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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約7分
慢性腎臓病と子どもの身長は?成長ホルモン治療の対象になる場合
公開日:2026年10月3日 更新日:2026年10月3日
慢性腎臓病の子どもは、栄養の不足や骨・ミネラルの異常、貧血など、いくつもの理由が重なって身長が伸びにくくなることがあります。まずはそれらの管理を行い、それでも低身長が続き、腎機能や身長の基準を満たす場合に、成長ホルモン治療を保険診療で受けられます。治療は腎臓の専門医と連携して進めます。
腎臓の病気があると、なぜ身長が伸びにくい?
日本小児腎臓病学会雑誌の総説(2018年)は、慢性腎臓病の子どもの成長障害には、栄養の不足、骨とミネラルの代謝の異常(CKD-MBD)、血液が酸性に傾くこと(アシドーシス)、腎臓が原因の貧血(腎性貧血)、尿毒症など、さまざまな要因がかかわっていると説明しています。
ネフローゼ症候群などでステロイドの薬を使っている場合は、薬も身長に影響する原因の一つになりえます。子どもの慢性腎臓病の原因は、生まれつきの腎臓や尿の通り道の形の違い(先天性腎尿路異常)が多くを占めるとされています。
大人の慢性腎臓病では腎臓の働きを守ることが治療の中心ですが、子どもでは、正常な成長と発達をうながすことも大切な目標になります。
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成長ホルモンの前に、どんな管理をする?
総説によると、まず十分な栄養をとり、電解質やアシドーシス、貧血、骨とミネラルの代謝を整えることが大切です。乳幼児期に飲みが悪く体重が増えない場合は、鼻から胃へ入れる管などで栄養を補う方法(経管栄養)を積極的に使うとされています。カルシウムやリン、副甲状腺ホルモンの管理が十分でないと、骨の変形や骨折、成長障害の原因になるため、薬や食事で整えていきます。
大人の慢性腎臓病ではたんぱく質を制限することがありますが、子どもでは低たんぱくの食事の効果は否定的で、現在のところ勧められていないと総説は説明しています。大人と同じような厳しい制限は、成長の妨げになることがあるためです。
高血圧がある場合は塩分を控えることが血圧を下げるのに役立つ一方、先天性腎尿路異常や若年性ネフロン癆などでは、逆に塩分を補う必要がある場合もあると総説は説明しています。食事の内容は病気の種類や時期によって違うため、自己判断で制限を変えず、主治医や管理栄養士と相談してください。
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成長ホルモン治療を受けられるのは、どんな場合?
総説は、栄養や代謝の管理を行っても低身長が続く場合に、成長ホルモン治療の適応になるとしています。添付文書の効能は「骨端線閉鎖を伴わない慢性腎不全における低身長」で、腎臓の働き(糸球体ろ過量など)を調べて確定診断することとされています。
成長科学協会の治療適応の基準(腎機能の項目は2015年1月改訂。2026年10月時点の同協会のページで確認)では、次の3つをすべて満たすことが条件です。慢性腎臓病では、成長ホルモンの分泌を調べる負荷試験は必要ありません。
- 骨年齢が男子17歳未満、女子15歳未満
- 身長が同じ性別・年齢の−2SD以下、または1年間の伸びが2年以上続けて−1.5SD以下
- 腎機能が低下している(血清クレアチニンが性別・年齢別の基準値の1.5倍以上、またはeGFRが75mL/分/1.73㎡未満)
どの薬を、どのくらい使う?
慢性腎不全の低身長が効能に入っているのは、ジェノトロピンとソマトロピンBS「サンド」です。1週間に体重1kgあたり0.175mgを6〜7回に分けて、毎日皮下に注射します。
始めて6か月以降に、決められた条件に当てはまる場合は、0.35mgまで増やせます。条件は、今の量を続けても骨年齢が男子17歳、女子15歳に達するまでに−2SDまで届く見込みがない場合や、1年以内に腎移植を予定していて、それまでに−2SDまで届く見込みがない場合です。
治療を続けるかどうかは、6か月目、1年目、その後は1年ごとに伸びを見て判断し、骨年齢が男子17歳、女子15歳に達したら中止します。製剤の違いは「成長ホルモン製剤の種類は?」の記事で説明しています。
治療中は、何を確かめる?
添付文書では、血清クレアチニンなどで腎臓の働きを定期的に調べ、もとの病気の進み具合を十分に観察することとされています。腎臓の働きが異常に悪くなった場合は、成長ホルモンを中止します。
成長ホルモンには血糖を上げる働きや、甲状腺の働きに影響することもあるため、血糖や甲状腺の検査も行います。くわしくは「成長ホルモン治療の副作用は?」の記事にまとめています。
総説は、慢性腎臓病の子どもでは負荷試験なしで治療を始められるため、かえって脳腫瘍や甲状腺の病気など、ほかの原因による低身長を見落とさないよう注意が必要だとしています。
透析や腎移植をしている場合は?
