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成長期・思春期・骨端線読む時間 約7分
部活で体重を落とすよう言われた中学生:成長期の減量が身長に与える影響と、指導者への相談のしかた
公開日:2026年10月5日 更新日:2026年10月5日
成長期の体は、伸びるためにも多くのエネルギーを使います。国立スポーツ科学センターの資料は、エネルギー不足が成長の妨げや低身長、骨の健康被害などにつながるおそれがあるとして、ジュニアアスリートへの減量は勧められないとしています。部活で体重を落とすよう言われたら、本人の気持ちを聞き、身長と体重の記録をそろえたうえで、指導者と階級や練習のしかたを相談しましょう。
部活で「体重を落として」と言われるのは、どんな場面?
柔道、レスリング、ボクシングなど、体重で出場する階級が分かれる競技では、試合の前に体重を合わせるよう求められることがあります。国立スポーツ科学センターの資料は、体重階級制の競技で、ジュニアアスリートが極度の減量を行っている例も報告されているとしています。
階級のない競技でも、陸上の長距離や新体操のように、体が軽いほうが有利と考えられやすい競技では、体重を気にする声がかかることがあります。運動量の多い女の子の月経や身長との関係は「運動をたくさんする女の子は初潮が遅い?」のコラムで説明しています。このコラムでは、中学生が部活で減量を求められた場面に絞って考えます。
出典 [1]
成長期の減量は、身長にどう影響する?
同じ資料によると、成長の途中にあるジュニアアスリートは、内臓は大人より小さいものの、成長に使われるエネルギーが多いため、大人と同じくらいのエネルギーが必要になります。そのうえで、エネルギーや栄養素が足りないと、成長の妨げ、骨の健康被害、低身長、摂食障害、けがの増加などが心配されるとし、ジュニアアスリートへの減量は勧められないとまとめています。
日本の女子高校柔道選手477人に行ったアンケート調査(Frontiers in Sports and Active Living誌、2024年)では、48〜63kgの階級の選手のうち、中学生のときに試合前の減量をしていた人は、していなかった人より今の身長が低いという結果でした。一方、中学生のときの減量の有無で、大会の成績に差は見られませんでした。
ただし、この調査は本人の記憶にもとづく回答で、一時点の調査のため、減量が身長を低くしたのか、もともと小柄な選手が減量しやすかったのかは区別できないと、研究者自身が述べています。それでも、成長期の減量が競技の結果に結びついていなかったことは、階級を考えるときの参考になります。
短い期間で体重を落とすのは、なぜ危ない?
国立スポーツ科学センターの資料は、1週間から数日で体重の5%以上を落とすことを「急速減量」と呼んでいます。急速減量で減る体重の約70%は体の水分で、脱水によって体調をくずしたり、力が出なくなったりします。とくにサウナを使った減量は、血液が濃くなり、全身に届く酸素が減るとされています。急速減量が原因とみられる死亡事故も報告されています。
食事を抜く、水を飲まない、厚着をして走る、といった方法は、大人の選手でも危険があるとされています。成長期の中学生では、なおさら避ける必要があります。日本レスリング協会も、短い期間での絶食や飲水制限を控え、練習中は水分をとるよう呼びかけています。
競技団体は、ジュニアの減量をどう考えている?
日本レスリング協会は、ジュニア向けの資料で、年代ごとの減量の考え方を次のように示しています。出場する階級は慎重に決める必要があり、指導者や保護者と相談して決めることが大切だとしています。
| 年代(日本レスリング協会の区分) | 減量の考え方 |
|---|---|
| スクールボーイ(小学生:〜12歳) | ウエイトコントロール(減量)はしない |
| カデット(中学生・高校生:13〜16歳) | 無理なウエイトコントロール(減量)はしない |
| ジュニア(高校生・大学生:17〜20歳) | 無理なウエイトコントロール(減量)は避け、とくに短期的な急速減量は避ける |
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家で気をつけたいサインは?
減量の指示が出ていても、本人は「みんなやっている」「言われたから」と、家族に詳しく話さないことがあります。次のような様子がないか、ふだんの生活の中で見ておきましょう。
日本スポーツ振興センターは、運動で使うエネルギーに見合う量を食事からとらない状態が続くと、性別を問わず健康に有害な影響があり、パフォーマンスも下がると説明しています。男の子でも気をつけたい点です。
- 朝食や夕食を抜く、主食を極端に減らす
- 試合の前に水分をとらない、つばを吐いて体重を落とそうとする
- 厚着をして走る、長くお風呂に入るなど、汗で体重を落とそうとする
- 1日に何度も体重計に乗る、体重の話ばかりになる
- 疲れやすい、けがが増えた、集中しにくくなった
- 女の子で、月経が止まった、間隔があいてきた
- 身長の記録を並べると、1年の伸びが前より小さくなっている
指導者には、どう相談すればよい?
