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低身長の基準と受診の目安読む時間 約7分
1年で4cmしか伸びないのは少ない?身長の伸び(成長率)の見方と受診の目安
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
1年で4cmの伸びが少ないかどうかは、年齢と思春期の進み方によって変わります。幼児期なら少なめ、小学校の中学年ごろなら基準の下限に近い値で、思春期の伸びが終わりかけた中高生ではめずらしくない値です。1回の計算で決めず、半年から1年以上の間隔をあけた記録を、年齢・性別の基準と比べて医師に見てもらいましょう。
「4cm」が少ないかどうかは、なぜ年齢で変わる?
子どもは一定の速さで伸びるわけではありません。国立保健医療科学院などがまとめた「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」では、平均的な子どもは、生まれてから1歳までに約25cm、1歳から2歳で約10cm、2歳から3歳で約8cm、3歳から4歳で約7cm伸び、思春期の前には1年に約5〜6cmになると説明しています。
米国家庭医学会の学会誌American Family Physicianの総説(2015年、米国の子どもの資料にもとづく)でも、5歳から思春期までの伸びの目安は1年に5〜6cmとされ、思春期には女の子で8〜12cm、男の子で10〜14cm伸びる時期があるとされています。
つまり、同じ4cmでも、3歳の子と8歳の子と15歳の子では意味が違います。平均より少ないことがそのまま病気を意味するわけではありませんが、年齢に対して少ない伸びが続くときは、確かめる価値があります。
公的な基準表では、4cmはどのあたり?
小児慢性特定疾病情報センターは、「成長速度基準表(標準身長の−1.5SD値)」を公開しています。同じ年齢・性別の子どもの1年の伸びのうち、低いほうの目安となる値で、センターは実際の診療でもこれまでの基準が引き続き使われていると説明しています。下の表は、各年齢になったときの値を抜き出したものです。
表を見ると、3〜5歳では−1.5SDの値が4cmより大きく、この年齢での1年4cmは基準の低いほうを下回ります。男の子の8〜9歳ごろは値が4cm前後で、4cmは下限に近い位置です。女の子は9歳ごろから、男の子は11歳ごろから値が大きくなります。この時期は、多くの子どもが思春期に入って伸びが速くなるためです。
成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断の手引きでは、1年の伸びが2年以上にわたって標準値の−1.5SD以下であることが、診断の目安の一つです。1年分だけ下回ったことで決まるものではなく、続いているかどうかを医師が見ます。
| 年齢(0か月時点) | 男の子の−1.5SD値 | 女の子の−1.5SD値 |
|---|---|---|
| 3歳 | 5.8cm | 5.8cm |
| 4歳 | 5.1cm | 5.4cm |
| 5歳 | 4.6cm | 5.1cm |
| 6歳 | 4.6cm | 4.6cm |
| 7歳 | 4.4cm | 4.3cm |
| 8歳 | 4.1cm | 4.2cm |
| 9歳 | 3.9cm | 5.2cm |
| 10歳 | 4.1cm | 6.7cm |
| 11歳 | 5.5cm | 4.5cm |
| 12歳 | 7.7cm | 1.7cm |
| 13歳 | 5.0cm | 0.6cm |
| 14歳 | 2.3cm | 0.2cm |
思春期の前に、伸びが小さくなる時期がある?
あります。実践ガイドは、思春期に向けて1年の伸びが少しずつ小さくなる現象があり、prepubertal dip(思春期前の伸びの低下)と呼ばれると説明しています。そのあと思春期に入ると伸びが速くなり、始まってから1〜2年で伸びの速さがいちばん大きくなります。
思春期の始まりには個人差があります。あいち小児保健医療総合センターは、最初の変化(女の子の胸のふくらみ、男の子の精巣が大きくなること)は女の子で平均9歳半ごろ、男の子で平均11歳半ごろに見られるとしています。思春期が遅めの子は、まわりが伸び始める時期にまだ伸びが小さいため、小学校高学年から中学生のころに差が目立ちやすくなります。
同センターは、女の子で13歳、男の子で14歳になっても二次性徴がまったく見られない場合を思春期遅発の目安としています。多くは体質によるものですが、病気との区別が難しいこともあるため、この年齢に近づいても変化がなく伸びも小さいときは相談しましょう。
1年の伸びは、どう計算すれば正確?
American Family Physicianの総説は、子どもは一定でない速さで伸びるため、伸びを正しく求めるには少なくとも3〜6か月、できれば6〜12か月あけた2回の測定が必要だとしています。実践ガイドも、6歳未満は身長を正確に測るのが難しく、期間をあけて何度か測ってから伸びを評価するよう勧めています。
間隔が短いほど、測定のわずかな誤差が大きく響きます。仮に2回の測定がそれぞれ0.5cmずれていたとすると、半年の差から計算した1年の伸びは、最大で2cm変わってしまいます。学校の記録と家庭の記録を混ぜる場合は、どちらの値かを分けて書いておきましょう。
計算のしかたは「1年に何cm伸びるのが普通?」の記事でも説明しています。4cmという数字が出たら、まず測った日付と場所を確かめ、前後の記録と並べてみることが大切です。
どんなときに、受診を考えたほうがよい?
