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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約6分
脳腫瘍(頭蓋咽頭腫など)と成長:伸びが急に止まったときに考えること
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
それまで順調に伸びていた子の身長が急に伸びなくなったときは、甲状腺の病気などさまざまな原因が考えられ、まれに頭蓋咽頭腫などの脳腫瘍がかくれていることがあります。脳腫瘍による成長の障害は、頭痛や吐き気だけでなく、見え方の変化、水をたくさん飲む、体重が急に増えるといったサインを伴うことがあります。伸びが止まったときは、成長の記録を持って早めに小児科で相談し、強い頭痛や何度も吐くときはすぐに救急を受診してください。
脳腫瘍で、なぜ身長が伸びなくなるの?
成長ホルモンは、脳の下にある下垂体から分泌され、その働きは脳の視床下部によって調節されています。この近くにできた腫瘍や、その治療によって下垂体や視床下部が傷つくと、成長ホルモンなどのホルモンが足りなくなり、身長の伸びが落ちることがあります。
小児慢性特定疾病情報センターは、成長ホルモン分泌不全性低身長症のうち、頭蓋咽頭腫などの脳の病気や、生まれたときの異常が原因のもの(器質性)は約10%を占めると説明しています。成長ホルモンの不足による低身長の多くは原因がはっきりしないタイプですが、伸びが急に落ちた場合は、脳の病気がないかを確かめることが大切です。
なお、伸びが落ちる原因は脳腫瘍だけではありません。日本小児内分泌学会は、甲状腺ホルモンの不足、心臓や消化器、腎臓などの病気、長く治療が必要な病気や薬の影響、栄養の不足なども低身長の原因として挙げています。どの原因かは、伸びが落ちた時期や体重の変化、ほかの症状をあわせて医師が判断します。成長曲線で線を横切って下がってきたときの考え方は「成長曲線で線を横切って下がってきたら」のコラムでも説明しています。
頭蓋咽頭腫とは、どんな病気?
小児慢性特定疾病情報センターは、頭蓋咽頭腫を、下垂体の近く(トルコ鞍の上)にできる腫瘍で、10歳前後に多いと説明しています。症状として、視力や視野の障害、尿崩症や成長障害などのホルモンの異常、肥満、進むと水頭症による頭痛が挙げられています。
日本小児脳神経外科学会の解説は、子どもの頭蓋咽頭腫の最初の症状として、視力障害62〜84%、成長障害35〜75%、思春期の遅れ40%、肥満30%、尿崩症17〜27%という報告を紹介しています。報告によって数字には幅があります。また、成長障害は診断の数年前から観察されることが多く、診断の時点で成長ホルモンの不足が26〜75%にみられるとしています。
ゆっくり進むホルモンの症状は、ほかの症状が出るまで気づかれにくいことがあります。伸びが少しずつ落ちてきた記録が、早く気づく手がかりになることもあります。
ほかに、成長に影響する脳腫瘍はある?
頭蓋内胚細胞腫瘍も、ホルモンの異常で気づかれることがある腫瘍です。小児慢性特定疾病情報センターは、日本では小児の脳腫瘍の15.3%を占めて2番目に多く、診断時の平均年齢は18歳前後で、男性に多いと説明しています。
下垂体の近く(鞍上部)にできた場合は60〜90%に尿崩症がみられ、視力の低下、成長ホルモンの不足、思春期早発などが起こることがあるとされています。松果体という場所にできた場合は、頭痛や吐き気が出ることがあります。
スイスの研究者による総説(Children、2022年)は、脳腫瘍の子では、成長ホルモンの不足、思春期の異常、尿崩症などのホルモンの病気が、診断のときにも、手術や放射線治療のあとにもみられると説明しています。
伸びの変化とあわせて、どんなサインに気をつける?
身長の伸びが落ちたときに、次のような様子もあれば、成長の記録を持って早めに小児科で相談しましょう。どれか一つがあるだけで脳腫瘍というわけではなく、ほかの病気でもみられます。
- それまで沿っていた成長曲線の線から、急に横ばいになった、または下がってきた
- 水をたくさん飲み、尿の量や回数が多い。夜中に何度もトイレに起きる、おねしょが再び始まった
- 物によくぶつかる、見えにくそうにする、視野の一部が欠けているようだ
- 朝に頭痛や吐き気がある日が続く
- 急に体重が増えた、食べる量が増えた
- 思春期の変化がとても早い、または年齢になってもみられない
- 疲れやすい、寒がる、元気がない
すぐに受診が必要なのは、どんなとき?
