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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約6分
ダウン症候群の子の身長は?専用の成長曲線と相談の目安
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
ダウン症候群の子は、生まれたときから小さめで、一般の子より小柄に育つことが多いとされています。そのため、一般の成長曲線では低く見えても、ダウン症候群の子どうしで比べると順調なこともあります。専用の成長曲線で伸び方を見て、線から離れて下がってきたときは、甲状腺の病気など伸びを妨げる原因がないか、主治医に相談しましょう。
ダウン症候群の子は、なぜ小柄なことが多い?
小児慢性特定疾病情報センターは、ダウン症候群を、21番染色体が1本多いことによる、頻度の高い染色体の変化の一つで、頻度は600〜800人に1人と説明しています。主な症状として、筋肉の緊張の低さや関節のやわらかさとともに「発育の遅れ」が挙げられています。
小柄であることの多くは、ダウン症候群そのものの体質によるものと考えられています。一方で、ダウン症候群の子には、心臓の病気、甲状腺の働きの異常、睡眠時の無呼吸など、体重や身長の伸びに影響しうる合併症が起こることもあります。小柄さのうち、体質で説明できる部分と、治療できる原因によるものを分けて考えることが大切です。
出典 [1]
日本のダウン症候群の子は、どのくらいの身長で育つ?
国内の研究(科学研究費による研究成果報告書)では、ダウン症候群の男の子275人、女の子219人の計測記録をもとに、成長のようすを調べています。生まれたときの平均身長は男の子47.4cm、女の子47.5cmで、全国の平均より男の子で1.9cm、女の子で1.3cm低めでした。5歳の平均身長は男の子98.0cm、女の子96.4cmでした。
同じ報告では、一般の子との身長の差は、生まれたときは2cmほどでしたが、1歳で約4cm、2歳で6〜7cmと開き、大人では男性で17.8cm、女性で15.5cm低いという結果でした。18歳以上の人の最近のデータでは、平均身長は男性152.8cm(58人)、女性142.5cm(50人)でした。これは一つの調査の平均で、一人ひとりの見込みを示すものではありません。
また、この報告では、学童期になると体重が増えやすい傾向があり、大人のBMIは一般の人より高かったとされています。同じ研究グループは、思春期の始まりや初経の時期は遅れていなかったと報告しています。
出典 [2]
専用の成長曲線は、なぜ必要?
一般の成長曲線に書き込むと、ダウン症候群の子の多くは基準の線より下に位置します。それだけでは、順調に伸びているのか、何かの理由で伸びが落ちているのかが分かりにくくなります。
米国小児科学会の健康管理の指針(2022年)は、体重・身長・頭囲を、ダウン症候群専用の成長曲線に書き込んで成長を確認するよう勧めています。BMIについては、10歳まではダウン症候群専用の曲線を使い、10歳を過ぎたら一般のBMIの曲線のほうが体脂肪の多さをよく表すとしています。米国では、637人の計測をもとにした専用の成長曲線(2015年)が作られています。
国内でも、ダウン症候群の子を対象にした成長曲線がいくつか作られてきたと報告されています。どの曲線を使うとよいか、手に入れる方法は、主治医に相談してください。一般の成長曲線もあわせて書いておくと、ほかの医療機関に相談するときに役立ちます。
伸びが落ちてきたとき、考えられる原因は?
米国小児科学会の指針は、ダウン症候群の子では甲状腺の病気が24〜50%、橋本病(自己免疫による甲状腺の炎症)が13〜39%にみられるとし、甲状腺の検査(TSH)を毎年、症状があればそれより早く行うよう勧めています。甲状腺ホルモンが足りないと、身長の伸びが落ちることがあります。くわしくは「甲状腺の病気と身長」のコラムで説明しています。
同じ指針は、セリアック病(小麦などに含まれるたんぱく質で腸に炎症が起こる病気)が1〜5%にみられるとし、下痢や長引く便秘、伸びの遅れ、貧血などの症状に注意するよう勧めています。これは米国の数字で、日本での頻度は異なる可能性があります。
このほか、心臓の病気や、乳児期の飲みの悪さ、睡眠時の無呼吸なども、体重の増え方や体調に影響することがあります。伸びが落ちたときは、合併症の治療を担当している医師にも伝えましょう。
どんなときに相談したほうがよい?
