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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約7分
SHOX異常症とは?身長への影響と成長ホルモン治療
公開日:2026年10月3日 更新日:2026年10月3日
SHOX異常症は、骨の成長にかかわるSHOX遺伝子が十分に働かないことで、低身長や、腕・すねの短さが起こる病気です。原因の分からない低身長と思われていた子の中に、一部みつかることがあります。遺伝子の検査で確定診断され、身長の基準を満たせば、成長ホルモン治療を保険診療で受けられます。
SHOX異常症とは、どんな病気?
SHOX(ショックス)は、X染色体とY染色体の両方の端にある遺伝子で、とくに前腕、すね、頭や首の骨の成長と形づくりを調節しています。日本小児内分泌学会の指針によると、男女とも2つの働くコピーをもっています。
SHOX遺伝子は骨の成長板で働き、FGFR3やCNPなど、骨の成長にかかわるほかの多くの因子と関係しながら、軟骨の細胞の増え方を調節しています。2つのコピーのうち1つが欠けたり、働きが弱くなる変化があったりして、体に症状があらわれた状態をSHOX異常症と呼びます。男の子にも女の子にもみられます。
ターナー症候群の低身長にもSHOX遺伝子の不足がかかわっています。ただし、通常の染色体検査では変化がなく、SHOX遺伝子のまわりだけに小さな変化がある場合は、ターナー症候群ではなくSHOX異常症と診断されます。
身長や体には、どんな影響がある?
指針によると、典型的には、子どものうちは身長が−2SDをやや下回るくらいで推移します。体の特徴が目立たず、原因の分からない低身長(特発性低身長)と考えられていることも少なくありません。
一方、手首の骨の並びが変化するマデルング変形を伴う、レリ・ヴェイル軟骨骨異形成症という形をとることもあります。指針は、思春期の女性ホルモンが骨の成長板に働くことで骨の変化が進みやすく、思春期以降の女性に多くみられると説明しています。
2つのコピーの両方に変化がある場合は、ランガー型中間肢異形成症という、低身長がより強い病気になります。この場合、両親はそれぞれ1つずつ変化をもっていることが一般的です。
出典 [1]
原因の分からない低身長のうち、どのくらいがSHOX異常症?
指針によると、特発性低身長の子どもでSHOX遺伝子の変化が見つかる割合は、報告によって大きく違い、おおむね10%(1.1〜22.2%)とされています。
日本の報告では、Shimaらの研究(J Hum Genet、2016年)で、特発性低身長の日本人の子ども312人を調べたところ、12人(3.8%)にSHOX遺伝子の変化が見つかっています。割合は調べる方法や対象によって変わるため、あくまで一部にみられるものと考えてください。
こうした背景から、指針はSHOX遺伝子の変化を、特発性低身長で多くみられる単一の遺伝子の病気の一つとしています。原因が見つからない低身長については「特発性低身長とは?」の記事で説明しています。
出典 [1]
どんなことがきっかけで気づかれる?
指針は、骨年齢を調べるために撮る手のレントゲン写真が、気づくきっかけとして大切だとしています。手首の橈骨(とうこつ)の端の形など、SHOX異常症に特徴的な所見が1つ以上ある場合は、体の測定を進めて遺伝子の検査を考えます。
体の測定では、身長に比べて座高の割合が大きい(脚が短め)こと、腕を広げた長さが身長に比べて短いこと、前腕やすねが短いことなどが手がかりになります。ただし、学校の健診では座高や腕の長さは測られないため、医療機関で測ることになります。骨年齢の検査については「骨年齢とは?」の記事で説明しています。
出典 [1]
どんな検査で確定する?
確定診断には、SHOX遺伝子とそのまわりの変化を調べる遺伝学的検査を行います。変化の多く(約80%)は遺伝子の一部が欠けたり増えたりするコピー数の変化で、残りは遺伝子の配列の変化とされています。レリ・ヴェイル軟骨骨異形成症の人では、70〜90%で変化が見つかると報告されています。
指針(作成時点)では、特発性低身長の場合と、レリ・ヴェイル軟骨骨異形成症の場合とで、保険で受けられる検査の種類が違うと説明されています。保険で受けられる検査で見つからない場合に、ほかの方法を追加することもあります。保険の扱いはその後変わることもあるため、どの検査をどの順番で行うかとあわせて、担当の専門医に確認してください。
出典 [1]
成長ホルモン治療は、どんな条件で受けられる?
