成長ホルモン治療読む時間 約6分
子どもの医療費助成(自治体)と低身長の受診:使える範囲と、小児慢性特定疾病との違い
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
市区町村の子ども医療費助成(乳幼児医療証・子ども医療証など)は、健康保険が使える診療の自己負担分を助成する制度です。低身長の相談でも、保険診療として行う診察や検査であれば、多くの場合は対象になります。一方、自由診療や健康診断のような保険外の費用は対象外です。国の小児慢性特定疾病の医療費助成とは別の制度で、両方を使うときは国の制度が先に適用されます。
子どもの医療費助成とは、どんな制度?
子どもの医療費助成は、市区町村が独自に行っている制度で、都道府県がその費用を補助しています。こども家庭庁は、各自治体の実施状況を毎年調べています。名前は「乳幼児医療費助成」「子ども医療費助成」などさまざまで、受給者証(医療証)を医療機関の窓口で見せて使うのが一般的です。
国が全国一律で決めた制度ではないため、対象になる年齢、親の所得による制限があるかどうか、窓口で少し払う「一部自己負担」があるかどうかは、自治体ごとに違います。このコラムでは、どの自治体にも共通する考え方を説明します。お住まいの地域の具体的な条件は、市区町村の窓口やホームページで確認してください。
全国では、どのくらいの年齢まで助成されている?
こども家庭庁の調査では、2025年4月1日時点で全国1,741の市区町村すべてが子どもの医療費助成を行っていました。対象年齢は自治体によって違いますが、全体の傾向は下の表のとおりです。
表は全国の集計で、お住まいの自治体がどこに当てはまるかは分かりません。転居したときや、子どもが進学したときは、医療証の有効期限と対象年齢を確かめておきましょう。
| 項目(市区町村・通院の場合) | 2025年4月1日時点の市区町村数 |
|---|---|
| 18歳になった年度の末まで助成 | 1,576(1,741のうち) |
| 15歳になった年度の末まで助成 | 145 |
| 所得制限なし | 1,692 |
| 一部自己負担なし | 1,319 |
出典 [2]
助成されるのは、医療費のどの部分?
健康保険では、小学校に入る前の子どもは医療費の2割、それ以降は3割を窓口で払います。子どもの医療費助成は、この保険診療の自己負担分の全部または一部を、自治体が代わりに負担するしくみです。
つまり、もとになる医療が健康保険の対象であることが前提です。保険が使えない医療は、医療証を持っていても助成の対象になりません。たとえば東京都の義務教育就学児の医療費助成(マル子)では、健康診断、予防接種、薬の容器代、差額ベッド代、紹介状を持たずに200床以上の病院を受診したときの初診時の特別な料金などを、対象外としています。
入院中の食事代の一部(入院時食事療養標準負担額)を自己負担としている自治体もあります。助成の範囲は自治体ごとに違うため、気になる費用があれば事前に確認しましょう。
低身長の相談では、どこまで使える?
成長曲線を見ながらの診察、血液検査、骨年齢のエックス線検査、成長ホルモン分泌刺激試験など、医師が病気を調べるために必要と判断して保険診療で行う検査は、子どもの医療費助成の対象になるのが一般的です。病気が見つかり、保険で成長ホルモン治療を受ける場合も、保険診療の自己負担分が助成の対象になります。
一方、原因となる病気が見つからない低身長に成長ホルモンを使う治療は、国内で承認された効能・効果に含まれない適応外使用で、自由診療になります。自由診療は健康保険の対象外のため、子どもの医療費助成も使えません。自費で受ける検査や、医療機関独自のサービスも同じです。
保険診療か自由診療かの線引きは「成長ホルモン治療の保険診療と自由診療の違い」のコラムで、骨年齢の検査は「骨年齢の検査はどこで受けられる?」のコラムで説明しています。
住んでいる都道府県の外で受診したときは?
医療証は、多くの場合、住んでいる都道府県の中の医療機関で使うことを前提にしています。都道府県の外の病院を受診したときや、その制度を取り扱っていない医療機関では、窓口でいったん保険診療の自己負担分を払い、あとで領収書を添えて市区町村に申請する方法(償還払い)をとる自治体があります。東京都の制度でも、都外で受診した場合はこの方法で申請するとされています。
専門の病院が遠くにあり、県外で受診することもあります。申請に必要な書類、申請の期限、オンライン診療を受けた場合の扱いは自治体によって違うため、領収書を保管し、受診前に窓口に確認しておくと安心です。
出典 [4]
小児慢性特定疾病の医療費助成とは、何が違う?
