ノビケア トップ > コラム > 食事・栄養

食事・栄養読む時間 約6分

空腹や断食で成長ホルモンが出る?成長期の子に勧められない理由

公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日

大人が数日食べずにいると、成長ホルモンの分泌が増えることが研究で分かっています。しかし同時に、骨を伸ばす働きを仲立ちするIGF-1は下がり、体は成長よりもエネルギーを守る状態になります。成長期の子どもが食事を抜くと、身長の伸びや思春期が遅れるおそれがあるため、身長のために空腹や断食を取り入れることは勧められません。

空腹や断食で、成長ホルモンが出るのは本当?

米国で健康な大人の男性6人に5日間食事をとらずにいてもらった研究では、成長ホルモンが出る回数が1日5.8回から9.9回に増え、1日を通した成長ホルモンの量も約3倍になりました。研究者は、食べているかどうかが、成長ホルモンの出方を決める大切な要素だとしています。

一方で、同じ研究では、断食1日目から5日目にかけて、血液中のIGF-1(ソマトメジンC)と血糖値が下がり、脂肪が分解されてできる物質が大きく増えていました。体が、食べ物のない状態を乗り切るために、ためていた脂肪をエネルギーとして使い始めている状態です。

この研究は大人を対象にしたもので、成長期の子どもに断食をしてもらった研究ではありません。子どもで同じことを試すのは、安全の面から勧められません。身長のために食事の時間をあけたり、量を減らしたりする必要はありません。

出典 [1]

成長ホルモンが増えても、伸びにつながらないのはなぜ?

日本小児内分泌学会は、成長ホルモンは肝臓に働いてIGF-1という成長因子を作らせ、骨の成長板にも働いて骨を伸ばすと説明しています。成長ホルモンの量だけでなく、体がその働きに応えられる状態かどうかが大切です。

低栄養についての総説は、食事の量が足りない状態では、成長ホルモンは高くなる一方でIGF-1が低くなる「成長ホルモンが効きにくい状態」になるとしています。エネルギー全体が足りない場合だけでなく、たんぱく質やエネルギーの不足、一部の栄養素の不足でも起こると述べています。

同じ総説は、これは血糖を保ち、エネルギーを節約するための体の適応ではないかと考えています。つまり、空腹で成長ホルモンが増えるのは、体を大きくするためではなく、食べ物がない時期を生きのびるための反応と考えられます。

出典 [2] [3]

成長期の子どもが食事を抜くと、どうなる?

食事を極端に制限する摂食障害の子どもや若者の成長を調べた27の研究のまとめ(2020年)では、身長の伸びや思春期の遅れがよく報告されていました。多くの研究で回復後に伸びが追いつく様子がみられた一方、すべての子で追いつくわけではなく、追いつきが十分でないこともあるとしています。年齢が低いことや、病気の期間が長いことが、伸びの遅れのリスクとして挙げられています。

国立精神・神経医療研究センターの摂食障害の情報サイトは、10〜15歳の初経前の小中学生でも摂食障害になる子が増えていると説明しています。成長の途中で起きるため、本来期待される身長まで伸びない、骨が十分に育たない、初経が来ないといった心配があるとしています。

やせたいという気持ちがはっきりしないまま、のどを通らなくなって食べられなくなる型もあります。体重の変化が気になるときは、身長とあわせて成長曲線で確かめましょう。

出典 [4] [5]

小さな子が長く食べずにいると、何が起きる?

低血糖についての総説は、それまで健康だった6か月〜6歳くらいの子が救急外来に来る低血糖の原因として、ケトン性低血糖が最も多いと説明しています。小さな子は長く食べずにいると、体の中にケトン体が増え、血糖が下がりやすくなります。これは、小さな子の体にとっては自然な反応でもあるとされています。

胃腸炎などで食べられない、吐いてしまう、といったときは、水分や糖分を少しずつとれているかに気をつけましょう。ぐったりしている、呼びかけへの反応がにぶい、といった様子があるときは、すぐに医療機関を受診してください。意識がおかしい、けいれんがあるときは119番に連絡してください。

低血糖をくり返す、少しの空腹でも具合が悪くなる、といった場合は、まれに病気が隠れていることがあるため、小児科で相談しましょう。

出典 [6]

大人の「プチ断食」を、子どもがまねしたら?

