成長ホルモン治療読む時間 約6分
成長ホルモン治療を始めたら食欲や体重が増えた:よくある変化と食事の考え方
公開日:2026年10月5日 更新日:2026年10月5日
背が伸びる時期は、体をつくるためのエネルギーも必要になり、身長が伸びれば体重も増えます。そのため、治療中に食べる量や体重が増えること自体は、すぐに心配しなくてよい場合が多いと考えられます。ただし、むくみやのどの渇きなどをともなう体重の変化は、副作用のサインのことがあります。体重は身長とのバランスで見て、気になる変化は主治医に伝えましょう。
治療中に、食欲が増えるのはなぜ?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成長期の子どもが体を大きくするためのエネルギーを「エネルギー蓄積量」として、1日に必要なエネルギーの目安に含めています。成長期は、体を動かす分だけでなく、体をつくる分のエネルギーも必要な時期です。年齢ごとの目安は「成長期に必要なカロリーは?」のコラムで紹介しています。
日本小児内分泌学会は、成長ホルモンが骨を伸ばすだけでなく、脂肪組織や筋肉など全身に働いて、代謝を調節していると説明しています。ある週1回型の製剤の添付文書には、その他の副作用の一つとして「食欲亢進」(食欲が増えること)が挙げられています。
ただ、治療中の食欲の変化が、治療によるものか、成長や思春期、部活などによるものかを家庭で見分けるのは難しいことです。治療と食欲の関係についての書き方は、医師の確認が必要な点です。
思春期に入る時期や、部活で体を動かす量が増えた時期にも、食べる量は自然に増えます。食欲が増えたと感じたら、治療を始めた時期だけでなく、身長の伸び方や生活の変化もあわせて振り返ってみましょう。
体重が増えるのは、よくないこと?
身長が伸びれば、骨や筋肉が増える分、体重も増えていきます。日本小児内分泌学会は、成人では成長ホルモンに除脂肪体重(脂肪以外の体の重さ)を増やし、体脂肪量を減らす働きがあることにも触れています。体重が増えたことだけで、太ったと決めつけないようにしましょう。
見ておきたいのは、体重の数字だけでなく、身長とのバランスです。身長に対して体重が多すぎないかは、肥満度で確かめられます。見方は「身長と体重のバランス(肥満度)のグラフの見方」と「子どものBMIと肥満度」のコラムで説明しています。
また、成長ホルモンの量は体重をもとに決めます。診療ガイドラインの治療の手引きでも、治療中は体重に合わせて必要な量を調整していくとされています。体重の記録は、治療を続けるうえでも大切な情報です。
体重の変化で、早めに主治医に伝えたいサインは?
成長ホルモン製剤の患者向医薬品ガイドには、体重の変化と関係する症状がいくつか書かれています。次のような様子があるときは、次の診察を待たずに主治医に相談しましょう。
- 急に体重が増えた、顔や手足がむくむ、まぶたが腫れぼったい(浮腫の症状として書かれています)
- 寒がる、いつも眠そう、便秘が続くといった様子とともに体重が増えた(甲状腺の働きが低下したときの症状として書かれています)
- のどが渇いて水をたくさん飲む、尿の量が増える、体がだるい、体重が減る(血糖が高くなったときの症状として書かれています)
- ひざや股関節が痛い、足を引きずる(体重の多い子で気をつけたい病気があります)
体重の多い子で、とくに気をつけることは?
添付文書では、重大な副作用の一つとして糖尿病が挙げられ、血糖が上がりやすくなることがあるとされています。診療ガイドラインの治療の手引きも、治療によってインスリンが効きにくくなることがあるものの、問題になることは少ないとしています。体重が大きく増えている場合は、血液検査の結果とあわせて主治医に見てもらいましょう。
体格が大きく肥満傾向のある子は、太ももの骨のつけ根がずれる大腿骨頭すべり症を起こしやすいとされています。ひざの痛みとして始まることもあるため、「治療中に『ひざや股関節が痛い』と言ったら」のコラムもあわせてご覧ください。
食事は、どう考えればよい?
