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成長期・思春期・骨端線読む時間 約7分
身長を伸ばす手術(脚延長術)とは?リスクと、子どもの治療との違い
公開日:2026年10月3日 更新日:2026年10月3日
脚延長術(骨延長術)は、脚の骨を手術で切り、骨がつながる途中でできる新しい骨をゆっくり引き延ばして長くする治療です。脚の長さの左右差や骨の変形、軟骨無形成症などで行われることがあります。1cm延ばすのにおよそ1か月かかるとされ、器具を付けた生活が長く続き、合併症も少なくありません。成長期の子どもの低身長の治療とは目的もしくみも違います。
脚延長術とは、どんな手術?
大阪母子医療センターの説明では、骨延長術は、麻酔をかけて骨を切り、その部分が治っていく途中でできる「仮骨」と呼ばれる未熟な骨を、手術のあとにゆっくり引っ張って骨を長くする治療です。
骨を引っ張るために、創外固定器という器具を体の外から骨に取り付けます。器具は金属のピンやワイヤーで骨とつながっていて、ピンやワイヤーは皮膚を貫いています。手術は器具を取り付けるところまでで、治療はそのあと長く続きます。
延ばす速さは1日1mmを基準に、仮骨のでき方を見ながら調整します。予定の長さまで延ばしたあとは、仮骨が固い骨になるまで待ち、器具を外して治療が終わります。
出典 [1]
どんな人に行われる?
大阪母子医療センターは、骨延長術のおもな対象として、脚の長さの左右差、骨の変形、低身長などを挙げています。創外固定器は、骨を延ばさずに、骨折の治療で骨を固定する器具として使われることもあります。
日本小児内分泌学会は、腕や脚が短いという特徴をもつ軟骨無形成症で、脚や腕の短さを改善するために、下肢や上肢を延長する手術が行われることもあると説明しています。
病気のない大人が、身長を高くする目的で受ける脚延長術(美容目的の延長)も行われており、その結果をまとめた研究もあります。
治療には、どのくらいの期間がかかる?
大阪母子医療センターの説明では、おおよそ1cm骨を延ばすのに1か月かかる計算になります。延ばす長さによって、治療の期間は大きく変わります。
仮骨のでき方がよくないときは、延長をいったん止めることもあります。また、予定の長さまで延ばしたあとも、仮骨が成熟して固い骨になるまで器具を付けたまま待つ必要があります。そのため、予定どおりの期間で終わるとは限りません。
軟骨無形成症の脚延長術についての研究をまとめた2026年の解析では、器具を付けている期間の平均は約7.7か月でした。治療中は通院やリハビリが続き、学校や生活への影響も考える必要があります。
どんなリスクや負担がある?
大阪母子医療センターは、骨延長術は決して容易な手術ではなく、手術で治療が終わるわけではないと説明しています。器具が体の外に出ているため衣服に工夫が必要で、入浴やシャワーにも制限があります。ピンやワイヤーが皮膚を貫いているため、毎日のケアも欠かせません。
美容目的の延長について11の研究(795人)をまとめた2020年の系統的レビューでは、足首が伸ばしたままの形で固まる(尖足)ことや、延ばした骨が治療後に変形すること、足の関節が硬くなることなどが報告されています。
軟骨無形成症の患者で脚延長術の研究をまとめた2026年の系統的レビューとメタ解析(International Orthopaedics誌「Efficacy and safety of limb lengthening in achondroplasia」)では、合併症の割合は全体で56.1%と推定されています。ただし、推定の幅は26.9〜85.2%と大きく、これは病気のない人の美容目的の延長の数字ではありません。合併症の割合は病気や手術の方法によって違うため、一人ひとりのリスクは担当の医師から説明を受ける必要があります。
- ピンやワイヤーの周りの感染
- 関節が硬くなる、動きが悪くなる
- 延ばした骨の変形や、骨がうまく固まらないこと
- 長い期間の通院・リハビリと、生活への影響
治療の結果は、どう評価されている?
美容目的の延長をまとめた2020年の系統的レビューは、身長の増加や満足度、機能面の結果はおおむね良好で、重い合併症の割合は低かったとしています。そのうえで、どんな人に行い、どんな人には行わないかをはっきりさせた指針が必要だと述べています。
一方、2025年に発表された研究のまとめでは、美容目的の延長の研究の多くが、延びた長さなどの医学的な結果に偏っており、生活の質を調べた研究は25%にとどまっていました。満足度の多くも、確かめられた方法では測られていなかったとされています。
軟骨無形成症での解析では、身長と体のつり合いの改善に加えて、生活の質の改善も見られた一方、治療期間が長く負担が大きいことが指摘されています。結果の受け止め方は、目的や病気によって大きく違います。
成長期の子どもの低身長の治療とは、何が違う?
