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保険診療の成長ホルモン治療の自己負担は?窓口負担の割合・高額療養費・小児慢性特定疾病の助成のしくみ

公開日:2026年10月5日 更新日:2026年10月5日

保険診療の成長ホルモン治療では、かかった医療費のうち窓口で払うのは一部で、小学校入学前の子どもは2割、それ以降は3割です。そのうえで、高額療養費制度により1か月の自己負担には所得に応じた上限があり、対象の病気なら小児慢性特定疾病の医療費助成で、上限がさらに低くなります。自治体の子ども医療費助成が使えることもあります。どの制度がどこまで使えるかは、病名と世帯の所得、お住まいの自治体で変わるため、主治医・健康保険・自治体の窓口に確かめましょう。

保険診療では、費用はどう決まる?

保険診療では、診察、検査、お薬の費用は、国が決めた点数や価格にもとづいて計算されます。お薬の費用は、国が決めた価格(薬価)にもとづきます。成長ホルモンの量は体重に合わせて決まるため、体が大きくなると、もとになる医療費も大きくなります。

保険診療になるのは、成長ホルモン分泌不全性低身長症、SGA性低身長症、ターナー症候群など、国が承認した病気と診断され、病気ごとの基準を満たした場合です。どの病気が対象かは「成長ホルモン治療が保険で受けられるのはどんな場合?」のコラムで説明しています。

このコラムでは、もとになる医療費のうち、家族が実際に払う自己負担が、どの制度でどのように軽くなるかを順番に見ていきます。

出典 [1] [2]

自己負担を軽くする制度には、どんなものがある?

保険診療の自己負担を軽くするしくみは、いくつか重なっています。全体の関係を表にまとめました。どれも保険診療が前提で、自由診療には使えません。

しくみ何が軽くなる?主な確かめ先
窓口負担の割合医療費のうち、窓口で払うのは小学校入学前2割、それ以降3割加入している健康保険
高額療養費制度1か月の自己負担に、年齢と所得に応じた上限がある加入している健康保険
小児慢性特定疾病の医療費助成対象の病気なら、負担は2割になり、世帯の所得に応じた月の上限が決まる主治医(指定医)と、お住まいの自治体の窓口
自治体の子ども医療費助成保険診療の自己負担の全部または一部を、市区町村が助成するお住まいの市区町村の窓口

出典 [2] [3] [4] [5]

窓口で払う割合は、何で決まる?

健康保険では、窓口で払う割合は年齢で決まっています。小学校に入る前(義務教育就学前)の子どもは2割、小学生から70歳未満は3割です。小学生以上の子どもでは、3割を基準に考えます。

成長ホルモン治療は、自宅で毎日(製剤によっては週1回)注射を続け、年単位になることが多い治療です。お薬の量は体重で決まり、体が大きくなるほど増えるので、窓口で払う額も少しずつ上がっていきます。このため、3割の自己負担だけで考えると負担が大きく見えますが、次に説明する上限のしくみがあります。

出典 [2] [1]

高額療養費制度で、何が変わる?

高額療養費制度は、保険診療の1か月(月の初めから終わりまで)の自己負担が上限を超えたときに、超えた分が払い戻されるしくみです。上限は年齢と所得に応じて決まっています。直近12か月の間に上限に達した月が3か月以上ある場合は、4か月目から上限がさらに下がる「多数回該当」というしくみもあります。

厚生労働省によると、2026年8月からは月ごとの上限に加えて「年間上限」が設けられ、月ごとの自己負担が積み上がって年間の上限に達した後は、加入している健康保険から払い戻しを受けられます。この「年間」は、8月から翌年の7月までです。治療が長く続く成長ホルモン治療では、確かめておきたい見直しです。

同じ月に家族の複数の人が受診した場合や、1人が複数の医療機関にかかった場合は、条件を満たせば自己負担を世帯で合算できます(世帯合算)。70歳未満では、合算できるのは1つの医療機関での自己負担が一定額以上の場合に限られます。マイナ保険証を使うか、前もって限度額適用認定証を受け取って見せると、窓口での支払いを上限までにとどめられます。

出典 [3] [6]

小児慢性特定疾病の医療費助成を使うと、どうなる?

成長ホルモン分泌不全性低身長症やターナー症候群など、国が定めた病気で保険診療の治療を受ける場合は、小児慢性特定疾病の医療費助成が使えることがあります。助成を受けると窓口の負担割合は2割になり、世帯の所得に応じて1か月の自己負担の上限が決まります。外来と入院を区別せず、複数の医療機関や薬局での負担を合算して上限を当てはめます。

高額な医療費が長く続く場合など、「重症」に当てはまるときは、上限がさらに低い区分になります。2024年4月からは、成長ホルモン治療の助成の基準が保険診療の適用基準と同じになりました。ただし、身長が低いだけで助成の対象になるわけではなく、対象の病気の診断が必要です。

助成を受けるには、小児慢性特定疾病の指定医が書く医療意見書をそろえて、お住まいの自治体の窓口に申請し、指定医療機関で治療を受けます。申請の流れは「小児慢性特定疾病の医療費助成とは?」のコラムで説明しています。

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自治体の子ども医療費助成とは、どう組み合わせる?

