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低身長の基準と受診の目安読む時間 約6分
低身長は大人になってから困る?生活や健康について分かっていること
公開日:2026年10月3日 更新日:2026年10月3日
背が低いことだけで、大人になってからの生活や健康に大きな問題が起こるとは限りません。学校での友人関係を調べた研究では、身長による差はほとんど見られませんでした。一方、成長ホルモン分泌不全症などの病気が原因の場合は、大人になってからも診察を続けることが勧められています。原因によって考え方が違うことを知っておきましょう。
大人になってからの影響は、何によって違う?
日本小児内分泌学会は、子どもの身長が低い原因の多くは、両親も背が低いなど遺伝や体質によるものだと説明しています。この場合は、身長以外の体のはたらきは健康な人と変わらないことが多いと考えられています。
一方で、成長ホルモンの不足、ターナー症候群などの染色体の病気、小さく生まれたことによる低身長など、原因となる病気がある場合もあります。病気が原因の場合は、身長だけでなく、体全体の健康を大人になってからも見ていく必要があります。
このため、「大人になってから困るか」という問いには、まず原因を確かめることが出発点になります。体質による低身長と病気による低身長の違いは「低身長の種類は?」の記事で説明しています。
出典 [1]
健康や病気のなりやすさとの関係は?
約108万人のデータをまとめた国際的な解析では、身長が高い人ほど心臓や血管の病気による死亡が少ない一方、がんによる死亡はやや多い傾向がありました。研究者は、身長と病気の関係は病気の種類によって反対向きになると結論づけています。
遺伝子の情報を使った研究では、遺伝的に身長が低いほど冠動脈の病気(狭心症や心筋梗塞など)になりやすい傾向があり、その一部はコレステロールなどの値で説明できると報告されています。
これらの研究(2012年の国際共同解析、2015年のNew England Journal of Medicine誌の報告)は、いずれも大人の集団の平均を見たもので、一人ひとりの病気のなりやすさを予測するものではありません。
病気が原因の低身長では、大人になってから何に気をつける?
成長ホルモン分泌不全症は、大人になってからも続く場合があります。日本内分泌学会は、大人の成長ホルモン分泌不全症では、生活の質の低下、体脂肪の増加、筋肉や骨の量の減少、血中の脂質が高くなるなどの変化が起こることがあり、子どものころに成長障害で成長ホルモン治療を受けた人に多いと説明しています。
米国内分泌学会の診療ガイドラインでは、子どものころの成長ホルモン分泌不全症が大人になっても続いているかは、原則として分泌刺激試験で確かめる必要があるとしています。遺伝子や脳の構造の異常がはっきりしている場合は除かれます。
日本小児内分泌学会の提言は、子どものころに始まった内分泌の病気のほとんどは、大人になっても診療が必要だとしています。小さく生まれた人では大人になってから心臓や血管の病気、高血圧、糖尿病になりやすいという日本の研究もあります。ターナー症候群などの病気では、女性ホルモンの治療や合併症の確認を続けます。
子どもの診療から大人の診療へは、どう移る?
日本小児内分泌学会は、子どもの診療から大人の診療へ計画的に移っていく時期の医療を「移行期医療」と呼び、単に診療科を変えることとは違うと説明しています。思春期から若年期に、医療の管理の主体を保護者から本人へ移していくための準備が大切だとしています。
移り方には、大人の診療科に完全に移る、子どもと大人の診療科で一緒に診る、小児科が診続ける、といったいくつかの形があります。本人が自分の病気や薬について説明できるよう、中高生のうちから少しずつ練習しておくとよいでしょう。
成長ホルモン治療などを終えるときは、今後どこで、どのくらいの間隔で診てもらうのかを主治医と確認しておきましょう。これまでの検査結果や成長曲線の写しを受け取っておくと、大人の診療科に移るときや、引っ越しなどで医療機関が変わるときに役立ちます。
出典 [8]
子どものうちに、家庭でできることは?
