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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約7分
低身長で頭のMRI検査をするのはなぜ?下垂体の検査と、小さな子の鎮静
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
頭のMRI検査は、成長ホルモンを出す脳の下垂体の形や、その周りに腫瘍などの病気がないかを確かめるために行います。成長ホルモンが足りないと分かったときや、思春期が早すぎる・遅すぎるとき、伸びが急に落ちたときなどに検討されます。検査中は30分ほど動かずにいる必要があるため、小さな子では眠くなる薬(鎮静薬)を使うことがあり、学会の提言に沿った準備と見守りのもとで行われます。
頭のMRIで、何を調べるの?
成長ホルモンは、脳の下側にある「下垂体」という小さな器官から出ています。小児慢性特定疾病情報センターは、成長ホルモンが足りない低身長では、甲状腺を刺激するホルモンや、精巣・卵巣を刺激するホルモン(LH・FSH)など、下垂体から出るほかのホルモンも足りなくなっていることがあると説明しています。
MRIは、強い磁石と電波を使って体の中を画像にする検査で、エックス線は使いません。下垂体はとても小さいため、低身長の検査では、下垂体とその上の視床下部のあたりを細かく撮ることがあります。撮り方や、造影剤という薬を注射するかどうかは、目的に応じて病院が決めます。
MRIでは、下垂体の大きさや形、下垂体と脳をつなぐ細い茎、周りの腫瘍の有無などが分かります。一方で、成長ホルモンがどのくらい出ているかはMRIでは分かりません。出方は、薬を使って調べる分泌刺激試験などで確かめます。
どんな所見が見つかることがある?
同じセンターは、成長ホルモンが足りない低身長のうち、原因がはっきりしているもの(器質性)は約10%で、残りの大部分は原因が分からない「特発性」だとしています。器質性には、頭蓋咽頭腫や胚芽腫などの脳の腫瘍、骨盤位の分娩や仮死などお産のときの異常に関係するものがあり、MRIで次のような所見がみられることがあります。
MRIで何かが見つかる割合は、研究によって大きく違います。32の研究(3万9,060人)をまとめた分析では、下垂体の周りに何らかの所見があった割合は全体で58.0%で、成長ホルモン以外のホルモンも足りない子では91.4%、成長ホルモンだけが足りない子では40.1%でした。一方、イスラエルの192人の調査では、成長ホルモンだけが足りない子で所見があったのは7.8%で、腫瘍などは見つかりませんでした。診断の基準や対象の子の違いが、数字の差に関係していると考えられます。
| 所見 | どんな状態? |
|---|---|
| 下垂体が小さい(下垂体低形成) | 下垂体が年齢に比べて小さく見える |
| 下垂体の茎が途切れている(下垂体茎離断) | 下垂体と脳をつなぐ細い茎が見えない、または途切れて見える |
| 後葉の位置がずれている(異所性後葉) | ふつうは下垂体の後ろ側に白く写る部分(後葉)が、別の場所に写る |
| 腫瘍など | 頭蓋咽頭腫や胚芽腫など、下垂体の周りにできる病気 |
どんなときに、MRIをすすめられる?
MRIは、低身長の子の全員に行う検査ではありません。成長の記録や血液検査、分泌刺激試験などの結果をふまえて、原因を確かめる必要があるときに検討されます。主な場面は次のとおりです。
なお、イスラエルの調査は、成長ホルモンだけが足りない子の全員にMRIが必要かは見直す余地があると述べています。ただし予備的な結果とされており、どの子にいつ行うかは主治医が判断します。
- 分泌刺激試験で、成長ホルモンが足りないと分かったとき
- 成長ホルモン以外の下垂体のホルモンも足りないとき
- 思春期早発症と診断されたとき(原因となる脳の病気がないかを確かめます)
- 思春期がなかなか始まらず、ホルモンの病気が疑われるとき
- のどがよく渇いて水をたくさん飲み、尿の量が多いとき
- それまで順調だった身長の伸びが、急に落ちてきたとき
MRIの結果で、何が変わる?
小児慢性特定疾病情報センターは、MRIで下垂体の茎が途切れている、後葉の位置がずれている、下垂体が小さいといった所見がある場合や、脳の腫瘍などが原因の場合を、「脳の器質的原因による」成長ホルモン分泌不全性低身長症として、原因がはっきりしないものとは分けて扱っています。原因によって、その後の調べ方や見守り方が変わります。
たとえば、腫瘍が見つかった場合は、その治療が優先されます。成長ホルモン以外のホルモンも足りない場合は、同じセンターが説明するように、成長ホルモンだけでなく足りないほかのホルモンも補う治療が必要になることがあります。所見がなくても、成長ホルモンが足りないと分かれば治療を考えることに変わりはありません。結果を聞くときは、所見の有無だけでなく、それによって今後の検査や治療がどう変わるのかを尋ねておきましょう。
出典 [1]
検査を待たずに受診したほうがよいサインは?
