成長ホルモン治療読む時間 約6分
治療を始めてから手足がむくむ・関節がこわばる:よくある変化と主治医に連絡するサイン
公開日:2026年10月5日 更新日:2026年10月5日
成長ホルモンには体に水分をためる働きがあり、添付文書には副作用として、むくみ(浮腫)や関節の痛み、こわばりが挙げられています。大人の治療では始めたころに見られ、多くは量を減らしたり治療を続けたりするうちに消えるとされています。子どもでは、ひざや足の痛みとして気づかれることもあります。むくみが続く、尿が減る、息苦しい、指がしびれるといったときは、次の診察を待たずに主治医に連絡しましょう。
成長ホルモン治療で、むくみや関節のこわばりは起こる?
成長ホルモン製剤の添付文書には、子どもの治療で見られることがある副作用として、むくみ(浮腫)や顔のむくみ、関節痛や下肢痛などの成長痛が挙げられています。毎日型の製剤の中には、関節のこわばり(関節硬直)や、手首で神経が圧迫されて指がしびれる手根管症候群を挙げているものもあります。
大人の成長ホルモン分泌不全症の治療については、添付文書で、浮腫や関節痛などがあらわれることがあるため観察を十分に行い、異常があれば量を減らすか中止を考えることとされています。手足のこわばりも、大人の治療の副作用として挙げられています。
なぜ、むくみや関節の症状が出るの?
日本内分泌学会などがまとめた診療ガイドライン(2023年版)は、大人の成長ホルモン分泌不全症の治療について、成長ホルモンの体に水分をためる作用に関連して、手足のむくみ、手根管症候群、関節痛、筋肉痛などが治療を始めたころに見られ、その多くは量を減らしたり治療を続けたりするうちに消えるとしています。
成長ホルモン治療の安全性についての国際的な専門家会議の報告(European Journal of Endocrinology誌、2016年)は、大人ではむくみや手根管症候群などが量が多すぎるサインのことがある一方、子どもの筋肉や関節の痛みは、伸びが速くなったことやもとの病気に関係していることがあるとしています。子どもでは、むくみより、ひざや足の痛みとして気づかれることが多いと考えられます。
家では、どんなところを見ておく?
むくみは、毎日見ていると気づきにくいものです。次のような変化がないかを、ときどき確かめておきましょう。気づいた日と様子をメモし、写真を撮っておくと、主治医に伝えやすくなります。
体重は、朝起きてトイレに行ったあとなど、毎回同じ条件で測ると変化が分かりやすくなります。治療を始めた日や、量が変わった日も記録に書いておくと、むくみが出た時期と治療の変化の関係を主治医が判断しやすくなります。
- 朝起きたときに、まぶたや顔が腫れぼったい
- すねや足の甲を指で押すと、へこんだあとがしばらく残る
- 靴がきつくなった、靴下のゴムのあとが深く残る
- 短い間に体重が急に増えた
- 尿の量が減った、尿の泡立ちが強い
- 朝に手や指がこわばる、指がしびれる
- ひざや股関節を痛がる、歩き方がいつもと違う
指のしびれがあるときは?
手根管症候群は、手首の中を通る神経が圧迫される病気です。日本整形外科学会は、初めは人さし指と中指がしびれたり痛んだりし、進むと親指から薬指の親指側までがしびれること、しびれや痛みは明け方に強く、手を振ったり指を曲げ伸ばししたりすると楽になることを説明しています。
子どもは「しびれる」とうまく言えず、「手がへんな感じ」「ジンジンする」と表現することがあります。明け方に手の違和感を訴える、細かい作業をいやがるようになったといった様子があれば、主治医に伝えてください。
むくみの原因は、治療のほかにもある?
むくみは、成長ホルモンの作用だけで起こるわけではありません。成長ホルモン製剤のガイドには、まれでも重い副作用として、ネフローゼ症候群が挙げられています。尿の量が減る、尿の泡立ちが強い、息苦しい、むくみ、体重が増えるといった症状が同じころに出ることがあるとされています。日本腎臓学会は、ネフローゼ症候群を、尿にたんぱくが多く出て血液中のたんぱくが減る病気と説明しています。
同じガイドには、甲状腺の働きが低下したときの症状として、まぶたが腫れぼったい、寒がり、体重が増える、疲れやすいといった様子も挙げられています。添付文書では、心臓や腎臓の病気のある人では、一時的なむくみがあらわれることがあるとされています。むくみの原因は家庭では見分けられないため、気になるときは診察で確かめてもらいましょう。
関節の痛みやこわばりが続くときは?
