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ヌーナン症候群と身長は?特徴と成長ホルモン治療
公開日:2026年10月3日 更新日:2026年10月3日
ヌーナン症候群は、体の成長や発達に関わる信号の通り道(RAS/MAPK経路)の遺伝子の変化で起こる病気で、多くの子に低身長がみられます。3歳以上で身長が−2SD以下の場合、成長ホルモン治療を保険診療で受けられます。心臓や血液の状態を確かめながら、専門の医療機関で治療を進めます。
ヌーナン症候群とは、どんな病気?
ヌーナン症候群は、細胞の増え方を調節する信号の通り道(RAS/MAPK経路)にかかわる遺伝子の変化によって起こる病気です。PTPN11をはじめ、いくつもの原因遺伝子が知られています。男の子にも女の子にもみられます。
日本での頻度について、2025年度版のコンセンサスガイドラインは、厚生労働科学研究(平成22年度)の調査として1〜2万出生に1人と紹介しています。一方、小児慢性特定疾病情報センターの解説(2018年更新)では出生1,000〜2,500人に1人とされており、推定は資料によって異なります。
主な特徴は、顔つきの特徴、心臓の病気、低身長、胸の形の特徴などです。ガイドラインでは、先天性の心臓の病気が約50〜80%にみられ、肺動脈弁狭窄、肥大型心筋症、心房中隔欠損などが多いとされています。このほか、出血しやすさ、目や耳の症状、発達のゆっくりさなどがみられることもあり、どれがどの程度あらわれるかは一人ひとり違います。
ヌーナン症候群では、身長はどう伸びる?
ガイドラインによると、生まれたときの体重と身長は、たいてい正常の範囲です。乳児期に飲みや食べが少ないことがありますが、多くは生後18か月ごろまでに落ち着きます。
一方で、1歳までに伸びがゆっくりになり、2歳から思春期までは低身長で過ごすことが多いとされています。低身長はヌーナン症候群の約7割にみられ、子どものうちは身長が−2SDを下回ることが多いと説明されています。
ヌーナン症候群では思春期が遅れる傾向もあります。同じ年齢の子と比べて背の差が目立つ時期と、あとから伸びる時期があるため、成長曲線で長い期間の変化を見ることが大切です。
出典 [2]
どうやって診断する?
診断は、まず体の特徴にもとづいて行います。日本小児内分泌学会の診断基準では、顔つき、心臓、身長、胸の形、家族歴、そのほかの症状の6つの項目を、主な特徴と副次的な特徴に分けて組み合わせ、臨床的に診断します。
顔つきの判断は見る人による差が出やすいため、形態の特徴の診断に慣れた専門医による判定が必要とされています。顔つきの特徴は年齢とともに変わり、年長になると分かりにくくなることもあります。
遺伝子の検査は2020年4月から保険診療で受けられるようになり、ヌーナン症候群の約80%で原因となる遺伝子の変化が見つかるとされています。ただし、見つからなかった場合でもヌーナン症候群が否定されるわけではなく、ほかの病気との見分けも含めて総合的に判断します。
成長ホルモン治療は、どんな条件で受けられる?
ヌーナン症候群の低身長に対する成長ホルモン治療は、毎日注射するノルディトロピンが2017年11月に、週1回注射するソグルーヤが2026年6月に承認されています。添付文書では、ヌーナン症候群と診断され、3歳以上で、身長が同じ性別・年齢の−2SD以下であることが条件です。
量は、ノルディトロピンでは1週間に体重1kgあたり0.23mgを6〜7回に分けて注射し、効果が不十分な場合は0.47mgまで増やせます。ソグルーヤは体重1kgあたり0.24mgを週1回注射します。どちらも1年ごとに伸びを判定し、継続の基準を満たさない場合や、骨年齢が男子17歳、女子15歳に達した場合は中止します。
日本小児内分泌学会は、ヌーナン症候群と診断されても、すべての子が成長ホルモン治療の対象になるわけではないとしています。増やすかどうかも、伸びの改善の程度や低身長の程度、本人の心の負担などを総合して判断するとしています。製剤の違いは「成長ホルモン製剤の種類は?」の記事で説明しています。
治療の前と治療中には、どんな検査をする?
日本小児内分泌学会の「実施上の注意」では、ヌーナン症候群は乳幼児期に一部の腫瘍が起こりやすい体質があることを考えて、成長ホルモン治療は3歳以上で行うとしています。治療を始める前には、次のような評価を行います。
「実施上の注意」では、治療中も血液の検査や心臓の超音波検査で経過を見ること、成長ホルモンの効き具合の目安になるIGF-1の値が続けて基準範囲の上限を超えた場合は量を減らすことが示されています。成長ホルモンで心臓の筋肉の病気が起こったり悪くなったりすることを示すデータはないものの、念のため経過を見るという位置づけです。気になることは担当の医師に相談してください。
- 血液の細胞の数や形を調べる検査(必要に応じて追加の検査)
- 心臓の超音波検査による心臓の働きの確認
- おおむね6歳未満では、おなかの超音波検査を考える
身長以外に、どんなことを続けて確かめる?
