成長ホルモン治療読む時間 約8分
成長ホルモン治療で骨年齢が進む?骨端線が早く閉じるのではという心配への答え
公開日:2026年10月27日 更新日:2026年10月27日
成長ホルモン治療を始めると、身長が伸びるのに合わせて骨年齢も進みます。これは骨が育っているしるしです。ふつうの量で、伸びに見合わないほど骨年齢だけが先に進むことを示す研究は多くありません。骨端線を閉じる主な役目は、成長ホルモンではなく思春期の性ホルモンです。とても多い量では骨年齢が速く進んだ報告があるため、治療中は骨年齢と伸びを並べて確かめます。
なぜ「治療で骨年齢が進む」と心配されるのですか?
骨年齢は、手のエックス線写真で、骨がどこまで大人に近づいているかを見たものです。骨端線(骨の端にある、骨が伸びる部分)が閉じると身長の伸びは止まります。そのため骨年齢は、あとどのくらい伸びる期間が残っているかの手がかりになります。
日本小児内分泌学会の英文誌の総説(2015年)によると、骨端線では軟骨の細胞が増えて骨に置きかわります。この過程を進めるのが、成長ホルモンやIGF-1、甲状腺ホルモン、性ホルモンです。成長ホルモンが足りないと身長の伸びと骨年齢の両方が遅れ、多すぎると両方が進みます。
そこで「治療で伸びても、同じだけ骨年齢が進んで早く止まるなら、大人の身長は変わらないのでは」という心配が生まれます。見るべきなのは、骨年齢が進むかどうかではなく、伸びと比べて骨年齢だけが先に進んでいないかです。
治療中、骨年齢はどのくらい進むものですか?
成長ホルモンが足りない状態では、身長の伸びと骨年齢がともに遅れています。治療で補うと、身長の伸びとともに、遅れていた骨年齢も進んでいきます。骨年齢が進むこと自体は、治療が効いて骨が育っているしるしです。
国内で思春期前の成長ホルモン分泌不全症の男の子を対象にした臨床試験の報告(1999年)があります。日本の通常の量より多い量を使った2つの方法では、4年後の身長のSDスコア(同じ年齢の平均からの離れ方)が通常の量より改善しました。骨の成熟は早まりませんでした。各グループ5〜15人の小さな試験です。
同じ2015年の総説は、思春期が来ていないターナー症候群の女の子の骨年齢の進み方も紹介しています。成長ホルモン治療中、骨年齢10歳までは1年に平均1.11歳分、10歳を過ぎると1年に平均0.45歳分と、ゆるやかになっていました。性ホルモンがないと、成長ホルモンを使っていても、骨年齢10歳を過ぎると進み方がゆるやかになるということです。
骨端線を閉じるのは、成長ホルモンなのですか?
同じ総説によると、思春期の年ごろにあたる骨年齢では、骨の成長と成熟に性ホルモンが必要です。骨端線が閉じるには、性ホルモン(おそらく女性ホルモン)が欠かせません。成長ホルモンと思春期を抑える薬を一緒に使った研究では、骨年齢の進みは男の子で11.5歳、女の子で10.5歳を過ぎるとゆるやかになりました。そして、男の子で14歳、女の子で13歳を超えませんでした。
骨端線を閉じる最後のひと押しは思春期の性ホルモンで、成長ホルモンそのものが骨端線を閉じるわけではありません。思春期の時期と進み方が、残りの伸びる期間を大きく左右します。
一方で、成長板の細胞が分裂できる回数には限りがあり、伸びるにつれて使われていくという考え方もあります(2011年の総説)。速く伸びればそのぶん「残り」も使われるため、治療中は伸びと骨年齢を並べて見ます。日本小児内分泌学会は、骨年齢で男子16.0歳、女子14.6歳を超えると骨端線閉鎖に相当するとしています。男子15歳・女子14歳以上では、成長ホルモン治療をしてもほとんど効果がみられません。
量が多いと、骨年齢は速く進みますか?