SHOX異常症が効能に入っている成長ホルモン製剤は、グロウジェクトです。添付文書では、SHOX異常症と確定診断され、身長が標準の−2.0SD以下、または1年間の伸びが2年以上続けて標準の−1.5SD以下であることが条件です。
量は、1週間に体重1kgあたり0.35mgを6〜7回に分けて、毎日皮下に注射します。1年ごとに伸びを判定し、継続の基準を満たさない場合や、骨年齢が男子17歳、女子15歳に達した場合は中止します。
指針によると、臨床試験では重い副作用の報告はなく、マデルング変形が成長ホルモン治療で悪くなるという報告も認められないとされています。変形が強い場合は、整形外科での治療が検討されます。効果には個人差があり、伸びを約束するものではありません。製剤の違いは「成長ホルモン製剤の種類は?」の記事にまとめています。
思春期が近い子では、何を考える?
指針は、SHOX異常症の骨の変化は、思春期に増える女性ホルモンの働きで進みやすいと説明しています。レリ・ヴェイル軟骨骨異形成症の人では、子どものころは−2SDをやや下回るくらいの身長でも、思春期に前腕やすねの短さが目立つようになり、大人になると子どものころより身長SDスコアが0.6SDほど下がると報告されています。
指針が紹介している海外の添付文書では、イギリス、フランス、ドイツで、思春期が近い子どもに治療を始めることは勧められないと書かれています。国内で思春期が近い年齢から始めるかどうかは、骨年齢などで残っている成長の期間を確かめたうえで、小児内分泌の専門医が個別に判断します。気になる場合は早めに担当の医師に相談してください。
成長ホルモン治療を受けるかどうかにかかわらず、手首の痛みや動かしにくさがある場合は、整形外科での相談も考えましょう。
出典 [1]
家族も検査を受けたほうがよい?
SHOX遺伝子の変化は、親から子へ伝わることがあります。指針は、家族の中ですでに変化が見つかっている場合、特発性低身長と考えられている子では、その家族と同じ変化があるかを確かめる検査を勧めています。
典型的なレリ・ヴェイル軟骨骨異形成症の特徴がそろっている場合は、遺伝子の検査をしなくても診断できると考えられていますが、保険で受けられる検査で確かめられるときは、遺伝子の検査が勧められています。家族の検査や遺伝の心配は、遺伝カウンセリングを行う医療機関で相談できます。
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どこで相談する?費用の助成は?
SHOX異常症の診断や成長ホルモン治療は、保険診療として、小児内分泌を専門とする医療機関で行われます。日本小児内分泌学会は専門医の名簿を公開しています。
指針(作成時点)では、SHOX異常症は小児慢性特定疾病の助成の対象にならないとされており、対象疾病一覧(2025年4月1日版)にもSHOX異常症の病名は見当たりません。最新の扱いは、担当の医師やお住まいの自治体に確認してください。
ノビケアは自由診療のオンライン診療で、SHOX異常症の診断や治療は行っていません。医師による無料相談(ビデオ通話、0円)で成長の記録を見ながらお話をうかがい、詳しい検査が必要と考えられる場合は、対面の専門の医療機関をご紹介します。
SHOX異常症についてよくある質問
Q. 特発性低身長と言われました。SHOX異常症の検査を受けるべきですか?
A. 手のレントゲンの所見や体のつり合いなどから、専門医が検査の必要性を判断します。気になる場合は、主治医に尋ねてみてください。
Q. 親もSHOX遺伝子の変化をもっていることはありますか?
A. あります。家族に変化が見つかっている場合は、その変化があるかどうかを確かめる検査が勧められています。
Q. ほかの成長ホルモン製剤は使えますか?
A. 添付文書で、SHOX異常症が効能に入っているのはグロウジェクトです。保険診療ではこの製剤が使われます。
まとめ
SHOX異常症は、SHOX遺伝子の変化による低身長で、原因の分からない低身長と思われていた子の一部に見つかります。手のレントゲンや体のつり合いが手がかりになり、遺伝子の検査で確定すれば、成長ホルモン治療を保険診療で受けられます。気になるときは小児内分泌の専門医に相談しましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
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