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熱や胃腸炎のとき成長ホルモン注射は打つ?体調が悪い日の考え方と主治医への連絡

公開日:2026年10月5日 更新日:2026年10月5日

かぜなどで熱がある日は、本人の負担を考えて成長ホルモンの注射を休ませてもよいとする診療ガイドラインがあります。短い中断が大人の身長に与える影響は、ほとんどないと考えられています。ただし、成長ホルモンの不足が重い子や、副腎皮質ホルモンなどほかのホルモンの薬も使っている子では、考え方が変わります。お薬の説明書(添付文書)と主治医の指示を軸に、体調が悪い日の決まりを前もって確かめておきましょう。

体調が悪い日の注射は、何を基準に考える?

基準になるのは、使っている製剤の添付文書と、主治医の指示です。成長ホルモンの治療を受ける病気や、使う製剤(毎日打つものか、週1回のものか)は子どもによって違います。そのため、「熱があったら休む」「吐いた日は打たない」といった決まりを、すべての子に同じように当てはめることはできません。

日本内分泌学会などがまとめた診療ガイドライン(2023年版)の成長ホルモン分泌不全性低身長症の治療の手引きでは、毎日欠かさず注射できる時間に打つことを基本としつつ、体調が悪い日の扱いにも触れています。この手引きの考え方を土台にしながら、自分の子どもにどう当てはめるかを主治医と決めておくと、夜に熱が出たときにも慌てずにすみます。

治療を始めるときや、次の診察のときに、「熱がある日」「吐いている日」「食べられない日」をそれぞれどうするかを聞いて、紙に書いておくのがおすすめです。家族のだれが注射を担当しても、同じように判断できます。

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熱があるときは、休んでもよい?

同じ手引きには、風邪などで熱があるときは本人の負担を考えて注射を休ませてもよい、と書かれています。また、2〜3日の旅行などのときも、厳しく注射を指示するより休ませたほうが気持ちの面でもよく、短い中断が大人の身長に及ぼす影響はほとんどないと考えられる、としています。

一方で、同じ手引きは、重症の場合は体の代謝を保つために続けることが望ましいとしています。成長ホルモンの不足が重い子では、熱があっても休まずに打つよう指示されることがあります。どちらにあたるかは、主治医に確認してください。

休んだ場合も、休んだ分を取り戻そうとして2回分をまとめて打たないでください。週1回の製剤では、添付文書で、決めた投与日から3日以内なら気づいた時点で打ち、3日を超えていたらその回は打たずに次の決めた曜日に打つこととされています。熱で打てなかったときも、この決まりに沿って主治医と相談しましょう。くわしくは「成長ホルモン注射を打ち忘れたら」のコラムで説明しています。

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吐いたり下痢をしたり、食べられなかったりするときは?

胃腸炎などで吐いたり下痢をしたりしているときは、まず水分がとれているかを見てください。日本小児科学会の「こどもの救急」では、ぐったりしている、何度も吐く、吐いたものに血や緑色のものがまじる、強い腹痛がある、といった様子があれば、急いで受診を考えるよう示しています。

成長ホルモンには血糖を保つ働きもあります。同じ手引きでは、成長ホルモンが足りないために低血糖がある子は、乳児期からでも早めに治療を始めることが勧められています。成長ホルモンの不足が重い子が食べられない日に注射を休んでよいかは、低血糖の心配も含めて主治医に確認してください。

注射を休んだかどうかにかかわらず、水分がとれない様子が続くときは、夜間でも医療機関に相談しましょう。

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ほかのホルモンの薬も使っている子は、何に気をつける?

下垂体から出るホルモンが複数足りない場合(複合型下垂体ホルモン分泌不全症など)は、成長ホルモンのほかに、副腎皮質ホルモンや甲状腺ホルモンの薬を使っていることがあります。日本小児内分泌学会の移行期医療支援ガイドは、副腎皮質ホルモンが足りないと、だるさ、食欲が落ちる、低血糖、感染症が重くなる、といった症状が出ることがあり、とくに急性の副腎不全は緊急の対応が必要だとしています。

前に紹介した診療ガイドラインでは、かぜによる発熱などで副腎皮質ホルモンの飲み薬(ヒドロコルチゾン)の量を一時的に増やす必要が出たときに備えて、前もって予備の処方をして使い方をはっきり指示することとしています。体調が悪い日の量の増やし方は、主治医から受けた指示に従ってください。吐いてしまって飲み薬が飲めないときは、すぐに主治医に連絡し、連絡がつかなければ救急を受診してください。

このような子では、体調が悪い日にまず気にかけるのは、成長ホルモンより副腎皮質ホルモンのほうです。病気のくわしい説明は「汎下垂体機能低下症とは?」のコラムにまとめています。

出典 [6] [1]

治療の対象の病気によって、とくに注意することは?