次のような様子があれば、成長の記録を持って主治医に相談しましょう。
- 専用の成長曲線で、それまで沿っていた線から離れて下がってきている
- 1年の伸びが、それまでより明らかに小さくなった
- 疲れやすい、寒がる、便秘が続く、むくみっぽいなど、甲状腺の症状が気になる
- 下痢や便秘が長く続く、おなかが張る、体重が増えない
- いびきが大きい、寝ている間に呼吸が止まるように見える
- 急に体重が増えた、または減った
出典 [3]
成長ホルモン治療はできる?
日本小児内分泌学会によると、保険で成長ホルモン治療が認められている子どもの病気は、成長ホルモン分泌不全性低身長症、ターナー症候群、SGA性低身長症など8つで、ダウン症候群そのものは含まれていません。同学会は、承認された病気以外の低身長に使うと、効果が得られないことが多く、有害なことが起こる可能性もあるとしています。
成長ホルモン製剤の添付文書には、白血病や悪性腫瘍を起こしやすい先天的な体質のある人に使う場合は、とくに注意して経過を見るよう書かれています。米国小児科学会の指針では、ダウン症候群の子の白血病はおよそ1%とされています。こうした点からも、ダウン症候群の子への成長ホルモン治療は、専門の医師と慎重に考える必要があります。
一方で、くわしく調べて、成長ホルモンの分泌不全など、別の承認された病気が見つかった場合は、その病気として治療を検討することがあります。
家庭でできることは?
健診や受診のたびに測った身長と体重を、専用の成長曲線と一般の成長曲線の両方に書き込んでおきましょう。日本小児内分泌学会は、一般の子ども向けの記入用の成長曲線を公開しています。家庭で測るときは、同じ時間帯に、同じ場所で、靴下を脱いで測ると比べやすくなります。
甲状腺の検査の結果や、心臓の病気の治療の経過、睡眠のようすも一緒にメモしておくと、伸び方の変化と体調の変化を結びつけて考えやすくなります。体重の増え方が気になるときは、BMIの変化もあわせて確かめましょう。
ダウン症候群の子の身長についてよくある質問
Q. 一般の成長曲線で−2SDより下です。病気を疑うべきですか?
A. ダウン症候群の子では、一般の曲線で低い位置にあることは珍しくありません。大切なのは、専用の曲線での位置と、伸び方が保たれているかどうかです。線から離れて下がってきたときは、主治医に相談しましょう。
Q. 体重が増えやすいと聞きました。食事を減らしたほうがよいですか?
A. 国内の報告では、学童期に体重が増えやすい傾向がみられています。ただ、成長期に食事を減らしすぎると、伸びに必要な栄養が足りなくなるおそれがあります。体重の目安は、BMIの曲線で確かめながら主治医や栄養士と相談しましょう。
Q. 何歳ごろまで伸びますか?
A. 同じ研究グループは、思春期の始まりや初経の時期は一般の子と比べて遅れていなかったと報告しています。伸びる期間の見通しは、思春期の進み方や骨の成熟をふまえて、主治医に確認してください。
出典 [2]
まとめ
ダウン症候群の子は小柄に育つことが多く、伸び方は専用の成長曲線で確かめることが勧められています。甲状腺の病気などは伸びに影響するため、定期的な検査を続け、線から離れて下がるときは主治医に相談しましょう。記録の見方で迷うときは、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)でご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。合併症の検査や治療が必要な場合は、主治医や専門の医療機関での診療をお勧めします。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 小児慢性特定疾病情報センター「ダウン(Down)症候群 概要」
- 科学研究費助成事業 研究成果報告書「保育者が日常的に使える携帯端末を利用したダウン症身体発育評価システムの開発」(課題番号24500908、ダウン症の男児275人・女児219人の計測データ、PDF)
- Pediatrics「Health Supervision for Children and Adolescents With Down Syndrome」(米国小児科学会の臨床報告、Bull MJ ほか、2022年、PubMed)
- Pediatrics「Growth Charts for Children With Down Syndrome in the United States」(Zemel BS ほか、2015年、637人の1,520回の計測、PMC)
- 日本小児内分泌学会「成長評価用チャート・体格指数計算ファイル ダウンロードサイト」
- 小児慢性特定疾病情報センター「橋本病 概要」
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- PMDA「ノルディトロピン フレックスプロ注 添付文書」(2025年9月改訂 第3版)
- ノビケア「お問い合わせ」