市区町村の子ども医療費助成は、保険診療の自己負担分の全部または一部を自治体が助成する制度です。対象年齢、所得制限、窓口で少し払う一部負担の有無は、自治体によって違います。

小児慢性特定疾病の助成と両方を使う場合は、原則として国の制度が先に使われ、残りの分に自治体の助成が使われます。子ども医療費助成だけで窓口の支払いがほとんどない場合でも、自治体の対象年齢を過ぎたあとのことや、所得制限のことを考えて、小児慢性特定疾病の申請を主治医と相談しておくと安心です。くわしくは「子どもの医療費助成(自治体)と低身長の受診」のコラムで説明しています。

出典 [5] [11]

自己負担の見通しを立てるには、何を確かめる?

保険診療の自己負担は、病名、世帯の所得、加入している健康保険、お住まいの自治体の組み合わせで決まります。そのため、ほかの家庭の金額を聞いても、そのまま当てはまるとは限りません。次の点を、確かめ先ごとに聞いておきましょう。

なお、高額療養費や助成で払い戻された分は、医療費控除では差し引いて計算します。控除のしくみは「成長ホルモン治療は医療費控除の対象になる?」のコラムで説明しています。

出典 [3] [10] [12]

自費(自由診療)の治療とは、何が違う?

原因となる病気が見つからない低身長への成長ホルモンの使用は、国内で承認された効能・効果に含まれない適応外使用です。健康保険や医療費助成は使えず、重い副作用が起きた場合も、国の医薬品副作用被害救済制度は原則として使えません。 高額療養費制度、小児慢性特定疾病の助成、自治体の子ども医療費助成も、自由診療には使えません。

自費の治療では、料金は医療機関がそれぞれ決め、全額を自分で払います。そのため、費用を考えるときは、まず保険診療の対象になる病気がないかを確かめることが出発点になります。自費の治療の値段と含まれるものは「成長ホルモン治療の値段は?」のコラムに載せています。

出典 [1] [13] [14]

保険診療の自己負担についてよくある質問

Q. 子ども医療費助成で窓口の支払いがない場合、高額療養費の手続きは要りますか?

A. 自治体の助成で窓口の負担がない場合の扱いは、自治体と健康保険によって違います。窓口でいったん払う自治体もあるため、お住まいの市区町村と加入している健康保険に確かめてください。

Q. 小児慢性特定疾病の受給者証があれば、自己負担はなくなりますか?

A. なくなるとは限りません。世帯の所得に応じた1か月の上限までは自己負担があります。上限の区分は、自治体から届く受給者証で確かめられます。

Q. 治療の途中で、保険診療の対象外になることはありますか?

A. 保険診療には、続けるための基準があります。伸びが基準に届かない場合や骨端線が閉じてきた場合は、主治医が続けるかどうかを判断します。続け方は「成長ホルモン治療はどのくらいの期間続ける?」のコラムで説明しています。

出典 [11] [8] [1]

まとめ

保険診療の成長ホルモン治療の自己負担は、窓口負担の割合、高額療養費制度の上限、小児慢性特定疾病の医療費助成、自治体の子ども医療費助成の順に、重ねて軽くなるしくみです。どこまで使えるかは病名と所得と自治体で変わるので、主治医・健康保険・自治体の窓口で確かめましょう。

保険診療の対象になる病気があるかを確かめたいときは、まずかかりつけの小児科にご相談ください。ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話、0円)の1回目は、保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。 保険診療の対象になりうる病気が疑われる場合は、対面の医療機関をご紹介します。

出典 [14] [15]

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この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
  2. 厚生労働省「医療費の一部負担(自己負担)割合について」(PDF)
  3. 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  4. 小児慢性特定疾病情報センター「医療費助成の概要」
  5. こども家庭庁「令和7年度「こどもに係る医療費の助成についての調査」」
  6. 全国健康保険協会(協会けんぽ)「高額療養費|限度額適用認定証・高額療養費・高額介護合算|給付と手続き」
  7. 厚生労働省「小児慢性特定疾病の医療費助成の概要」(PDF)
  8. 小児慢性特定疾病情報センター「医療費助成に係る自己負担上限額」
  9. 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン治療について」
  10. 小児慢性特定疾病情報センター「手続きの流れ」
  11. 小児慢性特定疾病情報センター「ちょっと教えて!小児慢性特定疾病のための医療費助成制度」(一般向けサイト。「どこが違う?小児慢性特定疾病医療費助成と乳幼児・子ども医療費助成」を含む)
  12. 国税庁 タックスアンサー「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
  13. 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「Q7 救済の対象とならない場合とは、どのような場合ですか。」
  14. ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
  15. ノビケア「お問い合わせ」