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成長期・思春期・骨端線読む時間 約6分
思春期の血液検査(LH・FSH・性ホルモン)で分かること
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
思春期の血液検査では、脳の下垂体から出るLH(黄体化ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)、精巣から出るテストステロンや卵巣から出るエストロゲンを調べます。体の変化が脳からの指令で本当に始まっているのか、思春期が始まらない原因が脳の側か精巣・卵巣の側かを見分ける手がかりになります。ただし値は採血の時間や測り方で変わりやすく、思春期の始まりかけでは判断が難しいため、診察や骨年齢、経過とあわせて医師が判断します。
思春期は、どのホルモンで始まる?
小児慢性特定疾病情報センターは、思春期は脳の視床下部から出るホルモン(LH-RH)が増え、それが下垂体からのLHとFSHの分泌を促し、さらにLHとFSHが精巣や卵巣に働いて性ホルモンを出させることで始まり、進んでいくと説明しています。
日本小児内分泌学会は、女の子では胸のふくらみ(乳房の発育)を、男の子では精巣の大きさが4mL以上になったときを思春期の始まりと考えるとしています。血液検査は、こうした体の変化の裏で、ホルモンがどの段階まで動いているかを確かめるものです。
| ホルモン | どこから出る? | 主な働き |
|---|---|---|
| LH・FSH(ゴナドトロピン) | 脳の下垂体 | 精巣や卵巣に、性ホルモンを出すよう指示する |
| テストステロン(男性ホルモン) | 主に精巣 | 精巣・陰茎の発育、ひげ、声変わりなどを進める |
| エストロゲン(女性ホルモン) | 主に卵巣 | 胸のふくらみ、月経などを進める |
どんなときに、この検査をする?
思春期の始まりが早すぎる、または遅すぎると考えられるときに行います。小児慢性特定疾病情報センターの思春期早発症の診断の手引きでは、次のような年齢の目安が示されています。
反対に、同じセンターは、女の子で14歳、男の子で15歳までに体の変化が始まらない、または始まっても進まない状態を、思春期が遅れている目安として挙げています。海外の総説では、女の子13歳、男の子14歳(精巣が4mL未満)を目安とするものもあり、資料によって年齢に幅があります。
- 女の子:7歳6か月より前に胸がふくらむ、8歳より前に陰毛やわき毛が生える、10歳6か月より前に初経がくる
- 男の子:9歳より前に精巣や陰茎が明らかに大きくなる、10歳より前に陰毛が生える、11歳より前にわき毛やひげ、声変わりがみられる
思春期が早いときの結果は、どう読む?
日本小児内分泌学会は、脳からの指令が早く始まる中枢性思春期早発症では、LHとFSHの分泌が高まり、男の子ではテストステロン、女の子ではエストロゲンの分泌も高まっていることで診断するとしています。診断の手引きでは、LH・FSHと性ホルモンの両方が明らかに高いことを確かめ、判定は各施設の思春期の基準値をもとに行うとされています。
一方で、同じ手引きは、副腎の病気(先天性副腎過形成症や副腎の腫瘍など)、性ホルモンを出す腫瘍、性ホルモンを含む薬を使っている場合などを、すべて否定するよう求めています。湿疹用の軟膏や養毛剤などの化粧品に、性ホルモンを含むものがあることにも注意するとしています。性ホルモンだけが高く、LHやFSHが上がっていないときは、脳以外の原因を考えることになります。
LHの値の目安は、測り方によって違います。海外の総説は、朝のLHが0.3 IU/Lを超えることなどが目安として使われる一方、研究によって基準がそろっておらず、一定の値は決まっていないとまとめています。
LH-RH(GnRH)負荷試験とは?
思春期の始まりかけでは、1回の採血でLHがまだ低く出ることがあります。そのため、LH-RHという薬を注射し、その後に何回か採血して、LHとFSHの上がり方を見る検査を行うことがあります。海外の総説は、注射後30〜60分のLHの上がり方を見る方法がよく使われているとしています。
同じ総説は、この検査にも限界があると述べています。思春期のごく初めの段階、変化が重なりやすい女の子、肥満のある子では判断が難しく、FSHの値だけでは見分けがつかないことも多いとされています。慶應義塾大学病院の解説では、こうした負荷試験は点滴をしながら15分か30分おきに採血し、2〜3時間ほどかかると説明されています。行うかどうかや方法は病院によって異なります。
思春期が遅いときの結果は、どう読む?