次のような場合は、記録を持って小児科で相談する目安になります。American Family Physicianの総説では、1年の伸びが5cm未満であることを専門医への紹介を考える目安の一つに挙げていますが、これは米国の基準での目安で、年齢によって当てはまり方が違います。
「2年以上続けて」という条件は、医師が診断するときの目安です。家庭で2年待ってから相談する、という意味ではありません。気になった時点で、それまでの記録を見てもらいましょう。強い頭痛や何度も吐く、けいれんがあるときは、すぐに119番や救急医療機関に連絡してください。
- 幼児期から小学生の時期に、1年の伸びが4cm前後かそれ以下の状態が続いている
- 成長曲線で、身長が基準線を横切って下がってきている
- 身長が−2.0SD以下、とくに−2.5SDを下回っている
- 体重は増えているのに、身長の伸びが止まってきている
- 年齢に比べて思春期の変化が早すぎる、または女の子で13歳、男の子で14歳になっても変化がない
医療機関では、伸びが小さい理由をどう確かめる?
医療機関では、成長曲線と診察に加えて、必要に応じて手のエックス線で骨の成熟の度合い(骨年齢)を調べます。American Family Physicianの総説は、家族の体格に似た低身長では骨年齢が実際の年齢と同じくらいで、体質的に思春期が遅い子やホルモンの病気では骨年齢が遅れると説明しています。ホルモンの病気では遅れが年々大きくなるため、1年ごとに骨年齢を見直すことが区別に役立つ場合があるとしています。
東京慈恵会医科大学の小児科は、低身長の原因を調べるために、血液検査、成長ホルモン分泌刺激試験、骨のエックス線、頭部MRI、染色体検査などを、外来や入院で行うと説明しています。どの検査が必要かは、伸び方や診察の結果から医師が決めます。検査の内容は「低身長ではどんな検査をする?」の記事で説明しています。
4cmと分かったら、家庭では何をすればよい?
まず、同じ条件でもう一度測ってみましょう。靴下を脱ぎ、同じ時間帯に、同じ場所で測ると比べやすくなります。次に、母子健康手帳や学校の記録から、前の年やその前の年の伸びも計算してみます。毎年4cm前後なのか、急に小さくなったのかで、意味が変わるからです。
日本小児内分泌学会は、記入用の成長曲線を公開しています。記録を書き込むと、線に沿っているか、線から離れていっているかが見えやすくなります。思春期の変化に気づいた時期や、体重の変化もメモしておきましょう。
伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で、お手元の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。
1年4cmの伸びについてよくある質問
Q. 小学6年生の男の子です。友達はどんどん伸びているのに、この1年は4cmでした。
A. 男の子の思春期は平均11歳半ごろに始まるとされ、まだ始まっていなければ、思春期前の伸びが小さい時期にあたっている可能性があります。ただ、体質か病気かは記録だけでは決められないため、思春期の変化の有無とあわせて医師に見てもらいましょう。
Q. 学校の測定は4月、家では10月に測っています。どちらで計算すればよいですか?
A. 1年の伸びは、同じ場所・同じ方法で、1年に近い間隔をあけた測定どうしで計算するのが基本です。学校の記録どうし、家庭の記録どうしで比べましょう。
Q. 中学3年生の女の子で、この1年は1cmでした。少なすぎますか?
A. 女の子は思春期の伸びが終わると、1年の伸びは小さくなります。表でも、12歳以降の値は小さくなっています。初経からの時期や、それまでの伸び方とあわせて判断します。
まとめ
1年で4cmの伸びは、幼児期には少なめ、小学校の中学年ごろには基準の下限に近い値で、思春期の前後では受け止め方が変わります。半年から1年以上の間隔をあけた記録で計算し、少ない伸びが続く、線を横切って下がるなどの変化があれば、記録を持って小児科で相談しましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 国立保健医療科学院掲載「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」(令和3年3月、厚生労働行政推進調査事業、PDF)
- American Family Physician「Evaluation of Short and Tall Stature in Children」(米国家庭医学会誌の総説、2015年)
- 小児慢性特定疾病情報センター「成長速度基準表(標準身長の−1.5SD値)」(PDF)
- 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン治療について」
- 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン(GH)分泌不全性低身長症(脳の器質的原因によるものを除く。) 診断の手引き」
- あいち小児保健医療総合センター「思春期早発症・遅発症「思春期が早い?遅い?治療が必要なの?」」
- 東京慈恵会医科大学 小児科学講座「低身長」
- 日本小児内分泌学会「成長評価用チャート・体格指数計算ファイル ダウンロードサイト」
- ノビケア「お問い合わせ」