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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約6分
1型糖尿病と子どもの身長:血糖の管理と成長の関係
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
1型糖尿病の子でも、インスリン治療で血糖の状態が安定していれば、多くはふつうの速さで伸び、大人の身長もほぼ平均の範囲になるとされています。一方、血糖の高い状態が続くと、伸びが落ちることがあります。伸びが落ちたときは、血糖の管理に加えて、甲状腺の病気など合併しやすい病気がないかを主治医と確かめましょう。
1型糖尿病とは?
日本小児内分泌学会は、1型糖尿病を、自己免疫やウイルス感染が関係して、すい臓のインスリンを作る細胞が壊れる病気と説明しています。数日から数週で急に発症し、のどの渇き、水をたくさん飲む、尿が多い、体重が減るなどの症状がみられます。治療の中心は、家庭でのインスリン注射と血糖の自己測定です。
小児慢性特定疾病情報センターによると、日本の0〜14歳の発症は、年に10万人あたり1.4〜2.2人です。外来では定期的に身体計測を行い、成長曲線に記録して身長と体重の変化を確かめることが、診療の一部として挙げられています。
血糖の管理と身長の伸びは、どう関係する?
国際小児思春期糖尿病学会(ISPAD)の指針(2022年)は、インスリンが成長ホルモンとIGF-1(成長ホルモンの働きを伝える物質)の働きを保つうえで大切な役割を持つと説明しています。血糖の管理がうまくいっていない子では身長の伸びが落ち、管理が良好な子はふつうの速さで成長するとされています。
同じ指針は、血糖の高い状態が伸びに与える影響は、もともとインスリンが効きにくくなる思春期に強まるとしています。また、インスリンポンプや1日3回より多い注射など、今の治療を受けている子の多くは、ふつうに成長すると述べています。
出典 [3]
大人の身長について、どんなことが分かっている?
ドイツとオーストリアの専門施設の記録をまとめた研究(J Pediatr、2012年)では、1型糖尿病の子22,651人の診断時の身長は平均+0.22SDで、平均よりやや高めでした。11歳より前に発症した1,685人の大人の身長は平均−0.16SDで、平均に近い値でした。一方で、大人の身長は、HbA1c(1〜2か月の血糖の平均を表す値)が高いほど、また糖尿病の期間が長いほど低い傾向がありました。
25の研究をまとめた解析(Hormones、2024年)では、大人の身長の平均は−0.20SDで、わずかに低めでした。この解析では、HbA1cや発症年齢と大人の身長の関係ははっきりせず、さらに研究が必要とされています。研究によって結果には幅があり、個々の子の見通しは、成長曲線と両親の身長をふまえて考えます。
伸びがとくに悪くなるのは、どんなとき?
ISPADの指針は、血糖の高い状態が長く続く子に、まれに「モーリアック症候群」が起こることがあると説明しています。伸びが悪くなる、肝臓が大きくなる、思春期が遅れる、といった特徴があり、今でも新たな報告があります。インスリンが足りていない状態や、腸の病気がかくれていないかも確かめるべきとされています。
インスリンの注射を忘れがちになる、体重が増えない、といったことが続くときは、責めるのではなく、困っていることを主治医や看護師、栄養士と一緒に整理しましょう。日本内分泌学会は、思春期は心身ともに不安定になりやすく、本人による自己管理へ移っていく時期であり、支えが大切だとしています。
伸びが落ちたときは、ほかにどんな病気を確かめる?
1型糖尿病の子は、ほかの自己免疫の病気を合併しやすいことが知られています。ISPADの指針によると、いちばん多いのは自己免疫による甲状腺の病気で、1型糖尿病の子の3〜8%にみられます。甲状腺ホルモンが足りなくなると、首の腫れ、伸びの低下、疲れやすさ、寒がりなどがみられます。
指針は、診断後に体調が落ち着いたら甲状腺の検査を行い、その後は症状がなければ2年ごと、抗体が陽性の場合や家族に甲状腺の病気がある場合は毎年、TSHを調べるよう勧めています。伸びが落ちたときは、時期を待たずに調べるとされています。
また、セリアック病(小麦などに含まれるたんぱく質で腸に炎症が起こる病気)も合併しやすい病気として挙げられ、診断から1年以内と、その後2〜5年ごとの検査が勧められています。原因のはっきりしない伸びの低下は、症状の一つとされています。日本での頻度や検査の進め方は、主治医に確認してください。
食事を減らすと、背が伸びにくくなる?