原因となる病気が見つからない低身長(特発性低身長)の子どもを、2つの量で大人の身長まで治療した試験があります。量は、1週間に体重1kgあたり0.24mgと0.37mgです。くじで量を分けた試験(無作為化試験)で、2006年の解析では、骨の成熟の速さ、思春期の始まる年齢と進む速さに、大きな差はありませんでした。
一方、さらに多い量を思春期の前に2年以上使ったオランダの小さな試験(2002年、35人)では、治療したグループの骨年齢は2年で3.6歳分進みました。治療しないグループの2年で2歳分より速い進み方です。治療したグループは思春期も早く始まり、骨年齢から見た身長の位置は、治療しないグループと差がありませんでした。研究者は、この方法では治療で得られる伸びが限られるおそれがあるとしています。
量をむやみに増やすと、骨年齢が速く進んで伸びる期間を縮めてしまうおそれがあります。量の決め方と、量を増やしたときの伸びの研究は、別のコラムで説明しています。
治療で、思春期が早く始まることはありますか?
成長ホルモン治療と思春期が始まる時期の関係を調べた25の研究(子ども1,433人)をまとめた報告(2024年)があります。特発性低身長の子どもでは、治療を受けた子のほうが思春期の始まりが平均で半年ほど早くなっていました。SGA性低身長症などほかの病気では、はっきりした差は見られていません。
先ほどの2006年の解析では、思春期が始まった年齢(中央値)は、0.24mgと0.37mgの順に、男の子で13.7歳と13.5歳、女の子で11.7歳と11.4歳でした。どちらのグループも一般の子どもより遅めで、特発性低身長の子どもは、もともと思春期が遅めのこともあります。
思春期が早まると、骨年齢の進みも速くなります。治療中に胸のふくらみ、精巣が大きくなる、陰毛などの変化に気づいたら、時期をメモして診察で伝えましょう。治療中に思春期が始まったときの考え方は「成長ホルモン治療中に思春期が始まったら」のコラムで説明しています。
治療中、骨年齢はどのくらいの間隔で確かめますか?
日本内分泌学会などの診療ガイドライン(2023年版)では、成長ホルモン分泌不全性低身長症の骨年齢を、思春期の前は1年に1回、思春期に入ったら半年に1回測るとしています。SGA性低身長症では、添付文書で骨年齢を6か月から1年に1回測ることとされています。
骨年齢は読む人によって0.45〜0.83年ほどの差が出ることがあるため(2021年の総説)、1回の小さな差だけでは判断しません。同じ方法で続けて見ていきます。確かめるときは、次の点を並べて見ます。
- 前回から、骨年齢が何歳分進んだか
- 同じ期間に、身長がどのくらい伸びたか
- 骨年齢から見て、身長が平均に近づいているか
- 思春期のサインが出ていないか
- 1年の伸びが小さくなってきていないか
骨年齢が速く進んでいると言われたら、どうしますか?
骨年齢が速く進む理由は、成長ホルモンだけとは限りません。思春期が始まった、体重が増えた、ほかのホルモンの働きが変わったなどの理由もあります。考えられる理由は「骨年齢が進んでいると言われたら」のコラムで説明しています。
治療を続けるか、量を見直すか、終わりの時期を考えるかは、伸びの記録と骨年齢、思春期の進み方を合わせて主治医が判断します。家庭の判断で注射をやめたり、量を減らしたりはしないでください。
ノビケアでは、手のエックス線(骨年齢)は近くの医療機関で撮ることをお勧めしていますが、必須ではありません。撮った場合は結果を共有いただくと、残りの期間の見通しを立てやすくなります。撮らない場合も、身長の伸びの速さと思春期の変化を記録で確かめます。