成長ホルモン分泌不全性低身長症やターナー症候群など、国が定めた病気には、小児慢性特定疾病の医療費助成という国の制度があります。小児慢性特定疾病情報センターは、子どもの医療費助成との違いを次のように説明しています。
| 項目 | 小児慢性特定疾病の医療費助成 | 子どもの医療費助成(自治体) |
|---|---|---|
| 制度のしくみ | 国の制度。内容は全国どこでも同じ | 自治体の独自の制度。内容は自治体で大きく違う |
| 対象年齢 | 初回の申請は18歳未満、継続の申請は20歳未満まで | 自治体によって違う |
| 医師の診断書 | 必要(医療意見書を提出) | 不要 |
| 自己負担 | 世帯の所得に応じて1か月の上限額が決まる(区分ごとの額は国が定めている) | 自治体によって違う |
出典 [7]
両方を使うときは、どちらが先?
小児慢性特定疾病情報センターによると、公費で負担する制度を組み合わせるときは、原則として国の制度が優先されます。保険診療の自己負担分から、まず小児慢性特定疾病の助成分が差し引かれ、残りに子どもの医療費助成が使われる順番です。
子どもの医療費助成だけで窓口の支払いがほとんどない場合でも、小児慢性特定疾病の申請には意味があるとされています。同センターは、入院中の食事代の2分の1の助成が受けられること、所得制限で子どもの医療費助成が使えない世帯でも使えること、日常生活用具の給付や自立支援の相談を受けられる場合があることを挙げています。自治体の助成の対象年齢を過ぎたあとも、条件を満たせば20歳未満まで続けられる点も違いです。
小児慢性特定疾病の助成を受けるには、指定医が書く医療意見書を添えて申請し、指定医療機関で受診する必要があります。対象の病気や申請の流れは「小児慢性特定疾病の医療費助成とは?」のコラムで説明しています。
受診の前に確認しておきたいことは?
低身長の相談で受診する前に、次の点を確かめておくと、会計のときに慌てずにすみます。医療費の負担が大きくなった場合は、健康保険の高額療養費制度で1か月の自己負担に上限が設けられているほか、医療費控除の対象になることもあります。くわしくは「成長ホルモン治療は医療費控除の対象になる?」のコラムで説明しています。
- 医療証の対象年齢と有効期限、所得制限があるか
- 窓口での一部自己負担があるか
- 都道府県の外で受診したときの申請方法と期限
- 受ける診療が保険診療か、自由診療か(医療機関に確認)
- 病名によっては、小児慢性特定疾病の対象になるか(主治医に確認)
出典 [9]
自由診療の成長ホルモン治療では、助成は使える?
自由診療は健康保険の対象外のため、子どもの医療費助成も、小児慢性特定疾病の医療費助成も使えません。費用は全額自己負担になります。ノビケアの成長ホルモン治療も自由診療のため、これらの助成は使えません。保険診療の対象になりうる病気が疑われる場合は、医療機関をご紹介しています。
子どもの医療費助成と低身長についてよくある質問
Q. 医療証があれば、低身長の検査はすべて無料になりますか?
A. 保険診療として行う検査は対象になるのが一般的ですが、窓口で一部を払う自治体もあります。自由診療の検査や保険外の費用は対象外です。
Q. 引っ越したら、医療証はどうなりますか?
A. 子どもの医療費助成は住んでいる市区町村の制度のため、転居先で改めて申請が必要になるのが一般的です。条件も変わることがあるので、転居先の窓口で確認してください。
Q. 小児慢性特定疾病の受給者証と医療証は、両方見せればよいですか?
A. 併用できる場合は、両方を窓口で見せます。国の制度が先に適用され、残りの分に自治体の助成が使われます。
出典 [7]
まとめ
子どもの医療費助成は、市区町村が保険診療の自己負担分を助成する制度で、低身長の診察や検査も保険診療なら対象になるのが一般的です。自由診療や保険外の費用は対象外で、対象年齢や自己負担の有無は自治体ごとに違います。国が定めた病気がある場合は、小児慢性特定疾病の医療費助成が先に適用されるので、主治医と自治体の窓口に確認しましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- こども家庭庁「令和7年度「こどもに係る医療費の助成についての調査」」
- こども家庭庁「こども医療費に対する助成の実施状況(令和7年4月1日現在)」(令和7年度「こどもに係る医療費の助成についての調査」別紙1、PDF)
- 厚生労働省「医療費の一部負担(自己負担)割合について」(PDF)
- 東京都福祉局「義務教育就学児医療費の助成(マル子)」
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
- 小児慢性特定疾病情報センター「ちょっと教えて!小児慢性特定疾病のための医療費助成制度」(一般向けサイト。「どこが違う?小児慢性特定疾病医療費助成と乳幼児・子ども医療費助成」を含む)
- 小児慢性特定疾病情報センター「手続きの流れ」
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
- ノビケア「お問い合わせ」