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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約7分

低身長で染色体や遺伝子の検査をするのはどんなとき?検査の種類と受ける前に知っておきたいこと

公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日

低身長の多くは体質によるものですが、一部に染色体や遺伝子の変化が原因の病気があります。医師が、体の特徴や伸び方、家族の様子などから特定の病気を疑ったときに、目的をしぼって検査を提案するのが一般的です。遺伝の情報は一生変わらず家族とも一部を共有するため、検査の前に十分な説明を受け、必要に応じて遺伝カウンセリングを利用できます。

低身長と染色体・遺伝子は、どう関係する?

日本小児内分泌学会は、背が低い子どもの多くは、家族に背の低い人がいる、思春期が遅めなどの体質によるものだと説明しています。そのうえで、病気が原因の低身長の中に、染色体や遺伝子の変化による病気があることを紹介しています。

代表的なのは、女の子の約2,000人に1人に見られ、2本あるX染色体の1本がない、または一部が欠けているターナー症候群、15番染色体の変化による病気で約1万人に1人に見られるプラダー・ウィリー症候群、特定の遺伝子の変化が原因となるヌーナン症候群です。手足の骨の成長にかかわるSHOX遺伝子の異常や、軟骨無形成症などの骨の病気(骨系統疾患)もあります。骨系統疾患は遺伝することがある一方で、家族に同じ病気がなく、子どもだけに見られることもよくあるとされています。

出典 [1] [2]

どんなときに検査を考える?

染色体や遺伝子の検査は、背が低い子ども全員に行うものではありません。医師が成長曲線、診察での体の特徴、家族の身長や病気の様子などから特定の病気を疑い、診断がつくことで治療や健康管理が変わると考えたときに提案されます。日本医学会のガイドラインも、すでに症状がある患者さんの遺伝学的検査は、臨床的に可能性が高い病気の確定診断や、見分けるべき病気の鑑別を目的に行うとしています。

低身長の診療で検査が考えられる場面には、たとえば次のようなものがあります。ターナー症候群は、子どものころは低身長をきっかけに診断されることが多いとされています。ここに挙げた様子があっても病気とは限らず、反対に目立った特徴がない場合でも検査が勧められることがあります。

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検査には、どんな種類がある?

疑う病気によって、使う検査が違います。たとえば、ふつうの染色体検査(核型検査)では、染色体の数や大きな形の変化が分かり、ターナー症候群の診断に使われます。一方で、SHOX遺伝子を含むごく小さな欠失は、ふつうの染色体検査では見つからないことがあり、別の方法で調べます。

軟骨無形成症のように、手足が短い特徴とエックス線写真で見られる骨の変化から診断される病気もあります。どの検査をどの順番で行うかは、医師が病気の可能性や検査で分かる範囲と限界を考えて決めます。「全部まとめて調べる」検査ではないことを知っておきましょう。

検査分かること低身長の診療での使われ方の例
染色体検査(核型検査)染色体の数や、大きな形の変化ターナー症候群(X染色体の欠失や形の変化、モザイク)
FISH法染色体の決まった場所の欠失などプラダー・ウィリー症候群、SHOX異常症
メチル化の検査遺伝子の働き方にかかわる目印(メチル化)の異常プラダー・ウィリー症候群
マイクロアレイ(アレイCGH)細かな欠失や重複SHOX異常症(レリ・ワイル症候群)
MLPA法・遺伝子の配列を読む検査特定の遺伝子の欠失や変化SHOX異常症、ヌーナン症候群
骨のエックス線写真骨の形の特徴軟骨無形成症などの骨系統疾患

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検査の前後には、どんな説明がある?

日本医学会のガイドラインは、遺伝学的検査を行う前に、検査の意義や目的に加えて、結果が出たあとの状況や、結果が血縁者に影響を与える可能性についても説明し、受けるかどうかを自分で決められるよう支援する必要があるとしています。十分な説明と支援のあと、書面で同意を得ることが勧められています。

子どもの場合は、保護者などが本人に代わって同意します。その際は子どもの最善の利益を考え、理解の程度に合わせて本人にも説明し、本人の了解(インフォームド・アセント)を得ることが望ましいとされています。

検査の多くは血液を採って調べます。結果が出るまでの期間は検査の種類や依頼先によって違うため、検査を受ける医療機関で確認してください。ガイドラインは、診断は遺伝学的検査の結果だけで行うのではなく、診察や他の検査の情報と合わせて行うとしています。

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遺伝の情報には、どんな特徴がある?

同じガイドラインは、遺伝の情報には次のような特徴があり、検査や診断の際には十分に考える必要があるとしています。

検査を受けた人の結果は、本人の同意なく、血縁者を含むほかの人に伝えるべきではないとされています。保険や就職などの場面で不利益につながらないよう配慮することも求められています。

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遺伝カウンセリングとは?家族も検査を受けるべき?

