくと見返しやすくなります。
Q. 思春期のピークは何歳ごろ来ますか?
A. 日本の研究では、平均で男子は12歳台後半〜13歳ごろ、女子は10歳台後半〜11歳ごろとされていますが、早い子も遅い子もいます。ピークの時期だけで良い悪いは決められません。
Q. 半年で3cm伸びました。1年で6cmと考えてよいですか?
A. 計算上はそうなりますが、半年の差は測り方の誤差や季節の影響を受けやすくなります。もう半年たって1年分の記録がそろってから、改めて計算してみましょう。
まとめ
成長速度曲線は、1年あたりの伸びを年齢ごとに描くグラフで、伸びが落ちてきた時期や思春期の急な伸びが見えやすくなります。6か月以上あいた記録で計算し、まん中の年齢に描くのが基本です。気になる変化があれば、記録を持って小児科で相談しましょう。
出典 [1]
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- こども家庭庁掲載「乳幼児身体発育評価マニュアル」(令和3年3月改訂、PDF)
- 国立保健医療科学院掲載「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」(令和3年3月、厚生労働行政推進調査事業、PDF)
- Clinical Pediatric Endocrinology「Longitudinal Standards for Height and Height Velocity for Japanese Children from Birth to Maturity」(Suwa S ほか、1992年、6〜17歳の男子439人・女子483人の記録、J-STAGE)
- Pediatric Research「Association between infant breastfeeding practices and timing of peak height velocity: A nationwide longitudinal survey in Japan」(Higuchi Y ほか、2023年、全国の縦断調査の1万3,074人、PMC)
- 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン(GH)分泌不全性低身長症(脳の器質的原因によるものを除く。) 診断の手引き」
- 小児慢性特定疾病情報センター「成長速度基準表(標準身長の−1.5SD値)」(PDF)
- 国立成育医療研究センター「0歳児の身長が伸びやすい季節は夏」(2017年9月28日)
- ノビケア「お問い合わせ」
- 日本小児内分泌学会「成長評価用チャート・体格指数計算ファイル ダウンロードサイト」