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成長ホルモン治療中に運動・部活はしてよい?けがや合宿のときの注意
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
成長ホルモン治療をしていることだけを理由に、運動や部活を控えるよう求める記載は、製剤の添付文書には見当たりません。ただ、治療中は足のつけ根やひざ、かかとの痛み、背骨の変化に気をつけ、けがや成長痛と決めつけずに主治医へ伝えることが大切です。合宿や遠征の前には、注射の時間や日、お薬の保管を主治医と決めておきましょう。
治療中でも、運動や部活は続けられる?
成長ホルモン製剤の添付文書には、運動そのものを制限する記載は見当たりません。文部科学省の部活動のガイドラインは、成長期の生徒が活動、食事、休養、睡眠のバランスのとれた生活を送れるようにすることを求めています。治療中も、この考え方は変わりません。
ただし、もとの病気や体の状態によっては注意が必要なことがあります。たとえば心臓や骨・関節の病気がある場合の運動の範囲は、それぞれの病気の主治医が判断します。治療を始めるときに、している競技と練習量を伝えておきましょう。
注射の時間や学校での過ごし方は「成長ホルモン治療中の学校生活」のコラムで説明しています。このコラムでは、運動にかかわる体のサインと、けがや合宿のときの対応を中心に取り上げます。
足のつけ根やひざが痛いときは?
添付文書には、副作用として大腿骨頭すべり症が挙げられています。太ももの骨の先(骨頭)が、成長軟骨のところでずれてしまう病気です。滋賀県立総合病院の小児整形外科は、小学校高学年から中学生(10〜14歳)の男子に多く、肥満傾向があって体の大きな子に起こりやすい一方、スポーツをしている子にも起こることがあると説明しています。
同じ説明では、初めは股関節の痛みを訴えるとは限らず、ひざやかかとを痛がることもあり、見つかるのが遅れることが少なくないとされています。運動のあとに足のつけ根やひざの痛みが続く、足を引きずるといった様子があれば、練習のしすぎや成長痛と決めつけずに早めに受診し、成長ホルモン治療をしていることを伝えてください。
かかとやひざ下の痛みは?
成長期には、かかとの骨の端が痛むシーバー病や、ひざ下が痛むオスグッド病など、運動のくり返しで起こる痛みがよく見られます。ノルディトロピンの添付文書でも、副作用の一覧に「踵骨骨端炎」(かかとの骨の端の炎症)が挙げられています。
痛みが治療と関係しているのか、運動の負担によるものかを、家庭で見分けることはできません。痛みが続くときは整形外科で診てもらい、その結果を成長ホルモンの主治医にも伝えてください。それぞれの痛みについては「シーバー病とは?」「オスグッドは身長が伸びるサイン?」のコラムで説明しています。
出典 [1]
背中や姿勢の変化は、どう見る?
子どもでは、成長ホルモン治療中に側弯(背骨の左右の曲がり)が進むおそれがあるため、添付文書では、診察やエックス線検査などで定期的に確かめることとされています。日本整形外科学会は、側弯症のサインとして、左右の肩の高さの違い、肩甲骨の出っぱり、腰の高さの左右差、前かがみになったときの背中や腰の盛り上がりを挙げています。
体操やダンス、水泳など、体の線が見えやすい競技では、指導者が気づくこともあります。指摘を受けたときや家で気になったときは、次の診察で伝えてください。
頭を打ったときや、頭痛があるときは?
添付文書では、成長ホルモン治療で頭の中の圧が高くなる(頭蓋内圧亢進)ことがあり、頭痛、吐き気、見え方の異常があるときは、量を減らすかやめることを考え、眼底検査を検討するとされています。
運動中に頭を打ったあとに頭痛や吐き気が出た場合は、まずけがとして対応します。意識がおかしい、何度も吐く、けいれんがあるといったときは、すぐに119番に連絡してください。頭を打っていないのに頭痛や吐き気が続く場合も、主治医に相談しましょう。
骨折や入院、手術のときは?
けがで受診するときや、入院・手術が必要になったときは、成長ホルモンの注射をしていること、製剤の名前、量を伝えてください。お薬手帳を持っていくと伝えやすくなります。
けがの治療中に注射を続けるか休むかは、けがの程度や入院の有無によって違います。日本内分泌学会などの診療ガイドライン(2023年版)の治療の手引きは、風邪などで熱があるときは本人の負担を考えて注射を休ませてもよいとしていますが、病気や体の状態によって扱いは違います。自己判断せず、成長ホルモンの主治医に連絡して決めましょう。
骨端線のあたりのけがと身長の関係は「骨端線を骨折すると身長は止まる?」のコラムで説明しています。
出典 [8]
合宿や遠征のときは?