遺伝カウンセリングは、情報を伝えるだけでなく、患者さんや家族が自分で選べるように、心理的・社会的な面からも支える取り組みです。ガイドラインは、その病気の診療経験が豊富な医師と、遺伝カウンセリングに習熟した専門家が協力して行うことが望ましいとしています。臨床遺伝専門医の一覧は、臨床遺伝専門医制度委員会のウェブサイトで公開されています。

子どもの診断がつくと、きょうだいや親も検査を受けるべきか迷うことがあります。ガイドラインは、未成年者に対して、本人は発症しないものの次の世代に伝える可能性がある「保因者」かどうかを調べる検査や、大人になってから発症する病気の検査は、原則として本人が成人して自分で判断できるまで延期すべきで、親などの代わりの同意で行うべきではないとしています。家族の検査をどうするかは、主治医や遺伝カウンセリングで相談してください。

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保険は使える?結果が分かると、何が変わる?

染色体検査が保険診療で行われるかどうかは、疑われる病気や検査の内容によるため、検査を受ける医療機関で確認してください。遺伝子の検査は、病気や方法によって保険が使えるかどうかが分かれます。日本小児内分泌学会の資料によると、ヌーナン症候群の遺伝学的検査は2020年4月から保険収載されています。SHOX異常症では、特発性低身長に対するFISH法と、レリ・ワイル症候群に対するアレイCGHが保険適用となっていますが、施設の基準を満たした医療機関で行う必要があるものもあります。

診断がつくと、ターナー症候群、プラダー・ウィリー症候群、ヌーナン症候群、SHOX異常症などでは、成長ホルモン治療が保険診療の対象になる場合があります。また、心臓や腎臓、思春期など、身長以外に定期的に確かめるべきことが分かり、その後の健康管理に役立ちます。それぞれの病気については、個別の記事で説明しています。

インターネットなどで買える遺伝子検査は、医療機関で病気を診断するために行う検査とは目的や位置づけが違います。日本医学会のガイドラインは、医療の場で行う遺伝学的検査について、検査の確かさや結果の意味づけ、診療への有用性を確認したうえで行うとしています。市販の検査の結果だけで判断せず、気になることは医師に相談してください。

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オンラインの相談では、検査を受けられる?

ノビケアのオンライン診療では、染色体や遺伝子の検査は行っていません。成長の記録や診察から、こうした検査が必要と医師が判断した場合は、対面で検査や遺伝カウンセリングを受けられる医療機関をご紹介します。検査を受けるべきか迷うときは、医師による無料相談(ビデオ通話)でご相談いただけます。

出典 [10]

低身長の染色体・遺伝子検査についてよくある質問

Q. 検査で「異常なし」なら、病気はないということですか?

A. 検査は、疑う病気を調べるために選ばれます。ふつうの染色体検査では見つからない細かな変化もあるため、伸び方や体の様子によっては、別の検査が追加されることがあります。結果の意味は主治医に確認してください。

Q. 子どもには、検査のことをどう説明すればよいですか?

A. ガイドラインは、子どもの理解の程度に合わせて説明し、本人の了解を得ることが望ましいとしています。何を調べるのか、痛みは採血だけか、といった身近なことから、医師と一緒に伝えるとよいでしょう。

Q. 検査を受けないという選択もできますか?

A. できます。ガイドラインは、検査を受けるかどうかを本人や家族が自分で決められるよう支援することを求めています。受けない場合に何が分からないままになるかも含めて、医師に説明を求めてください。

まとめ

低身長での染色体や遺伝子の検査は、医師が特定の病気を疑ったときに、目的をしぼって提案されます。診断がつくと、保険での治療や身長以外の健康管理につながることがあります。遺伝の情報は一生変わらず家族とも関わるため、説明を十分に受け、必要に応じて遺伝カウンセリングを利用しながら決めましょう。

出典 [3] [1]

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この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. 日本小児内分泌学会「低身長」
  2. 日本小児内分泌学会 SHOX異常症の診断・治療指針ワーキンググループ「SHOX異常症の診断・治療指針〜SHOX異常症に対する成長ホルモン治療の適正な使用のために〜」(PDF)
  3. 日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(2022年3月改定、PDF)
  4. ターナー症候群診療の手引き作成委員会(協力:日本小児内分泌学会)「ターナー症候群 診療の手引き」(PDF、2026年2月5日 Ver.1.0)
  5. 小児慢性特定疾病情報センター「ターナー(Turner)症候群 概要」
  6. 小児慢性特定疾病情報センター「プラダー・ウィリ(Prader-Willi)症候群 診断の手引き」
  7. ヌーナン症候群のコンセンサスガイドライン作成委員会(協力:日本小児内分泌学会ほか)「ヌーナン症候群コンセンサスガイドライン(2025年度版)」(PDF)
  8. 小児慢性特定疾病情報センター「軟骨無形成症 概要」
  9. 臨床遺伝専門医制度委員会「臨床遺伝専門医・指導医・認定登録医一覧」
  10. ノビケア「お問い合わせ」