相談の前に、まず本人の気持ちを聞きましょう。試合に出たい、仲間に迷惑をかけたくない、という思いから減量を続けたい子もいます。「部活をやめさせたいのではなく、体を守るために相談したい」と伝えてから動くと、本人も受け入れやすくなります。
文部科学省の部活動のガイドラインは、休養日や活動時間を、成長期の生徒が食事、休養、睡眠のバランスのとれた生活を送れるよう定めたものだとしています。食事を減らす指導は、この考え方とも合いにくいものです。相談するときは、身長と体重の記録を持っていき、次のような点を具体的に話し合いましょう。
文部科学省の生徒指導提要は、子どもの尊厳やプライバシーを損なう指導を、不適切な指導の例として挙げています。みんなの前で体重を言われる、といったことで本人がつらい思いをしているときは、そのことも伝えてかまいません。顧問の先生に話しにくいときは、担任の先生や養護教諭、学校の管理職に相談する方法もあります。
- 階級を上げる、または今の体重に合った階級で出る選択肢はあるか
- 減量をしない、または医師と相談しながら決める方針にできるか
- 練習の量に見合う食事を、補食も含めてとれるようにできるか
- 体重を測るときに、ほかの部員に数字が知られない形にできるか
減量をやめれば、身長の伸びは取り戻せる?
食事が十分にとれるようになると、遅れていた伸びが追いつくこと(キャッチアップ成長)があります。英国の研究者らが2020年に発表したシステマティックレビュー(Journal of Adolescent Health誌、18歳未満の制限型の摂食障害についての27研究を検討)では、多くの研究で回復後に身長が追いつく様子が見られた一方、すべての子で十分に追いつくわけではないとされています。発症した年齢が低いことや、病気の期間が長いことが、成長の遅れにつながる可能性があるとしています。
部活の減量は摂食障害と同じではありませんが、成長期に食事の不足が長く続かないようにすることが大切だという点は共通しています。身長が伸びるのは骨端線が閉じるまでなので、伸びが落ちていることに早く気づき、早めに食事を立て直すことが、取り戻すための時間を残すことにつながります。
出典 [9]
医師に相談したほうがよいのは、どんなとき?
体重が減り続けている、身長の伸びが小さくなった、女の子で月経が止まった、ふらつきや強い疲れが続く、といったときは、かかりつけの小児科に相談しましょう。体重や体型を強く気にして食べる量が減っている場合は、摂食障害の可能性も考えます。くわしくは「思春期の女の子が「太りたくない」と食事を減らしたら」のコラムで説明しています。
ぐったりして水分もとれない、立っていられない、意識がぼんやりしているといったときは、すぐに119番に連絡してください。
身長の伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)でも、お手元の身長の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。予約は公式LINEから受け付けています。
部活での減量についてよくある質問
Q. 階級を上げると、試合で不利になりませんか?
A. 不利になる場面もあるかもしれません。ただ、先に紹介した女子柔道選手の調査では、中学生のときに減量した人としなかった人で、大会の成績に差は見られませんでした。成長期は体重が自然に増えていく時期でもあるので、今の体重に合った階級で経験を積むことも一つの考え方です。
Q. 少しだけ、ゆっくり落とすのなら大丈夫ですか?
A. 国立スポーツ科学センターの資料は、成長期にはジュニアアスリートへの減量は勧められないとしています。体重を減らす必要があるかどうかは、成長曲線を見ながら医師と相談して決めましょう。
Q. 本人が自分から減量したがっています。
A. 試合に勝ちたい気持ちは受け止めつつ、成長期の体はエネルギーを多く使うことを、一緒に資料を見ながら話してみましょう。体型への不安が強い様子があるときは、早めに小児科に相談してください。
まとめ
成長期の体は伸びるためにも多くのエネルギーを使い、競技団体や国立スポーツ科学センターは、ジュニアの無理な減量を避けるよう示しています。とくに短い期間での急速減量は危険です。部活で減量を求められたら、本人の気持ちを聞き、記録を持って指導者と階級や食事を相談し、体重や身長の変化が気になるときは小児科に相談しましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 日本スポーツ振興センター ハイパフォーマンスセンター 国立スポーツ科学センター「体重階級制競技のためのウエイトコントロールガイドブック」(PDF、2019年3月31日発行。ジュニアアスリートのウエイトコントロールの考え方、急速減量とゆっくり減量)
- Frontiers in Sports and Active Living「Evidence of weight loss in junior female judo athletes affects their development」(Yoshida E ほか、2024年、日本の女子高校柔道選手477人の横断調査)
- 日本レスリング協会「ジュニアレスラーの減量方法」(ジュニアのためのレスリングブック。年代別の減量の考え方、階級の決め方)
- 日本スポーツ振興センター(JSC/HPSC)Female Sport ナビ「「スポーツにおける相対的エネルギー不足 (REDs)」と「女性アスリートの三主徴(Triad)」とは?」
- 摂食障害全国支援センター(国立精神・神経医療研究センター)摂食障害情報ポータルサイト「子どもの摂食障害」
- 国立スポーツ科学センター「成長期女性アスリート 指導者のためのハンドブック」5. 女性アスリートの三主徴(PDF)
- 文部科学省「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」(令和7年12月、PDF)
- 文部科学省「生徒指導提要(改訂版)」(令和4年12月、PDF。第3章 3.6 体罰、不適切な指導等:不適切な指導と考えられ得る例、日常的な声掛けでも受け止めが異なること)
- Journal of Adolescent Health「What Are the Effects of Restrictive Eating Disorders on Growth and Puberty and Are Effects Permanent? A Systematic Review and Meta-Analysis」(2020年、PubMed)
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