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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約6分
成長ホルモン分泌不全症と診断されるまでの流れ:検査入院の準備と持ち物
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
成長ホルモン分泌不全性低身長症は、成長の記録と診察から始まり、血液検査や骨年齢で見当をつけたうえで、2種類以上の薬で成長ホルモンの出方を調べる分泌刺激試験を行い、必要に応じて頭部MRIで脳の様子を確かめて診断します。分泌刺激試験は入院して行うことが多く、日数や付き添いのきまりは病院によって違います。日程が決まったら、学校や仕事の調整、持ち物の準備を早めに進めましょう。
診断までは、どんな順番で進む?
下の表は、一般的な流れをまとめたものです。順番や、どの検査を行うかは、お子さんの様子や病院によって変わります。
最初の受診から診断までには、伸び方を見るための経過観察を含めて、数か月以上かかることもあります。
| 段階 | 主な内容 | 行う場所の例 |
|---|---|---|
| 1. 記録と診察 | これまでの身長・体重の記録を成長曲線で確かめ、体の診察をする | 小児科、小児内分泌の外来 |
| 2. 外来の検査 | 血液・尿の検査(IGF-1、甲状腺など)、手のエックス線で骨年齢 | 小児科、小児内分泌の外来 |
| 3. 分泌刺激試験 | 2種類以上の薬で、成長ホルモンがどのくらい出るかを調べる | 多くは入院(病院によって外来のことも) |
| 4. 画像の検査 | 頭部MRIで、下垂体やその周りの様子を確かめる | MRIのある病院 |
| 5. 診断と治療の相談 | 結果をまとめて診断し、治療の進め方や助成の手続きを話し合う | 小児内分泌の外来 |
診断の基準は?
小児慢性特定疾病情報センターの診断の手引きでは、主な症状として、身長が標準の−2.0SD以下であること、または身長がふつうの範囲でも、伸びる速さが2年以上にわたって標準の−1.5SD以下であることが挙げられています。
そのうえで、2種類以上の分泌刺激試験で、成長ホルモンの値の最も高いところ(頂値)が6ng/mL以下(GHRP-2という薬を使う試験では16ng/mL以下)であることを確かめます。日本内分泌学会も、少なくとも2種類の薬で検査を行い、そのすべてで分泌する力が弱いことを確認する必要があるとしています。
参考になる所見として、手引きは、血液中のIGF-1などの値が低いこと、骨年齢が実際の年齢の80%以下であることを挙げています。検査そのものの内容は「成長ホルモン分泌刺激試験(負荷試験)とは?」のコラムで説明しています。
分泌刺激試験の前に、どんな検査をする?
多くの場合、まず外来で血液や尿の検査を行い、成長ホルモンの働きを反映するIGF-1や、甲状腺の働き、貧血、腎臓や肝臓の状態などを調べます。手のエックス線で骨年齢も確かめます。血液検査の項目は「低身長の血液検査では何を調べる?」のコラムで説明しています。
あわせて、伸びる速さを正しく知るために、間をあけて身長を測り直すことがあります。American Family Physicianの総説(2015年)は、1年の伸びを求めるには6〜12か月あけた測定が望ましいとしています。母子健康手帳や学校の記録がそろっていると、これまでの伸びを早く確かめられます。
これらの結果から、成長ホルモンの不足が疑われる場合に、分泌刺激試験に進みます。相談したすべての子が受ける検査ではありません。
検査入院は、どのくらいの日数?どう過ごす?
日数は、1回の入院で行う試験の数によって変わります。兵庫医科大学病院小児科の入院計画表では、3泊4日で3種類の試験を1日1種類ずつ行います。広島赤十字・原爆病院小児科の入院計画表は2泊3日で、1回目と2回目の入院で検査の内容が異なると書かれており、2回に分けて入院する場合もあります。
広島赤十字・原爆病院の例では、検査は午前9時ごろから始まり、内容によって違いますが2時間ほどかかります。検査の前夜21時から検査が終わるまでは飲食ができず(水・お茶は飲めます)、夕食後から21時までに食べられる軽食の準備を求めています。検査中は、正しい結果を得るため、眠らない程度に安静にするよう案内されています。
慶應義塾大学病院の解説では、内分泌の負荷試験は通常入院して行うとされています。外来で行う病院もあるため、どちらになるかは担当の医師に確認してください。
頭部MRIは、なぜ行う?
小児慢性特定疾病情報センターは、成長ホルモン分泌不全性低身長症を、原因がはっきりしないタイプと、脳や下垂体の形の変化などによるタイプに分け、後者は約10%としています。頭部MRIで、下垂体の茎が途切れている、下垂体が小さいなどの所見がみられることがあるとしています。
日本内分泌学会は、後から起こる原因として下垂体の腫瘍などを挙げています。MRIは、こうした原因がないかを確かめ、治療の方針を決めるために行われます。
MRIは検査中に動かずにいる必要があり、小さな子では眠くなる薬を使うことがあります。行う時期や方法は、病院の案内に従ってください。
入院が決まったら、何を準備する?
