ノビケア トップ > コラム > 低身長の基準と受診の目安

低身長の基準と受診の目安読む時間 約6分

「正常範囲です」と言われたけれど心配なとき:次に確かめること

公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日

「正常範囲です」は、その時点で調べた項目が、多くの子どもが入る範囲の中にあったという意味です。将来も心配がないことまでを約束する言葉ではありません。何が範囲内だったのか(身長の位置か、伸びる速さか、検査の値か)、次にいつ何を確かめるか、どんな変化があれば早めに相談するかを確かめておくと、不安を抱えたままにせずにすみます。

「正常範囲」とは、どういう意味?

日本小児内分泌学会は、成長曲線の基準範囲とされる−2.0SDから+2.0SDの間に約95%の子どもが入り、−2.0SD以下の子どもは100人のうち2〜3人くらいだと説明しています。「正常範囲」と言われたときは、多くの場合、身長がこの範囲の中にあるという意味です。

ただし、この範囲はとても幅が広く、平均に近い子も、−1.9SDの子も同じ「範囲内」です。範囲内であることは安心材料の一つですが、その中のどのあたりにいて、どう動いてきたかで、受け止め方は変わります。SDの読み方は「SDとパーセンタイルの違いは?」のコラムで説明しています。

出典 [1]

何が「正常範囲」だったのかを確かめましょう

「正常範囲」という言葉は、身長の位置、伸びる速さ、血液検査の値、骨年齢など、いろいろな場面で使われます。何について言われたのかが分かると、次に確かめることがはっきりします。聞きそびれた場合は、次の受診で「どの項目が範囲内だったのですか」と尋ねてかまいません。

範囲内と言われた項目分かることあわせて確かめたいこと
今の身長の位置その時点で、同じ年齢・性別の子の多くと同じ範囲にいるこれまでの記録と比べて、線に沿って伸びているか
1年の伸び伸びる速さが保たれている測った間隔や、測った場所が同じか
血液検査の値調べた項目に、大きな異常は見られなかった何の病気を確かめるための検査だったか
骨年齢骨の成熟が年齢と大きくずれていない今後の伸びの見通しをどう考えるか

身長が範囲内でも、伸び方を見るのはなぜ?

成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断の手引きでは、身長が正常範囲であっても、1年の伸びが2年以上続けて標準の−1.5SD以下であることが、主な症状の一つとされています。今の高さが範囲内でも、伸びる速さが落ち続けていれば、詳しく調べる理由になるということです。

日本学校保健会のサイトは、成長曲線が基準線と基準線の間を横切って下向きになったときは異常と判断し、受診して今は問題ないと言われた場合も、成長曲線を定期的に描いて経過を見ることが重要だとしています。1回の「正常範囲」で記録をやめず、毎年の値を加えていきましょう。

出典 [2] [3]

家族の身長と比べると、どう考える?

子どもの身長は、両親の身長からある程度見込める範囲があります。範囲内の低めの位置でも、両親が小柄なら、その子にとって自然な位置であることが多いと考えられます。反対に、両親が高めなのに子どもだけが低い位置にいる場合は、見方が変わることがあります。

アメリカの家庭医向けの総説(American Family Physician誌、2015年)は、予測される身長が両親の身長から見込まれる値より大きく低い場合を、専門医に紹介する目安の一つに挙げています。日本での判断の目安は医師によって違うため、両親の身長を伝えたうえで、見込まれる範囲と比べてどうかを聞いてみましょう。計算のしかたは「両親の身長から子どもの最終身長を予測する計算式は?」のコラムで説明しています。

出典 [4]

思春期の時期によって、見え方は変わる?

小学校高学年から中学生のころは、思春期が始まる時期の違いで、身長の位置が一時的に大きく動くことがあります。あいち小児保健医療総合センターは、思春期の最初の変化は女の子で平均9歳半ごろ、男の子で平均11歳半ごろに見られるとしています。まわりが先に伸び始めると、思春期がまだの子は、範囲内でも低いほうへ下がって見えることがあります。

このため、「今は範囲内」と言われた時期が思春期の前か後かで、その後の見通しは変わります。思春期の変化に気づいたら、その時期を記録して次の受診で伝えましょう。反対に、先に紹介した米国の総説は、女の子で13歳、男の子で14歳になっても思春期が始まらない場合を、専門医への紹介の目安の一つに挙げています。思春期の時期と身長の関係は「早熟と晩熟の違いは?」のコラムで説明しています。

出典 [5] [4]

血液検査の値が基準範囲だったときは?

