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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約6分
先天性心疾患のある子の身長と体重の伸び
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
先天性心疾患のある子は、心臓の負担が大きいあいだ、ミルクを飲む量が少なくなったり、エネルギーを多く使ったりして、体重や身長が増えにくいことがあります。手術などで心臓の負担が軽くなると、成長が追いついてくることが多いとされていますが、体重の増え方がゆっくりなまま続く子もいます。身長と体重の記録を続け、主治医と一緒に伸び方を見ていきましょう。
先天性心疾患とは?どのくらいの子にある?
先天性心疾患は、生まれつき心臓や血管の形に違いがある病気の総称です。慶應義塾大学病院の解説では、赤ちゃんの約100人に1人に何らかの心臓や血管の形の異常があるとされています。
心臓の壁に穴がある心室中隔欠損や心房中隔欠損、血管が生まれたあとも閉じない動脈管開存など、種類はさまざまです。同じ解説は、一部の患者さんでは遺伝子や染色体の違いが原因と分かる場合があるものの、ほとんどの場合は原因が分からないとしています。
病気の種類や重さによって、治療をせずに様子を見る場合から、赤ちゃんのうちに何度か手術が必要な場合まで、経過は大きく違います。そのため、成長への影響も一人ひとり異なります。
出典 [1]
心臓の病気があると、なぜ体重や身長が伸びにくい?
慶應義塾大学病院の解説は、心臓の働きが追いつかない心不全の状態になると、ミルクの飲みが悪い、体重が増えない、汗をかきやすい、疲れやすいといった症状が出ることがあるとしています。赤ちゃんにとって、ミルクを飲むことは体力を使う運動のようなものです。
心臓に穴があり血液が左から右へ流れ込むタイプの先天性心疾患の幼い子どもを調べた研究(2012年)は、成長が遅れる理由として、心臓や呼吸で使うエネルギーが多いこと、体のすみずみまで十分な血液が届きにくいこと、栄養が足りなくなることを挙げています。手術の前は、成長に関わるIGF-1という物質の血液中の値も低めでした。
このように、心臓の病気そのものの負担と、とれる栄養の少なさが重なって、成長がゆっくりになると考えられます。
体重と身長では、どちらが影響を受けやすい?
栄養が足りないときは、一般に身長より先に体重の増え方が落ちるとされています(「やせている子は背が伸びにくい?」のコラム)。心臓の病気がある子でも、まず体重の増え方を見ることが大切です。
スイス・チューリッヒで、心臓の手術を受けた先天性心疾患の子ども135人(遺伝的な病気のある子は除く)を10歳まで追った研究(2021年)では、10歳の身長は一般の子どもと差がありませんでした。一方で、体重と頭囲は平均より小さく、一部しか追いついていませんでした。
同じ研究では、生まれたときの在胎週数が短いことや、入院期間が長いことが、10歳での身長や頭囲が小さいことと関係していました。心臓の病気だけでなく、早く生まれたことや入院中の栄養なども、成長に関わっていると考えられます。
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手術のあと、成長は追いつく?
追いつくことが多いとされています。心室中隔欠損、心房中隔欠損、動脈管開存の幼い子どもを調べた先ほどの研究(2012年)では、手術の前の身長は平均−1.55SDでしたが、手術の1年後には平均−0.55SDまで追いついていました。手術の年齢が低いほど、手術後の伸びが大きい傾向がありました。
ただし、この研究は対象の人数が少なく、心臓の病気の種類も限られています。チアノーゼ(唇や爪が青紫色になる状態)をともなう病気や、何回かの手術が必要な病気では、経過が違うこともあります。
スイスの研究の著者らは、幼児期を過ぎても成長を注意深く見ていくことを勧めています。手術が終わったあとも、身長と体重の記録を続けましょう。追いつきのしくみは「キャッチアップ成長とは?」のコラムで説明しています。
心臓の病気と低身長の両方がみられる病気はある?