毎日型の製剤は、日本内分泌学会の説明では夜寝る前に打つとされています。合宿や遠征でも、寝る前に落ち着いて打てる場所があるか、お薬を冷蔵できる場所があるかを、前もって確かめておきましょう。
診療ガイドラインの手引きは、2〜3日の修学旅行などのときは、厳しく注射を指示するより休ませたほうが気持ちの面でもよく、短い中断が大人の身長に与える影響はほとんどないと考えられるとしています。合宿の日数や環境に合わせて、お薬を持っていくか休むかを主治医と決めておくと安心です。
週1回型の製剤は、注射の曜日と大会の日が重なる場合、曜日の変え方に決まりがあります。夏の遠征では、車の中や直射日光の当たる場所に置いたお薬が高温になるおそれがあり、凍ったものや高温の場所に置いたものは使わないよう添付文書に書かれている製剤もあります。保管の条件は「成長ホルモン治療中の学校生活」のコラムで製剤ごとにまとめています。
練習量が増えたとき、食事や体重で気をつけることは?
成長ホルモンの量は体重をもとに決めるため、練習量が増えて体重が大きく変わったときは、次の診察で伝えてください。反対に、練習量に対して食事が足りない状態が続くと、成長期の体の発育に影響するおそれが指摘されています。
日本スポーツ振興センターは、運動で使うエネルギーに対して食事が足りない状態(利用可能エネルギー不足)は、性別を問わず健康に有害な影響をもたらすと説明しています。文部科学省の部活動のガイドラインは、週2日以上の休養日を設けることなどを示しています。練習量の目安は「運動しすぎると身長が伸びない?」のコラムで説明しています。
大会に出るときに、確認しておくことは?
成長ホルモンは、世界アンチ・ドーピング機構の禁止表で、競技会の時も競技会外も常に禁止されている物質で、毎日型も週1回型も含まれます。病気の治療で使う場合でも、治療使用特例(TUE)の手続きが必要になることがあります。ドーピング検査がある大会に出る予定があれば、早めに主治医と競技団体に確認しましょう。くわしくは「スポーツ選手を目指す子の成長ホルモン治療はドーピングになる?」のコラムで説明しています。
原因となる病気が見つからない低身長への成長ホルモンの使用は適応外使用です。競技を続ける予定がある場合は、競技の規則との関係も含めて、治療を始める前に確認しておくことが大切です。ノビケアで治療を受けている方も、競技の予定や合宿の日程、運動のあとの痛みについてご相談いただけます。
治療中の運動についてよくある質問
Q. 注射をした日に、運動をしてもよいですか?
A. 注射と運動の時間について、添付文書に決まりは書かれていません。毎日型は寝る前に打つことが多いため、注射のあとに運動することはあまりありません。気になる場合は主治医に確認してください。
Q. 治療中に筋トレをしてもよいですか?
A. 成長ホルモン治療中であることを理由に筋トレを控えるよう求める記載は、添付文書には見当たりません。成長期の筋トレの考え方は「筋トレをすると身長が伸びない?」のコラムで説明しています。
Q. 痛みがあるけれど、大事な試合に出たいと言っています。
A. 痛みの原因によっては、運動を続けると悪化するものもあります。出てよいかは整形外科で診察を受けたうえで判断し、成長ホルモンの主治医にも伝えてください。
出典 [1]
まとめ
成長ホルモン治療中でも、多くの場合は運動や部活を続けられます。足のつけ根やひざ、かかとの痛み、背骨の変化、頭痛は、けがや成長痛と決めつけずに主治医へ伝えましょう。合宿や遠征、大会の前には、注射の日や保管、競技の規則を前もって確認しておくと安心です。
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公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- PMDA「ノルディトロピン フレックスプロ注 添付文書」(2025年9月改訂 第3版)
- 文部科学省「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」(令和7年12月、PDF)
- 滋賀県立総合病院 小児整形外科「大腿骨頭辷り症(大腿骨頭骨端線離開)」(滋賀県ホームページ)
- PMDA「ソマトロピンBS皮下注「サンド」シュアパル 添付文書」(2026年8月改訂 第3版)
- 日本整形外科学会「側弯症」
- PMDA「ソグルーヤ皮下注 添付文書」(2026年6月改訂 第4版)
- PMDA「エヌジェンラ皮下注ペン 添付文書」(2026年7月改訂 第3版)
- 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン作成委員会(厚生労働科学研究班・日本内分泌学会)「間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版」(日本内分泌学会雑誌 Vol.99 Suppl.、2023年7月、J-STAGE、PDF)
- 日本内分泌学会「成長ホルモン分泌不全性低身長症」
- 日本スポーツ振興センター(JSC/HPSC)Female Sport ナビ「「スポーツにおける相対的エネルギー不足 (REDs)」と「女性アスリートの三主徴(Triad)」とは?」
- 世界アンチ・ドーピング機構(WADA)「2026禁止表国際基準」日本語版(日本アンチ・ドーピング機構)(PDF)
- 日本アンチ・ドーピング機構(JADA)「TUE申請手続きの流れ」
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
- ノビケア「お問い合わせ」