血液検査の基準範囲は、多くの健康な人の値をもとに決めた幅です。範囲内であれば、その項目については大きな問題が見られなかったと考えられますが、1回の検査ですべての病気が分かるわけではありません。

たとえば、成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断の手引きでは、血液中のIGF-1やIGFBP-3が低いことは参考となる所見の一つで、診断には分泌刺激試験の結果などもあわせて使われます。「今回の検査で、何の可能性が低くなったのか」「まだ確かめていないことはあるか」を聞いておくと、結果の意味がはっきりします。

出典 [2]

次の受診までに、何を決めておく?

範囲内と言われたときも、次にいつ測るか、家で何を記録するかを確かめておきましょう。経過を見るときの確認の仕方は「「様子を見ましょう」と言われたら」のコラムでくわしく説明しています。

東京慈恵会医科大学の小児科は、身長の伸びが悪くなっている場合は早めの受診を勧めています。次のような変化に気づいたときは、予定を待たずに相談してください。

出典 [6]

それでも不安が消えないときは?

不安が残っていることを、そのまま医師に伝えてかまいません。厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」は、医療従事者が今後の見通しや方針などを丁寧に説明することとしています。「なぜ範囲内と判断したのか」「どうなったら心配な状態と考えるのか」を聞くと、納得しやすくなります。検査結果の写しをもらっておくと、あとで見返すこともできます。

説明を聞いても気持ちが落ち着かないときは、別の医師の意見を聞くこともできます。進め方は「低身長の診断や治療でセカンドオピニオンを受けるには?」のコラムで説明しています。保護者自身の不安との付き合い方は「子どもの身長が気になって不安な保護者へ」のコラムも参考にしてください。

出典 [7] [8]

「正常範囲」と言われたときによくある質問

Q. 正常範囲なら、もう受診しなくてよいですか?

A. 医師から次の受診の予定を言われていなければ、学校の健康診断などで記録を続け、伸び方が変わったときに改めて相談しましょう。

Q. 本人が背の低さを気にしていて、「正常」と言われても納得していません。

A. 医学的に範囲内でも、本人の悩みは別に受け止める必要があります。気持ちを聞くことから始め、悩みが強いときは医師にもそのことを伝えましょう。

Q. 別の医療機関で、また同じ検査を受けることになりませんか?

A. 前の検査結果の写しや記録を持っていくと、くり返さずにすむことがあります。必要かどうかは受診先の医師が判断します。

まとめ

「正常範囲です」は、その時点で調べた項目が多くの子どもと同じ範囲にあったという意味で、心配を打ち消す一つの材料です。何が範囲内だったのか、伸びる速さと家族の身長からの見込みはどうか、次にいつ何を確かめるかを確認し、記録を続けましょう。記録を見ながら改めて相談したい場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)でもご相談いただけます。

出典 [9]

お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。

公式LINEで無料相談を予約する

この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. 日本小児内分泌学会「低身長」
  2. 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン(GH)分泌不全性低身長症(脳の器質的原因によるものを除く。) 診断の手引き」
  3. 日本学校保健会 学校保健ポータルサイト「3.学校での成長曲線の活用について(なぜ、なに、どうして?学校保健 第1回「成長曲線」)」
  4. American Family Physician「Evaluation of Short and Tall Stature in Children」(米国家庭医学会誌の総説、2015年)
  5. あいち小児保健医療総合センター「思春期早発症・遅発症「思春期が早い?遅い?治療が必要なの?」」
  6. 東京慈恵会医科大学 小児科学講座「低身長」
  7. 厚生労働省「診療情報の提供等に関する指針」
  8. 国立がん研究センター がん情報サービス「セカンドオピニオン」
  9. ノビケア「お問い合わせ」