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成長期・思春期・骨端線読む時間 約6分
「骨年齢が遅れている」と言われたら:考えられることと、残りの伸びの考え方
公開日:2026年10月5日 更新日:2026年10月5日
骨年齢が遅れているとは、手のエックス線で見た骨の成熟が、実際の年齢より幼い段階にあることです。思春期が遅めに来る体質の子に多くみられますが、成長ホルモンや甲状腺ホルモンの不足、栄養の不足や慢性の病気でも遅れます。骨の成熟が遅れていると、伸びる期間は残っていることが多いものの、それだけで大人の身長が高くなるとは限りません。遅れの理由と、これからの伸び方をあわせて医師と確かめましょう。
骨年齢が遅れている、とはどういうこと?
骨年齢は、主に左手と手首のエックス線写真から、骨がどこまで大人に近づいているかを年齢の形で表したものです。たとえば10歳の子の骨年齢が8歳と読まれた場合、骨の成熟は8歳ごろの段階にある、という意味になります。しくみの全体は「骨年齢とは」のコラムで説明しています。
少しの差は、読み方の違いの範囲ということもあります。骨年齢の評価方法をまとめた2021年の総説は、よく使われる方法でも、読む人によって0.45〜0.83年ほどの差が出ることがあると紹介しています。半年から1年ほどの遅れだけで、すぐに病気と考える必要はありません。
一方で、遅れが大きい場合は手がかりになります。小児慢性特定疾病情報センターの成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断の手引きでは、骨年齢が実際の年齢の80%以下であること(10歳なら8歳以下)を、参考となる所見の一つに挙げています。ただし、これだけで診断が決まるわけではありません。
どんな理由で、骨年齢が遅れる?
2021年の総説は、骨年齢の遅れは、成長ホルモンの不足、体質による成長の遅れ、甲状腺ホルモンの不足、栄養の不足、慢性の病気に典型的だとしています。日本小児内分泌学会の英文誌に載った2015年の総説も、成長ホルモンやIGF-1、甲状腺ホルモン、性ホルモンの不足や、ステロイド(糖質コルチコイド)が多すぎる状態では、伸びが落ちると同時に骨年齢も遅れると説明しています。主なものは次のとおりです。
| 考えられること | 特徴 |
|---|---|
| 体質による成長と思春期の遅れ | 病気はなく、骨の成熟も思春期もゆっくり進む。家族に思春期が遅かった人がいることが多い |
| 成長ホルモンの不足 | 1年の伸びが少ない状態が続く。血液検査や分泌刺激試験で確かめる |
| 甲状腺ホルモンの不足 | 伸びが落ちるほか、疲れやすい、むくみ、便秘などがみられることがある |
| 栄養の不足、慢性の病気 | 体重の増え方が悪い、腸や腎臓などの病気がある |
| ステロイドが多すぎる状態 | 飲み薬のステロイドを長く使っている、クッシング症候群など |
| 性ホルモンの不足 | 思春期の年齢になっても体の変化が始まらない、始まっても進まない |
体質による遅れのことが多いのは、なぜ?
体質性思春期遅発症(体質による成長と思春期の遅れ)についての2022年の総説は、この体質の子では骨年齢がふつう遅れていて、今の身長は実際の年齢よりも骨年齢に見合った高さになっていると説明しています。骨の成熟も、身長も、思春期も、全体がゆっくり進んでいる状態です。
あいち小児保健医療総合センターは、思春期遅発の多くは体質性で、待っていれば自然に思春期が来るとしています。ただ、思春期の伸び(スパート)が同級生より遅くなるため、小学校高学年から中学生のころに、背が低いことで受診する子が多いとも説明しています。体質による遅れかどうかは、ホルモンの病気がないことを確かめたうえで判断します。くわしくは「思春期遅発症とは?」のコラムで説明しています。
遅れているぶん、長く伸びる?
身長が伸びるのは、骨の端にある骨端線が閉じるまでです。日本小児内分泌学会は、骨端線の閉鎖は日本人小児のTW2法(RUS法)で骨年齢が男子16.0歳、女子14.6歳を超えた場合に相当するとしています。骨年齢が遅れている子は、この段階に達するまでの時間が、同じ年齢の子より長く残っていることが多いと考えられます。
2015年の総説によると、日本人の子どもでは、思春期の伸びが山(ピーク)を迎える時期は骨年齢でおよそ男子13歳、女子11歳、初潮は骨年齢およそ12歳のころとされています。骨年齢が遅れている子は、思春期の伸びも遅れて来やすい、ということです。
ただし、「時間が残っている」ことと「大人の身長が高くなる」ことは同じではありません。同じ総説は、骨年齢から大人の身長を見込むベイリー・ピノー法やTW mark II法は、背の低い子では大人の身長を高めに見積もりやすいとしています。体質による遅れでも、両親の身長から見込まれる身長まで届くかについては、専門家の間で意見が分かれています。予測の当たり方は「最終身長の予測はどのくらい当たる?」のコラムで説明しています。
「遅れているから安心」と考えないほうがよいのは、なぜ?