広島赤十字・原爆病院の入院計画表は、安全に過ごすため、入院中はできるだけ家族が付き添うよう求めており、付き添い用のベッドは有料としています。付き添いや面会のきまりは病院によって違うため、日程が決まったら早めに確認しましょう。
学校や園を休む日数、保護者の仕事、ほかのきょうだいの世話の調整も必要です。お子さんには、入院の目的や、点滴の針を入れるときだけ少し痛いことなどを、年齢に合わせて伝えておきましょう。伝え方の例は「成長ホルモン分泌刺激試験(負荷試験)とは?」のコラムで紹介しています。
ふだん飲んでいる薬があるときは、兵庫医科大学病院の入院計画表のように、入院時に看護師に伝えるよう案内されています。薬を続けてよいかは、事前に担当の医師に確かめてください。
持ち物のチェックリストは?
下は一般的な例です。持ち込めるものや必要な書類は病院によって違うため、病院から渡される案内を優先してください。
- 健康保険の資格が確認できるもの(マイナ保険証など)、子どもの医療費助成の受給者証、診察券
- 母子健康手帳と、学校・園などの身長・体重の記録
- お薬手帳と、ふだん飲んでいる薬
- 着替え、タオル、歯ブラシ、上履きなど、入院の案内にある身の回りのもの
- 前夜に食べる軽食(案内がある場合)
- ベッドの上で静かに過ごせる本や遊び道具
- 付き添う保護者の着替えや身の回りのもの
出典 [6]
結果が出たあとは?
広島赤十字・原爆病院の例では、検査の結果は次回の外来で説明があり、そのときは家族だけで来てもよいとしています。診断がつけば、保険診療で成長ホルモン治療を始めるかどうかを相談します。治療中の通院や検査は「成長ホルモン治療中の通院と検査」のコラムで説明しています。
小児慢性特定疾病の医療費助成を使う場合は、指定医療機関を受診し、指定医が医療意見書を作成したうえで、お住まいの自治体の窓口に申請します。受給者証の認定期間は原則1年です。なお、成長科学協会による成長ホルモン治療の適応判定は、2024年4月から、軟骨異栄養症以外の病気では原則として終了しています。
成長ホルモン分泌不全性低身長症と診断されなかった場合も、ほかの原因がないか、どのくらいの間隔で経過を見るかを医師と確認しておきましょう。ノビケアは、分泌刺激試験やMRIなどの検査を行っていません。医師による無料相談(ビデオ通話)で記録を見ながらお話をうかがい、こうした検査が必要と考えられる場合は、対面の医療機関をご紹介します。1回目は保護者の方だけでもかまいません。
診断までの流れについてよくある質問
Q. 分泌刺激試験は、何回も受ける必要がありますか?
A. 診断には2種類以上の試験が必要とされています。1回の入院で複数の試験を行う病院もあれば、2回に分けて行う病院もあります。
Q. 入院中、学校の勉強が心配です。
A. 入院は数日のことが多く、検査のない時間は病棟の中で過ごせる病院もあります。持ち込める教材を病院に確認し、学校には事前に休む日を伝えておきましょう。
Q. 検査中におなかがすいて、子どもがつらそうです。
A. 検査が終わるまでは飲食が制限されますが、多くの病院では水やお茶は飲めます。検査が終われば食事がとれることを、前もって伝えておくと安心しやすくなります。気分が悪いときは、すぐに看護師に伝えてください。
まとめ
成長ホルモン分泌不全性低身長症は、成長の記録と診察、外来の検査、2種類以上の分泌刺激試験、頭部MRIなどを組み合わせて診断します。検査入院の日数や付き添いのきまりは病院によって違うため、日程が決まったら案内を確認し、学校や仕事の調整、持ち物の準備を早めに進めましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン(GH)分泌不全性低身長症(脳の器質的原因によるものを除く。) 診断の手引き」
- 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン(GH)分泌不全性低身長症(脳の器質的原因によるものを除く。)」
- 日本内分泌学会「成長ホルモン分泌不全性低身長症」
- American Family Physician「Evaluation of Short and Tall Stature in Children」(米国家庭医学会誌の総説、2015年)
- 兵庫医科大学病院 小児科「成長ホルモン負荷試験を受けられる様とご家族の方へ」(入院計画表、PDF、2016年7月1日改訂)
- 広島赤十字・原爆病院 小児科「成長ホルモン分泌刺激試験で入院される方へ」(入院計画表、PDF、2020年6月作成)
- 慶應義塾大学病院 KOMPAS「内分泌負荷試験」
- 小児慢性特定疾病情報センター「手続きの流れ」
- 成長科学協会「治療適応判定(成長ホルモン適正使用推進事業)」(2024年10月1日改訂)
- ノビケア「お問い合わせ」