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いびき・睡眠時無呼吸と子どもの身長:扁桃・アデノイドの治療後の伸び
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
子どもの睡眠時無呼吸は、扁桃やアデノイドが大きいことが主な原因で、体重や身長の伸びが悪くなる一因になることがあります。手術のあとに身長や体重、成長に関わるホルモン(IGF-1)の値が上がったという研究はありますが、伸び方には個人差があり、短い期間の比べ方でははっきりした差が出なかった試験もあります。治療の前後で成長曲線をつけ、治療したあとの伸びも主治医と確かめていきましょう。
子どもの睡眠時無呼吸は、どんなときに疑う?
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、子どもの睡眠時無呼吸の原因として、アデノイドや扁桃が大きいこと、鼻づまり、肥満を挙げています。空気の通り道が狭くなり、空気が無理に通ることで、いびきや無呼吸が起こります。
同じ学会は、次のような様子を挙げています。診察では、鼻からの内視鏡、アデノイドを見るエックス線写真、夜間に血液中の酸素の量を測る検査、寝ているときの動画などを使って確かめます。
- 大きないびきをかく
- 呼吸が止まっているように見える
- 口をぽかんと開けて寝ている
- 夜中に目を覚ますことが多く、昼間ぼーっとしている
出典 [2]
どんな治療がある?
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、まずアレルギー性鼻炎の治療や飲み薬、こまめな鼻水の吸引などを行い、無呼吸がみられる場合はアデノイドの切除や扁桃の摘出を行うとしています。手術は全身麻酔で、およそ1週間の入院が必要とされています。手術のあとは、いびきや無呼吸の症状は大きく改善するとしています。
米国小児科学会の診療ガイドライン(2012年)も、扁桃やアデノイドが大きい子では、手術を最初に考える治療としています。手術をしない場合や、手術のあとも無呼吸が残る場合には、鼻から空気を送る器械(CPAP)を使うこと、体重が多い子では減量をあわせて行うこと、軽い場合には鼻に使うステロイド薬も選択肢になることを示しています。どの治療を選ぶかは、症状の重さや年齢によって、耳鼻咽喉科や小児科の医師が判断します。
5〜9歳の464人を対象にした米国の試験(Childhood Adenotonsillectomy Trial)では、早めに手術をした群と、手術をせずに経過をみた群を7か月後に比べました。注意力などのテストの点数には差が出ませんでしたが、いびきなどの症状、ふだんの行動、生活の質、睡眠の検査の結果は、手術をした群のほうがよくなっていました。睡眠の検査が正常になった割合は、手術をした群で79%、経過をみた群で46%でした。
手術のあと、身長の伸びは変わる?
先ほどの研究のまとめでは、手術の前後で、年齢と性別を考えた身長の値(10研究・363人)と体重の値(11研究・390人)が、どちらも上がっていました。成長ホルモンの働きを反映するIGF-1とIGFBP-3の値(7研究・177人)も上がっていました。ただし、これらは手術を受けた子の前後を比べた観察研究で、比べる相手のいない研究が中心です。
2024年に出た別の研究のまとめ(26研究・1,331人)でも、睡眠の検査で診断された子が手術を受けたあと、IGF-1の値が上がっていました。IGF-1は成長ホルモンの働きを調べる血液検査にも使われるため、無呼吸がある間に測った値は、治療のあとに変わる可能性があります。IGF-1については「IGF-1(ソマトメジンC)とは?」のコラムで説明しています。
一方、5〜9歳の464人を、早めに手術をする群と、手術をせずに経過をみる群に分けた米国の試験では、7か月後の身長の伸びに、二つの群ではっきりした差は出ませんでした。手術をした群だけを見ると、年齢を考えた身長の値は少し上がっていました。著者らは、身長は体重より変わるのに時間がかかるため、観察が7か月と短かったことも理由になりうるとしています。
つまり、無呼吸の治療で体重や成長に関わるホルモンの値がよくなることはありますが、身長がどのくらい伸びるかは子どもによって違い、すぐに分かるものでもありません。治療のあと1年ほどの伸びを、成長曲線で見ていくことが大切です。
手術のあと、体重で気をつけることは?