家族の中で大人が食事を抜く健康法を試していると、子どもも同じように食べなくなることがあります。日本小児内分泌学会は、子どもの成長に一番役立つのは、適度な運動、バランスのとれた食事、しっかりした睡眠だとしています。

成長期の子どもは、体を動かすためのエネルギーに加えて、体を大きくするためのエネルギーと栄養も必要です。大人向けの健康法をそのまま子どもに当てはめず、3回の食事を基本に、足りない分は間食で補いましょう。家族そろって食卓を囲む時間は、子どもの食べる量や様子に気づく機会にもなります。食事のとり方については「朝ごはんと身長」のコラムでも説明しています。

出典 [7]

断食やダイエットの情報に、子どもが興味を持ったら?

インターネットや動画では、断食や食事制限の健康法が紹介されることがあります。子どもが興味を持ったときは、頭ごなしに否定するより、なぜ気になったのかを聞いてみましょう。体型や体重への悩みが隠れていることもあります。

そのうえで、大人向けの方法は成長期の体を想定していないこと、成長期は体を大きくするためにも食べる必要があることを、子どもに分かる言葉で伝えましょう。体重や体型を気にする様子が強いときや、食べる量が減ってきたときは、早めに小児科に相談してください。体の成長と食事の関係は「やせている子は背が伸びにくい?」のコラムでも説明しています。

出典 [5]

気づきたいサインは?

日本小児心身医学会は、神経性やせ症では、体重の減少によって、筋肉が減る、産毛が増える、月経が止まったり初経が遅れたりする、足がむくむ、といった体の変化が現れると説明しています。体重が減る原因になるほかの病気と見分けるため、成長曲線で身長と体重の変化を見ることが役立つとしています。次のような様子があるときは、早めに小児科に相談してください。

出典 [8]

空腹・断食と成長ホルモンについてよくある質問

Q. 寝る前におなかをすかせておくと、成長ホルモンがよく出ると聞きました。

A. 寝入ってすぐの深い眠りで成長ホルモンが出ることは知られていますが、空腹で寝ると身長が伸びやすくなることを示した資料は見当たりません。おなかがすいて眠れないほうが、睡眠の妨げになります。夕食から寝るまでの間があくときは、消化のよいものを少しとりましょう。

Q. 太り気味の子に、食事を抜かせてもよいですか?

A. 成長期の子どもの体重管理は、食事を抜くのではなく、食事の内容や間食、運動を見直すのが基本です。自己流の制限で伸びを妨げないよう、小児科で相談しながら進めましょう。

Q. 朝ごはんを食べたがらない子は、どうすればよいですか?

A. 朝食を抜くと、夕食から昼食まで長い時間食べないことになります。起きる時間を少し早める、食べやすいものを少量から用意するなど、できることから始めましょう。詳しくは「朝ごはんと身長」のコラムで説明しています。

Q. 食べる量が少ない子は、背が伸びにくいですか?

A. 少食でも、身長と体重が成長曲線に沿って増えていれば、心配ないことが多いと考えられます。体重が増えない、伸びが落ちてきた、といった場合は相談してください。

出典 [9]

まとめ

空腹や断食で成長ホルモンが増えるのは、食べ物のない時期を乗り切るための反応で、骨を伸ばすIGF-1はむしろ下がります。成長期の子どもは、規則正しい食事で必要なエネルギーと栄養をとることが大切です。身長の伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で、成長の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。

出典 [1] [10]

お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。

公式LINEで無料相談を予約する

この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. Journal of Clinical Investigation「Fasting enhances growth hormone secretion and amplifies the complex rhythms of growth hormone secretion in man」(Ho KY ほか、1988年、健康な成人男性6人、PMC)
  2. 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
  3. Journal of Endocrinology「Determinants of GH resistance in malnutrition」(Fazeli PK・Klibanski A、2014年、低栄養と成長ホルモンの効きにくさに関する総説、PMC)
  4. Journal of Adolescent Health「What Are the Effects of Restrictive Eating Disorders on Growth and Puberty and Are Effects Permanent? A Systematic Review and Meta-Analysis」(2020年、PubMed)
  5. 摂食障害全国支援センター(国立精神・神経医療研究センター)摂食障害情報ポータルサイト「子どもの摂食障害」
  6. Hormone Research in Paediatrics「Idiopathic Pathological Ketotic Hypoglycemia: Finding the Needle in a Haystack」(Wolfsdorf JI ほか、2025年、ケトン性低血糖に関する総説、PMC)
  7. 日本小児内分泌学会「「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解」(2025年9月8日改定)
  8. 日本小児心身医学会「摂食障害(神経性やせ症)」
  9. 厚生労働省 e-ヘルスネット「ノンレム睡眠」
  10. ノビケア「お問い合わせ」