強い頭痛がある、何度も吐く、けいれんを起こした、意識がおかしい、急に見えにくくなった、といったときは、すぐに119番や救急医療機関に連絡してください。尿崩症がある子は、水分が足りないと脱水になりやすいため、ぐったりしているときも早めに受診が必要です。
出典 [4]
病院では、どんな検査をする?
まず、これまでの成長の記録から、いつごろから伸びが落ちたかを確かめます。そのうえで、血液や尿の検査で甲状腺ホルモンや成長ホルモンに関わる値などを調べ、必要に応じて、成長ホルモンの分泌を調べる検査や、頭のMRI検査を行います。視力や視野の検査が行われることもあります。
小児慢性特定疾病情報センターは、頭蓋咽頭腫の診断はMRIの画像と、手術で取った組織の検査で確かめるとしています。こうした検査は、小児科の内分泌の専門医や脳神経外科のある医療機関で行います。
治療のあとの成長は、どう見ていく?
小児慢性特定疾病情報センターは、頭蓋咽頭腫の治療後には80%以上の例で下垂体のホルモン全体の働きが落ち、副腎皮質ホルモンや、尿の量を調節するホルモンの長い補充が必要になると説明しています。日本小児脳神経外科学会の解説では、手術後に成長ホルモンの不足が70〜92%にみられ、成長ホルモンの補充への反応は70%で良好で、補充は再発率に直接影響しないとされています。
成長ホルモン製剤の添付文書は、脳腫瘍による成長ホルモン分泌不全の人に使う場合は、腫瘍の進行や再発を十分に観察することを求めています。また、頭蓋咽頭腫で体重が増えている子などでは、成長ホルモンが不足していても、しばらくは身長が伸びることがあるものの、次第に伸びが悪くなることも多いとされています。治療後の成長の記録は、引き続き大切です。
国立がん研究センターのがん情報サービスは、小児の脳腫瘍の治療後に起こりうる晩期合併症として、甲状腺の病気、成長障害、二次性徴の異常などの内分泌障害を挙げています。治療後の長期の見通しは「小児がんの治療後の身長は?」のコラムでも説明しています。
脳腫瘍と成長についてよくある質問
Q. 身長の伸びが止まったら、まず脳腫瘍を疑うべきですか?
A. 伸びが落ちる原因には、甲状腺の病気や成長ホルモンの不足、栄養、思春期の時期などさまざまなものがあり、脳腫瘍はそのうちの一部です。ただ、急に伸びが止まった、ほかのサインもある、という場合は、早めに小児科で相談しましょう。
Q. 頭痛がなければ、脳腫瘍の心配はありませんか?
A. 日本小児脳神経外科学会の解説では、頭蓋咽頭腫の最初の症状として、見え方の障害や成長障害、尿崩症などが挙げられています。頭痛がなくても、ほかのサインがあれば伝えてください。
Q. オンラインの相談でMRIは受けられますか?
A. MRIや分泌刺激試験は、対面の医療機関で行う検査です。オンラインの相談では、記録を見て受診の目安や紹介先を一緒に考えることはできますが、症状によっては直接、小児科や救急を受診してください。
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まとめ
身長の伸びが急に止まったときは、さまざまな原因の中に、まれに頭蓋咽頭腫などの脳腫瘍がかくれていることがあります。見え方の変化、水をたくさん飲む、急な体重の増加などのサインもあれば早めに小児科で相談し、強い頭痛や何度も吐くときはすぐに救急を受診してください。記録の見方で迷うときは、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)でご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。MRIなどの検査が必要な場合は、対面の医療機関を紹介します。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン(GH)分泌不全性低身長症(脳の器質的原因によるものを除く。)」
- 日本小児内分泌学会「低身長」
- 小児慢性特定疾病情報センター「頭蓋咽頭腫 概要」
- 日本小児脳神経外科学会「頭蓋咽頭腫」(病気の解説、PDF)
- 小児慢性特定疾病情報センター「頭蓋内胚細胞腫瘍 概要」
- Children (Basel)「Endocrine Disorders in Children with Brain Tumors: At Diagnosis, after Surgery, Radiotherapy and Chemotherapy」(Claude F ほか、2022年、PMC)
- PMDA「ノルディトロピン フレックスプロ注 添付文書」(2025年9月改訂 第3版)
- 日本小児内分泌学会 CCS委員会「小児がん経験者(CCS)のための内分泌フォローアップガイド」(ver 1.2、2016年6月改訂、PDF)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「脳腫瘍〈小児〉 療養」(晩期合併症を含む)
- ノビケア「お問い合わせ」