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思春期を遅らせる治療とは?思春期早発症の治療と、病気でない子への使用

公開日:2026年10月3日 更新日:2026年10月3日

思春期を遅らせる治療は、思春期早発症と診断された子に、思春期の進みをゆっくりにする目的で行う治療です。大人の身長を高くする効果がはっきり認められているのは、とても早い年齢で始まった思春期早発症に限られるとされています。病気でない子の身長を伸ばす目的で決まって勧められる治療ではありません。

思春期を遅らせる治療とは?

思春期は、脳から出るホルモンの合図で、精巣や卵巣から性ホルモンが出るようになって始まります。思春期を遅らせる治療は、この脳からの合図を抑えて、性ホルモンが増えないようにする治療です。

日本小児内分泌学会は、思春期早発症で多くみられるタイプでは、LH-RHアナログという薬を、おおむね4週間に1回、病院で注射すると説明しています。この薬は、GnRHアナログと呼ばれることもあります。

飲み薬やサプリメントで同じことができるわけではありません。医師が診断をしたうえで、定期的な診察と検査をしながら続ける治療です。

出典 [1]

どんな子が治療の対象になる?

子どもに使う場合、国内でこの薬の使い道として認められているのは、中枢性思春期早発症(脳からの合図が早く始まるタイプの思春期早発症)です。厚生労働省の会議の報告書でも、子ども向けのリュープロレリンという薬について、効能・効果は中枢性思春期早発症とされています。

思春期早発症かどうかは、体の変化が始まった年齢に加えて、身長の伸び方、骨年齢、血液検査などを合わせて判断されます。たとえば男の子では、9歳未満で精巣などの明らかな発育がある、10歳未満で陰毛が生える、11歳未満でわき毛・ひげ・声変わりがみられる、といった目安が診断の手引きに示されています。

日本大学医学部附属板橋病院の解説では、思春期早発症の中には脳の腫瘍などが原因のものもあるとされています。原因となる病気が見つかった場合は、その治療が優先されます。年齢の目安や原因について詳しくは「思春期早発症とは?」の記事で説明しています。

出典 [2] [3] [4]

治療をすると、体には何が起こる?

日本内分泌学会は、この治療で思春期の進み方をゆっくりにし、身長が伸びることのできる期間を長くすることで、大人になったときの身長が著しく低くならないようにすると説明しています。

厚生労働省の会議の報告書は、中枢性思春期早発症では、体の変化が早く始まることで心理的・社会的なストレスを受けることに加え、骨の成熟が進んで骨端線が早く閉じ、身長の伸びが早く止まることを挙げています。

思春期早発症の子は、同じ年齢の子より一時的に背が高くなることがあります。ところが、骨の成熟も早く進むため、伸びる期間が短くなり、最終的には低めで止まってしまうことがあるのです。治療は、この「早く伸びて早く止まる」流れをゆるやかにすることをねらっています。

つまり治療の目的は、身長だけではありません。年齢に合わない体の変化や月経を抑えることも、大切な目的の一つです。あいち小児保健医療総合センターは、何を目的に治療するのかを主治医と相談して決めることが大切だとしています。

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治療をすれば、大人の身長は高くなる?

米国と欧州の小児内分泌学会が2009年にまとめた合意声明は、この薬で大人の身長を高くする効果に議論の余地がないのは、とても早い年齢で始まった中枢性思春期早発症(女の子では6歳未満)に限られるとしています。

あいち小児保健医療総合センターも、治療で思春期の進行を止められることは多い一方で、治療しない場合と比べて、大人の身長が必ずしも高くなるわけではないと説明しています。

思春期が始まった年齢や、治療を始めたときの骨年齢などによって、期待できることは変わります。治療でどこまでを目指すのかは、お子さんの状態をもとに医師から説明を受けてください。

出典 [7] [6]

病気でない子に、身長を伸ばす目的で使える?

同じ合意声明は、中枢性思春期早発症以外の状態でこの薬を使うことについて、さらに研究が必要であり、決まった治療として勧めることはできないとしています。原因の見つからない低身長や、思春期の時期が平均的な子に、身長を伸ばす目的で使うことも、これに含まれます。

国内でも、子どもへの使い道としてこの薬が承認されているのは中枢性思春期早発症です。病気と診断されていない子に、身長を伸ばす目的で使うことについて、効果と安全性を示した学会や公的機関の情報は見当たりません。

思春期は、身長が大きく伸びる時期であると同時に、骨や心が大人に近づく時期でもあります。合意声明は、思春期早発症の心理面への影響や、治療がそれをどう変えるかについても、さらに研究が必要だとしています。思春期を止めることには、身長以外の面への影響も考える必要があります。

出典 [7] [2]

治療を始めるかどうかは、どう決める?

