ノビケア トップ > コラム > 低身長の基準と受診の目安
低身長の基準と受診の目安読む時間 約7分
背は低いけれど元気な子:様子を見てよい場合と、相談したほうがよいサイン
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
背が低くても、伸びる速さが保たれ、家族の体格や思春期の時期から説明できる子は、記録を続けながら見守ることが多くあります。ただ、元気かどうかだけでは、病気がないとは言い切れません。一度は成長曲線を医師に見てもらい、見守ってよい状態かを確かめておくと安心です。
背が低い子の多くは、病気ではない?
日本小児内分泌学会は、子どもの身長が低い原因の多くは、両親も背が低いなどの遺伝や体質によるものだと説明しています。米国家庭医学会の学会誌American Family Physicianの総説(2015年)も、背の低い子どもの多くは、家族性低身長や体質的に思春期が遅いタイプなど、ふつうの成長の幅(正常な変異)にあたるとしています。
同じ総説は、低身長で紹介された子どものうち、原因となる病気が見つかるのは一部だとしています。病気が原因の低身長は多くはありませんが、その中には治療できるものもあり、日本小児内分泌学会は、その場合は早めに治療を受けることで身長が伸びると説明しています。
「元気だから大丈夫」と言い切れないのはなぜ?
身長の伸びを落とす病気の中には、本人の元気さにあまり影響しないものがあります。日本小児内分泌学会は、成長ホルモンの不足が軽い場合、はっきりした原因がなくても身長の伸びが落ちることがあると説明しています。
甲状腺の働きが落ちる病気でみられる疲れやすさ、寒がり、動作が遅いといった症状は、ほかの理由でも起こるため、病気のサインと気づきにくいことがあります。女の子のターナー症候群のように、目立つ特徴がなく、低身長だけがきっかけで見つかる病気もあります。
元気に過ごしていることは大切な安心材料ですが、判断の決め手は、成長曲線での伸び方です。一度は記録を医師に見てもらい、「見守ってよい」と確かめてから見守るのが安心です。
見守ることが多いのは、どんなタイプ?(家族の体格に似ている場合)
家族性低身長は、家族の体格に似て背が低いタイプです。American Family Physicianの総説は、両親が小柄で、伸びる速さはふつう、骨年齢は実際の年齢と同じくらい、予想される大人の身長が両親の身長から計算した値と合っていることを特徴に挙げています。日本大学医学部附属板橋病院の解説も、両親のどちらかの身長が−1.5SD未満のときは、子どもも小さくなることが多いとしています。
両親の身長から予想される範囲と比べる方法もあります。国立保健医療科学院などの実践ガイドは、男の子は両親の身長の平均に6.5cmを足し、女の子は6.5cmを引いて予測身長を求め、子どもの今の位置がそれに比べて著しく低い場合を、医療機関への紹介の目安の一つにしています。American Family Physicianの総説も、多くの子どもの予想される大人の身長は両親の身長から計算した値の前後10cm以内に入り、それより10cm以上低い場合は病気の可能性を考えるとしています。
思春期が遅めの体質の場合は?
体質的に思春期が遅い子は、まわりが思春期の伸びに入るころに差が開き、あとから追いつくように伸びます。American Family Physicianの総説は、このタイプでは伸びる速さはふつうで、骨年齢が実際の年齢より遅れており、親も思春期が遅かったことが多く、大人の身長はふつうになるとしています。
あいち小児保健医療総合センターは、思春期遅発の多くは体質によるもので、待っていれば自然に思春期が来ると説明しています。一方で、脳下垂体や性腺の働きに問題がある病気との区別が難しいこともあり、専門医の慎重な判断が必要だとしています。過度な運動や極端な体重の減少で思春期が遅れることもあり、その場合は運動の負荷を減らしたり体重が戻ったりすると、自然に思春期が来るとしています。女の子で13歳、男の子で14歳になっても二次性徴がまったく見られない場合は、相談しましょう。
受診すると、どんなことを確かめる?
医師は、成長曲線で伸び方を確かめ、体のつり合い、思春期の進み具合、両親の身長などを診察や問診で確認します。American Family Physicianの総説は、骨年齢を実際の年齢と比べることが原因を絞り込む手がかりになるとしています。家族性低身長では骨年齢は実際の年齢と同じくらい、体質的に思春期が遅い子では遅れていることが多いとされます。
同じ総説は、原因を探る血液検査として、貧血や炎症を調べる検査、甲状腺ホルモンの検査、成長ホルモンの働きを反映するIGF-1などを挙げています。女の子では、低身長と思春期の遅れだけがターナー症候群のサインのこともあるため、染色体の検査を考えることがあるとしています。どの検査をするかは、医師が経過と診察から決めます。
出典 [2]
元気でも、相談したほうがよいサインは?
