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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約7分

「成長ホルモン分泌不全症」と診断されてショックなとき:親の気持ちの整理と最初に知っておきたいこと

公開日:2026年10月5日 更新日:2026年10月5日

診断を聞いてショックを受けたり、自分を責めたりするのは、多くの保護者が経験する自然な反応です。成長ホルモン分泌不全性低身長症は、原因を確かめたうえで保険診療による治療が行われ、条件を満たせば医療費の助成も使える病気です。すぐにすべてを理解しようとせず、聞きたいことを書き出して次の診察で確かめながら、一つずつ進めていきましょう。

診断を聞いてショックを受けるのは、おかしなこと?

「やっぱり病気だった」「もっと早く気づけばよかった」「この先どうなるのだろう」。診断を告げられた日は、頭が真っ白になって、医師の説明をほとんど覚えていないという保護者も少なくありません。体のことで心配していた答えが出たのに、ほっとする気持ちと不安な気持ちが同時にわいてくることもあります。

成長ホルモン治療を受ける子どもの母親16人に聞き取りをした研究(Journal of Pediatric Nursing誌、2019年)では、母親たちの経験は「先が見えないことへの不安」「新しい日常に慣れていくこと」「病気や治療を人に知られることへのためらい」という3つの言葉で整理されました。「自分の判断は正しいのか」と何度も迷ったり、「説明を十分に受けていない」と感じたりしながらも、やがて治療のある生活に慣れていったと報告されています。

同じ研究は、母親たちが情報と支えを必要としていたこと、人に知られることへのためらいから、支援を求めにくくなっていた人がいたことも指摘しています。気持ちが揺れるのは、子どもを大切に思っているからこそです。無理に気持ちを切りかえようとせず、まずは「ショックを受けている」と自分で認めることから始めましょう。

出典 [1]

成長ホルモン分泌不全症は、どんな病気?

小児慢性特定疾病情報センターは、成長ホルモン分泌不全性低身長症を、成長ホルモンが十分に出ないために身長が低くなる病気で、ほかの下垂体のホルモンも不足していることがある、と説明しています。6〜17歳の子どもでは、1万人あたり男の子で2.14人、女の子で0.71人と報告されています。

診断には、薬を使って成長ホルモンの出方を調べる分泌刺激試験が使われます。日本内分泌学会は、少なくとも2種類の薬で検査を行い、そのすべてで成長ホルモンを出す力が弱いことを確かめる必要があると説明しています。診断までの流れは「成長ホルモン分泌不全症と診断されるまでの流れ」のコラムで説明しています。

出典 [2] [3]

親の育て方や食事のせいなの?

診断のあと、「食事が足りなかったのでは」「寝る時間が遅かったからでは」と自分を責める保護者もいます。小児慢性特定疾病情報センターは、原因を、脳の腫瘍などの病気や生まれたときの異常による「器質性」と、原因がはっきりしない「特発性」に分け、器質性は約10%で、特発性の大部分は原因が分かっていないとしています。日本内分泌学会も、生まれつき下垂体の発達がよくない場合や、下垂体の腫瘍などを原因として挙げています。

どちらの資料でも、家庭の食事やしつけが原因として挙げられているわけではありません。生活習慣は成長の土台として大切ですが、それを整えていれば防げた病気だと考える必要はありません。脳の病気が原因でないかを確かめるために頭のMRI検査をすることがあり、その理由は「低身長で頭のMRI検査をするのはなぜ?」のコラムで説明しています。

出典 [2] [3]

治療について、最初に知っておきたいことは?

日本内分泌学会によると、治療は、成長ホルモンを自宅で週6〜7回、夜寝る前に皮下注射する方法で行われます。小児慢性特定疾病情報センターは、治療の目的を、できるだけ早く身長を標準に近づけ、低身長にともなう心の面や生活の面の困りごとを減らすことだとしています。どのくらい伸びるかには個人差があり、効果の見方は「成長ホルモン治療の効果はいつから分かる?」のコラムで説明しています。

診断を聞いた日に、すべてを決める必要はありません。次のことは、多くの家庭が最初の数回の診察で確かめていく点です。治療を始める時期をいつにするかは、病気の状態によって主治医が判断します。

出典 [3] [2]

医療費の助成は、いつ・どこに申請する?

成長ホルモン治療は、保険診療で行われます。日本内分泌学会は、一定の基準を満たせば、小児慢性特定疾病の医療費助成制度も利用できると説明しています。小児慢性特定疾病情報センターによると、令和6年4月から、この助成での成長ホルモン治療の扱いは、保険診療での適用の基準と同じになりました。

助成の対象は18歳未満の子どもで、18歳になった時点で対象になっていて、その後も治療が必要と認められる場合は20歳未満まで延長されます。申請は、お住まいの都道府県・指定都市・中核市・児童相談所設置市の窓口で行い、医師が書く医療意見書などの書類が必要です。様式は自治体によって違うことがあるため、早めに窓口で確かめておきましょう。手続きの流れは「小児慢性特定疾病の医療費助成とは?」のコラムで説明しています。

出典 [3] [4] [5]

次の診察で、どう聞けばよい?

