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食物アレルギーで除去食の子の身長と栄養:成長を見守るポイント
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
海外の研究では、食物アレルギーのある子、とくに複数の食品を除いている子で、身長や体重が低めになる傾向が報告されています。一方で、管理栄養士の指導を受けて栄養を補っている場合は、除く食品の数が成長に影響しなかったという報告もあります。正しい診断にもとづいて必要な食品だけを除き、代わりの食品で栄養を補いながら、身長と体重の記録で成長を見守りましょう。
食物アレルギーの子は、背が伸びにくい?
米国の研究者らによる総説(2013年)は、食物アレルギーのある子98人とない子99人を比べた研究で、2種類以上の食物アレルギーがある子は背が低かったことを紹介しています。ブラジルで食物アレルギーと診断された子ども228人を調べた研究(2014年)でも、アレルギーのない子に比べて、体重と身長の値が低めでした。身長が−2SDを下回る子は15.9%でした。
一方、米国で牛乳、または牛乳と小麦を除いている乳幼児46人を追った研究(2015年)では、食物アレルギーに詳しい管理栄養士が定期的に指導していた場合、除く食品の数によって成長や栄養の状態に差はありませんでした。ただし、どちらのグループも平均すると身長は年齢の平均より低めでした。
研究によって、対象の国、年齢、アレルギーの種類が違うため、そのまま日本の子どもに当てはめることはできません。食物アレルギーがあっても順調に伸びている子も多くいます。
なぜ、身長や体重に影響することがあるの?
総説は、除いている食品の栄養を十分に補えていないと、牛乳を除いた場合のカルシウム不足、ビタミンDの不足、たんぱく質やエネルギーの不足が起こりうるとしています。医師や栄養士の指導がないまま牛乳を除いていた幼児で、ビタミンDが足りないことによるくる病が起こった例も紹介されています。
同じ総説は、正しく診断されないまま食品を除いた結果、必要のない制限で体重が増えなくなった例があることにもふれています。アレルギーそのものより、除き方と栄養の補い方が成長に関わると考えられます。
出典 [1]
「必要最小限の除去」とは?
厚生労働科学研究班の「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2022」は、正しい診断にもとづいた必要最小限の除去を基本としています。具体的には、次のように説明しています。
どのくらいの量まで食べられるかは、食物経口負荷試験などで医師が判断します。同じ手引きは、食べたことのない量を自宅で少しずつ試すことは勧められないとしています。
- 食べると症状が出る食品だけを除き、「念のため」「心配だから」と除く食品を増やさない
- 血液検査や皮膚の検査で疑われているだけの場合は、必要に応じて食物経口負荷試験で確かめる
- 原因の食品でも、症状が出ない「食べられる範囲」までは、むしろ積極的に食べる
出典 [4]
湿疹があるから、食品を除いたほうがよい?
赤ちゃんの湿疹をきっかけに、食物アレルギーを心配して食品を除き始める家庭もあります。手引きは、食物アレルギーが関わる乳児のアトピー性皮膚炎を考えるときも、まず適切なスキンケアや薬による治療で皮膚の状態をよくすることを先に行うとしています。
それでも湿疹がよくならない、くり返す場合に、血液検査や皮膚の検査を行い、疑わしい食品を1〜2週間除いて様子を見る方法をとります。同じ手引きは、除いても湿疹がよくならなかった場合は、すぐに除去をやめるとしています。
検査の結果だけを理由に、食べたことのない食品まで長く除いていると、食事の幅がせまくなります。今除いている食品が本当に必要かどうか、主治医と一緒に整理してみましょう。
出典 [4]
除いている食品の栄養は、どう補う?
手引きは、除く食品があっても、主食(ごはん、パン、めんなど)、主菜(肉、魚、大豆製品など)、副菜(野菜、いも、きのこ、果物など)のバランスを考えて、いろいろな食品をとることで、栄養状態の悪化を防げるとしています。食品ごとの主なポイントは次のとおりです。
どの食品で何を補うかは、除いている食品の数や年齢によって変わります。主治医に管理栄養士の栄養食事指導を受けられるか相談してみましょう。カルシウムについては「カルシウムで身長は伸びる?」のコラムで説明しています。
- 牛乳:カルシウムが不足しやすいため、ほかのカルシウムの多い食品で補う。アレルギー用ミルクはカルシウムの補給にも使える。豆乳は牛乳よりカルシウムが少ない
- 鶏卵:主菜には肉や魚、大豆製品など、たんぱく質の多い食品を使う
- 小麦:米や雑穀、とうもろこし粉を使ったパンやめんで代わりにできる
- 魚:全体の除去が続くとビタミンDが不足しやすい
- 肉:すべての肉を除く場合は、鉄の多い食品を続けてとるようにする
出典 [4]
成長はどう見守ればよい?