日本小児脳神経外科学会は、頭蓋咽頭腫の最初の症状として頭痛や吐き気が一般的で、見え方の異常、尿の量が増える尿崩症、成長障害、思春期の遅れなどもみられると説明しています。小児慢性特定疾病情報センターも、中枢性尿崩症の原因には胚腫や頭蓋咽頭腫などの脳腫瘍が多いとしています。
強い頭痛や、何度も吐く、見え方がおかしい、といった様子があるときは、予約したMRIの日を待たずに、すぐに医療機関に相談してください。意識がおかしい、けいれんがある、といったときは119番に連絡してください。
小さな子は、なぜ眠くなる薬を使うの?
日本小児科学会などの3学会がまとめた「MRI検査時の鎮静に関する共同提言」の説明書の例では、MRIはふつう30分程度かかり、その間は体の動きを完全に抑える必要があるとされています。8歳以下の多くの子にとって、30分以上まったく動かずにいるのは難しいため、鎮静薬を使うことが多いと説明されています。検査の前後を合わせると、約2時間半かかる例が示されています。説明書の例には、薬を使ったあとは足もとがふらつくため、起き上がるまでしばらく介助が必要なことや、同意はいつでも取り消せることも書かれています。
同じ提言は、薬による眠りは自然の眠りとはまったく違い、呼吸が弱くなったり止まったりする危険があることを強調しています。そのため、検査中から目が覚めるまで、指先で血液の酸素を測る機器(パルスオキシメーター)を付け、見守りに専念する医師か看護師がつくよう求めています。
一方で、提言は、検査を夕方から夜にして昼寝をやめると、多くの子が自然の眠りで検査を受けられたという報告も紹介しています。写真や模型を使って、年齢に合わせて事前に説明する「プレパレーション」も勧められています。薬を使うかどうかは、年齢や性格、病院の体制によって決まります。
出典 [2]
鎮静の前後に、家庭で気をつけることは?
提言では、鎮静薬を使ったあとの帰宅は、呼吸や意識が薬を使う前の状態に戻り、年齢に応じて歩く、座る、言葉を話す、水を飲んでも吐かない、といったことを確かめてから許可するとしています。帰宅したあとも、その日は大人がそばで様子を見て、いつもと違うと感じたら、教えられた連絡先に相談してください。
- 飲食の制限:提言では、水やお茶などの透明な飲み物は2時間前、母乳は4時間前、ミルクや牛乳、食事は6時間前までとしています。守れないと薬が使えず、検査が延期になることがあります
- 睡眠:説明書の例では、前の晩はいつもより1時間遅く寝て、当日は1時間早く起こすよう協力を求めています。病院からの指示に従ってください
- 体調:検査の前、とくに2週間以内に熱やせき、鼻水があった場合は、事前に病院に相談します
- 金属など:磁石の入った絆創膏、カイロ、保温機能のある肌着、補聴器などは外します。体の中に医療機器や金属がある場合は、事前に伝えます
出典 [2]
頭のMRI検査についてよくある質問
Q. MRIで異常がなければ、成長ホルモンの病気ではないということですか?
A. いいえ。成長ホルモンが足りない低身長の大部分は、MRIでは原因が見つからない特発性とされています。MRIは原因を探す検査で、成長ホルモンが足りているかどうかは、分泌刺激試験などとあわせて判断します。
Q. 造影剤の注射はしますか?
A. 目的によって使うことがあります。提言の説明書の例では、造影剤はガドリニウムという金属を含む薬で、吐き気や発疹などの軽い副作用は1〜2%以下、重い副作用はきわめてまれで0.05%以下とされています。使う場合は事前に説明があります。
Q. MRIは1回で終わりますか?
A. 病気によっては、くり返し撮ることがあります。たとえば中枢性尿崩症では、最初に原因が分からなくても、あとで脳腫瘍が見つかることがあるため、5年間はMRIで経過を見ることが推奨されています。間隔は主治医と相談してください。
まとめ
頭のMRIは、下垂体の形やその周りの病気を確かめるための検査で、成長ホルモンが足りないと分かったときや思春期の時期が気になるときなどに行います。小さな子では鎮静薬を使うことがあり、飲食の制限などの準備が大切です。ノビケアはオンライン診療のため、MRIや分泌刺激試験は行っていません。伸び方が気になる場合は、医師による無料相談(ビデオ通話)で記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。検査が必要な場合は、対面の医療機関をご紹介します。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン(GH)分泌不全性低身長症(脳の器質的原因によるものを除く。)」
- 日本小児科学会・日本小児麻酔学会・日本小児放射線学会「MRI検査時の鎮静に関する共同提言」(2020年2月23日改訂版、日本小児科学会雑誌124巻4号、PDF)
- Neuroradiology「Prevalence of brain MRI findings in children with nonacquired growth hormone deficiency: a systematic review and meta-analysis」(2021年、32研究・39,060人、PubMed)
- Hormone Research in Paediatrics「Questioning the Value of Brain Magnetic Resonance Imaging in the Evaluation of Children with Isolated Growth Hormone Deficiency」(2020年、イスラエルの3施設・192人、PubMed)
- 小児慢性特定疾病情報センター「ゴナドトロピン依存性思春期早発症 診断の手引き」
- 日本小児内分泌学会「思春期早発症」
- 小児慢性特定疾病情報センター「中枢性尿崩症 概要」
- 日本小児脳神経外科学会「頭蓋咽頭腫」(病気の解説、PDF)
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