ジェノトロピンの添付文書には、透析を始める前(保存期)の子どもと、透析を受けている子どもを対象にした国内の試験の結果が載っています。透析中でも、条件を満たせば成長ホルモン治療を検討できます。
同じ添付文書には、1年以内に腎移植を予定していて、それまでに標準身長の−2SDに届く見込みがない場合に量を増やせるという規定があります。移植のあとの成長ホルモン治療について、この記事で参照した資料には記載が見当たりません。腎臓の主治医と小児内分泌の医師が個別に判断します。
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ステロイドの薬を使っている場合は?
総説は、ネフローゼ症候群や慢性糸球体腎炎などでよく使われるステロイドの薬について、子どもでとくに大切な副作用の一つに成長障害があり、長い期間毎日飲み続ける場合に起こりやすいと説明しています。
同じ量でも、毎日飲むより1日おきに飲むほうが、病気を抑える力も副作用も弱くなるとされています。そのため、病気を落ち着かせるときは毎日、量を減らしたり維持したりするときは1日おきにする方法が考えられています。思春期には、より少ない量でも成長に影響が出るとされています。
薬の量や飲み方は病気の状態に合わせて決められるため、身長が気になっても、自己判断で減らしたりやめたりしないでください。気になることは、腎臓の主治医に相談しましょう。
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家庭では、どんなことを見守ればよい?
総説は、身長の成長曲線だけでなく、体重の曲線も確かめることが大切だとしています。慢性腎臓病の子どもでは十分な栄養をとることが大切ですが、太りすぎは血圧や尿たんぱくなど、腎臓への負担にもつながることがあるためです。
受診のたびに測った身長と体重を、母子手帳や学校の記録とあわせて成長曲線にまとめておくと、伸びの変化に気づきやすくなります。書き方は「成長曲線の書き方」の記事で説明しています。
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どこで相談する?費用の助成は?
慢性腎臓病の子どもの成長ホルモン治療は、保険診療として、小児腎臓病と小児内分泌の専門医が連携する医療機関で行われます。慢性腎不全は小児慢性特定疾病の対象疾病一覧に載っています。成長ホルモン治療の助成の基準は2024年4月に保険診療の基準とそろえられました。くわしくは「小児慢性特定疾病の医療費助成とは?」の記事で説明しています。
成長ホルモン治療について相談するときは、これまでの身長と体重の記録、使っている薬の一覧、最近の血液検査の結果を持っていくと、話がスムーズに進みます。治療を受けるかどうかや、どの医療機関で受けるかは、まず腎臓の主治医に相談してください。
ノビケアは自由診療のオンライン診療で、腎臓の病気に伴う低身長の診断や治療は行っていません。医師による無料相談(ビデオ通話、0円)でお話をうかがい、治療が必要と考えられる場合は、主治医への相談や対面の専門の医療機関をご案内します。
慢性腎臓病と身長についてよくある質問
Q. 腎臓の病気があると、背は低くなりますか?
A. 低くなるとは限りません。腎臓の働きの程度や病気の種類、栄養や貧血などの管理によって、成長の様子は一人ひとり違います。
Q. 成長ホルモンを使うと、腎臓に負担がかかりませんか?
A. 治療中は腎臓の働きを定期的に調べ、異常に悪くなった場合は中止することになっています。気になる点は主治医に相談してください。
Q. 腎臓の主治医とは別の病院で、成長ホルモン治療を受けられますか?
A. 腎臓の状態を見ながら進める治療のため、腎臓の主治医と連携できる医療機関で受けるのが基本です。まず主治医に相談しましょう。
まとめ
慢性腎臓病の子どもは、栄養や代謝の異常などが重なって身長が伸びにくくなることがあります。まずそれらを整え、それでも低身長が続き、腎機能や身長の基準を満たす場合に、成長ホルモン治療を保険診療で受けられます。腎臓と内分泌の専門医と一緒に進めましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 日本小児腎臓病学会雑誌 総説「小児の慢性腎臓病の管理─コツとpitfall─」(31巻2号、2018年、J-STAGE、PDF)
- PMDA「ジェノトロピンTC注用 添付文書」(2023年12月改訂 第3版)
- 成長科学協会「小児慢性腎不全性低身長症 治療適応判定基準とフローチャート」
- PMDA「ソマトロピンBS皮下注「サンド」シュアパル 添付文書」(2026年8月改訂 第3版)
- 小児慢性特定疾病情報センター「小児慢性特定疾病 対象疾病一覧(令和7年4月1日版)」(PDF)
- 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン治療について」
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
- ノビケア「お問い合わせ」