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「親の自分に似て背が低い」と責めてしまうとき:遺伝の考え方と気持ちの整理
公開日:2026年10月5日 更新日:2026年10月5日
子どもの身長は親から受け継ぐ体質の影響を受けますが、それは親が何かを「してしまった」結果ではありません。身長には数百の遺伝的な違いが少しずつ関わり、どの組み合わせを受け継ぐかは誰にも選べません。自分を責める気持ちが出てきたら、まずお子さん自身の伸び方を記録で確かめ、気になることは医師に相談しましょう。気持ちがつらいときは、身長の相談とは別に、話を聞いてもらえる窓口もあります。
「自分のせい」と感じてしまうのは、めずらしいこと?
小柄な親ほど、子どもの背が低めだと分かったときに「自分に似てしまった」「申し訳ない」と感じることがあります。健診や学校の測定のたびに、その気持ちがよみがえるという方もいます。子どものことを大切に思うからこそ出てくる気持ちで、めずらしいことではありません。
ただ、自分を責める気持ちが強いと、子どもの身長の話題を避けてしまったり、反対に焦って情報を集めすぎたりすることがあります。厚生労働省の家族向けのサイトは、子どもを支えるためには保護者自身の健康も大切だとしています。まずは気持ちと事実を分けて考えてみましょう。
出典 [1]
身長の遺伝は、親が「渡してしまった」ものなの?
理化学研究所などが日本人約19万人の遺伝情報を調べた研究(2019年)では、身長に関わる573の遺伝的な違いが見つかりました。一つひとつの影響は小さく、たくさんの違いが少しずつ積み重なって、その人の身長の傾向がつくられると考えられています。
子どもは両親それぞれから半分ずつ遺伝情報を受け継ぎますが、どの組み合わせが子どもに伝わるかは偶然で決まり、親が選ぶことはできません。同じ両親から生まれたきょうだいで身長が違うのも、このためです。
「身長の8割は遺伝」という数字もよく聞きます。これは主に欧米の双子の研究をもとに、たくさんの人のあいだの身長の差のうち、どのくらいが遺伝の違いで説明できるかを示したものです。一人の子どもの身長の8割が親で決まる、という意味ではありません。
出典 [2]
子どもの身長は、遺伝だけで決まる?
日本小児内分泌学会は、子どもの身長が低い原因の多くは、両親も背が低いなどの遺伝や体質によるものだと説明しています。一方で、身長には生まれてからの栄養や睡眠、病気の有無なども関わります。
両親の身長から大人の身長の目安を出す方法もありますが、日本の子ども向けの論文では、目安の幅を男の子で上下9cm、女の子で上下8cmととっています。幅がこれだけ広いことからも、親の身長だけで子どもの身長が決まるわけではないことが分かります。目安の出し方は「両親の身長から子どもの最終身長を予測する計算式は?」のコラムで説明しています。
家族に似て小柄なのは、病気なの?
家族に背の低い人がいて、子どもも同じように低めに育つ状態は「家族性低身長」と呼ばれ、病気ではなく体質と考えられています。成長曲線の線に沿って毎年伸びていくことが多いとされます。
小柄であること自体は、親の失敗でも子どもの欠点でもありません。大人になってからの生活について分かっていることは「低身長は大人になってから困る?」のコラムで、家族性低身長の見方は「家族性低身長とは?」のコラムでくわしく紹介しています。
出典 [5]
親から受け継ぐ体質の変化が見つかることはある?
まれに、親から子へ受け継がれる遺伝子の変化が、低身長の原因になっていることがあります。日本小児内分泌学会の指針は、SHOX遺伝子の異常が親から受け継がれることがあり、腕やすねが短めといった体のつり合いが、見つけるきっかけになるとしています。
こうした変化は、誰かが何かをしたから起こるものではありません。原因が分かると、保険診療で治療を検討できるなど、その後の見通しが立てやすくなることもあります。
遺伝のことで不安や悩みが強いときは、遺伝カウンセリングという相談の場があります。日本遺伝カウンセリング学会は、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーが、科学的根拠にもとづく情報を分かりやすく伝え、心理面や社会面も含めて支援するとしています。必要かどうかは、まず主治医に相談してください。
子どもの前で、どんな言葉に気をつける?
親が「ごめんね、お母さんに似ちゃって」「うちは背が低い家系だから」と口にすると、子どもは、自分の背が低いことは謝らなければいけない悪いことなのだと受け取ることがあります。親の申し訳なさが、そのまま子どもに伝わってしまうこともあります。
身長の話をするときは、事実を落ち着いて伝え、身長以外のよいところにも目を向けるようにしましょう。たとえば次のような言い方が考えられます。
- 「背の伸び方は人によって違うよ。毎年ちゃんと伸びているか、一緒に見ていこうね」
- 「お父さんも子どものころは小さいほうだったよ。気になることがあったら教えてね」
- 「背のことで困っていることがあったら、お医者さんに聞いてみることもできるよ」
自分を責める気持ちが続くときは?