骨年齢の遅れが、ホルモンの不足などの病気によるものなら、原因の治療が必要です。たとえば小児慢性特定疾病情報センターは、萎縮性甲状腺炎(甲状腺ホルモンが足りなくなる病気の一つ)について、骨年齢が著しく遅れることがあり、身長の伸びが悪い期間が長いと、治療をしても追いつく伸びは70%程度にとどまり、大人の身長が十分に改善しないことがあると説明しています。
つまり、骨年齢が遅れていることは「まだ伸びる余地がある」という面と、「伸びを止めている原因があるかもしれない」という面の両方を持っています。どちらに当たるかは、骨年齢の数字だけでは決まりません。甲状腺の病気と身長については「甲状腺の病気と身長」のコラムで説明しています。
医師は、次に何を確かめる?
骨年齢が遅れていると言われたあとは、主に次のようなことを組み合わせて判断します。1回の検査で結論が出ず、半年から1年ほど伸び方を見てから決めることもあります。
- 1年の伸び(成長率):成長ホルモン分泌不全性低身長症の手引きでは、伸びる速さが2年以上続けて標準の−1.5SD以下であることが目安の一つ
- 思春期の体の変化:胸のふくらみや精巣の大きさなどが、年齢に比べてどの段階か
- 血液検査:甲状腺ホルモン、IGF-1、貧血や栄養の状態など(「低身長の血液検査では何を調べる?」のコラム)
- 必要に応じた詳しい検査:成長ホルモンの分泌刺激試験、思春期のホルモンの検査など
- 家族の思春期の時期:両親の声変わりや初潮が遅かったかどうか
治療を考えるなら、時間の余裕はある?
骨年齢が遅れている子は、骨端線が閉じるまでの時間が比較的残っていることが多いため、検査や経過を見る時間をとりやすい面があります。ただ、日本小児内分泌学会は、TW2法で骨年齢が男子15歳・女子14歳以上になると、成長ホルモン治療をしてもほとんど効果がみられないとしています。思春期が始まると骨の成熟は進みやすくなるため、「遅れているから急がなくてよい」と考えて受診を先に延ばしすぎないようにしましょう。
なお、成長ホルモン治療が保険診療の対象になるのは、成長ホルモン分泌不全性低身長症などの病気と診断された場合です。原因の見つからない低身長への使用は、国内で承認された使い方に含まれない適応外使用になります。
ノビケアでは、骨年齢の相談はできる?
ノビケアはオンライン診療のため、骨年齢のエックス線検査や分泌刺激試験は行っていません。ほかの医療機関で骨年齢を調べた結果や成長の記録がお手元にあれば、医師による無料相談(ビデオ通話)で、記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。検査が必要な場合は、対面の医療機関をご紹介します。予約は公式LINEから受け付けています。
出典 [10]
骨年齢が遅れていることについてよくある質問
Q. 骨年齢が2歳遅れていると言われました。そのぶん背が伸びると考えてよいですか?
A. 伸びる期間が残っている可能性はありますが、大人の身長が高くなるとは限りません。遅れの理由によって見通しが変わるため、伸び方の記録とあわせて主治医から説明を受けてください。
Q. 骨年齢を進めたり、遅らせたりする方法はありますか?
A. 原因となる病気がある場合は、その治療で骨の成熟の進み方が変わることがあります。病気がない場合に、食事やサプリなどで骨年齢を変えられるという根拠は、学会や公的機関の資料には見当たりません。
Q. もう一度、骨年齢を調べたほうがよいですか?
A. 1回の結果だけでなく、時間をおいて伸び方と骨の成熟の進み方を比べることで分かることもあります。撮り直しの時期は主治医と相談しましょう。検査を受けられる場所は「骨年齢の検査はどこで受けられる?」のコラムで説明しています。
出典 [1]
まとめ
骨年齢の遅れは、体質による遅れに多くみられますが、ホルモンの不足や栄養、慢性の病気が隠れていることもあります。伸びる期間が残っていても、大人の身長が高くなるとは限りません。1年の伸びと思春期の進み方を記録し、遅れの理由を主治医と確かめましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- Journal of Clinical Research in Pediatric Endocrinology「Traditional and New Methods of Bone Age Assessment-An Overview」(Prokop-Piotrkowska M ほか、2021年、PMC)
- 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン(GH)分泌不全性低身長症(脳の器質的原因によるものを除く。) 診断の手引き」
- Clinical Pediatric Endocrinology「Bone age: assessment methods and clinical applications」(Satoh M、日本小児内分泌学会英文誌、2015年、PMC全文)
- Italian Journal of Pediatrics「Current clinical management of constitutional delay of growth and puberty」(Gaudino R ほか、2022年、体質性思春期遅発症の総説、PMC)
- 小児慢性特定疾病情報センター「21及び22に掲げるもののほか、後天性甲状腺機能低下症 診断の手引き」
- あいち小児保健医療総合センター「思春期早発症・遅発症「思春期が早い?遅い?治療が必要なの?」」
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- 小児慢性特定疾病情報センター「萎縮性甲状腺炎 概要」
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
- ノビケア「お問い合わせ」