2024年の海外の総説は、朝のLHとFSHが高い場合は、精巣や卵巣の側がうまく働いていない状態(高ゴナドトロピン性性腺機能低下症)を示すとしています。原因として、ターナー症候群、クラインフェルター症候群、化学療法や放射線治療のあとなどが挙げられています。
LHとFSHが低い場合は、いちばん多い体質による思春期の遅れか、脳からの指令が足りない病気(低ゴナドトロピン性性腺機能低下症)かを考えます。ただ、イタリアの総説は、ふだんの値でも負荷試験でも、この2つを見分けることはできないとしています。小児慢性特定疾病情報センターは、低ゴナドトロピン性の一部は自然によくなることもあるとしており、経過を見ながら判断することがあります。
同じセンターは、カルマン症候群ではにおいが分からない、または分かりにくいことがあると説明しています。においの感じ方は血液検査では分からないため、気づいたことがあれば伝えましょう。また、脳からの指令が足りない場合、思春期の年ごろには一時的に背が低めになりますが、骨年齢が遅れるため、最終的には背が高くなるとされています。
結果によって、どんな治療が考えられる?
日本小児内分泌学会は、よくみられる原因がはっきりしない中枢性思春期早発症では、LH-RHアナログという薬をおおむね4週間に1回注射し、LHとFSHの分泌を抑えることで、思春期の進み方をゆるやかにすると説明しています。目的は、身長が伸びる期間を長くすることと、幼い年齢で体が大人に近づくことによる本人の心の負担を減らすことです。腫瘍などの病気が原因の場合は、その治療が優先されます。
思春期が遅れている場合、小児慢性特定疾病情報センターは、脳からの指令が足りない低ゴナドトロピン性性腺機能低下症では、男の子では性腺を刺激するホルモンの注射や男性ホルモンの補充、女の子では女性ホルモンの補充から始める治療を行うとしています。適切な補充で、体の変化の進行や身長の伸び、骨密度の増加が得られると説明されています。治療が必要かどうかや時期は、検査の結果と経過をふまえて主治医と相談します。
検査を受けるとき、気をつけることは?
思春期の体の話は、子どもにとって恥ずかしく感じやすい話題です。検査の目的を、年齢に合わせた言葉で前もって伝えておくと、受け止めやすくなります。
- 採血の時間:LHやテストステロンは時間によって変わるため、朝の採血が望ましいとされています
- 使っているもの:性ホルモンを含む薬、塗り薬、養毛剤などを使っていれば伝えます
- 記録:体の変化に気づいた時期と順番、これまでの身長と体重の記録を持っていきます
- 家族の様子:両親やきょうだいの思春期の時期(初経や声変わりの年齢など)が分かれば、メモしておきます
- 基準値:結果の基準が子ども用か、測り方による違いがないかを確かめます
思春期の血液検査についてよくある質問
Q. 血液検査だけで、思春期早発症かどうか決まりますか?
A. いいえ。日本小児内分泌学会は、体の変化の年齢、身長の伸び、骨の成熟の進み方などとあわせて診断するとしています。診断の手引きでも、病気の初めのころは所見がそろわないことがあるとされています。
Q. 太っていると、結果は変わりますか?
A. 海外の総説では、肥満や過体重の女の子では、負荷試験でのLHのピークが低めに出るという報告が紹介されています。身長と体重の記録も一緒に伝えましょう。
Q. 結果がふつうでも、また検査することはありますか?
A. 思春期の始まりかけでは、ホルモンがまだ上がりきっていないことがあります。数か月たってから、診察や検査をくり返すことがあります。
まとめ
思春期の血液検査では、脳から出るLH・FSHと、精巣や卵巣から出る性ホルモンを調べ、思春期の始まりが早い・遅い理由を考える手がかりにします。値は測り方や時間で変わりやすいため、診察や骨年齢、経過とあわせて判断します。ノビケアでは負荷試験や骨年齢のエックス線検査、静脈からの採血は行っていません。体の変化や伸び方が気になる場合は、医師による無料相談(ビデオ通話)で記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。検査が必要な場合は、対面の医療機関をご紹介します。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 小児慢性特定疾病情報センター「低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(カルマン(Kallmann)症候群を除く。) 概要」
- 日本小児内分泌学会「思春期早発症」
- 小児慢性特定疾病情報センター「ゴナドトロピン依存性思春期早発症 診断の手引き」
- Journal of Clinical Research in Pediatric Endocrinology「A Current Perspective on Delayed Puberty and Its Management」(Abacı A・Besci Ö、2024年、PMC)
- Annals of Pediatric Endocrinology & Metabolism「Gonadotropin-releasing hormone stimulation test and diagnostic cutoff in precocious puberty: a mini review」(Ab Rahim SN ほか、2020年、PMC)
- 慶應義塾大学病院 KOMPAS「内分泌負荷試験」
- Italian Journal of Pediatrics「Current clinical management of constitutional delay of growth and puberty」(Gaudino R ほか、2022年、体質性思春期遅発症の総説、PMC)
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