成長ホルモン治療読む時間 約7分
身長を伸ばす薬はある?成長ホルモン注射以外の薬について分かっていることと注意
公開日:2026年10月27日 更新日:2026年10月27日
子どもの身長を伸ばす目的で使われる代表的な薬は、成長ホルモンの注射です。思春期を遅らせる薬、アロマターゼ阻害薬、蛋白同化ステロイドなども名前が挙がりますが、病気でない子の大人の身長を高める確かな根拠はありません。骨端線を早く閉じさせる危険がある薬もあります。一方で、甲状腺ホルモンの不足など原因となる病気があれば、その治療で伸びが戻ることがあります。
身長を伸ばす目的で使われる薬には、何がありますか?
子どもの低身長の治療で使われる代表的な薬は、成長ホルモンの注射です。日本小児内分泌学会は、成長ホルモンが骨の端にある骨端線(骨が伸びる部分)に働いて、骨を縦に伸ばすと説明しています。
成長ホルモンはたんぱく質なので、飲み薬にすると胃で分解されてしまいます。同学会は、注射以外の方法での効果は認められていないとしています。また、骨端線が閉じたあとは、成長ホルモンが働いても骨は縦に伸びなくなります。
ノビケアでは、病気が見つからない低身長への使用(適応外使用)を含めて、成長ホルモン治療を自由診療で行っています。
ここからは、成長ホルモン以外に「身長が伸びる」と話題になる薬や商品を順に見ていきます。
原因の病気を治す薬で、伸びが戻ることはありますか?
あります。日本小児内分泌学会は、甲状腺ホルモンが足りないときにも身長の伸びが落ちることがあり、不足しているホルモンを補うことで身長が伸びると説明しています。
同学会は、主に乳幼児期に起こるビタミンD欠乏症では成長障害が起こり、ビタミンDを補うと成長は正常に戻るとしています。心臓・肝臓・腎臓などの病気が原因の場合も、もとの病気がよくなれば身長も伸びてくるとしています。軟骨無形成症では、軟骨の成長を促す治療を行うこともあるとしています。
これらは、検査で見つかった病気を治す薬です。病気のない子の背をさらに高くする薬ではありません。薬を考える前に、伸びが落ちている原因がないかを確かめましょう。
思春期を遅らせる薬は、身長を伸ばすために使えますか?
思春期を遅らせる薬(性腺刺激ホルモン放出ホルモンに似た働きの薬)は、主に、思春期が早く始まりすぎる思春期早発症の治療に使われます。思春期を遅らせれば伸びる期間が長くなる、という理由で話題になります。
米国と欧州の小児内分泌学会が2009年にまとめた合意声明では、大人の身長を高くする効果がはっきりしているのは、とても早い年齢で始まった思春期早発症だけです。それ以外の子に、決まった治療として勧めることはできないとしています。
思春期は身長だけでなく、骨や心が大人に近づく時期でもあります。詳しくは「思春期を遅らせる治療とは?」の記事で説明しています。
出典 [5]
アロマターゼ阻害薬(乳がんの薬)は、身長に効きますか?
アロマターゼ阻害薬は、男性ホルモンが女性ホルモンに変わるのを抑える飲み薬です。女性ホルモンは男女どちらでも骨端線を閉じる働きをするため、それを抑えれば伸びる期間が長くなるのでは、と考えられてきました。身長を伸ばす目的では承認されていません。
男の子の低身長に使った4つの試験(207人)をまとめた報告(コクランの系統的レビュー、2015年)があります。予測身長などの短い期間の指標はよくなりました。しかし実際の大人の身長を調べたのは1件だけで、大人の身長が高くなる根拠はないと結論しています。
同じ報告では、思春期前の原因不明の低身長の男の子で、薬を使ったグループの45%に背骨の軽い形の異常が見られました。女の子では、思春期の発達に女性ホルモンが欠かせないため、使うのに適さないとされています。詳しくは「アナストロゾールは身長に使われる?」の記事で説明しています。
出典 [6]
蛋白同化ステロイドは、身長を伸ばしますか?
蛋白同化ステロイドは、男性ホルモンに近い作りをもつ薬の仲間です。たんぱく質を作る働きから身長の相談で名前が挙がりますが、子どもの身長を伸ばす薬として使うものではありません。
例えば、プリモボラン(メテノロン)の添付文書では、低身長は承認された効能に含まれていません。子どもに使うと、骨端(骨の端)が早く閉じたり、体が早く大人になったりすることがあると書かれています。骨端線が早く閉じれば、伸びる期間はかえって短くなります。重い副作用には肝機能障害があり、女性では声がかれて戻りにくくなることもあります。
世界アンチ・ドーピング機構の禁止表では、蛋白同化男性化ステロイド薬は、競技会の内外を問わず常に禁止されています。スポーツをしている子では、競技の出場にも関わります。
成長ホルモンを増やすとうたうサプリやスプレー、漢方は?