思春期早発症と診断されても、すべての子が治療を受けるわけではありません。あいち小児保健医療総合センターは、乳房だけが一時的にふくらみ、ほかの変化が進まない場合など、治療が必要ないこともあると説明しています。

治療をするかどうかは、体の変化が始まった年齢、変化が進む速さ、骨年齢の進み方、身長の伸び方などを見て判断されます。月経が早く始まることや、周りの子との違いを本人がどう感じているかも、大切な判断材料です。

治療は数年にわたり、定期的な通院と注射が続きます。本人がどのくらい理解し、納得できるかも含めて、家族と医師でよく話し合って決めましょう。迷うときは、治療をした場合としなかった場合の見通しを、それぞれ説明してもらうとよいでしょう。

出典 [6]

治療中や治療のあとに、確かめることは?

治療中は、思春期の変化が止まっているか、身長の伸びと骨年齢がどう変わっているかを、定期的な診察と検査で確かめます。厚生労働省の報告書で紹介されている米国の添付文書では、骨年齢の進み方を6〜12か月ごとに測るとされています。

体重が増えやすくなる、骨密度が下がるといった心配がよく話題になりますが、合意声明はこうした懸念を支持しなかったとしています。注射した場所の腫れなど、主な副作用については、使う薬ごとに医師から説明を受けてください。

治療をやめると、止まっていた思春期の変化が再び進みます。やめる時期は、年齢や骨年齢、本人の気持ちなどを合わせて主治医と決めます。

出典 [2] [7]

体の変化が早いと感じたときは?

胸のふくらみ、陰毛、声変わり、急に背が伸びはじめたなど、気づいた変化とその時期をメモしておきましょう。あわせて、これまでの身長の記録をそろえておくと、診察のときに伸び方の変化がわかりやすくなります。

思春期早発症の診断と治療は、小児内分泌を専門とする医師が行います。日本小児内分泌学会は、専門医の一覧を公開しています。まずはかかりつけの小児科に相談し、必要に応じて紹介を受けましょう。

強い頭痛が続く、何度も吐く、見え方がおかしいといった症状がある場合は、すぐに救急外来を受診してください。意識がおかしい、けいれんが止まらないときは119番に連絡してください。

身長の伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話、0円)で、お手元の記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEから受け付けています。対面での検査や治療が必要な場合は、専門の医療機関をご紹介します。

出典 [8] [9]

思春期を遅らせる治療についてよくある質問

Q. 思春期早発症ではないけれど、背が低いまま思春期が来そうで心配です。治療で遅らせられますか?

A. 病気でない子に身長を伸ばす目的で思春期を遅らせることは、学会の合意声明でも決まった治療として勧められていません。まずは身長の記録を持って小児科で相談し、思春期の時期と伸び方を確かめてもらいましょう。

Q. 治療で思春期が止まっている間、身長は伸びますか?

A. 治療中も身長は伸びますが、思春期の大きな伸びは抑えられるため、伸び方はゆるやかになります。伸び方の見通しは医師から説明を受けてください。

Q. 治療をやめたあと、思春期は自然に進みますか?

A. 通常は、治療をやめると止まっていた変化が再び進みます。やめたあとも、しばらくは経過を確かめる診察が続きます。

出典 [7]

まとめ

思春期を遅らせる治療は、思春期早発症と診断された子に、思春期の進みをゆっくりにする目的で行うものです。大人の身長を高くする効果がはっきりしているのはごく早い年齢で始まった場合に限られ、病気でない子に身長を伸ばす目的で決まって勧められる治療ではありません。

出典 [7] [1]

お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。

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この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. 日本小児内分泌学会「思春期早発症」
  2. 厚生労働省 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議「公知申請への該当性に係る報告書 リュープロレリン酢酸塩 中枢性思春期早発症の用法・用量変更」(PDF)
  3. 小児慢性特定疾病情報センター「ゴナドトロピン依存性思春期早発症 診断の手引き」
  4. 日本大学医学部附属板橋病院「思春期早発症」
  5. 日本内分泌学会「思春期早発症」
  6. あいち小児保健医療総合センター「思春期早発症・遅発症「思春期が早い?遅い?治療が必要なの?」」
  7. 米国ローソン・ウィルキンス小児内分泌学会・欧州小児内分泌学会「Consensus statement on the use of gonadotropin-releasing hormone analogs in children」(Pediatrics 2009年、PubMed)
  8. 日本小児内分泌学会「当学会に所属している、内分泌代謝科(小児科)専門医」
  9. ノビケア「お問い合わせ」