治療中に足を引きずる、股や膝が痛いといった様子があるときは、早めに医療機関へ相談してください。骨端線に関わる別の病気(大腿骨頭すべり症)のことがあります。
成長ホルモン治療と骨年齢についてよくある質問
Q. 治療を始めてから骨年齢が1年で1歳以上進みました。治療のせいですか?
A. 治療前に遅れていた骨年齢が、伸びとともに追いついている場合もあります。同じ期間の身長の伸びや思春期の変化と並べて、主治医に評価してもらいましょう。
Q. 骨年齢の進みを遅らせるために、治療を休んだほうがよいですか?
A. 骨年齢は治療をしていなくても年齢とともに進み、休んでいる間は伸びも小さくなります。続け方は、伸びと骨年齢を合わせて主治医と相談してください。
Q. 成長ホルモン治療を受けると、早く伸びが止まって最終的に低くなりますか?
A. 骨年齢は伸びに合わせて進むもので、それだけで低く終わるわけではありません。量は医師が決め、伸びと骨年齢を定期的に確かめます。
出典 [1]
まとめ
成長ホルモン治療中は、身長の伸びに合わせて骨年齢も進みます。骨端線を閉じる主な役目は、思春期の性ホルモンです。量を守り、伸びと骨年齢、思春期の変化を並べて確かめることが大切です。骨年齢や伸び方が気になるときは、ノビケアの医師による無料相談(予約は公式LINE)で、成長の記録を見ながらご相談いただけます。
出典 [12]
ノビケアの成長ホルモン治療について(自由診療)
ノビケアの成長ホルモン治療は自由診療で、健康保険や医療費助成は使えません。原因となる病気が見つからない低身長への使用は、国内で承認された効能・効果に含まれていない適応外使用です。重い副作用が起きた場合でも、国の医薬品副作用被害救済制度は原則として利用できません。
費用(税込)は、医師による無料相談が0円、医師が必要と判断した場合の郵送検査(指先の血液と尿)が20,000円(送料込み)です。お薬は1本あたり、治療を始める月が40,000円、2か月目以降が60,000円、6か月分一括プランでは50,000円です(注射器・注射針と冷蔵便の送料を含みます)。1か月に使う本数は体重によって変わり、2〜5本が目安です。
注射はご自宅で毎日1回行い、治療は年単位になることが多く、続けるかどうかを定期的に判断します。主な副作用は、注射したところの痛み・赤み・腫れ、関節の痛み、むくみ、頭痛などで、まれに頭の中の圧が高くなる、股関節の骨がずれる、側弯が進む、血糖値が上がる、甲状腺の働きが変わる、といったことがあります。詳しくは「成長ホルモン治療について」のページをご覧ください。ご質問はお問い合わせページから受け付けています。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- Clinical Pediatric Endocrinology「Bone age: assessment methods and clinical applications」(Satoh M、日本小児内分泌学会英文誌、2015年、PMC全文)
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- Acta Paediatrica Supplement「High-dose growth hormone (GH) treatment in prepubertal GH-deficient children」(Yokoya S ほか、1999年。国内の思春期前の成長ホルモン分泌不全症の男の子を対象にした2つの臨床試験、PubMed)
- Endocrine Development「Growth plate senescence and catch-up growth」(成長板の老化とキャッチアップ成長に関する総説、2011年、PMC)
- Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism「Effect of growth hormone dose on bone maturation and puberty in children with idiopathic short stature」(Crowe BJ ほか、2006年、特発性低身長の子どもを2つの量で比べた無作為化試験の骨の成熟と思春期の解析、PubMed)
- Archives of Disease in Childhood「High dose growth hormone treatment induces acceleration of skeletal maturation and an earlier onset of puberty in children with idiopathic short stature」(Kamp GA ほか、2002年、オランダの特発性低身長の子ども35人の無作為化比較試験、PubMed)
- Hormone Research in Paediatrics「Effect of Growth Hormone Therapy on Pubertal Timing: Systematic Review and Meta-Analysis」(Olwi D ほか、2024年、25研究・子ども1,433人の系統的レビュー、PubMed)
- 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン作成委員会(厚生労働科学研究班・日本内分泌学会)「間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版」(日本内分泌学会雑誌 Vol.99 Suppl.、2023年7月、J-STAGE、PDF)
- PMDA「ソマトロピンBS皮下注「サンド」シュアパル 添付文書」(2026年8月改訂 第3版)
- Journal of Clinical Research in Pediatric Endocrinology「Traditional and New Methods of Bone Age Assessment-An Overview」(Prokop-Piotrkowska M ほか、2021年、PMC)
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
- ノビケア「お問い合わせ」