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成長期・思春期・骨端線読む時間 約6分
声変わりが始まったのに背が伸びない:思春期の伸びが来る順番と、受診の目安
公開日:2026年10月5日 更新日:2026年10月5日
男の子の思春期は精巣が大きくなることから始まり、声変わりはその1〜2年後に見られることが多い変化です。日本の研究では、声変わりの始まりは身長の伸びがピークになる時期と近いと推定されています。「声変わりしたのにまだ伸びない」と感じるときは、伸びの山がいま来ているのか、すでに過ぎかけているのか、伸びそのものが小さいのかを記録で見分けることが大切です。背が低めで伸びも小さいときは、早めに相談しましょう。
男の子の思春期は、どんな順番で進む?
あいち小児保健医療総合センターは、男の子の思春期は精巣が大きくなることから始まり、平均11歳半ごろから見られると説明しています。声変わりは13歳ごろで、思春期に入って1〜2年たってから見られることが多いとしています。
日本大学医学部附属板橋病院の解説では、精巣の発達は通常10歳後半から11歳、陰毛やわき毛は12歳半から13歳、声変わりやひげは13歳から14歳が目安とされています。
最初の変化である精巣の大きくなりは、外から見て気づきにくいものです。そのため、家族が「思春期が始まった」と気づくのは、声変わりのころになりやすいといえます。精巣の大きさの目安は「男の子の思春期は精巣の大きさで始まる」のコラムで説明しています。
声変わりと身長の伸びのピークは、どちらが先?
杏林大学の研究者による報告(小児耳鼻咽喉科誌、2023年)は、子どもと大人の声帯の長さから、男の子の声変わりが始まる年齢を12.83歳と推定しました。これは、佐賀県小城市の縦断的な身長の記録から求められた、男の子の伸びがピークになる年齢(平均12.89歳)とほぼ同じでした。報告は、男の子の声変わりの始まりは伸びのピークに合わせて起こることを示唆するとし、過去の報告にも、声変わりの初めのころは身長の伸びが著しい時期に一致するという記述があると紹介しています。ただし、計算による推定で、実際の声の変化を測ったものではないとしています。
日本小児内分泌学会の1992年の英文誌の研究では、男の子の伸びのピークは平均13.05歳で、平均的な時期にピークを迎えた子では、ピークのころ1年に平均9.9cm伸びていました。
一方、日本小児内分泌学会は、男の子では声変わりが始まると、その後の身長の伸びはわずかになると説明しています。二つをあわせると、声変わりに気づくころには、伸びの山の真ん中か、山を過ぎかけていることが多いと考えられます。「声変わりのあとに大きく伸びるはず」と待つより、それまでの伸びを振り返ることが大切です。
「伸びていない」と感じるのは、どんな場合がある?
声変わりが始まったのに伸びていないように見えるときは、主に次の三つの場合が考えられます。どれにあたるかは、1年ごとの伸びを並べると見当がつきやすくなります。
なお、声変わりは声がかすれる、出しにくいといった変化が少しずつ進むため、始まった時期を後からはっきり決めるのは難しいものです。始まりがもっと前だった可能性も考えておきましょう。
| 記録の様子 | 考えられること | 次に確かめること |
|---|---|---|
| 声変わりに気づく前の1〜2年で、1年の伸びが大きかった | 伸びの山をすでに過ぎかけている | 小学校高学年からの記録で、1年ごとの伸びを計算する |
| 声変わりに気づいたばかりで、ここ数か月の伸びが小さい | 測り方の誤差や、伸びの山に入る途中 | 同じ条件で測り、半年から1年の間隔で比べる |
| 何年も伸びが小さいままで、身長も低め | 伸びそのものが小さく、原因を確かめたい | 記録を持って小児科で相談する |
出典 [6]
記録では、どこを見ればよい?
国立保健医療科学院に掲載された成長曲線の実践ガイドは、思春期に向けて1年の伸びが少しずつ小さくなる時期(prepubertal dip)があり、思春期に入ると伸びが速くなり、始まってから1〜2年でピークを迎え、そのあと伸びは小さくなって止まると説明しています。
学校の健康診断の記録を小学4年生ごろから並べ、前の年との差を出してみましょう。測った間隔が1年でないときは、「伸び(cm)÷ あいだの月数 × 12」で1年あたりに直します。1年の伸びがいったん大きくなった年があれば、そこが伸びの山だった可能性があります。
数か月ごとの差は、測り方の誤差の影響を大きく受けます。家で測った値と学校の値を混ぜず、半年から1年の間隔で比べましょう。声変わり、ひげ、わき毛に気づいた時期もメモしておくと、医師が思春期の進み具合を考える手がかりになります。計算のしかたは「成長速度曲線とは?」のコラムでくわしく説明しています。
受診を考えたいのは、どんなとき?