成長ホルモン治療などの子どもの低身長の治療は、骨端線が開いている成長期に、骨が伸びる力そのものに働きかけるものです。保険診療では、成長ホルモン分泌不全性低身長症など、診断された病気に対して行われます。
脚延長術は、骨を手術で切って機械的に延ばす治療です。骨端線が閉じたあとでも行えますが、体への負担は大きく、目的やリスクの性質がまったく違います。
軟骨無形成症では、日本小児内分泌学会によると、一定の基準を満たす場合に成長ホルモン治療やC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)アナログ製剤による治療が保険適用になっており、手術とは別の選択肢として検討されます。
出典 [2]
身長を高くする目的で、子どもが受けることはある?
美容目的の延長は、病気のない人が身長を高くするために選んで受ける手術として研究されており、2020年の系統的レビューも、どんな人に行い、どんな人には行わないかをはっきりさせた指針が必要だとしています。病気のない成長期の子どもに、身長を高くする目的で脚延長術を行うことを勧めた学会や公的機関の資料は見当たりません。
思春期の子どもが身長のことで強く悩んでいるときは、方法を探す前に、本人の気持ちを聞くことも大切です。悩みが学校生活や気分に影響している場合は、そのことも医師に伝えましょう。
成長期の子どもの身長が気になる場合は、まず骨端線が閉じる前に、成長曲線で伸び方を確かめ、病気が隠れていないかを調べてもらうことが先になります。
骨端線が閉じたあとの身長については「骨端線が閉じたらもう伸びない?」「大人になってから身長は伸びる?」の記事で説明しています。
検討する前に、確認したいことは?
病気やけがによる脚の長さの差などで脚延長術を勧められた場合は、小児整形外科を専門とする医師から、次のような点について説明を受けましょう。保険が使えるかどうかは病気や治療の内容によって違うため、治療を受ける病院で確認してください。
- 延長の目的と、手術以外の方法はあるか
- 延ばす予定の長さと、治療全体の期間
- 器具を付けている間の生活、学校、入浴のこと
- 起こりうる合併症と、そのときの対応
- リハビリの内容と通院の回数
- 治療が終わったあとの経過の確かめ方
出典 [1]
成長期の身長の悩みは、どこに相談する?
成長期の子どもの身長の悩みは、まず小児科で、成長曲線をもとに相談するのが基本です。身長の伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で、成長の記録を見ながらご相談いただけます。治療が可能なのは、骨端線が閉じる前の時期です。
出典 [6]
脚延長術についてよくある質問
Q. 脚延長術をすると、運動はできなくなりますか?
A. 治療中は運動に制限がかかります。治療後にどこまで運動できるかは、延ばした長さや合併症の有無によって違うため、担当の医師に確認してください。
Q. 痛みはありますか?
A. 大阪母子医療センターの説明では、ピンやワイヤーは見た目には痛そうですが、感染などの問題がなければ痛みはないとされています。手術の直後や延長中の感じ方には個人差があります。
Q. 一度で何cmでも延ばせますか?
A. 延ばす長さが大きいほど、治療の期間は長くなります。大阪母子医療センターの説明では、1cm延ばすのにおよそ1か月かかる計算です。どこまで延ばすかは、合併症のリスクとあわせて専門の医師が判断します。
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まとめ
脚延長術は、骨を切って新しい骨をゆっくり延ばす治療で、1cmにおよそ1か月かかり、器具を付けた生活や合併症など大きな負担があります。成長期の子どもの低身長の治療とは目的もしくみも違うため、子どもの身長が気になるときは、まず骨端線が閉じる前に小児科で相談しましょう。
出典 [1]
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 大阪母子医療センター「骨延長術について」
- 日本小児内分泌学会「軟骨無形成症・軟骨低形成症」
- Bone & Joint Research「Cosmetic stature lengthening: systematic review of outcomes and complications」(2020年、PubMed)
- International Orthopaedics「Efficacy and safety of limb lengthening in achondroplasia: A systematic review and meta-analysis」(2026年、PubMed)
- Journal of Orthopaedic Surgery and Research「Measuring more than just centimeters: a scoping review of outcome measures in cosmetic stature lengthening」(2025年、PubMed)
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