国立がん研究センターのがん情報サービスは、医療者と話すときのヒントとして、聞きたいことを前もってメモしておくと聞き忘れを防げること、「もう一度説明してください」「私の理解で合っていますか」と確かめてよいこと、一人で聞くのが不安なときは家族などに同席してもらえることを挙げています。がんの患者さんに向けた資料ですが、診断を受けたばかりの家族にも役立つ考え方です。

質問は、優先する順に並べておくと、限られた時間でも大事なことから聞けます。診察のあとで分からないことが出てきたときに、だれに、どう連絡すればよいかも確かめておくと安心です。

出典 [6]

気持ちが追いつかないときは、だれに相談できる?

小児慢性特定疾病の対象になる子どもと家族のために、都道府県などが行う自立支援事業があります。小児慢性特定疾病情報センターによると、この事業には、医師などによる相談のほか、同じ経験をした人による「ピアカウンセリング」や、学校などとの連絡調整を行う自立支援員による支援が含まれます。内容は自治体によって違うため、助成の申請のときに窓口で尋ねてみましょう。

子育て全体の悩みは、市区町村のこども家庭センターでも相談できます。厚生労働省は、子どもの健康が心配なときほど自分の健康がおろそかになりがちなので、子どもを支えるために自分の健康も大切にするよう呼びかけています。眠れない、食欲がない、気持ちが沈む日が続くときは、保護者自身も医療機関や相談窓口を頼ってください。

出典 [7] [8] [9]

子どもには、どう伝える?

日本小児科学会の「医療における子ども憲章」は、子どもには、自分の健康を守るための情報を、分かりやすい方法で説明してもらう権利があるとしています。大人が「子どもには分からない」と決めつけず、年齢に合わせて伝えることが大切です。

伝えるときは、病名よりも「体を大きくするホルモンが少なめなので、お薬で足していく」といった、本人の生活に結びつく言葉から始めるとよいでしょう。保護者が落ち着かないうちは、主治医から一緒に説明してもらう方法もあります。きょうだいへの伝え方は「治療をしていないきょうだいにどう説明する?」のコラムで説明しています。

出典 [10]

別の医師の意見も聞きたいときは?

診断や治療の進め方に納得がいかないときは、別の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞く方法があります。国立がん研究センターのがん情報サービスは、今の担当医にその希望を伝え、紹介状とこれまでの検査結果を用意してもらうこと、セカンドオピニオンは公的医療保険が使えない全額自己負担になることを説明しています。低身長での受け方は「低身長の診断や治療でセカンドオピニオンを受けるには?」のコラムで説明しています。

記録を見ながら話を整理したいときは、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)もご利用いただけます。保険診療の対象になりうる場合は、対面の医療機関をご紹介しています。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。予約は公式LINEから受け付けています。

出典 [11] [12]

診断を受けた直後によくある質問

Q. 治療を始めないと、すぐに困ることはありますか?

A. 病気の重さや、ほかのホルモンの状態によって違います。小児慢性特定疾病情報センターは、ほかの下垂体のホルモンも不足していることがあるとしています。急ぐ必要があるかどうかは、主治医に直接確かめてください。

Q. 周りの人には話したほうがよいですか?

A. 話す相手と範囲は、家族で決めてかまいません。学校に伝えるかどうかは「治療していることを担任の先生に伝える?」のコラムで説明しています。

Q. 毎日の注射を続けられるか不安です。

A. 最初は多くの家庭が不安を感じます。家族で分担する工夫は「毎日の注射を続ける家族の負担を軽くするには」のコラムで紹介しています。

出典 [2]

まとめ

診断を受けてショックを受けるのは自然なことで、親の育て方が原因で起こる病気とはされていません。治療は保険診療で行われ、条件を満たせば医療費の助成も使えます。聞きたいことを書き出して次の診察で確かめ、気持ちがつらいときは相談窓口も頼りながら、一つずつ進めていきましょう。

出典 [2] [3]

お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。

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この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. Journal of Pediatric Nursing「Mothers' Experiences of Caring for Children Receiving Growth Hormone Treatment」(Alsaigh R ほか、2019年、成長ホルモン治療を受ける子どもの母親16人への聞き取りと日記の研究、PubMed)
  2. 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン(GH)分泌不全性低身長症(脳の器質的原因によるものを除く。)」
  3. 日本内分泌学会「成長ホルモン分泌不全性低身長症」
  4. 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン治療について」
  5. 小児慢性特定疾病情報センター「医療費助成の概要」
  6. 国立がん研究センター がん情報サービス「医療者と話し合うときのヒント」
  7. 小児慢性特定疾病情報センター「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業」
  8. こども家庭庁「こども家庭センター」
  9. 厚生労働省 こころもメンテしよう「ご家族の皆さんへ」
  10. 日本小児科学会「医療における子ども憲章」(2022年3月、PDF)
  11. 国立がん研究センター がん情報サービス「セカンドオピニオン」
  12. ノビケア「お問い合わせ」