治療中だからといって、特別な食事が必要なわけではありません。主食・主菜・副菜をそろえた食事を、朝・昼・夜の3食でとることが基本です。農林水産省の食事バランスガイドでは、主食はごはん・パン・めん、主菜は肉・魚・卵・大豆料理、副菜は野菜・きのこ・いも・海藻料理と分けて、組み合わせ方を示しています。これに、カルシウムのもとになる牛乳・乳製品と、果物を加えた5つの区分で、1日の食事をそろえる考え方です。
体重が気になっても、成長期に自己判断で食事を大きく減らすのは避けましょう。エネルギーや栄養が足りなくなると、身長の伸びそのものに影響するおそれがあります。たくさん食べるほど背が伸びるわけでもありません。量の調整が必要かどうかは、成長曲線と肥満度を見ながら、主治医やかかりつけの小児科と相談してください。
おやつや夜食は、どうすればよい?
部活や塾で帰りが遅い日は、夕食までに間が空き、おやつや夜食が増えがちです。次のような工夫で、食事全体のバランスを保ちましょう。
- おやつは時間と量を決め、おにぎり、パン、乳製品、果物など、食事の一部になるものを選ぶ
- 甘い飲み物は毎日の習慣にせず、のどが渇いたときは水やお茶を基本にする
- 夜遅い食事は量を控えめにし、寝る直前の食べすぎを避ける
- 塾の前に軽く食べ、帰ってから残りを食べるなど、夕食を2回に分ける
出典 [9]
体重を気にする子には、どう声をかける?
思春期が近づくと、身長より先に体重が増えて、ふっくらして見える時期があります。本人が体型を気にしているときに、家族が「食べすぎ」「太った」と言うと、食事を極端に減らすきっかけになることがあります。体型の話より、「よく食べて部活をがんばっているね」など、生活全体を認める声かけを心がけましょう。
思春期の体重の変化は「思春期に体重が先に増えるのはなぜ?」のコラムで、食事を減らそうとする女の子への声かけは「思春期の女の子が「太りたくない」と食事を減らしたら」のコラムで説明しています。
診察では、どんなことを伝えればよい?
診療ガイドラインの治療の手引きでは、診察のたびに身長と体重を測り、3〜6か月ごとに血液検査などを行うとされています。家庭での様子も、次のようにメモしておくと伝えやすくなります。
- 家で測った体重と、測った日
- 食べる量や、おやつ・夜食の変化
- むくみ、のどの渇き、尿の回数の変化
- 部活や運動の量の変化
出典 [4]
ノビケアで治療を受けている場合は?
ノビケアで治療を受けている方も、食欲や体重の変化で気になることがあれば、オンラインの診察でご相談ください。体重はお薬の量を決めるもとになるため、家で測った体重もお知らせください。治療を始めるかどうか迷っている段階では、医師による無料相談(ビデオ通話)をご利用いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。予約は公式LINEから受け付けています。
治療中の食欲と体重についてよくある質問
Q. たくさん食べさせたほうが、治療の効果は出ますか?
A. 食べる量を増やすほど背が伸びるという裏づけはありません。主食・主菜・副菜のそろった食事を、3食きちんととることを基本にしましょう。
Q. 体重が増えたので、お薬の量は変わりますか?
A. 成長ホルモンの量は体重をもとに決めるため、診察のときに見直されることがあります。量の変更は主治医の指示に従ってください。
Q. 食欲が落ちてしまいました。
A. 体調をくずしているときや、ほかの病気が隠れていることもあります。食欲がない状態が続く、体重が減っているときは、主治医に相談しましょう。
出典 [4]
まとめ
成長期は体をつくるためのエネルギーも必要で、身長が伸びれば体重も増えます。体重は数字だけでなく身長とのバランスで見て、むくみやのどの渇きなどをともなう変化は早めに主治医に伝えましょう。食事は特別なものより、3食のバランスを整えることが基本です。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 各論「エネルギー」(PDF)
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- PMDA「エヌジェンラ皮下注ペン 添付文書」(2026年7月改訂 第3版)
- 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン作成委員会(厚生労働科学研究班・日本内分泌学会)「間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版」(日本内分泌学会雑誌 Vol.99 Suppl.、2023年7月、J-STAGE、PDF)
- PMDA「患者向医薬品ガイド ソマトロピンBS皮下注「サンド」シュアパル」
- PMDA「患者向医薬品ガイド ノルディトロピン フレックスプロ注」(2022年6月更新)
- PMDA「ソマトロピンBS皮下注「サンド」シュアパル 添付文書」(2026年8月改訂 第3版)
- 滋賀県立総合病院 小児整形外科「大腿骨頭辷り症(大腿骨頭骨端線離開)」(滋賀県ホームページ)
- 農林水産省「「何を」「どれだけ」材料と料理区分」(食事バランスガイド)
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
- ノビケア「お問い合わせ」