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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約6分

シルバー・ラッセル症候群と身長は?特徴と成長ホルモン治療

公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日

シルバー・ラッセル症候群は、在胎週数に比べて小さく生まれ、生まれたあとも身長の伸びがゆっくりな状態が続く病気です。頭が体に比べて大きめ、額が広い、体の左右差、食が細いといった特徴があります。日本では「SGA性低身長症」の条件を満たせば、保険で成長ホルモン治療を受けられる場合があります。乳幼児期の低血糖や栄養、思春期の時期も含めて、専門の医師と長く見ていく病気です。

シルバー・ラッセル症候群とは、どんな病気?

国立成育医療研究センターは、シルバー・ラッセル症候群を、在胎週数に比べて生まれたときの体格が小さく、生まれたあとも成長障害が続き、哺乳がうまく進まない、体の左右が非対称、体に比べて頭が大きい、額が出ている、といった特徴をもつ症候群と説明しています。頻度は、年間3万から10万の出生に1人という報告があるとされています。

日本語版の遺伝性疾患の解説(GeneReviews Japan)では、顔が逆三角形に見える、小指が内側に曲がる、といった特徴も挙げられています。また、エストニアの調査では1万5,886人に1人と報告されており、調べ方によって頻度の数字には幅があります。

原因は、遺伝子のはたらきのオン・オフを決める「目印(メチル化)」の変化などです。同じ解説では、11番染色体の一部のメチル化の低下が35〜50%、7番染色体を2本とも母親から受け継いでいる状態が7〜10%で、残りの約40%は検査で原因が見つからないとされています。検査で原因が見つからなくても、特徴がそろっていれば臨床的に診断されることがあります。

出典 [1] [2]

どうやって診断する?

国際的な合意文書(2017年)は、主に「Netchine-Harbison臨床スコア」という6つの項目で診断を考えるとしています。6項目のうち4項目以上を満たすと、臨床的にシルバー・ラッセル症候群と考えます。そのうえで、血液を使った遺伝学的な検査で原因のタイプを確かめます。

下の表は、合意文書の基準をもとに、6項目をやさしい言葉でまとめたものです。米国内分泌学会の学会誌に載った解説(2024年)も、同じ基準を紹介しています。数字の判定は医師が成長の記録をもとに行うもので、ご家庭で当てはめて判断するためのものではありません。

項目どんなこと?
小さく生まれた出生体重または出生身長が、在胎週数に比べて−2SD以下
生まれたあとの成長障害2歳ごろの身長が−2SD以下、または両親の身長から見込まれる値より2SD以上低い
頭が相対的に大きい生まれたときの頭囲が、体重や身長に比べて1.5SD以上大きい
額が出ている1〜3歳ごろに、額が前に出て見える
体の左右差腕や脚の長さなどに左右の差がある
食の細さ・やせ2歳ごろにBMIが低い、または食事のためのチューブを使っている

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身長はどのくらい低くなりやすい?

GeneReviews Japanは、治療を受けていない人の大人の身長は平均で−3.1SD(ばらつき±1.4SD)と紹介しています。国際的な合意文書も、大人の身長はおよそ−3SDと低くなることが多いとしています。ただし、治療を受けていない人のデータは多くありません。

一方で、症状の出方には個人差が大きく、原因のタイプによっても違いがあるとされています。お子さんの見通しは、成長曲線と原因のタイプをふまえて、主治医から説明を受けてください。

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身長のほかに、乳幼児期に気をつけることは?

乳幼児期は、低血糖と栄養がとくに大切です。国際的な合意文書は、5歳未満の子は筋肉や肝臓が小さく、体に比べて脳が大きく、食も細いため、空腹が続くと低血糖を起こしやすいと説明しています。低血糖はおよそ27%にみられ、夜間に症状がないまま起こることも多いとされています。

GeneReviews Japanは、乳幼児では4時間以内の間隔で食事をとるなど、長い空腹を避けることが欠かせないとしています。胃腸の症状は77%にみられ、栄養補助や胃食道逆流の治療、チューブ栄養が考えられることもあります。一方、合意文書は、急に体重を増やしすぎると、のちの代謝の病気のリスクにつながる可能性があるとして、体重の増え方も見ていくよう勧めています。

熱が出て食べられないときの対応は、主治医とあらかじめ決めておきましょう。ぐったりしている、呼びかけへの反応が鈍い、けいれんがある、といったときは、すぐに119番や救急医療機関に連絡してください。

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成長ホルモン治療は受けられる?

