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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約7分

低身長の血液検査では何を調べる?IGF-1・甲状腺・貧血など

公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日

低身長の血液検査は、背が低い原因として、ホルモンの不足や、表に出にくい体の病気が隠れていないかを確かめるために行います。主な項目は、成長ホルモンの働きの目安になるIGF-1、甲状腺ホルモン、貧血や肝臓・腎臓の値などです。どの項目を調べるかは、成長の記録と診察をもとに医師が選び、血液検査だけで低身長の原因が決まるわけではありません。

低身長の相談で、血液検査をするのはなぜ?

日本小児内分泌学会は、子どもの身長が低い原因の多くは、両親も背が低いなどの遺伝や体質によるものだと説明しています。そのうえで、成長ホルモンや甲状腺ホルモンの不足、心臓・肝臓・消化器などの病気が背の伸びに影響することもあり、低身長の検査で隠れていた臓器の病気が見つかることもあるとしています。

こうした原因の中には、体の外からは分かりにくく、血液を調べて初めて手がかりが得られるものがあります。治療できる原因であれば、早めに見つけることが大切です。

一方で、米国家庭医学会誌の総説(2015年)は、どの検査を行うかは問診と診察の結果をもとに決めるとしています。症状がなく、原因のはっきりしない低身長の子にあらゆる項目をそろえて調べても、得られることは少なく費用もかかるという研究も紹介しています。血液検査は「とりあえず全部」ではなく、目的を決めて行う検査です。

出典 [1] [2]

どんな項目を調べることがある?

米国家庭医学会誌の総説では、低身長の最初の検査として次のような項目を挙げ、IGF-1は小児内分泌の専門医と相談して測るものとしています。下の表は、それぞれが主に何を確かめるためのものかを整理したもので、すべての子に必要な一覧ではありません。

日本の医療機関で実際に何を測るかは、成長の経過、症状、性別などによって変わります。検査の前に「今回は何を確かめるための採血か」を医師に尋ねておくと、結果の説明も理解しやすくなります。

項目主に確かめること
血球の数(ヘモグロビンなど)貧血がないか
肝臓・腎臓などの値(生化学検査)肝臓や腎臓の病気、体の状態の目安
甲状腺ホルモン(遊離T4)とTSH甲状腺の働きが落ちていないか
IGF-1(IGFBP-3を一緒に測ることもある)成長ホルモンの働きの目安
炎症の値(赤沈、CRP)炎症性腸疾患など、炎症が続く病気の手がかり
セリアック病の抗体小麦などに含まれるたんぱく質で腸が傷む病気の手がかり
染色体検査など(女の子)ターナー症候群がないか
尿検査(血液ではありませんが一緒に行われることがある)腎臓の病気の手がかり

出典 [2]

IGF-1やIGFBP-3で、成長ホルモンが足りないかは分かる?

IGF-1は、成長ホルモンの働きを受けて主に肝臓で作られる成長因子です。成長ホルモンそのものは1日の中で出る量が大きく変わるため、ふつうの採血ではIGF-1やIGFBP-3を、成長ホルモンの働きを知る目安として測ります。

日本内分泌学会などがまとめた診療ガイドライン(2023年版)の成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断の手引きでは、IGF-1が性別・年齢の標準より低いことは「参考所見」の一つです。診断には、薬を使って成長ホルモンの出方を調べる分泌刺激試験が必要とされており、IGF-1が低いことだけで成長ホルモンが足りないとは決まりません。

IGF-1の値の読み方は「IGF-1(ソマトメジンC)とは?」の記事、分泌刺激試験の流れは「成長ホルモン分泌刺激試験(負荷試験)とは?」の記事で説明しています。

出典 [3] [4]

甲状腺の検査を確認しておくのは、なぜ?

甲状腺ホルモンが不足すると、身長の伸びが落ちることがあります。日本小児内分泌学会は、不足しているホルモンを治療で補うと身長が伸びると説明しており、血液検査で見つけられる、治療できる原因の一つです。

甲状腺の検査は、成長ホルモンの検査の読み方にも関わります。同じ診療ガイドラインは、甲状腺機能低下症があると分泌刺激試験で成長ホルモンの反応が低く出ることがあるため、甲状腺ホルモンを適切に補ってから試験を行うよう注意しています。成長ホルモンを調べる前に、甲状腺の働きを確かめておくことには、このような意味もあります。

症状や治療については「甲状腺の病気と身長」の記事でくわしく説明しています。

出典 [1] [4]

貧血や肝臓・腎臓の値を見るのは、なぜ?

日本小児内分泌学会は、心臓、肝臓、消化器などの大切な臓器に病気があると、体に十分な栄養を取り込めず身長の伸びが低下すると説明しています。小児の慢性腎不全でも低身長になることがあるとしています。

貧血、肝臓や腎臓の値、尿の結果は、こうした病気に気づく手がかりになります。たとえば、腸に炎症が続くクローン病では、栄養を十分に吸収できないことや、炎症で出る物質が成長を抑えることなどから、背の伸びが落ちることがあると説明されています。原因となる病気が見つかった場合は、その病気の治療が優先されます。

貧血と食事の関係は「鉄分不足は身長に影響する?」、腎臓や腸の病気と身長は「慢性腎臓病と子どもの身長」「クローン病など炎症性腸疾患と子どもの身長」の記事で説明しています。

出典 [1] [2] [5]

セリアック病や染色体の検査は、どんなときに行う?