ガイドラインは、症状が多くの分野にわたるため、小児科、内分泌、遺伝、循環器、眼科、耳鼻咽喉科などの専門家が協力して診ることが大切だとしています。心臓の病気がある場合は、循環器の専門医による管理が続きます。
出血しやすい体質がみられることもあるため、手術や歯の治療の前には、主治医に相談しておくと安心です。学びや発達の面で支援が役立つ場合もあり、園や学校と相談しながら進めます。
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量を増やしたり減らしたりするのは、どんなとき?
毎日型のソマトロピン製剤では、効果が不十分な場合に量を増やせます。学会は判断の参考として、1年ごとの身長SDスコアの改善が、1年目0.5未満、2年目0.25未満、3年目0.15未満、4年目以降0.1未満であれば、成長の反応が平均を下回ると考える目安を示しています。ただし、増やさなくても順調に伸びる子も少なくないとしています。
この目安は、思春期の伸びが始まる前の子どもに使うものです。思春期に入ると、治療の効果と自然な伸びを見分けにくくなるためです。
週1回型のソグルーヤは、添付文書の通常の量を超えて増やすことは想定されていません。注射のあと数日でIGF-1の値が上下するため、学会は1週間の平均の値をもとに量を判断することを提案しています。採血の日や時間は主治医の指示に合わせましょう。
家族に同じ病気の人がいることはある?
小児慢性特定疾病情報センターの解説では、多くは家族に同じ病気の人がいない形で起こりますが、親から子へ伝わる家系も報告されています。診断基準にも、親やきょうだいなど近い家族にヌーナン症候群の人がいるかどうかが項目として入っています。
遺伝についての心配や、きょうだいの検査を考えるときは、遺伝の専門家(臨床遺伝専門医や遺伝カウンセラー)に相談できる医療機関もあります。
どこで相談する?費用の助成は?
ヌーナン症候群の診断や成長ホルモン治療は、保険診療として、小児内分泌や臨床遺伝を専門とする医療機関で行われます。ヌーナン症候群は小児慢性特定疾病の対象で、薬物療法を行っている場合などが医療費助成の対象です。申請の流れは「小児慢性特定疾病の医療費助成とは?」の記事にまとめています。
ノビケアは自由診療のオンライン診療で、ヌーナン症候群の診断や治療は行っていません。医師による無料相談(ビデオ通話、0円)でお話をうかがい、この病気が疑われる場合や詳しい検査が必要な場合は、対面の専門の医療機関をご紹介します。
ヌーナン症候群についてよくある質問
Q. 3歳より前に成長ホルモン治療を始めることはできますか?
A. 添付文書と学会の注意では、3歳以上が条件です。乳幼児期の体質を考えた決まりなので、それまでは成長曲線で経過を見ながら主治医と相談します。
Q. 遺伝子の検査で変化が見つからなければ、ヌーナン症候群ではないのですか?
A. 見つからなくても否定はできません。体の特徴と検査結果を合わせて、専門医が総合的に判断します。
Q. 毎日型と週1回型は、どちらを選べばよいですか?
A. どちらも条件を満たせば使えますが、量の調整のしかたや検査の見方が違います。生活に合うかどうかも含めて、主治医と相談して決めます。
まとめ
ヌーナン症候群では多くの子に低身長がみられ、3歳以上で身長が−2SD以下なら、成長ホルモン治療を保険診療で受けられます。治療の前後には心臓や血液などの確認を行い、専門の医療機関で多くの分野の医師と一緒に経過を見ていきます。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 小児慢性特定疾病情報センター「ヌーナン(Noonan)症候群 概要」
- ヌーナン症候群のコンセンサスガイドライン作成委員会(協力:日本小児内分泌学会ほか)「ヌーナン症候群コンセンサスガイドライン(2025年度版)」(PDF)
- 日本小児内分泌学会「ヌーナン症候群における低身長に対するGH治療の実施上の注意」(PDF、2026年8月17日改訂)
- 小児慢性特定疾病情報センター「ヌーナン(Noonan)症候群 診断の手引き」
- PMDA「ノルディトロピン フレックスプロ注 添付文書」(2025年9月改訂 第3版)
- PMDA「ソグルーヤ皮下注 添付文書」(2026年6月改訂 第4版)
- 小児慢性特定疾病情報センター「小児慢性特定疾病 対象疾病一覧(令和7年4月1日版)」(PDF)
- 日本小児内分泌学会「当学会に所属している、内分泌代謝科(小児科)専門医」
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
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