身長と体重を定期的に測り、成長曲線に書き込んでおきましょう。食品を除き始めた時期や、食べられる範囲が広がった時期もメモしておくと、成長の変化との関係が分かりやすくなります。
手引きは、体重増加不良などの成長の問題がある場合は、身長、体重、検査の値、食事の記録などをもとに主治医に報告し、対策を考えるよう栄養士に求めています。家庭でも、次のような様子があれば、アレルギーの主治医に相談してください。
- 成長曲線で、体重や身長の線が下がってきている
- 除いている食品が多く、食事の量も少ない
- 検査の結果だけで、食べたことのない食品も除いている
- 牛乳や乳製品を除いていて、カルシウムの多い食品をあまり食べていない
出典 [4]
食物アレルギーは、成長とともに変わる?
手引きは、乳児から幼児の早い時期に多い鶏卵、牛乳、小麦のアレルギーは、年齢とともに多くが食べられるようになる(耐性を獲得する)としています。一方、学童期から大人になって始まるアレルギーは、乳児期に始まるものに比べて、食べられるようになる可能性が低いとされています。
定期的に食物経口負荷試験を受けることで、食べられる範囲が段階的に広がるとも説明しています。除去を続けている場合は、次の見直しの時期を主治医に確認しておきましょう。
出典 [4]
身長のことは、どこに相談すればよい?
食品の除去や栄養のことは、アレルギーを診ている主治医と管理栄養士に相談しましょう。身長の伸びが落ちている場合は、栄養以外の原因がないかを確かめるため、小児科や小児内分泌の専門医に紹介されることもあります。
身長の伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で、成長の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬を処方する2回目には、お子さまにも参加していただきます。除去する食品や量は、アレルギーの主治医と決めてください。
出典 [5]
食物アレルギーと身長についてよくある質問
Q. 牛乳が飲めないと、背が伸びないのでしょうか?
A. 牛乳を除くとカルシウムが不足しやすくなりますが、ほかの食品やアレルギー用ミルクで補うことができます。牛乳だけで身長が決まるわけではありません。くわしくは「牛乳を飲むと身長は伸びる?」のコラムで説明しています。
Q. 栄養が心配なので、サプリメントで補ってもよいですか?
A. サプリメントにも原材料にアレルギーの食品が含まれていることがあります。使う前に、主治医や管理栄養士に相談してください。
Q. 給食では、家で食べられる量でも出してもらえないのですか?
A. 手引きは、集団給食では誤って食べる事故を防ぐため、完全除去を基本とした対応が望ましいとしています。家庭と給食で対応が違うことがあるので、学校や園とよく相談しましょう。
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まとめ
食物アレルギーで食品を除いている子は、栄養を補えていないと身長や体重の伸びに影響することがありますが、必要な食品だけを除き、代わりの食品で栄養を補えば、順調に成長することが期待できます。除去は医師の診断にもとづいて行い、身長と体重の記録を主治医や管理栄養士と一緒に見ていきましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- Current Opinion in Allergy and Clinical Immunology「Growth and nutritional concerns in children with food allergy」(Mehta H ほか、2013年、総説、PMC)
- Journal of Allergy「Growth Parameters Impairment in Patients with Food Allergies」(Costa LC ほか、2014年、ブラジルの食物アレルギーの子ども228人、PMC)
- Pediatric Allergy and Immunology「Impact of elimination diets on growth and nutritional status in children with multiple food allergies」(Berry MJ ほか、2015年、米国の乳幼児46人、PubMed)
- 厚生労働科学研究班「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2022」(PDF、第1.2版 2023年11月8日、食物アレルギー研究会サイト掲載)
- ノビケア「お問い合わせ」