生まれつきの病気の中には、心臓の病気と低身長の両方がみられるものがあります。この場合、身長が低い理由は心臓の負担だけではないため、成長の見方や治療の考え方が変わります。
どの病気でも、診断は医師が診察や検査をもとに行います。心臓の病気があって身長が低めの場合は、心臓の主治医に、成長についても相談してみましょう。
- ヌーナン症候群:小児慢性特定疾病情報センターは、肺動脈の狭窄や心房中隔欠損が多いこと、平均身長は−2SDをやや下回る程度であることを説明しています
- ターナー症候群:女の子の病気で、低身長はほぼ全員にみられ、大動脈縮窄などの心臓や血管の病気をともなうことがあります
- ダウン症候群:心臓の病気をともなうことが多く、専用の成長曲線を使って身長を見ていきます(「ダウン症候群の子の身長は?」のコラム)
家庭では、どんなことに気をつければよい?
身長と体重を定期的に測り、母子健康手帳や成長曲線に書き込んでおきましょう。とくに赤ちゃんのうちは、体重の増え方が心臓の状態を知る手がかりにもなります。ミルクを飲むのに時間がかかる、1回に飲む量が少ないといった様子も、メモしておくと受診のときに役立ちます。
栄養のとり方は、心臓の状態によって変わります。ミルクの濃さや回数、食事の量、水分の量などは、自己判断で変えず、主治医や管理栄養士の指示に従ってください。
運動や部活動をどのくらいしてよいかも、心臓の状態によって違います。学校での生活の注意については、主治医から学校に伝えてもらうとよいでしょう。
どんなときに相談したほうがよい?
次のような様子があるときは、心臓の主治医やかかりつけの小児科に相談してください。顔色が悪く、ぐったりしている、呼吸がとても苦しそうなときは、すぐに受診するか119番に連絡してください。
- 体重がなかなか増えない、または減ってきた
- ミルクや食事に時間がかかり、量も少ない状態が続いている
- 手術が終わってしばらくたっても、成長曲線で身長の線が下がり続けている
- 心臓は落ち着いていると言われているのに、身長がまわりより大きく低い
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身長のことは、どこに相談すればよい?
まずは心臓を診ている主治医に、成長曲線を見てもらいましょう。心臓以外に低身長の原因がないか確かめる必要がある場合は、小児内分泌の専門医に紹介されることがあります。
心臓の治療を続けながら身長の伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で、成長の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬を処方する2回目には、お子さまにも参加していただきます。検査や治療が対面の医療機関で必要と考えられる場合は、医療機関をご紹介します。
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先天性心疾患と身長についてよくある質問
Q. 小さな穴(心室中隔欠損)があるだけでも、背が伸びにくくなりますか?
A. 心臓の負担が小さく、心不全の症状がない場合は、成長への影響はないか小さいと考えられます。記録を続けて、伸び方を主治医に見てもらいましょう。
Q. 体重を増やすために、たくさん食べさせたほうがよいですか?
A. 心臓の状態によって、適した量や水分の量が違います。量を増やしたいときは、主治医や管理栄養士に相談してから進めてください。
Q. 手術が終わったら、身長の記録はもうつけなくてもよいですか?
A. スイスの研究では、10歳でも体重や頭囲が平均より小さい子がいました。手術のあとも、記録を続けることが勧められています。
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まとめ
先天性心疾患のある子は、心臓の負担や栄養の少なさから、体重や身長が増えにくいことがありますが、手術などで負担が軽くなると追いつくことが多いとされています。成長への影響は病気の種類や重さで大きく違うため、身長と体重の記録を続け、主治医と一緒に伸び方を確かめていきましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 慶應義塾大学病院 KOMPAS「小児の心臓の病気(先天性心疾患など)」
- Indian Journal of Endocrinology and Metabolism「Linear growth in relation to the circulating concentration of insulin-like growth factor-I in young children with acyanotic congenital heart disease …」(Soliman AT ほか、2012年、手術の前後の比較、PMC)
- Early Human Development「Somatic growth in children with congenital heart disease at 10 years of age: Risk factors and longitudinal growth」(Hapuoja L ほか、2021年、スイス・チューリッヒで心臓手術を受けた135人、PubMed)
- 小児慢性特定疾病情報センター「ヌーナン(Noonan)症候群 概要」
- 小児慢性特定疾病情報センター「ターナー(Turner)症候群 概要」
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