添付文書には、関節痛や下肢痛などの成長痛も副作用として挙げられています。夕方から夜に足を痛がり、朝には治まっている場合は、成長痛のような痛みのことが多いと考えられます。
一方で、足を引きずる、日中も痛い、同じ場所を痛がり続けるといったときは、太ももの骨のつけ根がずれる大腿骨頭すべり症など、早く見つけたい病気のこともあります。見分け方は「治療中に「ひざや股関節が痛い」と言ったら」のコラムでくわしく説明しています。
主治医に連絡したほうがよいのは、どんなとき?
次のような様子があるときは、次の診察を待たずに、成長ホルモンを処方している医療機関に連絡してください。息が苦しそう、尿がほとんど出ない、ぐったりしているといったときは、救急の受診や119番を考えてください。強い頭痛や何度も吐くときは、「成長ホルモン治療中の頭痛」のコラムも参考にしてください。夜間や休日に迷うときは、子ども医療電話相談(♯8000)で相談できます。
- むくみが数日たっても引かない、だんだん強くなる
- 尿の量が減った、尿の泡立ちが強い、尿が赤っぽい
- 体重が急に増えた
- 指のしびれや手の違和感が続く
- 関節の痛みやこわばりで、歩き方や動きが変わった
- 寒がる、だるそうにしているなど、ほかの体調の変化もある
主治医は、どのように対応する?
添付文書では、大人の治療で浮腫や関節痛などがあらわれたときは、量を減らすか中止を考えることとされています。子どもの場合も、症状の程度や原因を確かめたうえで、量の見直しや検査を主治医が判断します。尿や血液の検査、甲状腺の検査などで原因を調べることもあります。
むくみが気になっても、自分の判断で量を減らしたり注射をやめたりしないでください。治療中の検査の考え方は「成長ホルモン治療中の通院と検査」のコラムで紹介しています。
ノビケアで治療を受けている場合は?
ノビケアでは、治療中もオンラインで診察し、身長、体調、副作用、お薬の残りを確認しています。むくみや関節のこわばり、指のしびれに気づいたときは、次の診察を待たずにご連絡ください。診察や検査が必要な場合は、対面の医療機関をご紹介します。治療を始めるかどうか迷っている段階では、医師による無料相談(ビデオ通話)をご利用いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。予約は公式LINEから受け付けています。
治療中のむくみや関節のこわばりについてよくある質問
Q. 治療を始めてから体重が増えました。むくみでしょうか?
A. 治療を始めると、食欲が増えたり筋肉がついたりして体重が増えることもあります。押してへこむむくみがあるか、尿の量に変化がないかを見て、主治医に伝えましょう。食欲や体重の変化は「成長ホルモン治療を始めたら食欲や体重が増えた」のコラムで説明しています。
Q. 朝だけ手がこわばりますが、昼には治ります。
A. しばらく続く場合や、しびれをともなう場合は、主治医に伝えてください。
Q. むくみが出たら、治療はやめることになりますか?
A. 原因や程度によって違います。量の見直しで続けられることもあるため、主治医の判断を待ちましょう。
出典 [3]
まとめ
成長ホルモンには体に水分をためる働きがあり、むくみや関節の痛み、こわばりが副作用として挙げられています。むくみが続く、尿が減る、指がしびれる、歩き方が変わるといったときは、ほかの病気のこともあるため、次の診察を待たずに主治医に連絡しましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- PMDA「ソマトロピンBS皮下注「サンド」シュアパル 添付文書」(2026年8月改訂 第3版)
- PMDA「ノルディトロピン フレックスプロ注 添付文書」(2025年9月改訂 第3版)
- 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン作成委員会(厚生労働科学研究班・日本内分泌学会)「間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版」(日本内分泌学会雑誌 Vol.99 Suppl.、2023年7月、J-STAGE、PDF)
- European Journal of Endocrinology「GH safety workshop position paper: a critical appraisal of recombinant human GH therapy in children and adults」(欧州小児内分泌学会・成長ホルモン研究学会・米国小児内分泌学会の合同会議の声明、2016年、PMC)
- 日本整形外科学会「手根管症候群」(症状・病気をしらべる)
- PMDA「患者向医薬品ガイド ソマトロピンBS皮下注「サンド」シュアパル」
- 日本腎臓学会「9.小児の腎疾患」(一般のみなさまへ)
- 厚生労働省「上手な医療のかかり方」「子どもの症状は♯8000」
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
- ノビケア「お問い合わせ」