次のような様子があるときは、記録を持って小児科で相談しましょう。
- 身長が成長曲線の−2SDの線より低い、または線を横切って下がってきている
- 声変わりなど思春期の変化があるのに、1年の伸びが小学生のころと変わらないか、それより小さい
- 思春期の変化が始まったのに、途中で止まっているように見える
- 体重が減ってきた、疲れやすいなど、体調の変化がある
- 本人が身長のことをとても気にしている
声変わりのあとでも、相談する意味はある?
声変わりが始まっても、すぐに身長が止まるわけではありません。身長の伸びが最終的に止まるのは、骨の端にある成長板(骨端線)が閉じたときです。日本小児内分泌学会は、骨端線はふつう思春期の後半に閉じ、閉じたあとは成長ホルモンが働いても骨は長さの方向に伸びなくなると説明しています。
つまり、声変わりのころは、残りの伸びを確かめられる時間が限られてくる時期でもあります。背の低さが気になるなら、声変わりに気づいた時点で一度相談しておくと、骨年齢などで残りの伸びの見通しを医師と確かめることができます。声変わりのあとの伸びについては「声変わりのあと身長はどのくらい伸びる?」のコラムで説明しています。
出典 [8]
本人には、どう声をかける?
この時期の男の子は、友だちとの身長の差をとても気にしていても、家族には言わないことがあります。「声変わりしたのにまだ背が伸びないね」と体の変化を話題にされることを嫌がる子も多いため、言葉を選びましょう。
受診をすすめるときは、「背のことで気になっているなら、今どのくらい伸びる時期なのか、専門の先生に確かめてみよう」と、本人の気持ちに沿った理由を伝えます。決めるのは本人と家族で、確かめるだけでもよいと伝えると、受診への抵抗が小さくなります。
どこに相談すればよい?
まずはかかりつけの小児科で相談し、必要に応じて小児内分泌の専門医を紹介してもらいましょう。中学生の相談先は「中学生・高校生の身長の悩みは何科に相談する?」のコラムでまとめています。
ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)でも、お手元の身長の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。予約は公式LINEから受け付けています。ノビケアでは骨年齢のエックス線検査は行っていないため、必要な場合は対面の医療機関をご紹介します。
出典 [9]
声変わりと身長の伸びについてよくある質問
Q. 声変わりが終わったら、もう背は伸びませんか?
A. 声変わりが終わったころでも、少しずつ伸びが続く子はいます。どのくらい残っているかは骨端線の状態によるため、気になるときは医療機関で確かめましょう。
Q. 父親も高校生になってから背が伸びたそうです。
A. 思春期の時期には家族で似る傾向があり、大切な手がかりになります。ただ、声変わりがすでに始まっているなら、思春期は進んでいると考えられます。家族の話とあわせて、本人の記録を見てもらいましょう。
Q. 牛乳やサプリで、伸びの山を大きくできますか?
A. 特定の食品やサプリで身長が伸びることを示した学会や公的機関の資料は見当たりません。主食・主菜・副菜をそろえた食事と十分な睡眠を続けましょう。サプリについては「身長を伸ばすサプリは効く?」のコラムで説明しています。
まとめ
男の子の声変わりは思春期の後半に近い変化で、始まりは身長の伸びのピークと近い時期と推定されています。声変わりに気づいてから大きな伸びを待つより、それまでの1年ごとの伸びを振り返り、背が低めで伸びも小さいときは、骨端線が閉じる前に小児科で相談しましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- あいち小児保健医療総合センター「思春期早発症・遅発症「思春期が早い?遅い?治療が必要なの?」」
- 日本大学医学部附属板橋病院「思春期早発症」
- 小児耳鼻咽喉科「小児と成人の声帯長から推定した変声開始年齢」(44巻1号、2023年、J-STAGE、PDF)
- Clinical Pediatric Endocrinology「Longitudinal Standards for Height and Height Velocity for Japanese Children from Birth to Maturity」(Suwa S ほか、1992年、6〜17歳の男子439人・女子483人の記録、J-STAGE)
- 日本小児内分泌学会「低身長」
- 国立保健医療科学院掲載「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」(令和3年3月、厚生労働行政推進調査事業、PDF)
- こども家庭庁掲載「乳幼児身体発育評価マニュアル」(令和3年3月改訂、PDF)
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- ノビケア「お問い合わせ」
- Italian Journal of Pediatrics「Current clinical management of constitutional delay of growth and puberty」(Gaudino R ほか、2022年、体質性思春期遅発症の総説、PMC)