日本小児内分泌学会は、年齢にあわせた摂取カロリーで規則正しい食事をしていれば、厳しい食事療法は必要なく、運動の制限もないと説明しています。小児慢性特定疾病情報センターも、制限ではなく、栄養のバランスがとれた規則正しい食生活が大切だとしています。
血糖を下げようとして、自己判断で食事の量を減らすと、成長に必要なエネルギーやたんぱく質が足りなくなるおそれがあります。食事とインスリンの量の合わせ方は、主治医や栄養士と相談しながら決めましょう。
成長ホルモン治療は受けられる?
1型糖尿病そのものは、成長ホルモン治療が保険で認められている病気には含まれていません。一方で、くわしく調べて成長ホルモン分泌不全性低身長症など承認された病気が見つかれば、治療を検討することがあります。
成長ホルモンにはインスリンの働きを弱める作用があります。成長ホルモン製剤の添付文書は、糖尿病のある人では、治療を始める前に血糖や糖尿病の合併症をコントロールしておき、治療中も血糖やHbA1cを定期的に測るよう求めています。血糖が悪くなった場合は、量を減らす、一時的に中止するなどの対応がとられます。治療を考えるときは、糖尿病の主治医と成長の専門の医師が連携して判断します。
身長の記録は、どのようにつける?
ISPADの指針は、年齢に合った基準を使い、両親の身長も考えに入れて、身長・体重と体の発達を定期的に確かめることが、1型糖尿病の子の診療に欠かせないとしています。外来で測った身長と体重は、HbA1cの値とあわせて記録しておくと、伸びが落ちた時期と血糖の状態の関係が分かりやすくなります。
診断の前の身長も大切な手がかりです。母子健康手帳や学校の記録から、発症前の身長も成長曲線に書き込んでおきましょう。
すぐに受診が必要なのは、どんなとき?
何度も吐く、おなかが強く痛む、呼吸が速く深い、ぼんやりしている、といった症状は、血糖が高い状態が続いて体が酸性に傾く危険な状態のことがあります。冷や汗やふるえ、意識がおかしい、けいれんがあるときは、低血糖のおそれがあります。このようなときは、主治医から受けている指示に従い、すぐに119番や救急医療機関に連絡してください。
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1型糖尿病と身長についてよくある質問
Q. 診断されてから、同級生との身長の差が開いてきた気がします。
A. 診断のころは体重が減っていることも多く、治療で体調が戻るまでの伸び方には個人差があります。成長曲線に記録して、それまでの線から離れて下がっていないかを主治医と確かめましょう。
Q. インスリンポンプにすると、背が伸びやすくなりますか?
A. ISPADの指針は、ポンプや頻回注射など今の治療を受けている子の多くは、ふつうに成長するとしています。治療の方法は、身長だけでなく、暮らし方や血糖の安定をふまえて主治医と選びます。
Q. 思春期になったら、身長に影響が出やすいですか?
A. 思春期はインスリンが効きにくくなる時期で、血糖の高い状態が伸びに与える影響が強まるとされています。この時期は、血糖の記録とあわせて身長の記録も続けておきましょう。
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まとめ
1型糖尿病の子は、血糖の状態が安定していれば多くはふつうに成長しますが、高い状態が続くと伸びが落ちることがあります。伸びが落ちたときは、血糖の管理とあわせて、甲状腺の病気などがないかを確かめましょう。身長の記録の見方で迷うときは、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)でご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。糖尿病の治療や検査については、主治医の指示を優先してください。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 日本小児内分泌学会「糖尿病」
- 小児慢性特定疾病情報センター「1型糖尿病 概要」
- Pediatric Diabetes「ISPAD Clinical Practice Consensus Guidelines 2022: Other complications and associated conditions in children and adolescents with type 1 diabetes」(国際小児思春期糖尿病学会、PubMed)
- Journal of Pediatrics「Growth in children and adolescents with type 1 diabetes」(Bonfig W ほか、2012年、ドイツ・オーストリアの22,651人、PubMed)
- Hormones「Final height in children and adolescents with type 1 diabetes mellitus: A systematic review and meta-analysis」(Hovsepian S ほか、2024年、25研究、PubMed)
- 日本内分泌学会「小児1型糖尿病」(一般の皆様へ)
- 小児慢性特定疾病情報センター「橋本病 概要」
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- PMDA「ノルディトロピン フレックスプロ注 添付文書」(2025年9月改訂 第3版)
- 日本小児内分泌学会「成長評価用チャート・体格指数計算ファイル ダウンロードサイト」
- ノビケア「お問い合わせ」