気持ちが整理できないときは、頭の中にある心配を紙に書き出してみると、「事実として分かっていること」と「想像して不安になっていること」が分けやすくなります。パートナーや家族と、責める・責められるではなく、これからできることを話し合うのもよい方法です。
身長に限らず、子育ての悩みを誰かに聞いてもらいたいときは、市区町村のこども家庭センターなどの相談窓口が利用できます。眠れない日が続く、気分の落ち込みが長く続くといったときは、保護者自身がかかりつけの医師などに相談してください。
パートナーや家族とは、どう話す?
小柄な親が自分を責めているとき、もう一方の親は「気にしすぎ」と言ってしまいがちです。励ますつもりでも、気持ちを打ち消されたように感じることがあります。まずは「そう思ってしまうんだね」と受け止めてもらえると、気持ちが落ち着きやすくなります。
反対に、背の高いほうの親が「自分に似ればよかったのに」と口にすると、小柄な親が傷つくこともあります。身長の話は、どちらに似たかではなく、子どもの今の伸び方と、これから家族でできることに絞って話すようにしましょう。受診するかどうかで意見が分かれたときの話し合い方は「治療について夫婦で意見が分かれたら」のコラムで紹介しています。
気持ちを軽くするために、確かめておくことは?
「遺伝だから仕方ない」と思い込むと、伸び方の変化を見落とすことがあります。反対に、記録を確かめて体質の範囲だと分かれば、気持ちが落ち着くこともあります。母子手帳や学校の記録から成長曲線をつくり、次のような様子がないかを見ておきましょう。
あてはまるときや判断に迷うときは、記録を持って小児科で相談してください。ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)でも、お手元の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。予約は公式LINEから受け付けています。
- それまで沿っていた成長曲線の線を横切って、下がってきている
- 1年の伸びが、年齢の目安より小さい状態が続いている
- 両親の身長から見込まれる範囲より、明らかに低い方へ外れている
- 体重が増えない、疲れやすいなど、身長以外にも気になる変化がある
親が自分を責めてしまうときによくある質問
Q. パートナーの家族に「そちらの家系に似た」と言われてつらいです。
A. 身長には両親どちらの側の遺伝も関わり、どの組み合わせを受け継ぐかは偶然で決まります。どちらかの家系のせいと決められるものではありません。言われてつらい気持ちは、パートナーに伝えて一緒に考えてもらいましょう。
Q. 小柄な自分と結婚したことを、子どもに申し訳なく思ってしまいます。
A. 身長は多くの遺伝の違いと生活の影響が重なって決まるもので、親が選べるものではありません。過去を振り返るより、今のお子さんの伸び方を記録で確かめることが、これからできることです。
Q. 子どもが「お母さんのせいで小さい」と言ってきました。
A. まずは「背のことで嫌な思いをしたのかな」と、その言葉の裏にある気持ちを聞いてみましょう。からかわれた、比べられたなど、きっかけがあることもあります。気にしている子への声かけは「背が低いことを気にする子どもへの声かけは?」のコラムで紹介しています。
まとめ
子どもの身長は親から受け継ぐ体質の影響を受けますが、たくさんの遺伝の違いが偶然組み合わさった結果で、親の責任ではありません。自分を責める気持ちが出てきたら、お子さんの伸び方を記録で確かめ、気になることは医師に相談しましょう。気持ちがつらいときは、子育ての相談窓口も利用できます。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 厚生労働省 こころもメンテしよう「ご家族の皆さんへ」
- 理化学研究所「日本人の身長に関わる遺伝的特徴を解明-19万人の解析から日本人の身長に関わる遺伝的要因の謎に迫る-」(2019年10月2日)
- 日本小児内分泌学会「低身長」
- 日本小児内分泌学会 Clinical Pediatric Endocrinology「Target Height and Target Range for Japanese Children: Revisited」(Ogata T ほか, 2007)
- 日本大学医学部附属板橋病院「低身長症」
- 日本小児内分泌学会 SHOX異常症の診断・治療指針ワーキンググループ「SHOX異常症の診断・治療指針〜SHOX異常症に対する成長ホルモン治療の適正な使用のために〜」(PDF)
- 日本遺伝カウンセリング学会「遺伝カウンセリングQ&A」
- こども家庭庁「こども家庭センター」
- ノビケア「お問い合わせ」
- 厚生労働省 こころもメンテしよう「話を聞くときのポイント」