次のようなサインがあるときは、元気に過ごしていても、記録を持って小児科で相談しましょう。American Family Physicianの総説は、平均から3SD以上離れた低身長では、病気が見つかる可能性が高くなるとしています。どれにもあてはまらなくても、保護者が気になること自体が相談の理由になります。
- 身長が−2.0SD以下、とくに−2.5SDを下回っている
- 成長曲線で、身長が基準線を横切って下がってきた
- 両親の身長から予想される範囲より、著しく低い
- 体重が増えない、やせてきた、または太ってきたのに身長が伸びない
- 年齢に比べて思春期の変化が早すぎる、または遅すぎる
- 手足が胴体に比べて短いなど、体のつり合いが気になる
- 小さく生まれて、その後も身長が追いついていない
見守るあいだに、家庭でできることは?
いちばん役に立つのは、身長と体重の記録を続けることです。数か月ごとに同じ条件で測り、日本小児内分泌学会の記入用の成長曲線に書き込んでおくと、変化に早く気づけます。日本学校保健会のサイトも、今は適正な成長と判断された場合でも、その後に変化が出る可能性はあるため、定期的に曲線を描いて経過を見ることが重要だとしています。
食事や睡眠、体を動かすことは、体の健康の土台として大切です。ただし、特定の食べ物や運動で身長が伸びると約束できるものはありません。「身長を伸ばす」とうたうサプリメントについては、日本小児内分泌学会が見解を出して注意を呼びかけています。くわしくは「身長を伸ばすサプリは効く?」の記事で説明しています。
家族で決めた見直しの時期(たとえば次の健康診断のあと)に記録を見返し、伸び方が変わっていないかを確かめましょう。
本人の気持ちには、どう向き合う?
体は元気でも、背が低いことを本人が気にしていることがあります。大人が「病気じゃないから気にしなくていい」と言い切ると、気持ちを話しにくくなることもあります。何が気になっているのかを聞き、受診するかどうかも、年齢に応じて本人と話し合いましょう。声のかけ方は「背が低いことを気にする子どもへの声かけは?」の記事で説明しています。
見守ってよいかを確かめたいときは、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で、成長の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。
出典 [12]
背は低いけれど元気な子についてよくある質問
Q. 両親とも小柄です。それなら受診しなくてもよいですか?
A. 家族性低身長であることが多いですが、American Family Physicianの総説は、両親自身の低身長に病気の原因がある場合もあると指摘しています。伸び方が線に沿っているかを、一度確かめておくと安心です。
Q. 一度「体質でしょう」と言われました。もう受診しなくてよいですか?
A. 次に確かめる時期を医師に聞いておきましょう。伸びが落ちてきた、思春期の変化が気になるなどの変化があれば、予定より早く相談してください。
Q. 見守るあいだに、治療を始められる時期を逃しませんか?
A. 身長が伸びる期間には限りがあるため、記録を続け、伸び方の変化に気づいたら早めに相談することが大切です。経過の見方は「「様子を見ましょう」と言われたら、次に何を確認する?」の記事で説明しています。
出典 [2]
まとめ
背が低くても元気で、伸びる速さが保たれ、家族の体格や思春期の時期で説明できる子は、記録を続けながら見守ることが多くあります。ただし、元気さだけでは判断できないため、一度は成長曲線を医師に見てもらい、線を横切る、体重の変化、思春期の変化などのサインがあれば早めに相談しましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 日本小児内分泌学会「低身長」
- American Family Physician「Evaluation of Short and Tall Stature in Children」(米国家庭医学会誌の総説、2015年)
- 小児慢性特定疾病情報センター「21及び22に掲げるもののほか、後天性甲状腺機能低下症 診断の手引き」
- 小児慢性特定疾病情報センター「ターナー(Turner)症候群 概要」
- 日本大学医学部附属板橋病院「低身長症」
- 国立保健医療科学院掲載「乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイド」(令和3年3月、厚生労働行政推進調査事業、PDF)
- あいち小児保健医療総合センター「思春期早発症・遅発症「思春期が早い?遅い?治療が必要なの?」」
- 東京慈恵会医科大学 小児科学講座「低身長」
- 日本小児内分泌学会「成長評価用チャート・体格指数計算ファイル ダウンロードサイト」
- 日本学校保健会 学校保健ポータルサイト「3.学校での成長曲線の活用について(なぜ、なに、どうして?学校保健 第1回「成長曲線」)」
- 日本小児内分泌学会「「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解」(2025年9月8日改定)
- ノビケア「お問い合わせ」