プラダー・ウィリー症候群に使われる成長ホルモン製剤の添付文書には、高度な肥満、呼吸器の障害や睡眠時無呼吸のある子、呼吸器の感染症にかかりやすい要因をもつ子で、成長ホルモンの投与中に亡くなった例が報告されていると書かれています。また、いびきが出てきた、強くなったなど、上気道がふさがるサインがあれば投与を中止することとされています。

この病気で治療を受けている子が、かぜをひいていびきや息苦しさが強くなったときは、次の注射の前に主治医に連絡してください。呼吸が苦しそうなときは、ためらわずに救急を受診しましょう。ほかの病気でも、主治医から体調が悪い日の特別な指示を受けている場合は、そちらを優先してください。

出典 [7]

主治医に連絡するときは、何を伝える?

休日や夜間に連絡するときも、次のことをまとめて伝えると、判断がしやすくなります。メモにして、注射の道具と同じ場所に置いておくと便利です。

出典 [1]

すぐに受診や119番を考えるのは、どんなとき?

日本小児科学会の「こどもの救急」では、吐き気がある子について、ぐったりしている、呼吸が苦しそう、顔色が悪い、呼びかけへの反応がにぶい、強い頭痛がある、といった様子があれば、急いで受診するよう示しています。意識がはっきりしない、けいれんが止まらないといったときは、すぐに119番に連絡してください。

成長ホルモン製剤の添付文書には、まれな副作用として、頭の中の圧が高くなることによる頭痛、吐き気、吐く、目の見え方の異常が挙げられています。胃腸炎と思っていても、強い頭痛をともなって何度も吐くときは、治療中であることを伝えて受診しましょう。くわしくは「成長ホルモン治療中の頭痛」のコラムで説明しています。

受診を急ぐべきか迷うときは、子ども医療電話相談(♯8000)で、小児科医や看護師に相談できます。

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元気になったら、注射はどう再開する?

熱が下がって、ふだんどおりに食べられるようになったら、主治医の指示に従って、ふだんの量で再開するのが基本です。休んだ分を取り戻すために量を増やしたり、2回分を打ったりはしません。

休んだ日とその理由は、カレンダーやアプリに記録しておきましょう。ニュージーランドで治療を受けていた子ども177人の全国調査(PLoS One誌、2011年)では、打ち忘れが重なるほど伸びが小さくなる傾向がありました。主治医は1年ごとの伸びをもとに治療を見直すため、体調不良で休んだ日も、隠さずに次の診察で伝えてください。

出典 [9] [10]

ノビケアで治療を受けている場合は?

ノビケアで治療を受けている方も、体調が悪い日の注射で迷ったときはご相談ください。ただし、ぐったりしている、呼吸が苦しそう、強い頭痛があるなど急ぐ様子があるときは、ご連絡を待たずに近くの医療機関や救急を受診してください。治療を始めるかどうか迷っている段階では、医師による無料相談(ビデオ通話)をご利用いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。予約は公式LINEから受け付けています。

出典 [11] [12]

体調が悪い日の成長ホルモン注射についてよくある質問

Q. 熱は下がったけれど、まだ咳が出ています。注射は再開してよいですか?

A. 元気があり、食事もとれていれば再開することが多いと考えられますが、病気や製剤によって違います。迷うときは主治医に確認してください。

Q. 解熱剤や胃腸の薬と一緒に使ってもよいですか?

A. 受診したときに成長ホルモンの注射をしていることを伝え、処方した医師や薬剤師に確認してください。お薬手帳に書いておくと伝えやすくなります。

Q. 週1回の注射の日に熱が出ました。

A. 週1回の製剤には、決めた投与日から3日以内なら打てるという決まりがあります。熱が下がってから打つか、その回は休むかを、主治医と相談して決めましょう。

出典 [3] [4]

まとめ

熱がある日は注射を休ませてもよいとする診療ガイドラインがありますが、成長ホルモンの不足が重い子や、ほかのホルモンの薬を使っている子では考え方が違います。体調が悪い日の決まりを前もって主治医と決め、休んだ日は記録して伝えましょう。ぐったりしている、強い頭痛があるなどのときは、急いで受診してください。

出典 [1] [5]

お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。

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この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン作成委員会(厚生労働科学研究班・日本内分泌学会)「間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版」(日本内分泌学会雑誌 Vol.99 Suppl.、2023年7月、J-STAGE、PDF)
  2. PMDA「ノルディトロピン フレックスプロ注 添付文書」(2025年9月改訂 第3版)
  3. PMDA「ソグルーヤ皮下注 添付文書」(2026年6月改訂 第4版)
  4. PMDA「エヌジェンラ皮下注ペン 添付文書」(2026年7月改訂 第3版)
  5. 日本小児科学会「こどもの救急(ONLINE-QQ)吐き気」(夜間や休日に受診を急ぐかどうかの目安)
  6. 日本小児内分泌学会「移行期医療支援ガイド 複合型下垂体ホルモン分泌不全症」(PDF)
  7. PMDA「ジェノトロピンゴークイック注用 添付文書」(2023年12月改訂 第3版)
  8. 厚生労働省「上手な医療のかかり方」「子どもの症状は♯8000」
  9. PLoS One「Non-compliance with growth hormone treatment in children is common and impairs linear growth」(ニュージーランドで成長ホルモン治療を受けていた子ども177人の全国調査、2011年、PubMed)
  10. PMDA「患者向医薬品ガイド ソマトロピンBS皮下注「サンド」シュアパル」
  11. ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
  12. ノビケア「お問い合わせ」