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成長ホルモン治療中の頭痛:頭蓋内圧亢進症に気をつけるサイン
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
成長ホルモン治療中に頭痛があっても、多くは片頭痛など、子どもによくある頭痛です。ただ、まれに頭の中の圧が高くなる副作用(頭蓋内圧亢進)があり、治療を始めてから比較的早い時期に起こりやすいと報告されています。頭痛に吐き気や嘔吐、見え方の異常を伴うときは、早めに主治医に連絡してください。強い頭痛、何度も吐く、けいれんがある、呼びかけへの反応が鈍いときは、119番に連絡してください。
治療中の頭痛は、どのくらいある?
頭痛は、成長ホルモン製剤の添付文書で副作用として挙げられている症状の一つです。国際的な登録データ(KIGS)で成長ホルモン治療を受けた5万7,968人を分析した報告(Hormone Research、2007年)では、頭痛の報告は、1年間に10万人が治療を受けたとした場合に約790件の割合でした。頭蓋咽頭腫やほかの脳腫瘍のある子、生まれつき成長ホルモンが不足している子では、ほかの病気の子より多くみられました。
一方、子どもの頭痛そのものはよくあることです。日本小児神経学会は、外来でいちばん多いのは大人と同じく片頭痛で、ほかに、強くはないもののだらだら続く、締めつけられるような緊張型頭痛があると説明しています。頭痛があったからといって、すぐに治療の副作用と決めつける必要はありません。
同学会は、子どもの頭痛には副鼻腔炎などの炎症や、まれに高血圧が原因のものもあり、耳鼻咽喉科や眼科、歯科の病気による頭痛もあると説明しています。原因を探すために、血液検査や血圧の測定が必要になることもあります。
頭蓋内圧亢進とは、どんな副作用?
頭蓋内圧亢進は、頭の中の圧が高くなる状態です。成長ホルモン治療に伴うものは、腫瘍などの原因がないのに圧が上がる「特発性頭蓋内圧亢進症(偽脳腫瘍)」として知られています。週1回型のソグルーヤとエヌジェンラの添付文書では、頭蓋内圧亢進の症状が悪化したり再発したりする可能性があるとして、見え方の異常、頭痛、吐き気や嘔吐があれば、投与を中止するか量を減らし、目の奥の神経のむくみ(視神経乳頭浮腫)を調べる眼底検査を考えるとされています。
米国食品医薬品局の担当者がまとめた13人の報告(Journal of Pediatrics、1995年)では、1人を除く全員に頭痛、吐き気、嘔吐、見え方の変化があり、全員に乳頭浮腫がみられました。原因の分からない成長ホルモン分泌不全の12人では、経過は良好で、症状はすべて消えたとされています。
いつ、どんな子に起こりやすい?
先のKIGSの報告では、頭蓋内圧亢進は41人にみられ、1年間に10万人が治療を受けたとした場合に約28人の割合でした。原因の分からない成長ホルモン分泌不全の子(約12人)に比べて、ターナー症候群(約56人)、生まれつきの成長ホルモン分泌不全(約55人)、プラダー・ウィリ症候群(約68人)、慢性腎不全(約148人)で多く、特発性低身長の子では報告がありませんでした。ただし、これは海外を中心とした登録データでの割合で、日本の子どもにそのまま当てはまるとは限りません。
治療を始めてから起こるまでの期間(中央値)は、病気のグループによって0.01〜1.3年でした。米国の13人の報告でも、6人は治療開始から2週間以内、4人は2〜12週の間に見つかっています。治療を始めたばかりの時期や量が増えたあとは、とくに頭痛の様子に気をつけましょう。
毎日型の製剤の添付文書にも、慢性腎不全の子では、成長ホルモン分泌不全の子に比べて頭蓋内圧亢進の起こる頻度が高いという報告があると書かれています。
見逃したくないサインは?
次のような様子があるときは、よくある頭痛と決めつけず、早めに主治医に連絡してください。
日本小児神経学会は、歩くときにふらつく、手足が動かしづらい、毎日のように頭痛と嘔吐がある、症状が進んでいる、といった場合は、頭のCTやMRIが必要な緊急性のある頭痛だとしています。小さな子は頭痛をうまく言葉にできず、機嫌が悪い、吐く、目をこするといった形で現れることもあります。
強い頭痛、何度も吐く、けいれん、呼びかけへの反応が鈍いといったときは、次の診察を待たずに119番や救急医療機関に連絡し、成長ホルモンの注射をしていることを伝えてください。
- 治療を始めた、または量が変わったあとに、頭痛が続く・強くなっていく
- 頭痛に吐き気や嘔吐を伴う、朝起きたときに頭痛や嘔吐がある
- 物がぼやける、二重に見えるなど、見え方の変化がある
- 毎日のように頭痛と嘔吐がある
- 歩くときにふらつく、手足が動かしづらい
連絡したら、どんな検査をする?