セリアック病は、小麦などに含まれるグルテンというたんぱく質に体が反応し、小腸が傷つく病気です。日本の大学の小児科がまとめた総説(2023年)は、世界の一般人口では約1%にみられるとされる一方、日本からの報告はまだ少ないと述べています。米国家庭医学会誌の総説では、低身長の最初の検査の項目に抗体検査が含まれています。日本の診療でどのような場合に調べるかは、症状や経過をみて医師が判断します。

女の子の低身長では、ターナー症候群を確かめるために染色体の検査を行うことがあります。採血で調べますが、結果が子どもの体質や将来に関わる情報になるため、検査の前に目的や結果の伝え方について説明を受けます。くわしくは「低身長で染色体や遺伝子の検査をするのはどんなとき?」の記事を参考にしてください。

出典 [6] [2]

成長ホルモン治療の前や治療中にも、血液検査をする?

成長ホルモンには血糖値を上げる働きがあるため、添付文書では、治療中に定期的に血糖値やHbA1cを測るよう求めています。治療中に甲状腺の働きが落ちて治療の効果が下がることがあるため、甲状腺の検査も定期的に行うとされています。

検査の間隔は病気によって目安が示されています。たとえばSGA性低身長症では、治療前と治療中に、IGF-1を3〜6か月に1回、血糖やHbA1c、甲状腺ホルモン、骨年齢を6か月〜1年に1回測るよう添付文書に書かれています。成長ホルモン分泌不全性低身長症では、診療ガイドラインが、副作用を早く見つけるために3〜6か月ごとに血液検査や尿検査、甲状腺の検査を行うとしています。

治療を始める前の検査は、治療を始めてよいかを確かめるとともに、治療中の変化と比べる基準にもなります。

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結果を聞くときは、何を確かめればよい?

子どもの検査値は、年齢や性別、思春期の進み方で基準が変わる項目が多くあります。報告書の基準の範囲が大人のものになっていることもあるため、印の有無だけで判断せず、年齢に合った見方で説明を受けましょう。

結果を聞くときは、次のような点を尋ねておくと、次の見通しを持ちやすくなります。以前に受けた検査の結果があれば、一緒に持っていくと変化を見比べられます。

ノビケアでは、医師が必要と判断した場合に、ご自宅で指先の血液と尿を採って送り返す郵送検査を行います。成長ホルモン治療を安全に始められるかを確かめるための検査で、主に甲状腺の働きや血糖の指標などを調べます。分泌刺激試験や骨年齢のエックス線検査、静脈からの採血は行っておらず、必要な場合は対面の医療機関をご紹介します。身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談(ビデオ通話、0円)で、お手元の記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEから受け付けています。

出典 [8] [9]

低身長の血液検査についてよくある質問

Q. 血液検査で異常がなければ、病気の心配はありませんか?

A. 血液検査で分かるのは原因の一部です。成長の記録や骨年齢、必要に応じたほかの検査とあわせて判断します。その後も伸び方が気になるときは、記録を持って改めて相談してください。

Q. 1回の採血で、成長ホルモンが足りているかどうかまで分かりますか?

A. 分かりません。IGF-1などは目安になりますが、成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断には分泌刺激試験が必要とされています。

Q. 検査の前に、気をつけることはありますか?

A. 食事の制限の有無などは、検査の内容によって違います。受ける医療機関の指示に従い、飲んでいる薬や最近の体調も伝えておきましょう。

出典 [4]

まとめ

低身長の血液検査では、IGF-1、甲状腺ホルモン、貧血、肝臓や腎臓の値などを、成長の記録や診察から必要に応じて選んで調べます。検査の目的をあらかじめ確かめ、結果は年齢に合った見方で医師から説明を受けましょう。血液検査だけで結論を急がず、成長の記録とあわせて伸び方を見ていくことが大切です。

出典 [1]

お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。

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この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. 日本小児内分泌学会「低身長」
  2. American Family Physician「Evaluation of Short and Tall Stature in Children」(米国家庭医学会誌、2015年、PubMed)
  3. 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
  4. 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン作成委員会(厚生労働科学研究班・日本内分泌学会)「間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版」(日本内分泌学会雑誌 Vol.99 Suppl.、2023年7月、J-STAGE、PDF)
  5. 日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児IBD研究会「小児クローン病治療指針(2019年)」(日本小児栄養消化器肝臓学会雑誌33巻2号)
  6. International Journal of Molecular Sciences「Celiac Disease Genetics, Pathogenesis, and Standard Therapy for Japanese Patients」(日本のセリアック病に関する総説、2023年、PubMed)
  7. PMDA「ノルディトロピン フレックスプロ注 添付文書」(2025年9月改訂 第3版)
  8. ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
  9. ノビケア「お問い合わせ」