日本小児内分泌学会の「SGA性低身長症におけるGH治療の手引き」は、シルバー・ラッセル症候群は治験の対象に含められていたことから、SGA性低身長症の適応から除外しなくてよいとしています。つまり、日本ではSGA性低身長症の条件を満たせば、保険診療で成長ホルモン治療を検討できます。

同じ手引きでは、治療を始められる条件を、3歳以上、身長が−2.5SD未満、伸びの速さ(成長率)が0SD未満のすべてを満たす場合としています。量は体重1kgあたり週0.23mgで始め、反応が十分でなければ週0.47mgまで増やせるとされています。

国際的な合意文書は、治療の目的を身長だけでなく、筋肉など体の組成、運動の発達、食欲の改善、低血糖の予防も含めて考えるとしています。オランダの研究では、伸びの改善はシルバー・ラッセル症候群でない小さく生まれた子とほぼ同じでしたが、大人の身長は平均−2.17SDと、比べた群(−1.65SD)より低めでした。治療でどこまで伸びるかには個人差があります。開始の年齢は、合意文書の2〜4歳と国内の手引きの3歳以上で違いがあり、どの時期に始めるかは主治医と相談します。

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思春期には、どんなことに注意する?

国際的な合意文書は、シルバー・ラッセル症候群では、骨の成熟(骨年齢)が幼いころは遅れていても、8〜9歳ごろから急に進むことが多いと説明しています。わきや陰部の毛などが早めに出る副腎の変化(アドレナーキ)や、思春期が早めに始まり速く進むことにも注意が必要とされています。

思春期が早く進むと、身長が伸びる期間が短くなります。合意文書は、思春期の始まりがみられた場合に、思春期を遅らせる薬(GnRHアナログ)を少なくとも2年使うことを、個別に考えるよう勧めています。治療の考え方は「思春期を遅らせる治療とは?」のコラムでも説明しています。

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家庭で記録しておくとよいことは?

合意文書は、シルバー・ラッセル症候群の子のケアには、経験のある複数の分野の医師やスタッフが関わる必要があるとしています。小児科の内分泌、消化器、整形外科、言語や運動の発達の専門家などが関わることがあり、家庭の記録は、それぞれの医師に同じ情報を伝える助けになります。

母子健康手帳から、在胎週数と出生時の体重・身長・頭囲を書き出しておきましょう。そのあとの身長と体重を成長曲線に書き込み、食事の量や回数、体調をくずしたときの様子、わきや陰部の毛など体の変化に気づいた時期もメモしておくと、相談のときに役立ちます。

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シルバー・ラッセル症候群についてよくある質問

Q. 小さく生まれた子は、みんなシルバー・ラッセル症候群ですか?

A. いいえ。小さく生まれる理由はさまざまで、多くの子はこの症候群ではありません。頭が相対的に大きい、額が出ている、体の左右差、食の細さなどの特徴があわせてみられるかどうかを、医師が確かめます。

Q. きょうだいにも起こりますか?

A. GeneReviews Japanは、大多数は家族の中で一人だけに起こるとしています。ただし、原因によっては次の子にも起こる可能性が高い場合があり、正確な見通しには原因を調べることが必要とされています。遺伝の相談は「低身長で染色体や遺伝子の検査をするのはどんなとき?」のコラムも参考にしてください。

Q. 体の左右差は、治療で目立たなくなりますか?

A. 左右差の程度は人によって違います。脚の長さの差が大きい場合は、整形外科で靴の調整などを相談することがあります。成長ホルモン治療の目的とは分けて、主治医に確認しましょう。

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まとめ

シルバー・ラッセル症候群は、小さく生まれ、そのあとも成長がゆっくりな状態が続く病気で、低血糖や食事、思春期の進み方にも注意が必要です。日本ではSGA性低身長症の条件を満たせば保険で成長ホルモン治療を検討できます。小さく生まれた記録や伸び方で気になることがあれば、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。診断や保険診療が必要な場合は、専門の医療機関を紹介します。

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お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。

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この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. 国立成育医療研究センター プレスリリース「シルバーラッセル症候群の症状を持つ患者さんの中に染色体微細構造異常を同定」(2017年)
  2. GeneReviews Japan「Silver-Russell(シルバー・ラッセル)症候群」(Saal HM ほか著、佐藤康守・櫻井晃洋訳、2024年4月14日更新)
  3. Nature Reviews Endocrinology「Diagnosis and management of Silver-Russell syndrome: first international consensus statement」(Wakeling EL ほか、2017年、16か国41人の作業部会、PubMed)
  4. Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism「Approach to the Patient With Suspected Silver-Russell Syndrome」(Kurup U ほか、2024年、PMC)
  5. 日本小児内分泌学会「SGA性低身長症におけるGH治療の手引き」
  6. 日本小児内分泌学会「成長評価用チャート・体格指数計算ファイル ダウンロードサイト」
  7. ノビケア「お問い合わせ」