日本小児内分泌学会によると、成長ホルモンの分泌を促すとうたうサプリの代表的な成分アルギニンは、検査で使う量の50分の1から5分の1程度しか入っていません。分泌を促すとは考えられないとしています。
同学会は、分泌を促す強い薬(GHRP-2)の点鼻薬を、低身長の子ども約120人に1年間使った試験も紹介しています。1年の平均の伸びは、偽薬で5.5cm、少ない量で5.2cm、多い量で5.1cmと、差はありませんでした。分泌を1日2回ほど促しても、もともとの伸び以上には伸びなかったのです。
成長ホルモン入りのスプレーも、成長ホルモンが大きなたんぱく質のため、鼻や口の粘膜からはほとんど吸収されません。同学会は、健康な子の背を高くする効果が証明された成分は存在しないとしています。漢方薬についても、飲むと背が伸びることを示した学会や公的機関の資料は見当たりません。詳しくは「身長を伸ばすサプリは効く?」「身長に効く漢方はある?」の記事で説明しています。
出典 [4]
ネットや個人輸入で手に入る薬を使ってもよいですか?
使わないでください。厚生労働省は、個人輸入の医薬品は国内での品質・有効性・安全性の確認がされておらず、有害な物質入りや偽造品のことがあると注意しています。
説明書が外国語で読みにくく、医師や薬剤師でも成分の情報が足りず、副作用にすぐ対応しにくいことも挙げています。個人輸入した医薬品による健康被害は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象にもなりません。
厚生労働省は、個人輸入はふつう、利点より危険のほうが大きいとしています。子どもの身長のために薬を考えるときは、診察と検査をしたうえで、医師の管理のもとで使うものだけを選んでください。
出典 [9]
身長の薬を勧められたら、何を確かめればよいですか?
成長ホルモン以外の薬を勧められたり、ネットや知人から聞いたりしたら、次の点を確かめてください。一つでも答えがあいまいなら、すぐに始めず、小児の内分泌を診ている医師に相談しましょう。
- 薬の名前(成分名)と、何のために作られた薬か
- 承認された効能に、低身長や子どもの成長が含まれているか
- 予測身長ではなく、実際の大人の身長が高くなったという研究があるか
- 骨端線、肝臓、背骨などへの副作用と、そのための検査の予定
- スポーツをしている場合、ドーピングの禁止物質に当たらないか
- 処方する医師と、副作用が出たときの連絡先
出典 [2]
身長を伸ばす薬についてよくある質問
Q. 成長ホルモンの飲み薬はありますか?
A. ありません。成長ホルモンはたんぱく質なので、飲むと胃で分解されます。日本小児内分泌学会は、注射以外の方法での効果は認められていないとしています。
Q. 食欲を増やす薬を飲めば、背が伸びますか?
A. 伸びません。日本小児内分泌学会は、栄養が足りている子に栄養素を足しても成長が促されるというデータはないとしています。食が細いことが気になるときは、伸びや体重の記録を持って医師に相談してください。
Q. 病気がないと言われました。それでも成長ホルモン治療は受けられますか?
A. 受けられます。ノビケアでは自由診療で行っています。効果・副作用・費用を医師から聞いたうえで、ご家族で決めていただきます。
まとめ
身長を伸ばす代表的な薬は成長ホルモンの注射です。ほかに話題になる薬は、病気でない子の大人の身長を高める確かな根拠がないか、骨端線を早く閉じさせる危険があります。原因の病気があれば、その治療で伸びが戻ることもあります。薬を考える前に、まず伸び方の記録を確かめましょう。成長ホルモン治療を含めた選択肢は、ノビケアの医師による無料相談で、お子さまの記録を見ながらご相談いただけます(予約は公式LINEから)。
出典 [10]
ノビケアの成長ホルモン治療について(自由診療)
ノビケアの成長ホルモン治療は自由診療で、健康保険や医療費助成は使えません。原因となる病気が見つからない低身長への使用は、国内で承認された効能・効果に含まれていない適応外使用です。重い副作用が起きた場合でも、国の医薬品副作用被害救済制度は原則として利用できません。
費用(税込)は、医師による無料相談が0円、医師が必要と判断した場合の郵送検査(指先の血液と尿)が20,000円(送料込み)です。お薬は1本あたり、治療を始める月が40,000円、2か月目以降が60,000円、6か月分一括プランでは50,000円です(注射器・注射針と冷蔵便の送料を含みます)。1か月に使う本数は体重によって変わり、2〜5本が目安です。
注射はご自宅で毎日1回行い、治療は年単位になることが多く、続けるかどうかを定期的に判断します。主な副作用は、注射したところの痛み・赤み・腫れ、関節の痛み、むくみ、頭痛などで、まれに頭の中の圧が高くなる、股関節の骨がずれる、側弯が進む、血糖値が上がる、甲状腺の働きが変わる、といったことがあります。詳しくは「成長ホルモン治療について」のページをご覧ください。ご質問はお問い合わせページから受け付けています。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
- 日本小児内分泌学会「低身長」
- 日本小児内分泌学会「「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解」(2025年9月8日改定)
- 米国ローソン・ウィルキンス小児内分泌学会・欧州小児内分泌学会「Consensus statement on the use of gonadotropin-releasing hormone analogs in children」(Pediatrics 2009年、PubMed)
- コクラン「Aromatase inhibitors for short stature in male children and adolescents」(2015年)
- PMDA「プリモボラン錠5mg 添付文書」(2020年8月改訂 第1版)
- 世界アンチ・ドーピング機構(WADA)「2026禁止表国際基準」日本語版(日本アンチ・ドーピング機構)(PDF)
- 厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
- ノビケア「お問い合わせ」