同じ試験では、手術をした群の体重の増え方が、経過をみた群より大きくなっていました。もともと体重が多めだった子のうち、7か月で肥満になった割合は、手術をした群で52%、経過をみた群で21%でした。一方、手術の前にやせていた子では、手術をした7人全員で体重の値が上がり、ふつうの範囲に入っていました。
著者らは、手術のあとは体重の変化を見守り、食事の相談や体を動かすことをすすめるよう提案しています。体重が増えすぎると、無呼吸がまた起こりやすくなることもあるためです。やせていた子にとっては体重が増えることは望ましい変化ですが、体重が多めの子では、食事やおやつの量を見直すきっかけにしましょう。
治療の前後で、どんな記録をとっておくとよい?
治療の前から身長と体重を成長曲線につけておくと、治療のあとの変化が分かりやすくなります。いびきや呼吸の止まりの様子は、スマートフォンで短い動画を撮っておくと、診察のときに役立ちます。
米国小児科学会のガイドラインは、手術のあとにも状態を確かめ、症状が残る場合は検査をして次の治療を考えるとしています。いびきが戻ってきた、昼間の眠気が続く、といった変化があれば、手術を受けた医療機関に伝えましょう。
無呼吸がよくなったのに身長の伸びが戻らない場合は、ほかの原因が隠れていないかを小児科で確かめることも大切です。身長の伸びの見方は、「1年で4cmしか伸びないのは少ない?」のコラムでも説明しています。
低身長の相談では、睡眠の様子も伝えたほうがよい?
2009年の研究のまとめは、成長が思わしくない子を診るときや専門の医療機関へ紹介するときに、扁桃やアデノイドが大きいことによる睡眠中の呼吸の障害も考えに入れるよう、かかりつけ医や専門医に提案しています。
身長の相談をするときは、身長と体重の記録に加えて、いびきの有無、寝ているときの呼吸の様子、夜中に目を覚ます回数、朝の機嫌や昼間の眠気なども伝えましょう。睡眠の様子は、医師が原因を考えるための大切な手がかりになります。
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いびき・睡眠時無呼吸と身長についてよくある質問
Q. 扁桃やアデノイドの手術をすれば、背は高くなりますか?
A. 手術の目的は、眠っている間の呼吸を楽にすることです。手術のあとに身長の値が上がったという研究はありますが、すべての子で同じように伸びるわけではありません。身長の見通しは、成長曲線をもとに主治医に確認しましょう。
Q. いびきをかくだけで、手術が必要になりますか?
A. いびきがあっても、無呼吸の程度や年齢、鼻の状態によって、薬などで様子をみることもあります。手術をするかどうかは、検査の結果をふまえて耳鼻咽喉科の医師が判断します。
Q. 体重が多めの子にも、いびきは起こりますか?
A. 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、肥満も子どもの睡眠時無呼吸の原因の一つに挙げています。扁桃やアデノイドの治療とあわせて、体重のことも小児科で相談するとよいでしょう。
まとめ
子どもの睡眠時無呼吸は、扁桃やアデノイドが大きいことが主な原因で、成長に影響することがあります。治療のあとに身長や体重がよくなったという研究はありますが、伸び方には個人差があり、治療後も成長曲線で見ていくことが大切です。大きないびきや呼吸の止まりが気になるときは、小児科や耳鼻咽喉科に相談してください。身長の伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で、成長の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。
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公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- Archives of Disease in Childhood「Growth and growth biomarker changes after adenotonsillectomy: systematic review and meta-analysis」(Bonuck KA ほか、2009年、観察研究20件、PubMed)
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「睡眠時無呼吸」(子どものみみ・はな・のどの病気Q&A)
- Pediatrics「Diagnosis and management of childhood obstructive sleep apnea syndrome」(米国小児科学会の診療ガイドライン、Marcus CL ほか、2012年、PubMed)
- New England Journal of Medicine「A randomized trial of adenotonsillectomy for childhood sleep apnea」(Marcus CL ほか、2013年、Childhood Adenotonsillectomy Trial、PMC)
- Pediatrics「Growth after adenotonsillectomy for obstructive sleep apnea: an RCT」(Katz ES ほか、2014年、Childhood Adenotonsillectomy Trial の5〜9歳464人、PMC)
- Laryngoscope「Serum Biomarkers after Adenotonsillectomy for Pediatric OSA: A Systematic Review and Meta-Analysis」(Ding Y ほか、2024年、26研究・1,331人、PubMed)
- ノビケア「お問い合わせ」