添付文書では、頭痛、吐き気、見え方の異常があるときは、眼底検査で視神経乳頭浮腫の有無を確かめることを考えるとされています。眼科で目の奥を見る検査です。必要に応じて、頭のMRIなどの画像検査で、ほかの原因がないかを確かめることもあります。
頭蓋内圧亢進と分かった場合、注射を中止するか量を減らすかは主治医が判断します。米国の報告では、注射を再開したあとに症状が再び出た子がいた一方で、のちに再開しても起こらなかった子もいました。再開するかどうか、どのような量で再開するかは、症状と検査の結果をみて決めます。
成長ホルモン治療と偽脳腫瘍について論じた報告(Journal of Pediatric Endocrinology and Metabolism、2002年)は、この病気は決して軽く見てよいものではなく、視力が戻らなくなることもあると指摘しています。見え方の異常を伴う頭痛を、痛み止めだけで様子を見続けないようにしましょう。
頭痛があったとき、何を記録しておくとよい?
日本小児神経学会は、頭痛は本人にしか分からない症状なので、どの年齢でも診断は問診が中心になるとしています。頭痛のたびに次のことをメモしておくと、主治医が判断しやすくなります。
片頭痛や緊張型頭痛では、早寝早起きなど薬によらない工夫がまず勧められると同学会は説明しています。ただ、治療中の頭痛は、副作用ではないかの確認を先にしましょう。
- 起きた日と時間帯(朝起きたとき、夕方など)、続いた時間
- 痛む場所と強さ、吐き気や嘔吐の有無
- 見え方の変化など、ほかに気づいた症状
- 痛み止めを使ったか、効いたか
- 注射を始めた日、量が変わった日、打った時間
- 寝不足、かぜ、運動のあとなど、きっかけになりそうなこと
成長ホルモン治療中の頭痛についてよくある質問
Q. 頭痛があるときは、その日の注射を休んだほうがよいですか?
A. 頭痛の様子によって違います。吐き気や見え方の変化を伴うときは、その日の注射の前に主治医に連絡して指示を受けてください。連絡するときは、頭痛が始まった時間、吐いた回数、見え方の変化の有無を伝えると、指示を受けやすくなります。軽い頭痛でも、続くときは伝えましょう。
Q. 市販の痛み止めを飲ませてもよいですか?
A. 日本小児神経学会は、子どもの頭痛で薬が必要なときは、まずイブプロフェンやアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬が使われると説明しています。ただ、治療中に頭痛が続くときは痛み止めで様子を見続けず、主治医に相談してください。使える薬と量は、医師や薬剤師に確認しましょう。
Q. 一度頭蓋内圧亢進が起きたら、もう治療はできませんか?
A. 一律には決まっていません。米国の報告では、再開後に再び起きた子も、起きなかった子もいました。続けるかどうかは、もとの病気と経過をみて主治医が判断します。
まとめ
成長ホルモン治療中の頭痛の多くはよくある頭痛ですが、まれに頭蓋内圧亢進が起こり、治療の始めのころに多いと報告されています。吐き気や嘔吐、見え方の変化を伴う頭痛は早めに主治医へ、強い頭痛やけいれんは119番へ連絡してください。治療を始めるか迷っている段階では、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で、副作用についてもお話しいただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。
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公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- PMDA「ソマトロピンBS皮下注「サンド」シュアパル 添付文書」(2026年8月改訂 第3版)
- Hormone Research「Headache, idiopathic intracranial hypertension and slipped capital femoral epiphysis during growth hormone treatment: a safety update from the KIGS database」(Darendeliler F ほか、2007年、国際登録データの57,968人、PubMed)
- 日本小児神経学会 小児神経Q&A「Q52:子どもの頭痛と治療について教えてください。」(2022年10月)
- 日本小児神経学会 小児神経Q&A「Q53:子どもの頭痛に検査は必要でしょうか。」(2022年10月)
- PMDA「ソグルーヤ皮下注 添付文書」(2026年6月改訂 第4版)
- PMDA「エヌジェンラ皮下注ペン 添付文書」(2026年7月改訂 第3版)
- Journal of Pediatrics「Benign intracranial hypertension in children with growth hormone deficiency treated with growth hormone」(Malozowski S ほか、米国食品医薬品局、1995年、13人の報告、PubMed)
- Journal of Pediatric Endocrinology and Metabolism「Growth hormone treatment and pseudotumor cerebri: coincidence or close relationship?」(Reeves GD ほか、2002年、PubMed)
- ノビケア「お問い合わせ」