身長のことでからかわれる、自信をなくしているといった様子があれば、まずは話を聞きましょう。困りごとが友人関係や学校生活にある場合は、担任や養護教諭に相談することもできます。
身長以外の得意なことや好きなことを認める声かけは、どの子にとっても支えになります。「背が伸びれば解決する」と大人が伝え続けると、本人がかえって身長を気にすることもあります。
医療の面では、成長の記録を残し、伸び方に変化があれば早めに相談することが基本です。原因となる病気がない低身長に成長ホルモンを使うことは適応外使用で、日本小児内分泌学会は、成長ホルモンの分泌不全がない成人への治療の安全性や有用性について、臨床試験による十分な根拠は示されていないとしています。治療をしない場合の見通しは「成長ホルモン治療をしなかったらどうなる?」の記事で説明しています。
出典 [10]
相談したいときは?
背の低さが体質によるものか、病気によるものかは、成長の記録と診察で確かめることから始まります。原因が分かると、大人になってからのことも具体的に考えやすくなります。
身長の伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話、0円)で、記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEから受け付けています。
出典 [11]
大人になってからの低身長についてよくある質問
Q. 背が低いと、大人になって病気になりやすいのですか?
A. 集団の平均で見ると、心臓や血管の病気がわずかに多い一方、がんはやや少ないといった報告があります。差は小さく、生活習慣や健診のほうが身近な対策になります。
Q. 子どものころ成長ホルモン治療を受けていました。大人になってからも受診が必要ですか?
A. 原因によって違います。成長ホルモン分泌不全症の一部は大人になっても続くため、治療をやめる時期に、今後の受診について主治医と確認しておきましょう。
Q. 子どもが身長のことで落ち込んでいます。どうすればよいですか?
A. まずは気持ちを聞きましょう。落ち込みが続く、学校に行きにくいなどの様子があれば、小児科やスクールカウンセラーに相談してください。
まとめ
体質による低身長では、大人になってからの生活や健康への影響は大きくないことが多いと考えられています。病気が原因の場合は、大人になってからも診療を続けることが勧められています。まずは原因を確かめ、子どもの気持ちを聞きながら、必要な相談につなげましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 日本小児内分泌学会「低身長」
- Pediatrics「Height and social adjustment: are extremes a cause for concern and action?」(2004年、PubMed)
- Pediatric Clinics of North America「Short Stature: Is It a Psychosocial Problem and Does Changing Height Matter?」(2015年、PubMed)
- International Journal of Epidemiology「Adult height and the risk of cause-specific death and vascular morbidity in 1 million people」(Emerging Risk Factors Collaboration、2012年、PubMed)
- New England Journal of Medicine「Genetically determined height and coronary artery disease」(2015年、PubMed)
- 日本内分泌学会「成人成長ホルモン(GH)分泌不全症」
- 米国内分泌学会「Evaluation and treatment of adult growth hormone deficiency: an Endocrine Society clinical practice guideline」(J Clin Endocrinol Metab、2011年、PubMed)
- 日本小児内分泌学会「小児期発症内分泌疾患の成人への移行期医療に関する提言」(PDF)
- 国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部「低出生体重による出生は心血管疾患や生活習慣病リスクを増加」(2023年)
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- ノビケア「お問い合わせ」
背が低いと、友だち関係や心の面で困る?
米国の公立学校で、6年生から12年生までの956人を対象に、身長と友人関係・周りからの評価の関係を調べた研究があります。身長が低い生徒(同じ年齢・性別の下位5%程度)と平均的な生徒を比べても、友だちの数や人気、周りからの評価に意味のある差は見られませんでした。
同じ研究では、背の低い生徒は低学年のうちは実際より年下に見られやすいことも分かりましたが、それが友人関係の評価に影響することはありませんでした。研究者は、背の低い子に友人関係の問題がある場合は、身長以外の原因を考えるべきだとしています。
成長ホルモン治療と心の面の関係を扱った総説でも、背が低いことが心理的な問題につながるという根拠には疑問が出されています。ただし、これは集団全体の傾向です。身長のことで強く悩んでいる子どももいるため、一人ひとりの気持ちを聞くことが大切です。
出典 [2] [3]